フィクサー事務所68   作:バラのレバー

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お初にお目にかかります。
バラのレバーです。
処女(作)です。
都市とキヴォトスの輪を広げる為に参上いたしました。
私、少々脂身が強いことを自覚していますので、お腹を壊さずに楽しんでいただけることを願うばかりでございます。
力不足、知識の抜け等々あるかと思いますが、よろしくお願いいたします。



プロローグ
「煙と小悪魔」


「すごいねアルちゃん!また一位じゃん!」

「そ、そうだね...」

「これなら楽勝で翼に入社できるよ!いいなぁ〜!」

「てかさ!アルちゃんどこ志望?装置開発?あ!アルちゃん可愛いし 広報とかいけるんじゃない!?」

「ははは...」

テスト返しの後、輝かしい成績の答案を持った少女は困った顔で笑った。

自明のことだが、テスト返却後の高校生は友人に絡みに行きたい衝動を抑えきれない。

人気者の彼女の周りにクラスメイト達が集まっていった自然なことだった。

彼女は戸惑いながら答案をぎゅっと握りしめたが、テンションの上がったクラスメイトはその様子に気がついていない。

「え...えーと...待っ..」

四方八方からの質問や褒め言葉に対して次第に処理機能が追いつかなくなり、しどろもどろになる彼女を私は遠巻きに見つめていた。

もうすでに脊髄反射の中身の無い回答と笑顔で誤魔化している彼女の姿はキャパが近いことを如実に表しており、忙しなく泳ぐ目線が私の視線とかち合った。

たちまち地獄に仏でも見つけたようにみるみるうちに顔が明るくなり、

「助けて」という無言の訴えに対し、私はニコッと笑って手を振ってあげた。

助け舟が来ないことを悟ると彼女の表情は絶望的なものに変わり、またもみくちゃにされて見えなくなった。

その愛おしい光景を目にして私は自然と笑顔になった。

「くふふ、やっぱりアルちゃんカワイイ♪」

 

 

 

「も〜!なんなのよ本当に!」

「いや〜大変だったねアルちゃん?」

昼休みになって他生徒が思い思いに時間を過ごす中、いつも通り屋上で私達は駄弁っていた。

「ムツキちゃんも見てたなら助けてよ!」

「え〜?助けて欲しかったの?」

「欲しかった!」

感情豊かな彼女が腕を振って抗議し、メガネが落ちた。

私はそれを素早く拾い上げて自分でかける。

そして、メガネを探すアルちゃんをじっと見守ることにした。

「あれ?」

彼女はまず、自分の顔周りをペタペタ触ったのち、今度はしゃがんで足元を探した。

「あれ...見つからない...」

四つん這いになりながら自分の周りを探していた彼女はあまりにもメガネが見つからないため、何かおかしいと思ったのか、ぼやけているであろう視界の中、ぐっと目を凝らして私の顔を見た。

「ムツキちゃん...もしかして私のメガネかけてない?」

「てへ⭐︎」

「もーっ!!!」

「なんでそんな意地悪するの!」

「だってアルちゃんカワイイんだもん。」

「そういうのいいから!!」

頬を膨らませてそっぽを向く彼女にメガネを返し、本題を切り出す。

「で、結局アルちゃん翼に入るの?」

「え!?う、うーん....」

彼女は見るからにバツが悪そうな顔をして目を逸らした。

彼女がどちらを選ぶのか。別に私としてはどちらでもいいのだが、何事も準備は早ければ早いほど良い。

そういうわけで、私は深く切り込んだ。

「アルちゃんもしかしてさ...まだあの「夢」はそのまま?」

ビクッと彼女は肩を震わす。

やっぱりそっちを選んだのか。

「昔よく言ってたもんね、「私はハードボイルドなフィクサーになって 都市を駆け巡る!」って。」

「わ、忘れてよ!」

「もう目指してないの?」

「それは...」

彼女は何かを言おうとしたが、それを言葉に出せないまま口をつぐんだ。

私たちの間に暫しの沈黙が流れる。

「本当は」

アルちゃんがポツリと言う。

「本当は私はフィクサーになりたい。でも、きっとお父さんもお母さんも許さないし、みんな私が翼に入ると思ってる。」

それはそうだ。と私は思った。

わざわざ命懸けで裏路地を這いずり回って日銭を稼ぐフィクサーにならなくとも、彼女の能力なら翼の職員として十分に食べていける。

でも、彼女がそれを望んでいないことも、同時によくわかっていた。

「なんか、違うの。周りに言われるまま勉強して、翼に入って、そしたら押し出されないように身を削って働いて....」

「私は、そんなふうに生きたくない。」

周囲の価値観に合わないと理解しているからか、まるで罪の告白みたいに後ろめたそうにしながらも、彼女は凛々しく言い切った。

周りに合わせる聡さを持ち、人並みに悩みながらも、芯を曲げない。

私はアルちゃんのそういうところが好きだ。

「あっ...」

言い終わって気まずそうにしている彼女を見ながら、私も決心を固める。

どちらを選んでもついて行くつもりだったけれど、困難な道を進むことになるようだから。

「じゃあさ、私と一緒にやろうよ」

「2人ならなんとかなりそうじゃん?」

「いや、でも....」

「なろっ!フィクサー!」

私はアルちゃんの手を取った。

彼女は一瞬戸惑って、でもすぐに目を輝かせた。

「うん!」

今日一番の笑顔に、私も思わず笑顔になりつつ、再確認した。

やっぱりアルちゃんは笑ってる時が一番カワイイ。

 

 

 

「やっほ〜!アルちゃん。」

「ちゃんと遅れずに来たね!」

「いい子いい子!」

ムツキちゃんが私の頭を撫でる。

「ムツキちゃんがなんかすごく催促したから...」

ちょっと赤くなりながら私は返した。

私達は巣の外れにある小高い丘に来ていた。

もうほとんど裏路地に近くなる場所で、一応警備がいるものの、誰も近寄らないし、親からは行かないように言いつけられている場所だ。

最初、私は反対したのだが、いつになく押しが強いムツキちゃんに言いくるめられ、結局来てしまった。

「わー、良い景色だね!」

「でしょ?ムツキちゃんのセンスを褒めても良いよ?」

ふと、ムツキちゃんがピクニックにしてはかなり大きなバッグを持ってきていることに気付いた。

首から下げる形で、人一人入りそうなくらいの大きなバッグ。

ちょっとしたピクニックになんでそんなに大荷物なのか気になった私は彼女に質問する。

「そんなに大きいバッグに何を詰めてきたの?」

「うーん、ヒミツ。今はね。」

後で嫌でもわかるから。彼女はそう加えた。

街並みを見下ろしながら私達がお弁当を食べていると、

突然、何かが爆ぜる音が響いた。

音のした方角にあるのは裏路地と巣の境の検問所。

静かに黒煙が立ち上るその様子は明らかな異常を示していた。

「え?」

戸惑いの声は割れんばかりの雄叫びに掻き消された。

検問所から流れ出た黒い波が巣を覆って行く。

それは、無数の人影であった。

鳴り止まないアラートと共に警備職員が出張るが、黒い流れは止まらない。

どこからか漏れ出した煙で帷を張られた街は赤く燃え、中では地獄が作られる。

巣の中を跋扈するのはフィクサーか、無法者か、軍人か、あるいはその全てか。

きっと誰も分かりはしない。煙が包んでしまうから。

眼下の凄惨な光景に対して不思議と悲鳴は出なかった。

どうしようもない絶望感と無力感が頭を支配し、ただ立ち尽くしていた。

「アルちゃん。帰るところ、無くなっちゃったね?」

私の後ろで小悪魔が囁く。

「は…はははは。」

私は笑った。

自分でもなぜかは分からない。

潰れそうな心の上げた悲鳴が頬を伝って落ちた。

「うんうん。やっぱりアルちゃんはさ。」

「笑ってる時が一番カワイイ。」

この日、一つの翼が折れた。

この戦争で分かったのは一つだけ。

私達の故郷のL社は折れて、後にエネルギー会社のロボトミーコーポレーションが翼の席に座ったこと。

なぜ無数の勢力が機会をかぎつけて来たのか、誰が手引きしたのか、誰が何を得たのか。

数多の謎が煙に巻かれたこの事件を人々はこう呼ぶ。

()()()と。




おやおや、故郷が燃えてしまいました(黎明卿)
誤字脱字、見にくい点ありましたらご指摘願います。

御職業は?(展開の参考にするかもしないかも。)

  • 管理人(プロムンユーザー)
  • 先生(ブルアカユーザー)
  • その他(どっちも知らない)
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