東方のギャルゲーしてたら幻想入りしただとぉ!?   作:生牡蠣

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お盆休みでみんな親戚関係で忙しいだろうし、この時間ならバレないやろ…
というわけで投稿してみる。


考察

「はぁ…はぁ…!」

 

息を切らせながら、俺は森の中を突っ走っていた。

その様子たるや、まさしく韋駄天。ウマの擬人化娘や青いハリネズミだって俺の走りに息を飲むことだろう…嘘です。本当は割と欽ちゃん走りに近い走り方です。彼らに見られたら確実に失笑されます。

……だって、しょうがないじゃんっ!つい最近までニート生活、挙句の果てに金髪幼女に軟禁させてされてしばらく身体動かしてなかったんだから、そんなに立派な走りが出来るわけがないってぇ!!

 

「はぁ…はぁ……こ、ここまで来れば安心か…?」

 

もう走る必要がないかどうかを確かめる為に後ろを振り向く。

そこには、緑が生い茂った森の中の景色が広がっているだけで、妖怪はおろか動物も虫の姿もない。ただ、木々が風に揺られる音だけが響いていた。

 

「………逃げ切ったぁ…!」

 

緊張の糸が切れたように、俺はその場で大の字になって寝転んだ。

あ~、もう足が鉛のように重い。めっちゃ乳酸溜まってるって実感するわぁ~…ってうっわ、膝のあたりめっちゃ草で切れて血が出てるじゃないですかヤダー!

クソッ、なんか変な感染症とかになったら訴えてやる!……やっぱり無理!妖怪と妖精相手に法廷処置が可能か以前にここ現代じゃないから無法地帯だったわ!

うぅ…現代の法治国家に帰りたいぃ……エナドリ片手にクーラー効かせた部屋に籠ってた頃に戻りたいぃ……!

 

「………動かねば」

 

現代の生活の事を思い、再び幻想郷からの脱出に対して熱意を燃やす。……幻想郷からの脱出ってゲームありそうじゃね?リアル脱出ゲーム形式でどっかのショッピングモールとかでやってそう(小並感)

……よし、こんなくだらない事を考えられるという事は俺自身にも余裕というものが戻って来た証拠だろう。脱出について考えるには都合がいい。

さて、脱出の為について考えるために、まずは今の現状把握といこうじゃないか。と言っても、マジでルーミアとチルノから逃げるのに必死だったから我武者羅に走ってた(欽ちゃん走り)だけだから現状も何も分からんけど…

 

「………………」

 

そこまで考えてふと、俺の頭の中にとある疑問が再び浮かび上がって来た。

 

「………チルノにもあったな、記憶」

 

そう、ルーミア同様、チルノにもゲーム(東方恋愛郷)の記憶があったという事である。

……いや、()()()という表現は適切ではない。正確には()()()()()であろうか。

 

俺はチルノと初遭遇した時の事を思い出す。

チルノは最初、俺の事を認識しても何の反応もなかった。ただ湖に居ただけの一般人という扱いで、比較的友好的ではあったが本当に初対面という感じで接していた。

 

「……はずだよなぁ…」

 

そう、初対面であったはずなのだ。

しかし、ルーミアの時と同様、急にゲーム内での記憶がチルノにも共有され、ゲーム内でのルートをまるで本当に経験したかのように振舞い始めたのだ。その急な変わりようと言ったら、劇的なビフォーア〇ターのナレーターも思わず「何という事でしょう!?」と言ってくれるに違いない。

俺が幻想入りした理由など、まだまだ分からない事は多い。しかし、一つはっきりしたことがある。

 

原理は分からないが…どうやら俺が居る幻想郷の住民は、俺がプレイしていたゲーム『東方恋愛郷』の世界での記憶を引き継ぐ事があるらしい。

 

「……ははっ、なんじゃそりゃ」

 

自分で考えていた事にも関わらず、そのあまりにも無茶苦茶な結論に思わず乾いた笑いが出る。

しかし、ルーミア、チルノと続いて同じ現象が見られたのだ。ありえない、童貞おじさんの痛々しい妄想だと笑い飛ばすには無理があり過ぎる。

そう考えていると、背中に悪寒にも似た薄ら寒いものを感じた。

多くの魅力的な女に好意を向けられる。それはきっと男に生まれたら一度は夢に見る最高のシチュエーションなのだろう。しかし、それは同じ人間という種族で、力関係もある程度同じであるという注釈が付くものだ。

俺の頭に思い浮かんだのは、ルーミア達から逃げている時の記憶。逃げる事に必死過ぎて振り向いている余裕もなかったが、その時に聞いた音や感覚は嫌でも覚えている。

打ち上げ花火なんて可愛く思えるくらいに鳴り響く爆発音、後ろの大木が割りばしのように容易く折れてしまった音、心まで凍てついてしまいそうな錯覚を覚える冷気、視界の端に一瞬だけ見える深い闇―――――何か得体の知れないものの手が、俺を求めてどこまでも伸びて来るような気配。

 

「ッッ!!……ふぅ…」

 

少し思い出しただけで身体が緊張で強張り、脳が考える事を拒絶して来るのを感じる。これ以上は思い出したくない…!

……前にも言ったと思うが、俺に好意を向けている2人は人間ではない。人間なんて、遊び半分で殺せてしまえる存在なのだ。いくら見た目がドストライクの可愛い女の子でも、いつでも自分を簡単に殺せる存在からの好意なんて恐怖の対象でしかないのだ。

百歩譲ってルーミア、チルノに関してはもう起こってしまった事なので仕方がないとしよう。しかし、ゲーム内で俺が攻略したキャラは2人どころの話ではない。

俺は東方恋愛郷を全クリした。それはつまり、攻略対象キャラ全員が2人と同じようにゲーム内の記憶が共有され、俺を求めて来る可能性があるのだ。

俺はルーミアやチルノの持つ力に恐怖しているが、この2人は東方作品においては弱い部類の存在。彼女達以上のバケモノがゴロゴロいる世界観だ。もし、そんなバケモノ達の記憶が共有され、俺を求めてきたら――――

 

「……やめよう」

 

俺は自分に言い聞かせ、それ以上考えないようにする。

その先を少しでも考えてしまっては、きっと俺は耐え切れなくなってしまう。それならば、起こっても居ない事を心配しても仕方がない。某野獣な先輩の新説を考えている方がまだマシな時間の使い方であろう。……あれも精神安定って意味では有意義じゃん?

 

……そういえば、仮に全員に記憶が引き継がれるとして、条件やトリガーは何なのだろう?

先程チルノとの初遭遇した場面を振り返ってみたが、やはり最初から記憶が引き継がれているわけではなさそうである。

確かに、ルーミアもチルノも会話していく内に何かを思い出していく様子があった。しかし、それでもその時の様子は『何かが引っ掛かっている』というレベルであり、記憶が引き継がれたという感じではなかった。

 

……()()()()()()()

 

「キス」

 

俺の口から、自然とそんな言葉が漏れた。

そう、ルーミアの時とチルノの時。俺は共通して同じ行動を取り、その後に俺の頭にも彼女達との記憶が溢れ、そのまま記憶共有に繋がっているのだ。その行動が、キス。

当たり前の事だが、キスとは口と口とを合わせるだけの行為。記憶を共有できるなんて、そんなSF的な効果はない。しかし、事実、俺は2つのケースでキスをした結果、あの2人の記憶共有に繋がっているのだ。

それが意味するもの、それは……

 

 

「……ははっ、それこそ考えても意味ないやん」

 

思わず乾いた笑いが出た。

本来であれば『キスがきっかけ?エロゲのやりすぎだバカタレ。童貞乙』なんて煽り文の一つでも言ってやりたいが、実際2回も同じことが起こっているのだ。状況証拠でしかないとはいえ、こんな荒唐無稽とも言える発想だって真実だと思えてしまう。

しかし、それが本当だったとして、だからどうしたという話だ。

それもそうだろう。逆に言えば判断材料がそれしかない為、この話をこれ以上発展させることが出来ない。

試しに検証してみる?これ以上状況を悪化させてまで確かめたい事ではない。

というか検証したところで『やっぱり違ってました』と東方キャラにあっけなく殺させるか、今度こそ一生監禁ENDの二択になる可能性が高い。まさに自殺行為である。

 

……とりあえず、『俺がゲーム内で攻略したキャラには満遍なく記憶が引き継がれる可能性がある』という事だけでも分かっただけでも良しとしよう。それが分かったからこそ、これからは原作キャラになるべくエンカウントせずに行動するべきだとはっきりしたわけだしな。

……あれ?その場合、幻想郷から脱出する正規ルート(?)である『博麗神社から現代に送り返してもらう』って方法絶望的じゃない?原作キャラの霊夢も攻略してるわけだし…

 

「………とりあえず、ここから離れよう!」

 

これ以上考えても気分が落ち込むだけなので俺は頬をビンタし、無理矢理思考を停止させる。

ほ、ほらっ!まだ状況証拠だけで、原作キャラ全員に記憶引き継がれるって決まったわけじゃないからっ!!もしかしなら人外種族限定の現象かもしれないからっ!!!

そんな事より、この森から出る事を考えよう。ルーミアとチルノが追って来ないとも限らないし、森自体が妖怪の巣窟みたいなものだ。長居しても得になる事はないだろう。

 

そう考えた俺は周りを見渡した。ルーミア達から逃げるのに必死で、場所や方向とか全く考えずに走っていたのだ。せめて現在地の特定をしたいというものだろう。

えっと…俺の周りには木、木、木、木……一面木しかないなっ!?そりゃ森ん中だから当然なんだけどっ!!

木、木、木、赤い屋敷、木、木…んっ?なんか森には似つかわしくない物が見えた様な…

違和感を感じた俺は視線を戻す。するとそこから、木々の間から血のように真っ赤な建物の屋根が見えた。屋根の感じからして、その建物はとても大きな洋館であるという事が推測できた。

あ、あれぇ?……なんかすっごい見たことある気がするぞ~。具体的に言うとルーミアに捕まってた時に洞窟から遠目で見えたような気がする~。いや~似たようなお屋敷に遭遇するなんて、世間は狭いなぁ~あははっ。

 

 

 

「………紅魔館じゃねぇか!!!」

 

 

某ゲームのア〇セ〇ス狂信者のような顔で俺は叫んだ。

おまっ、俺が行きたくない幻想郷危険地帯トップ3に入る場所じゃねーかよぉ!?しかも見えている大きさ的にもう目と鼻の先の距離じゃん!?!?

えっ、何っ、ルーミアとチルノから逃げるのに必死過ぎて紅魔館の方向に逃げてた……ってコトぉ!?

俺アホじゃん!?アホじゃん俺ぇ!?クマから逃げるためにライオンの檻に入るレベルの、ダーウィン賞狙えるレベルのギネス級アホやんけぇ!?!?

い、いや、確かに逃げるのに必死で方向とか気にしてる余裕なかったよ?だとしても何処かで気付けよ俺ぇ!?

先程までのシリアスな雰囲気は何処へやら、俺は自分の愚かさを呪った。

 

い、いや待て、まだ慌てるような時間じゃない。これはプラスと考えよう。

目の前に紅魔館があるという事は、大体の場所は予測が付くというわけだ。逆に何も見えずに方向も分からない森の中に投げ出された方が詰んでいた可能性もあるわけだし、これはこれで良かったのかもしれない。

それに、まだ紅魔館が目の前にあるというだけで原作キャラに会ったわけではない。ここから原作キャラにエンカウントせずにフェードアウトすればいいだけの話じゃないか。大丈夫、まだ取り返しがつく失敗だ…!

俺は自分に言い聞かせ、何とか落ち着きを取り戻す。……嘘だ。落ち着きなんて取り戻せてない。まだ心臓がバクバクしている。しかし、ここで思考停止なんてしてしまっては、文字通りおしまいだ。無理にでも冷静にならなくては。

……よし、まずは紅魔館から距離を取ろう。何も難しい事はない、簡単な事だ。だって屋敷とは逆方向、つまり後ろに向かって歩けばいいんだ。後の事は紅魔館から十分距離を取ってから考えればいいのだ。

 

「……よし、後ろ向けー後ろ!」

 

俺は自分を奮い立たせる為、軍隊がやるような見事な方向転換を決めた。

 

 

 

 

 

「キチチチチ……」

 

「」

 

後ろを向いた瞬間、俺の視界に1匹の蜘蛛が入り込んだ。

蜘蛛。8つの目と足を持ち、尻から糸を出して自分の巣を作ったり、餌を取ったりする虫だ。最近ではどこぞの国のヒーローのモチーフになっていたり、害虫を食べるといった理由でわりと人気が高いらしい。

俺が元々いた現代でも蜘蛛はいた。というか実家が田舎の方である為外に出れば割と高確率で遭遇する、なんの珍しくもない生物である。

しかし、目の前の蜘蛛は明らかに俺が見た事のない種類である事が一目でわかった。

 

 

 

 

 

 

だって、明らかに1メートル以上のクソデカサイズだもの。

 

 

 

「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!蜘蛛おおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

俺はそう叫びながら蜘蛛から逃げるように猛ダッシュした。

別に蜘蛛が苦手というわけではないが、あんなにデカいのは流石にビビる。というか世界観的に絶対妖怪の類だよあれぇ!?

 

不思議と蜘蛛は追ってくる気配はなく、俺をただ見つめているだけの様であったが、そんな事を気にしていられない俺は蜘蛛から逃げ続ける。

 

蜘蛛とは反対方向へ…紅魔館の方へと……

 

 

 




詳しくは語れないけど、賭けに負けたので初投稿です。
とりあえず7月から今日に掛けて書き溜めしといたから投稿は続く予定。
夏場はマジで書く気がなくなるからね、(遅筆になるのは)しょうがないね…

この間知り合いの爺様がゆっくり解説見てて草生えた。
マジで定着したね、このコンテンツ…
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