隙間旅行ハイスクールD×D 間違っても神様ではありません(凍結 作:只今更新凍結中
だ、だるいし思考が安定しませぬ……
物事うまくいかないものだ。
あの後、家に帰り着くと彼女は目覚めた。そして案の定襲いかかってきた。
しかし危険なのは僕ではない。どちらかというと彼女だ。襲いかかろうとした瞬間、横から飛び出したORTが飛びかかり……
命を奪うより早く僕はORTを押さえ込んだ。一瞬、だがその一瞬に感じた絶対的死の恐怖とも言うべきか。ベットに尻餅つくように座ってしまった彼女に僕はORTを抱き抑えながら状況を説明した。
それからが凄まじかった。話を聞いた彼女は顔を真っ赤にし、ベットから飛び降りるその動きから流れるように土下座し怒涛のように謝罪し始めた。
僕はその状況を1時間ほどかけて宥め、彼女の話を聞いた。
彼女は元々小さな里から妹の薬を買う為に悪魔のいる場所、冥界へと行ったそうだ。そこで悪魔の貴族に見初められてしまったらしい。
彼女は落ち込んでいた。その里で彼女はそれなりの力があり、狩猟も行っていたそうだ。しかしもう自身は里の仲間である人狼ではなく、転生悪魔になってしまった……と自嘲気味に彼女は微笑み……
「えっ貴女は人狼ですよ?」
僕の言ったその言葉にポカーンと疑問符を浮かべた間抜け面になった。幽香達でもそうだがひどい顔のはずなのに美人だと可愛いと思うのはなんでだろうか。
とりあえず彼女を変異させていた原因を排除したこと。そしてそれにより肉体が崩壊しかけたので治したら多分元に戻ったことをオブラートと少量の嘘を織り交ぜながら説明した。
そのあとの彼女の顔は面白いくらいに呆け顔から動揺、そして動揺から意味が少しずつ分かり始めたのか泣き始め、喜びからか笑い、笑いながら大声で泣き叫ぶという不思議な表情へと変わった。
泣きながらお礼を言ってくる彼女を再度宥め妹さんの症状等を確認し、それにあった薬を渡すとその里へと繋がる隙間を開いた。まぁ場所は違うから彼女の説明、そして記憶から繋いだってのが正しいが……
しかし京都か……彼女はもし来たらお礼をすると言っていたが……さすがに行くことなさそうな気がしないでもない。
「それがフラグと言うんだ、きっと」
「それは言わないで、ナイア」
僕は家の中庭にトレーニングのため結界を張り思い返していると、女性の姿を取ったナイアが笑いながらツッコミを入れてきた。
いかんいかん、ちょっと集中しよう。
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我……私は中庭の中央に佇む明久を眺める。
「……纏気峰真」
明久から一気に力が放出される。気による肉体のリミッター解除。
それはほかの部分にも適用されるらしく、細胞は自身の目から見ても一気に活性化されている。気と霊力が混じり合いほのかに七色に輝く衣を身に纏っているようだ。
明久曰く、いつもの開放の2段くらい上?という微妙な表現だったが、これでも人外じみていると言うのにその上もあるということか。
「ふぅ……幻想・皇神!!」
次の瞬間、リミッターが解除されて漏れたのではなく、故意的に気、霊力、魔力が明久から放出される。
霊力の放出に伴い明久の髪は銀に染まり、腰辺りまで伸びた。そして3種の本来混じり合うはずのない力が混じり合い、オーラのように明久を包む。
「……」
集中している明久の背後あたりに石を弾く。高速の弾丸のように打ち出された石はオーラに触れた瞬間消失した。
あのオーラだけでもかなりの防御力と破壊力を持っていると……
「何するのさ、ナイア」
「いや、物は試しというやつだ」
「?」
明久は不思議そうに首をかしげるも、私からすればお前の存在が不思議だと突っ込みたい気持ちでいっぱいだった。
なるほど、確かにただの奴ならまったくもって相手にならない。
これがあやつ等が明久に手を貸す理由?いや、違うだろう。
しかしそれ以上に私が気になったのは明久という存在というべきか。
本来これほどの力を手に入れれば欲望に飲み込まれる。これは欲を持つ以上当たり前のことだ。慢心だってするはず。
しかし眼前のこの男はその力を何かしらの欲に使っているとは見えない。本人は欲深いと、自分に使っていると言っているがそうはとても見えない。
ましてこうやってイメージにしろなんにしろ、訓練を怠らず昇華させていっている。
ここ数週でわかってきたこの男、明久の印象。他の者が言う言葉がよくわかる。
【アイツはただのバカ】
自分の感情にバカ正直。決めたことは実行する直進バカ。
「さて、次は……神k……」
明久の身を包むオーラが一気に明久に密になろうとし……
【ピー……】
隣に置いていたタイマーが鳴った。
「うへ、そろそろ寝ないと」
明久は纏っていたオーラを霧散し、髪は銀の光が闇に溶けるように茶髪の地毛に戻る。
ふむ、あの先……見てみたかったんだがな……
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ふと、柔らかい感触と強く腰をだかれる力に目が覚める。
僕は自主錬の後寝たはず。いや、布団の中だから寝たのは確かだ。
しかし……
僕は布団をめくると、そこにはORTが抱きつくように熟睡していた。なぜだ。確かに自室のはず。この子は別の部屋のはず。
「魔力供給だろう」
悩んでいると背を壁にあずけたナイアが声をかけてきた。
「あ……」
「いつもと違ってこちらに出てるしな。コヤツも明久との契約を守るため魔力が必要ということさ」
なるほど。
【魔力】
ORTをこちらに出しているのに必要なエネルギーであり、この子の力を制御するのに必要なもの。もし制御が外れれば瞬く間に一帯は世界を染められてしまう。
そして、それを僕が良しとするはずがない。そして使い魔として契約しているORTも僕が嫌がることはあまりしたくないと言っていた。
「でもこう毎回だとね……やっぱり用事とかで補給できないときがな……」
「なら省エネモードでも教えるか?」
「う~ん、考えとく」
僕たちはそう話を切るとORTを起こし、学校へと行くために朝食を用意するのだった。
「少し違和感が……」
僕は新調である制服に違和感を感じながら学園へと向かっていた。
結論、ORTは省エネモードを考えてみるとは言ったものの果たしてどうなることやら……
ナイアもナイアで楽しみにしていろと言ってどこか行くし……
「……はぁ、波乱万丈な日常になるのかな……」
僕は校門にたどり着き、その自身から発せられるアラートを無視してため息をついた。