隙間旅行ハイスクールD×D 間違っても神様ではありません(凍結 作:只今更新凍結中
さてさてどうしたものか……
僕は目の前にいる黒髪の少女を見て考える。
確かに風貌は少女だ。しかし違う。その身から発せられる気配は人ではない。
なるほど……
『こいつが無限の体現者……
ナイアの心話に調べた時に見つけた情報の一つが思い出される。
無限の龍神……
この世界においての最強の一角にして神すらも恐る存在。
その存在が危ぶまれ、あらゆる勢力からその力を危惧されているドラゴン。
しかしだ……
その姿はゴスロリ……いや、っていうか色々とアウトでしょ!?
前は完璧にあけっぴろげで唯一胸のとこにバッテンの何かをつけてる程度って……
そして……
「問う、お前何者」
僕はなぜその最強の一角とも言われる少女から警戒されてるのでしょうか……
『ははは、明久の人外性は隠しててもバレるってことだな!!!』
ナイアは心話で大笑いする。失敬な。
「……何者って言われてもね……」
「お前、わからない。強い力の気配感じた。そしたらお前がいた。確かに人間の気配も感じる。
でも……死の気配も感じる」
短くだが言葉を並べる少女。その黒曜のような黒い深い瞳にはかすかに動揺も見える。
困ったな……こうまで警戒されるとは……
「……ちょうどいいか」
「?」
僕は隙間を開き、あるものを取り出す。
「……それは……何?」
「これ?アイス」
昨日の夜作って、帰ったら食べようと思ってたんだけど丁度いいや。
「えっと、君の名前は?」
「……?我、オーフィス」
「オーフィスね。じゃあ……いっしょに食べようか」
僕は笑いアイスの入ったケースを指さした。
______________
僕はベンチに座り、皿にアイスを乗せるとそれをスプーンと一緒にオーフィスへと差し出した。
オーフィスは少し考え、やはり甘いものは好きなのかそれを受け取ると隣に座る。
ついでという事でジャケットを取り出すとそれも渡す。結界が張られているようだが……この格好の少女といるのはアウトすぎるからだ。
「美味しい」
「それは良かった。一応4種類くらいの味あるから」
「これ、お前が作った?」
まだ少し警戒心は取れていないようだ。しかし……
「うん。後、僕は吉井明久だよ」
「……わかった」
存外素直な子のようだ。【百聞は一見に如かず】、危険だとか言われてるが会ってみればただ力のある少女。
まぁドラゴンだし、この姿は仮初かも知れない。
でも僕には唯々純粋な、黙々とアイスを食べる無垢な少女にしか見えなかった。
「そう言えばオーフィスは力を感じたって言ってたね」
「我、静寂を手に入れたい」
「静寂?」
唐突な言葉に返す僕にオーフィスは頷く。
「我、グレートレッドに負けた。だから奴を倒すだけの力が必要」
「なるほどね……倒さなくちゃいけないの?」
「我は静寂を求めている。故にグレートレッドは邪魔」
グレートレッド。彼女と同じく最強の一角……いや、この世界において最も強い存在……か。
「数日前、突如強い力を感じた。だから我は来た」
「そしたら僕がいたと」
「明久、隠しているけど感じる。我を、奴を超えるかも知れない力」
『全て感知できてるというわけではないようだな』
オーフィスの言葉にナイアが意見する。まぁ、聞こえてないけど。
「我、驚いた。明久からは温和なものを感じる」
オーフィスは膝に皿を乗せるとじっと僕を見る。
「しかし同時に我すらも感じる死の気配。
我、そんな存在に初めて会った」
『いや、こんなバグがポンポンといたら大問題だ』
『ナイア、少し黙ろうか?』
『……はい』
僕は笑いながらツッコミを入れるナイアを黙らせるとため息をつき、そしてオーフィスと目を合わせた。
「まぁ、少し特殊かもしれないね」
「……我、死を覚悟した」
「まるで何でも関係なく襲うような人のように言わないで……」
みんなからの僕の初見ってどうなっているんだ。
「……明久、頼みたいことがある」
「頼みたいこと?それが来た理由かな?」
「我、グレートレッドを倒したい。故に明久に手伝ってほしい」
倒したい……か。
「……ごめん」
「何故?」
何故と言われると自分勝手な理由だとわかる。
簡単。
「静寂を否定はしないけど……この世界も悪くはないと思うんだ」
「この世界?」
唐突でわけのわからない一言。
「静寂とは程遠い雑音だとか悪意もある世界。平等のようでそうではない矛盾した世界」
全てきれいごとでは済まない。蓋を開けてみればそこに見えるのはそこも見えない漆黒の混沌。
「……明久は嫌にならない?」
「ならないとは言わない。でもそれ以上に美しく見えるものがある」
「……」
「例えばこんな甘いものようにね」
僕は笑い、少し溶けたアイスを指さす。
別にイコールとは言わないが、確かに幸せなものがある。
これは言うなら静寂、『無』では得られない『余分』。
でもその余分を彼女に手放して欲しくないと勝手に思っているのだ。
「……そうかも知れない」
その時かすかに、見間違いかもしれないがオーフィスが微笑んだような気がした。
オーフィスは立ち上がり僕から少し離れると振り返る。
「我、気に入った。今は諦める。しかしまた、我は勧誘に来る」
「そっちでの訪問じゃなくて普通に遊びに来てくれても構わないよ」
「……アイス、楽しみ」
日が落ちた公園に、闇より暗い黒が現れる。
「また、明久」
「またね」
オーフィスはそれに飲み込まれるように消えた。
結界も解けたようだし、威圧も消えた。
「……疲れた~」
「何が疲れただ。
まぁ、封印してる今の状態じゃあれの相手は難しいかもな」
「ちょっとまって、まるで僕がホイホイ戦う人の様に聞こえるんだけど」
まったく失礼なものだ。声に出していないが視界の片隅に、あちらで微笑む刹那と大笑いする無月を見ながら嘆息する。
「遅くなっちゃったな……てかジャケット返してもらってないや」
まぁ良いかと考え、
「そうね、学生の身で遅くまで出歩くのはいけないね」
気づいてはいたのだが逃げれない状況。
「残念だ、明久君」
さて、この福山美里先生に見つかるという状況どう切り抜けようか。