隙間旅行ハイスクールD×D 間違っても神様ではありません(凍結 作:只今更新凍結中
僕はイッセー達がジャンプしたのを確認すると、すぐさま作業に取り掛かる。
磔にされている男性、ここの家の住人の供養だ。
男性を貫く杭を引き抜き、そっと床にねかせる。そして横に近くに倒れていた女性をねかせた。そして見開かれていた瞳を閉じた。
悪魔を呼んででも叶えたい願いがきっとあったのだろう。例えそれがどんな願いであったとしてもだ。
その二人の左手に付けたものを見、僕は少し拳を握り締める。
「あ、あの……」
「あっちょっとまってね。すぐに終わらせるから」
「い、いえ問題ありません!!私にお手伝いできることはありますか?」
「大丈夫だよ。それじゃあ行こうか」
僕は静かに手を合わせると、アーシアさんは祈りを捧げるように手を合わせる。
「……ありがとう。さぁ、行こうか。ちょっと目をつぶっててね?」
「はい」
気配は近づいてくる。
律儀に本当に目をきつく閉じるアーシアさんの手を取り、僕達は隙間へと飛び込んだ。
「ふん。奴め、俺の気配にも気づいていたようだな。
だがあの転移、なんなんだ?」
他所の家の屋根から眺めていた血濡れの男は明久が跳んだのを眺め、
「まぁ、これから楽しくなりそうだな」
堕天使達が来るのを待ちながら哂った。
きっと楽しい殺しができるであろうと、何が後に起こるかも知らずにゆっくりと。
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家にたどり着いた僕達は自己紹介をし、
「じゃあこの部屋使ってよ」
「いいんですか?」
時間が時間なので彼女を寝室へと案内した。
そこは本来ORTの部屋なのだが……まぁ今日くらい僕の部屋でいいか。
イッセーの前話していたシスターってのは彼女のことだろうが……
おかしい、あの教会はイッセーにも聞いたがもう閉鎖されているらしい。
そしてはぐれ悪魔祓い。彼女の様子からしてそんなことをしていたとは知らなかったようだ。
『しかしながら、それならばあのお方の計画に支障をきたすかもしてない。
ここで消すのが得策か』
……やはり裏がありそうだな。
「アーシア!!」
朝、いきなりだがイッセーが家を訪ねてきた。
何でも学校は休みにしてもらっているらしい……僕まで。
電話で確認したとこ、悪魔と堕天使のいざこざに巻き込んだお詫びだというが……まぁ今回は助かる。
ついでに確認したいことを聞いてみるとリアス先輩は調べてみるわと言っていた。
というわけで現状アーシアさんとイッセーが再会を喜んでいるわけで。
「ふむ、じゃあイッセー街の案内してきなよ」
「え?」
「アーシアさんずっと教会に篭ってたんでしょ?ちょうどいいじゃん」
「あっお、お願いします!!」
僕はイッセーと肩を組むようにし、
「ここで交流あるのイッセーだけで、アーシアさんもイッセーに気を許してるんだ。
ちゃんといろんなとこを教えてあげなよ」
「し、しかしどこに行けばいんだ!?で、デートなんて……」
「とりあえず楽しんできなよ。どこに行こうとか、どうしようとか気をはらずにね。
楽しんでいれば自然とどこに行くべきかとかわかるはずだよ」
「そ、そうだな!!」
危うく前のことを思い出そうとしたようだ。
危ない危ない。
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イッセー達と別れ、僕はある一軒家だった場所へと訪れていた。
そこには売りに出されている家。そう、あの家族の存在は隠蔽されたのだろう。
朝にテレビにも出てなかったのでもしやと思ったが……リアス先輩は関わっていないといっていたので堕天使の仕業か。
僕は裏手の方に行くと、突き破った窓もきれいに、内装も使われていない新築のようになっていた。
そこで何やら泣く声が聞こえた。振り返るとそこには女の子が泣いていた。
あの時亡くなっていた女性、男性に似ていることから娘さんだろう。
ただ……その血に染まった姿を見なければ、生きていたのかと喜べたかもしれない。
その体はところどころ傷だらけであり、特に胸の中央の穿った傷は虚空を作り出していた。
「君は……」
『うっ……お兄ちゃんは……誰?私が見えるの?』
少女は驚いたように逃げようとしたが、その体を縛っていた鎖は逃げられないようにするかのごとく動きを封じていた。
人は時として死んだ時の姿を残す時がある。
あの傷は死んだ時に確かにあったものであり、胸の傷が致命傷だったということ。
『いや、もうやめて!!痛いのは嫌!!!』
「ま、まって。別に痛くしようだとか怪我をさせようだとかないから」
『本当に?』
「うん、だから安心して」
僕は少女の頭を撫でると少女は目を細め。
『暖かい。ここすごく寒いの』
「そっか」
『あのおじさん、笑ってた。
私が痛いって叫ぶたびに……それでなんだかよくわからなくなって……』
「……」
『それに、お父さんとお母さんはどこかわからないし、動けないし……
あのおじさんまたとか言ってて』
やはりこの鎖はその男が原因か。
何かしらの方法で霊魂に干渉できる。もし想像が正しければ……どれだけふざけてるんだ!!
「……大丈夫。直ぐに会えるよ」
『でも……』
僕は直死の魔眼を発動させると鎖を断ち切った。
そして少女に触れ、傷を治す。
「これでよし。親に会うんだから綺麗にしとかないとね」
『あっ……』
「大丈夫、そのおじちゃんのことはお兄ちゃんに任せて。
ちゃーんとやったことを謝らせてあげるから」
『うん……あっお父さん!!お母さん!!』
少女はかけ出すとそこには二人の影。ふたりと合流した少女は手を振り、二人は頭を下げ……消えていった。
僕は息をつくと路地に出る。
「やっと見つけたぞ」
「……僕もちょうど良かったというべきかな」
本来あって欲しくなかったけど……今回のことで可能性としてあった。
「あの魔女の確保は成功した。だが事は万全でなくてはな」
そこに立っていたのはスーツ姿の……堕天使。
やはり最悪の可能が当たりか。二人だけで行動させるべきじゃなかったか。
「聞いてもいいかい?」
「?」
「なんであの少女に拘るんだい?それとここには誰が来ていた?」
「ふん、貴様ごときに教えることではないが……死ぬ前の手向けというのに倣ってやろう。
あの娘の持つ神器、それがあのお方が至高の存在になるために重要なものなのだ」
神器……あのあとに調べたことだが神器にも種類があり、これといって効果のわからないもの、攻撃的なもの、他者を癒すもの……時として魔王、神さへ屠るもの。
だが神器は人間の血を持つものにしか受け継がれない。それを抜き出すこともできるが、手順の踏まないそれは持ち主の死に直結する。
「それにあの男も男だ!!わざわざ高い金を払ってやったと言うのに趣味に没頭してて見逃しただと!!これだから下賎な種族は困るのだ!!」
何やら愚痴になり始めているが重要なことも聞こえたからいいとしよう。
多分あの神父ではない。もうひとつの気配のことだろう。
「そっか。わかったよ」
「貴様は我らの計画の邪魔になるかもしれんよってここで……」
ヒュッ、そんな音だったかもしれない。
男がその音を聞いたとき、明久は既に視界からいなくなっていた。
「どこに……」
「あんたの相手をしてる暇はないんだ。失礼するよ」
閃鞘・七夜
明久のしたことは疾駆のごとく駆け出し、懐に潜り込むようにすれ違いざまに一閃。
男はそれを認知することはできず、また自身が殺されたことも理解できなかった。
体は振動によって横にずれ、光の粒子のごとく燃え尽きて消えていく。
ただその場には名残のように黒い羽が飛び散っていた。
名前すら公開されることなく消えていく。