とある魔術の機神咆吼(デモンベイン)   作:貴金属

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【第四章 我ら、魔を断つ剣たち -Demonbane-】①

 

                    ◇

 

 世界は一面真っ暗闇。燃える三眼だけが空にあり、それ以外は何もない空っぽで伽藍堂の暗黒空間。

 あらゆる位相が剥がれ落ちた無の中に、彼らだけがいる。

 

 暗黒神話の深淵を記された書、獣の咆哮ことアル・アジフ。

 暗黒神話の深淵をそれから学んだ禁書目録、インデックス。

 北欧の魔神、位相の改変に耐性を有しているオティヌス。

 世界の基準点、幻想殺しを右手に宿した上条当麻。

 世界最強の魔導書の主、マスター・オブ・ネクロノミコンたる大十字九郎。

 

 そして────今回のヒロイン、邪神に未だ玩弄されている拘束着の少女エンネア。

 

 世界は今や正真正銘、彼らが演じるオペラの舞台。

 ここから先が最終楽章。真なる邪神との最終血戦。

 

『さあ、待たせたね待たせたね楽しみだったよ本当に待ち遠しかった!

 魔人の鍛造なんて邪神の力を使って後で幾らでもすればいい。それより今は君が大事だ!

 今こそ這い寄る混沌たるナイアルラトホテップ()が、君と一緒に踊ってあげよう、愛しき怨敵大十字九郎!!!』

 

 燃える三眼がこちらを向く。

 世界そのものが震えるような響きを声として、宇宙規模の憎悪(アイ)をただの人間に注いでくる。

 

「生憎だけどなナイアさん! 俺は大人なんで仕事が明日もあるんだよ!

 迎えに行けなかった同棲幼女を、お家に連れて帰るっていうお仕事がな!」

 

 そして、

 

「九郎さんだけじゃねえ、俺もいる!

 エンネアを助けたいって気持ちは、邪神にだって邪魔させねえぞ!」

 

『は、はは、ははははははは────』

 

 ちっぽけな人間たちの言葉を聞いて、世界を包む闇が鳴動し出した。

 凝縮。圧縮。深海のように暗く。ブラックホールのように暗く。集まっていく闇。闇。闇。

 その闇の中から手が伸びる。

 その闇の中から足が伸びる。

 集まった闇が人の形をとる。

 集まった悪が鋼の形をとる。

 それは悪鬼。

 それは機械。

 それは邪神。

 

 ────鬼械神(デウス・マキナ)クルーシュチャ・マテマティクス。

 

「全長60メートルといったところか。啖呵を切ったはいいが、あれを相手にどうする人間」

 

 十五センチのオティヌスに問われ、上条の顔が少しだけ引き攣る。

 その一方で、大十字九郎とアル・アジフは顔を見合わせて頷いた。

 

「あちらの相手は我ら、だな」

「だから上条。エンネアの方は任せたぜ」

 

 遂に顕現した暗黒神話の世界の脅威に対し、狩人たちが立ち上がる。

 そう、ここからが彼らの真なる見せ場。

 邪神の悪意に立ち向かうための、大いなる力がここにある。

 

「憎悪の空より来たりて───」

 

 九郎とアル、二人が伸ばした手の先に魔法陣の光が灯る。

 その向こう側で、巨大な何かが鳴動する。

 

「正しき怒りを胸に───」

 

 それはかつての世界で人間が人間の為に作り上げた、邪神相手の対抗手段。

 人間よりは巨大でも、神にとってはちっぽけな、それは最弱無敵の鬼械神(デウス・マキナ)

 

「「我等は魔を断つ剣を執る!」」

 

 それこそは、人類たちが持つ希望!

 誰もが胸に抱くはずの、愛と勇気と理想の具現!

 

 

 

              「「汝、無垢なる刃――デモンベイン!」」

 

 

 

                    ◇

 

 

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