【side:DEMONBANE】
◇
時間は少しだけ遡り、上条当麻の学生寮。
主人のいない部屋は、ホラー映画の空間になっていた。
銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声。
銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声。
銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声。
銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声。
銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声銃声。
学生寮のベランダからずるずると気味の悪い音を立てて名状しがたい軟体性のクリーチャーが群をなしてにょろりにょろりと侵入してきてその腐った沼の匂いがする触手で部屋の中を侵そうと冒そうと犯そうとしてBANG!BANG!BANG!
大十字九郎の持った魔銃の二丁拳銃が残弾数の概念を無視して異形のクリーチャーを銃殺していく。
「これで5体目!」
彼の姿は先ほどまでのコート姿から変わっていた。
ぴったりとフィットした黒いボディスーツ。本のページを束ねたような構造のマントとも翼ともいえる装飾品。
ついでに髪の毛もなんか白く長くなって、パルプフィクションのコミック・ヒーローのように成っている。
「おいおいおいおい、さっき戦ったDrウェストの手下じゃねえよなこんな奴ら!?」
「彼奴の美意識には合わんだろうよ! だがそれだけしかわからん、妾の記述にもこんな奴は載っておらぬ!」
応じるアル・アジフの姿も、今は身長十五センチ程度のマスコットのように縮んで九郎の側に浮いている。
「わぁー!
「妾の可愛さへの褒め言葉として受け取っておこう禁書目録! ところで汝の知識の方で思い至るものは!」
「ちょっと待って。何かが頭の中で引っかかってるんだけど確証が持てないの。
特定の魔術系統の匂いを感じるんだけど、それにこんなクリーチャーを呼び出す術式はなかった筈だし」
10万3000冊に加えさっき読んだ真書の死霊秘法まで読み込んだ魔道書図書館が即座に答えを出せないのだから、これは素敵な異常事態。
専門家が二人も揃ってわからない正体不明のクリーチャー達を前に、大十字九郎はどこか既知感を覚えていた。
「──なんだコイツら。俺の記憶のどこにもないはずなのに、何故かどこかで戦ったような感覚が」
その既知感はただのデジャヴなんてものでは説明できない。
例えるならばそれは宿敵。未来永劫過去永劫、何千何万何億と剣を交えた相手のようなその懐かしさ。
けれどもそれはおかしいのだ。
思い出さずにいられないその”獣”は、この宇宙には最早存在し得ないはずなのだから。
「九郎後ろだッ!!!」
戦闘中にはあるまじき、あり得ない過程に浸っていた一瞬。それは当然に隙となる。
クリーチャーの一体が九郎の背後からその膂力を脳天めがけて振るおうとし──
「
インデックスの高速省略詠唱が、クリーチャーの動きを狂わせる。
「
それで留まらず、クリーチャーの魔術の暴発を誘発。
怪異たちが次々と弾けて、お掃除が大変そうな汚らしい染みへと変わっていく。
突如とした戦いの終了に呆気に取られている九郎たちを前に、禁書目録はあっさりと、
「見た目が異形すぎて当たりをつけるのに苦労したけど、Magick系の術式が絡んでいたからどうにかそれで対処出来たかも」
「Magick?」
思わず鸚鵡返しした九郎の言葉を問いと受け止めたのか、魔道書図書館は答えを返す。
「うん。実質的に現代魔術を作った男が組み上げた魔術体系。黄金の魔術結社の中においても更なる異端。
つまり。
これは。
◇