とある魔術の機神咆吼(デモンベイン)   作:貴金属

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【行間 三】

 

                    ◇

 

 結局のところ、邪神ナイアルラトホテップが何をしたかったかといえば遊びなのだ。

 無論、人間の言葉に当てはめれば、という話になるが。

 

 彼女はあれで、ヒーローという存在を愛している。

 悪意でもって、玩弄でもって、詐称でもって、監禁でもって、堕落でもって、敵対でもって、ヒトが邪悪と呼ぶべきありとあらゆる行為をもってして、人の光を愛するのだ。

 

 ネズミを飼い主に見せつける猫のようなものだ。

 口に咥えられるのが人間で、見せつけられるのも人間であるというだけの違い。

 あの邪神は全てを冷笑している。

 人の希望が絶たれるところを見るために余計なこと無駄なことをしていたし、それに当麻も九郎も踊らされたというだけ。

 

 終わらない、終わらない悪夢がここから始まる。

 もはや止められるタイミングは過ぎた。

 何もかにもは終わってしまった。

 あらゆる位相は吹き飛んで、全ての未来は消し飛んで、エンドですらないバッドネバーエンドが永劫に続く。

 邪神の力を取り戻したナイアルラトホテップは、このままこの世界を混沌の中に沈めていき、それを橋頭堡(きょうとうほ)三千大千無限世界(サンゼンダイセンムゲンセカイ)を邪神の庭へと変えるだろう。

 

 そんな全てが終わった中で、拘束着の少女は、いるかも解らないカミサマに願った。

 

 助けて、と。

 

                    ◇

 

 世界が混沌に満たされて、それで全てが終わりであるとは、果たして誰が言っただろうか。

 

                    ◇

 

 混沌。何もかもがぐちゃぐちゃになり、なにものでもないナニカに染まっている世界。

 その中で声がする。

 誰かの、はっきりとした、人間の、力強い声が。

 

「神様が突然ゴンドラから降りてきて『ハイそれで全部おしまいです』なんて言われてもよ、」

「世界が終わってしまったなんて見せつけられてしまってもな、」

 

 それは嘆きの声ではない。

 それは諦めの声ではない。

 それは怨嗟の声ではない。

 

「もはや打つ手なんてないのが誰にだってわかってもさ」

「もはや出来ることなんてないんだと誰もが思ったりしてもな」

 

 それは正しき怒りの声だ。

 それは歩くことを止めない宣誓の声だ。

 それは希望があることを諦めない、命の熾烈な叫びの声だ。

 

「──泣いてる声を聞いちまったらさ」

「──後味悪ィ結末で終わらせたくないって思っちまったらな」

 

「「たかが神様程度を相手に(・・・・・・・・・・・)、諦めてなんてやれるものかよ!!!」」

 

                    ◇

 

 幻想殺しの少年と、魔導探偵の青年は、カミサマの代わりに祈りに応えた。

 全く同じ気持ちをもって、二人のヒーローは覚醒した。

 

 

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