東方のギャルゲーしてたら幻想入りしただとぉ!?   作:生牡蠣

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前回より1時間早く投稿すればバレないの精神で初投稿です。


食パン咥えて走ってる時、曲がり角で起こるアレ

「あっはっはっは!久しぶりのお出かけ!テンション上がるわぁ~♪」

 

森の中に人工的に作られた道を、意気盛んな様子で一人の幼い少女が走っている。

その少女は深紅の瞳に美しい金色の髪を持ち、その瞳と同じくらい赤く染まった服を身に纏っていた。

一見するとただの可愛らしい少女。しかし、その少女の背中から生えている翼の様な物体から、彼女がただの人間ではないことが分かる。

その翼は鳥や天使の持つソレとはかけ離れており、枝のように細く、羽毛の代わりに色とりどりの美しい結晶が翼からぶら下がっているという、なんとも奇妙な翼であった。

 

彼女の名はフランドール・スカーレット。

紅魔館の主、レミリアスカーレットの実妹である。

 

「う~ん♪久々のお出かけ!軍資金(お姉様からのおこづかい)も申し分なし!歌でも一つ歌いたくなる程にいい気分、最高に“ハイッ!”て奴ね!」

 

フランは冒頭の言葉通り非常に気分がいいらしく、別作品の吸血鬼の様な事を言いながらルンルン気分で歩みを進める。(それ系のネタは能力的に紅魔館のメイドの方が似合うと思うのだが…)

 

「い、妹様ぁ―!置いてかないで下さいよぉ~!」

 

そんな彼女の後から、日傘を片手に走って追いかける女性の姿が見えた。

その女性は高身長で赤いロングのストレートヘアー。顔も10人の男が見たら全員が美人と答えるくらいには整った容姿をしており、何処か中華風な印象を受ける服を着ていた。

 

「え~、私は普通に走ってるだけだよ?めーりんが遅いだけじゃない?」

 

フランはそう苦言を漏らすが、言葉とは裏腹にちゃんと立ち止まってめーりんと呼ばれた女性が追い付くのを待つ。

そのまま数十秒立ち止まっていると、ようやくめーりんはフランに追いついた。

 

「はぁ…はぁ…す、すいません、流石にバスケットと日傘を持ちながらというのは走りにくくて……というか妹様っ!ちゃんと日傘を差してくださいっ!!日光は吸血鬼にとって猛毒なんですからっ!!」

 

 

フランに追いついためーりん…そろそろ本名で呼んであげよう。紅美鈴は親が子に注意するかのように言った。

 

彼女の名は紅美鈴(読み方は“ほんめいりん”。“くれないみすず”さんではない)。

レミリアスカーレットに仕える妖怪の一人で、紅魔館の門番をしている女性だ。

その見た目通り中国出身の妖怪で、本人の性格はおっとりしている方であるが、その身体能力は幻想郷内に置いてトップクラス。フィジカル限定ならば幻想郷最強格の一人と言っても過言ではないだろう。

 

「もう、そんなにかっかしなくても大丈夫(だいじょ~ぶ)だよ。遮光用のクリームも塗ってるし、私レベルの吸血鬼ならこの程度の日光は問題ないよ」

 

「それでも、ですっ!……もしも妹様の身に何かあれば紅魔館一同、皆悲しみます。もっと自分の身体をご自愛下さい」

 

「む~…はぁい」

 

美鈴の諭すような言い方に、フランは渋々頷きながら日傘の下に入った。

実際問題、フランやレミリアの様な上位存在になると銀や流水といった吸血鬼の弱点にもある程度耐性が付いてくるのも事実である。日光についても長時間照らされていなければ命の危険はなく、今のフランならば『あっ、なんか不快だなぁ…』程度にしか感じないだろう。しかし、そこで自分ではなく自分の大切な者達(家族)を引き合いに出されてはフランも頷くしかなかった。

 

「ふふっ、そんなに焦らなくても甘味は逃げませんよ。焦らずにゆっくり行きましょう」

 

「…別に甘味だけが理由じゃないし。久々の外出で興奮してただけだし。美鈴もその辺の乙女心わかってよね」

 

「乙女心って…一応私も女なんですけど」

 

そう言いながらむくれるフランを見て苦笑いを浮かべる美鈴。

この一場面だけ切り取って観れば微笑ましい光景なのだろうが、この2人は人間など赤子の手を捻るように簡単に消してしまえる存在であるのは忘れてはいけない。

本当に脳バグるよね…

 

「というかフラン様、以前屋敷の外に滅多に出ない理由はご自身の趣向が理由的な事言ってませんでしたっけ?」

 

ふと、美鈴が疑問を投げかけた。

実際、彼女は何度かレミリアや咲夜に外出に誘われている光景を目にしたことはあるが、『え~、フラン家の中に居た~い。わざわざ外出とかないわ~』的な事を言ってそのほとんどを断るフランの姿を見ており、フランはあまり紅魔館から離れたがらないのだと思っていた。

 

「……はぁ、美鈴は分かってないわねぇ」

 

そんな美鈴の言葉にフランは“やれやれ”とため息をついた。

その姿はまるで、出来の悪い生徒を諭す教師の様な、『素人は黙っとれ…』と悟りを開いた玄人の様であった。

 

「いい、美鈴。確かに私は好きで家に引き籠ってるわ。いいえ、好きなんてものではない……もう『引き籠る』という行為を愛していると言っても過言ではないわ!だって全ての事が家の中だけで事足りるものっ!衣食住の保証はもちろん、暇な時は図書館で莫大な数の本を読んで時間を潰せばいいし、何か欲しいものがあればお姉様か咲夜に頼めば基本的に何とかなるっ!おまけに実家(しかも主の妹)だから変に気を使う必要なしっ!!こんな環境、自ら出たいと思うわけないじゃないっ!!」

 

(そんなに力説して言う事かなぁ…)

 

フランの勢いに、美鈴は若干引いていた。

なんか、軽い気持ちで聞いたら自分の理解の範囲外の熱量で語られるとか、もう立場どうこうの問題ではなくただただ困惑するしかないのでこの反応も仕方ないだろう。

しかし、美鈴は同時にフランの行動がますます分からなくなっていた。そこまで引きこもりについて熱弁するのであれば、何故今回フランから外出したいなどと言ったのだろうかと。

 

「そう、私は引き籠るのが好きなのよ。でもね……」

 

フランはそこで言葉を止め、一呼吸置いた。

そして――――

 

 

 

 

 

 

 

「引き籠りでもっ!!楽しそうな事はしたいものなのよっ!!」

 

 

――――なんか、もう色々と駄目な人の言い分が飛び出した。

 

(……溜めてまで言う事だったかなぁ)

 

美鈴は、もう考えるのをやめた。

 

「いくら引き籠りでもねぇ、『外に出る』という選択肢があれば定期的に『あっ、なんか外に出てなんかしたいなぁ~』って思う事があるものなのっ!!そんな時期に最近来た外来人が外の世界で流行った甘味の店を開いたなんて面白そうな話を聞いたのよっ!?もう行くしかないじゃないっ!!」

 

「アッハイ、ソウデスネー」

 

ここまで語ってきたが、とてもシンプルに言えば『引き篭もりの気まぐれ』である。

その気まぐれの為に自分の役割(紅魔館の門番)を投げ出してきたと思うと、美鈴は何とも言えない気持ちになった。

……まぁこの門番、実は仕事中によく昼寝をしているサボりの常習犯でよくメイド長に怒られているので、そんなに業務熱心というわけではないが…。

というか、そもそも『紅魔館の門番』と言っても、幻想郷最強格が揃う紅魔館に害をなそうという愚か者なんて稀だし、仮に侵入出来たとしても住民たちにボコボコにされる未来しか見えないので門番が必要かどうかと言われるまであるのだが…やめよう。これ以上は自分の存在意義が危うくなりそうだ。

 

「いつだったかしら…昔図書館にあった本で読んだんだけど、引き籠ってるとどこかのタイミングでふと無性に何かをしたくなるらしいわね。身体を鍛えたり、小説を執筆してみたり…それが私の場合は外出なのよねぇ……」

 

(宴会の時に偶に会う薬売りさんってこんな気持ちなのかなぁ…)

 

引き籠りについてまだ話すフランに対し、美鈴は某竹林在住のウサミミ妖怪の事を思い出していた。

そう言えば、あの妖怪も酒に酔うと自分の主が立派なヒキニートな事をよく嘆いていたっけな…あの時は絡み方が喧しいのであまり関わりたくないという感想であったが、今なら少し優しくできそうだ。

 

「引き籠りたいのに偶には外へ出たい…我ながらかなり面倒くさい性分ね。やっぱり、昔お姉様に400年近く屋敷に幽閉されてた反動的なものなのかしらね……」

 

「……えっ、妹様――――」

 

 

 

 

 

 

 

「――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

フランの言葉を半ば聞き流していた美鈴であったが、流石に今の一言は聞き流すことは出来なかった。

美鈴の記憶の中では、レミリアとフランの仲は良好としか言いようがなかった。

……まぁ、確かにレミリアの姉妹愛(シスコン具合)は美鈴目線から見ても重いと感じる事や、その愛をよく利用して小遣いや外出の許しを得ているフランをあざといと思う事があるのも事実ではあるが、それを差し引いても普段の生活からお互いを想いあっているのは十分に伝わって来る程には中が良い姉妹という認識であった。

その為、美鈴はレミリアがフランを長期間幽閉していたなんて信じられなかったし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。驚くのも無理はないであろう。

 

「……えっ、何、急に?美鈴に言った事なかったっけ?」

 

「初耳ですよぉ!?えっ、何があったんですか!?お嬢様のおやつ横取りされてお仕置きでもされたんですかぁ!?!?」

 

「流石のお姉様もおやつ程度でそこまでしないと思うよ」

 

美鈴のあんまりな言いように思わず呟くフラン。『あっ、でもこの間つまみ食いしたメイド妖精に似たような事やってたからありえない話でもないか…』とも思ったのだが、それはレミリアの威厳にも関わる問題なので口には出さなかった。

 

「あ~…あんまりおもしろい話じゃないけど、せっかくだから聞いとく?」

 

「……はいっ」

 

ここまで言ったのだから下手に誤魔化すよりも話しておいた方が良いと判断したフラン。

本人としては過去の事なので軽い感じだが、美鈴はこれから自分の知る由もない闇の深そうな話が来る事を覚悟し、固唾を飲み込んだ。

そんな美鈴の反応を見て、フランは語り始めた。己の過去を、紅魔館の闇を。

 

 

「じゃあ、話そうか。あれは……あれは…………???」

 

 

―――語り始めた。

 

「……………………」

 

―――語り…

 

「………………」

 

―――あの…

 

「……あのっ、妹様?」

 

美鈴は戸惑いながらフランに話しかけた。

それもその筈である。これから重い過去話が飛び出すかと思えば、フランは一向に話し始める様子はなく、その場で固まったように動かなくなってしまったのだから。

美鈴に話しかけられても、フランは何の反応も示さなかった。ただただその場で宙を見て、まるで心がどこかへ行ってしまっているかのようだ。

フランのただならぬ様子に、どうしたのだろうかと美鈴は不安になる。

……もしかしたら、意外と軽く語れる話ではなく、何か悪い思い出がフラッシュバックして体調を崩してしまったのかもしれない。もしそうならば話を中断させ、一度落ち着ける様な場所へ移動した方が良いだろう。

 

「申し訳ございません、フラン様。苦しいのであれば無理にお話になさらずにそこの木陰で一度お休みに「ねぇ、美鈴」………フラン様?」

 

しかし、美鈴の心配とは裏腹にフランの口は再び開いた。

美鈴から見てもフランは別に体調不良というわけではなさそうで、いつも見ているフランドールと変わりはなかった。

ただ、美鈴は彼女の浮かべていた表情がどうしても気になった。

 

 

 

「私って、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

フランの表情には喜怒哀楽のどの感情も読み取れず、なにが起こっているか理解が出来ないと言うような、所謂“キョトン顔”であったからだ。

 

「いや、私に聞かれても……」

 

美鈴はフランの言葉を理解するのにかなり時間がかかった。

しかし、それも無理はないだろう。自分の知られざる過去が語られると思いきや、逆に本当にそうであったのか聞き返されてしまったのだ。戸惑うなという方が無理というものである。

 

「…そう、よね。あの時美鈴居なかったんだもんね。……いや、本当にそうだったかしら?あの部屋で何度か美鈴と話をした記憶がある。――――あの部屋?あの部屋って何?幽閉されていた部屋?……それってどこにある部屋だっけ?…そもそも、この記憶は本当?」

 

美鈴の言葉を聞いたフランは、そのまま顔を伏せてブツブツと小声で何かを語り始めた。

目の焦点は合っておらず、息はどんどん荒くなっていく。

明らかな異常。しかし、美鈴はそれ以上の異変を感じ取っていた、

 

フランドールの全身から溢れる、荒々しくどこまでも暴力的な邪悪な気――――狂気

 

 

 

「―――フラン様ッ!」

 

「ッ!?…あっ」

 

フランの異常を感じ取った美鈴は彼女の肩を掴み、強く揺らす。

その甲斐あってか、フランは“ハッ”として意識を取り戻し、そのまま力が抜けたように膝を着いた。

 

「大丈夫ですかフラン様ッ!?一体何が……」

 

「……大丈夫、大丈夫よ美鈴。私は大丈夫」

 

状況がイマイチ把握できず焦っている美鈴を落ち着かせるようにフランは言った。

それは何処か、フランドール自身が自分に言い聞かせているかのようにも見えた。

 

「ふぅ~……急にごめんね。さっきの話なんだけど、ちょっと自分の思ってた記憶が違かったから動揺しちゃって………」

 

フランを大きく息を着くと、自身がおかしくなっていた理由を美鈴に説明した。

極力落ち着いた様子で語るフランであるが、その顔には玉のような汗が噴き出しており、まだ不調である事は目に見えていた。

 

「そ、そうでしたか…」

 

記憶違いだけであそこまで取り乱すのかと美鈴は思ったが、記憶違いの内容が内容(数百年幽閉されていた)であり、そのショックは本人しか分からないと考えそれ以上の追及はやめた。

本人が大丈夫だと言っているのだ。これ以上部外者が踏み込むべきではないだろうし、何より何も分からない美鈴に出来る事はないのだ。踏み込みにしても、情報も覚悟も不足しているのだから。

 

「……フラン様、今日はもう帰りましょう。いつでも手に入れられる甘味よりも、まずはお身体が大事です」

 

しかし、今のフランをそのままにしておくことは出来ない。

ここは一度紅魔館に戻り、消耗したであろうフランの体力や精神を回復させるのが優先だ。

 

「……うん、そうだね。そうしよっか」

 

先程までの元気が嘘のように鳴りを潜めた様子でフランは力なく頷き、再び立ち上がった。

美鈴はおぶって紅魔館まで帰る提案をしたが『自分で歩ける』とフランは断り、彼女の横にぴったりとくっ付く形で歩きだそうとして―――

 

「………???」

 

フランの動きが再び止まった。

しかし、今度は先ほどの狂気に飲まれたような異常な様子ではなく、脇道の森をただじっと見つめ、考え事をするかのように首をかしげていた。

 

「ど、どうしたんですか?やはり、お身体の調子が…」

 

「いや、違う。身体は大丈夫なの。ただ……」

 

 

“スンスン…”

 

 

「匂いが…するの」

 

 

心配する美鈴をフランは制しつつ、空気中の匂いを嗅ぐような仕草をしながらそう答えた。

 

 

「匂い…ですか?」

 

「うん、血の匂い」

 

フランの言葉に美鈴も鼻をスンスンと動かしてみるが、何も感じられなかった。

自分とは違いフランは吸血鬼、血を吸う妖怪だ。自分が感じられない程の小さい出血でも感じ取ることが出来る。少なくとも妖怪に襲われて大怪我をおった人間や戦いに敗れた獣というような大量出血をしている状況ではないだろうと美鈴は気が付いていた。

 

「……気になるので?」

 

しかし、だからこそ腑に落ちない。

そんな小さい出血をしている者に対し、何故わざわざ立ち止まってまで気にするのか、と。

 

「………うん、何処かで嗅いだことのある血…だと思う」

 

フランは少しだけ自信なさげに答えた。

 

「いえ、やっぱり知らない匂い…?でも、懐かしい?ずっと前に嗅いだことのある匂いのような…私はこの匂いが大好きだったような……何なの、これ」

 

そう語るフランの表情を、美鈴は表現できなかった。

未知の存在に怯えたような。それでも()()を求めているかのような、今まで見たことがない顔。

あえて表現するならば――――不気味。

 

先程の一件もある。この場に留まらせておくのはフランにとって害しかないと判断した美鈴は先を急ぐように彼女に声を掛けようとした。

……そう、()()()()()()()()()のだ。

 

 

 

 

「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!!蜘蛛怖ええぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「うんっ!?」

 

声を掛けようとした瞬間、フランがじっと見ていた森の中から急に一人の男が顔面をぐちゃぐちゃにしながら飛び出して来た。

普段の美鈴ならば、自身の能力で事前に男がこちらに向かってくる事を察知し、フランに近づく前にしかるべき処置が取れただろう。しかし、フランの様子が気がかりであった彼女は周りへの警戒を疎かにしてしまった為反応が遅れてしまったのであった。

遅れながらも美鈴はフランを守ろうと動こうとした。

 

しかし、全ては遅かった。

 

“カクンッ”

 

「あっ」

 

石につまずいたのであろうか、男は急に体勢を崩した。

男が躓いて前に倒れる。

 

「――――へっ?」

 

男が倒れ込む先、そこにはフランが立っていた。

考え事に夢中になっていたフラン。男が倒れて来ることには気が付いたが、咄嗟に反応できるわけがなく、そのまま男と正面衝突してしまう。

 

“どすんっ!”と土煙を立てて地面に倒れ伏す両者。

前方不注意による衝突事故。これは現代でもよく見る『よくある光景』という奴であった。

………ただ、違う点を挙げるとすれば―――――

 

 

 

 

 

「んちゅうぅ!?」

「むうううぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?!?」

 

―――――倒れた拍子に互いの唇がお見合い(キス)してしまった事だろうか!?

 

 

「……はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?」

 

目の前で起こった大事件に美鈴は叫んだ。

しかし彼女を責めてはいけない。さっきまでシリアスっぽい雰囲気だったのに急に目の前でToLOVEる始まったらそんな反応にもなるわ…

 

「……ッ!な、なにをしてるかぁぁぁぁ!!」 “げしっ!”

 

「グフっ!!」

 

少しの間面を食らっていた美鈴であったが、なんとか気を持ち直し、フランに飛びかかった男の腹に蹴りを入れる。

彼女の蹴りをまともに受けた男はザクの上位互換の様な短い嗚咽を漏らしながら空中で数回転し、そのまま地面に叩きつけられた。

咄嗟の行動に力加減間違えた様で想像以上に飛びあがった男に内心『やべっ』と思いながらも、見ず知らずの男よりもまずはフランを優先すべきだと判断し、フランに駈け寄る。

 

「フラン様ッ!お怪我はありませんか!?あの不届き者は退治しましたが念のためここから離れましょ………フラン様?」

 

フランからの反応が全くない事に違和感を覚えた美鈴は途中で言葉を止めた。

確かにこの数秒で起こったことは突拍子もなさ過ぎて理解するまでに時間がかかってしまうだろう。しかしここまでの数秒、フランは声を上げるどころか、全く動いていないように見えた。いくら脳の処理が追い付かない出来事だったとはいえ、当事者がここまで無反応でいられるものなのか、と。

 

美鈴は改めてフランを見つめる。

フランは頭を下げ俯いている状態で顔に影が掛かっており、口元しか見えなかった。

そんな口元が―――――

 

 

 

 

 

 

「―――――くひっ♡」

 

―――――三日月のような弧を描いた。

 

 

 

口元の口角を上げる。たったそれだけの行動。普通の人間ならば何も気にすることはない、本当に大したことのない身体の動きだ。

しかし、彼女のその変化を間近で見た美鈴は後にこう語った。

 

 

 

―――――どこまでも、狂気に満ち溢れた姿であった、と。

 




結構無理矢理な展開で草も生えんわ…

??「幻想郷では常識に囚われてはいけないんですよ!というわけで次回は何の脈略もなくわた可愛い早苗ちゃんが登場して彼といきなり結婚しても問題ありませんね♡」

そうだった、幻想郷は常識通用しないんだったわ……
というわけで次回はトランクスの父親がベジータと判明してガルマとゾフィと城之内君が死ぬ回をやってもおかしくないな(確信)

ストックはまだあるから投稿は続くらしいよ~。


ここまでご拝読ありがとうございました

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