アストラルがこの世界から去ってから数ヶ月。
青山遊里は花添愛華と共に新しい場所へ旅立ち、九十九遊馬達は少しだけ変わったがいつもの日常を過ごしていた。
遊里から託されたカード達を使って新しいデッキを構築し、遊里を倒し未来のデュエル・チャンピオンを目指してデュエルの腕を磨いていた。
しかしそんな中、仲間である天城カイトから齎されたある情報に彼等の戦いの歯車が再び動き出す事になる。
「アストラル世界に新たな危機が迫っている」
「な、なんだって!?」
ヌメロン・コードによりアストラル世界とバリアン世界は一つへと戻っていった。
しかしそれは新たな戦いの始まりでもある。
カオスを受け入れた事により、その力を使い世界を壊そうとするモノが現れたのだ。
「あいつには大きな借りがある」
かつてバリアン世界のリーダーであった神代凌牙。
いや、それだけではない。
IVやIII、Vのトロン兄弟は勿論、バリアン七皇であったドルベ、アリト、ギラグ、ミザエル、ベクター達もアストラル世界の危機に立ち上がったのだ。
そしてもう一人。
デュエル・アカデミアへと旅立った青山遊里達にもその情報が齎される。
「誰も知らない物語。なら俺が動いても問題ないな」
遊里もまたアストラル世界を救うべく立ち上がる。
だがそんな彼の前に現れたのは、電子の戦士。
アストラル世界を破壊すべく動き出したモノの刺客として遊里の前に現れたのだ。
「私の名はサンダー・スパーク。スピードの世界に生きる者。青山遊里。我が主の願いの為、貴様を倒しに来た」
その名の如く、雷の如く放たれる彼のフィール。
しかし遊里は笑みを崩さない。
「誰であろうと関係ない。俺はお前を倒してあいつらを助けに行く!」
「ならば来るがいい!私のスピードを抜けるのならば!」
遊里が新たな敵とデュエルをするように、遊馬達の前にも敵の刺客が現れていた。
「私はアストラル世界侵攻作戦、第一司令官イビルーダー!お前達をアストラル世界には行かせはせん!」
アストラル世界へと移動しようとした時に現れたモヒカン男。
異世界移動を邪魔せんと無数の配下を連れ、遊馬達の前に立ち塞がってきた。
あまりの数を前にピンチに陥るが、それを打開したのは一人の仲間であった。
「行けよ遊馬!ここはオレに任せろ!」
「鉄男!?」
「行ってアストラル世界を救ってこい!」
武田鉄男。
遊馬にとって腐れ縁の友人。
何度も喧嘩したが、ここ一番の時に助けてくれた仲間。
それがまた再び遊馬達を助けたのだ。
「ただの人間如きがこの私を止めると言うのか!」
「舐めるなよ!オレだって強くなったんだ!」
鉄男の手助けもありアストラル世界へとやってこれた遊馬達。
だが彼等の前に無数の刺客が襲い掛かってきた。
「我輩はキャプテン・コーン!偉大なる海賊王であるコーン!」
「邪魔するなよ海賊王!オレはアストラルを助けに行くんだ!」
大海賊の魂を受け継ぎトウモロコシから生まれたという海賊が立ちはだかる時、再び希望の皇が蘇る。
「ようこそ人形の家へ。あの方の命令。貴方達を先に行かせる訳にはいかない」
「ハッ、随分と暗い雰囲気じゃねぇか!」
「五月蝿い!」
「なら見せてやるぜ!俺様のファンサービスをよぉ!」
人形姫が相手に立ち塞がるならば、それに相対するのは人形遣い。
「オレの名は飛車角!!我が一手で貴様達を地獄に送ってくれる」
「ふん!雑魚に構っている暇などない!狩らせてもらう!お前の魂を!」
和装棋士の一手が全てを焼き尽くさんとすれば、それを狩り取るのは光のドラゴン。
「貴様等の運命はここまでだ!そして全てをいたぶりながら葬ってやる!」
「その腐った性根!お前だけは許さねぇ!」
暗黒の忍びが全てを葬りさろうと暗躍するならば、それを打ち砕くのは孤高なる鮫の一撃。
「待っていろ、アストラル!」
刺客を退け、仲間達の助けもありアストラルの元へと急ぐ遊馬、凌牙、カイトの三人。
だが……。
「遅かったな。既にアストラルは我が取り込んだ」
「き、貴様は!?」
そこにいたのはアストラルではなく、女性の姿をした絶望の神。
そして助ける筈のアストラルは彼女に取り込まれたという。
「我が名はe・ラー。お前達の希望を消し去る絶望の神……!」
そして彼女の口から語られる衝撃の真実。
「我は幾つかの呪いお前達にかけた」
「ま、まさか……!」
今までの戦いは決して偶然から起きたものではない。
そう。
あのドン・サウザントですら、彼女によって操られた存在でしかないという。
つまり、あの戦い全てが彼女の掌で踊っていただけというのか。
だがそんな絶望を前にしても屈する事などない。
「しかしアストラルは我が取り込んだ。そしてお前達が持つNo.は所詮コピー。そんなもので我を倒すといのか」
「こいつはコピーなんかじゃない!あいつが!遊里が俺達に託してくれた未来への希望だ!」
信じている。
アストラル世界には来ていない遊里の事を信じている。
その言葉に反応し、遊馬達のカードはあらたなる真化を果たす。
「見せてやる!俺の希望を!眠りし大地と海の力が紡がれしとき新たな命の光が噴出する!エクシーズ召喚!目覚めよNo.37!希望織竜スパイダー・シャーク!」
「俺達の希望は貴様の絶望になぞ負けん!我が記憶に眠る二つの希望!その希望を隔てし闇の大河を貫き今その力が一つとなる!エクシーズ召喚!!!現れろNo.38!!希望魁竜タイタニック・ギャラクシー!!!」
「負ける訳には行かないぜ!!一粒の希望よ!今、電光石火の雷となって闇から飛び立て!!現れろ、Sno.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング!!」
遊里から託されたカードを真化させた三人。
だがそれでも絶望の神を倒すまでには辿り着かない。
「言った筈だ。我を倒す事など出来ない、と」
傷つき、倒れそうになる。
しかし彼等には託された想いがある。願いがある。希望がある。
そんな遊馬達を助けたのは地球に取り残されていた彼であった。
「待たせたな!」
「馬鹿な!貴様は!?」
「遅いぞ!」
「遅刻するんじゃねぇ!」
「遊里!!」
遊馬、凌牙、カイト、そして遊里の四人が揃った時、その希望が全てを繋げていく。
「馬鹿な!光の神官、海の神官、空の神官、そして陸の神官が揃ったとでもいうのか!?」
「e・ラー!見せてやる!俺達四人のかっとビングを!」
遊馬が、凌牙、カイトが、遊里が光となり一つへと形を変えて行く。
「オレ達四人でオーバーレイ・ネットワークを構築!」
「なん……だと……!?」
「『全ての願いが一つになる時、新たな希望が未来を作り出す!エクシーズ・チェンジ!ホープ・ZEAXL!!!』」
四人の願いと想いが形となり新たな進化を果たしたZEAXL。
それが絶望の神を打ち砕かんと出現したのだ。
『行くぞ!e・ラー!!オレ達の想いを!願いを!希望を!』
希望と絶望。
相反する二つの最終決戦が今、始まるのであった。
書く予定はありません。