これで加筆修正作業から解放されるのだ。
しかし...0から1か1から2か、どちらが楽なのだろうねっ!
「また…目は覚めるんですね。」
綿が抜け切ってやや骨組みの浮き出たソファの上で私は目を覚ました。
寝覚めの悪さを引き摺りながらも、なんとか痛む身体を起こす。
静かなあくびの後、伸びをしてボケっとする頭をなんとか動かし、身支度をする。
今日は...どこへ行こうか。
そうだ。今日は久しぶりに市場に行こう。
コーヒーを飲んで悪夢から逃げるくらい、私にも許されているだろうから。
「すみません、10倍トマト缶15個ください。」
「はいよ。」
私は路地裏の定期市に来ていた。
このイベントは毎月2回、各区で開かれる。
普通のお祭りのように出店が出たり、工房の実演販売などが魅力だが、大半の人間の本命は違う。
定期市の醍醐味は『訳アリ品』である。
盗品、まだ出回っていない薬品、企業の横流し品、秘密裏の在庫処分など表では売れないアングラな商品の数々がこのイベントの魅力だ。
私はが購入した10倍トマト缶もその訳アリ品の一つである。
製造元はナノマシンによる生体操作の技術を保有するK社*1であり、使用されているトマトは遺伝子操作で栄養価が元の10倍になっている。
『一缶で疲れ知らず!トマトの力で健康に!』
なんて謳い文句で重労働に従事する人々の栄養管理をターゲットにした商品であった。
本来それなりに値が張るのだが…
「しっかし…嬢ちゃん。」
「よく食えるなこんなん…俺も食ってみたけど不味くって食えたもんじゃねぇ…」
「え、あ…そうですか?」
「いやいや…苦味も甘味も10倍されてんだぜ?」
「こりゃブランドイメージのためにさっさと処理するわな。」
男は味を思い出してしまったようで、一瞬嗚咽を漏らした。
「そ、それでも工場での食事よりは美味しいので…」
「あーーー、そりゃ災難だったな。」
男は床に並べた缶を一つ私に投げてよこした。
「嫌なこと言わせた詫びだ。どうせ嬢ちゃん以外買わねぇし…」
「あ、ありがとうございます。」
私は一礼し、その場を後にした。
歩く道すがら、私は幸福について考えた。
色を見ることができる。
雨風を凌ぐ棲家がある。
寒さにも、飢えにも喘ぐことはない。
だが、いつも私の心にはぽっかりと穴が空いてしまったようだった。
何かが、足りない。
武器を下げた3人組とすれ違った。
朱色の髪の少女が先頭の、恐らくフィクサーの一行だ。
なんとなく横目に見ながら通り過ぎようとした時、朱色髪の女のポケットから焦茶色の何かが落ちた。
反射的に拾い上げてみると、財布だった。
多少年季は入っているものの、中々の高級ブランドの物である。
仮に中身が空でもいい値段が付くだろう。
「あっ!私の財布!」
まずい、朱色髪が既にこちらを振り返っている。
この状況になったときの行動はフィクサーもごろつきもそう変わらない。
『よくも盗りやがったな』と言って、
ボコボコにして財布を奪い返すか、奪い返してついでに身ぐるみを剥ぐか。
私はいつでも背中のバットを抜けるように身構え、朱色髪の出方を伺う。
「……」
目線だけが交差する沈黙。
今にも武器のぶつかる音へと変わりそうなそれは、
「ありがとう!あなたが拾ってくれたのね!」
パッと光るような笑顔と、思いがけない言葉に破られた。
「え?あ、あはい。」
私は面食らって反射的に口走ってしまった。
「本当にありがとう。取引先の住所とか色々入ってるから無くしたらすごく困るところだったわ。」
あまりの毒気の無さに呆気に取られた私の手から朱色髪は自然に財布を取り戻し、「絶対どこかでお礼するわ!」と名刺を渡して、仲間の方へと駆けていった。
今、彼女は確かに「拾ってくれた」と言った。
「盗られた」でなく。
私はその言葉がよく理解できなかった。
いや、もちろん言葉の意味は分かるのだが普段の生活から余りにも遠い感覚だからか上手く飲み込めないのだ。
「陸八魔アル。」
私は名刺に書かれた名前を読んだ。
「長生きできなさそうですね…」
無意識に言った。
それはきっと羨望を戒めた言葉だった。
信じ合える人間を愚直に信じて共に生きる。
あの日の私には、できただろうか?
これからは…できるだろうか?
振り払った。
人の醜さを、信頼の儚さを知ってしまったから。
もう心を殺さないために一人で生きると決めてしまったから。
皮肉なものだ。
探していた幸せは見つけた途端に消えてしまった。
私は3人に背を向けて歩き出す。
忘れかけていたコーヒーを買いに行こう。
今日の夢見は、きっと悪いだろうから。
業務用コーヒーを買った私は帰路についていた。
陽が傾き、暗くなった裏路地を歩く。
何の変哲もないいつもの帰り道だったがどこか足取りが重い。
「あれ?」
目の前の光景につい足が止まる。
前触れもなくどこからか香る錆びた鉄の香りと、絶えず流れる赤黒い波がアスファルトを彩っていた。
過剰と言えるほどの血の量。
人間をただ解体するだけではあんなに血は出ない。
人間を丸ごとミキサーにかけるか、雑巾みたいに絞ればあるいはと言った夥しい量の血だ。
嫌な可能性に思い当たった。
まずい。私は一刻も早くこの場を立ち去らねば。
「やあ。」
不意に女の声がした。
私は古い木の人形のようにぎこちなく振り返る。
「今日は良い夜だな。お前もそう思わないか?」
それは、そこに立っていた。
人のものとはかけ離れた、分厚い鉤爪のような指を持つ猛獣が如き掌。
病的に白いその顔の半分は赤黒く蠢く物質で覆われ、外側から髪のように揺らめいている。
半分は人外の様相、半分は端正な女の顔であることが、アシンメトリー的美しさを持つと共に、より現実離れした狂気的な恐ろしさを醸し出していた。
『血鬼』。
遥か昔に『頭』によって都市を追われた魑魅魍魎の一種。
人の血を飲んだが故に満ちない渇きと耐え難い吸血衝動に駆られる存在。
そして、眼前に立つそれは、赤い惨劇の夜を引き連れ来たる燦々と輝く『都市の星』。
「血染めの夜…」
私の震える声を聞いたそれは手を広げて微笑んだ。
「お前達は私をそう呼ぶな。人を喰う化け物と罵り、懸賞金を掛け、私を消そうと躍起になっている。」
「わかるとも。私は人を喰らう。渇きを満たすためにお前達を丁寧に引き裂き一滴も残さず血を啜る。」
「だが、それはおかしいのか?それが私の幸福だ。なぜ私がお前達の幸福のために我慢をする必要がある?」
血染めの夜は私の顎に手を添えた。
「片や生活のために間接的に人を殺す人間。片や渇きを満たすために人を喰う鬼。その両者に違いなどないんだ。どちらも同じ、人間だ。」
「生きるために殺す。至極当然で誰しもが行うことだ。お前もそうだろう?」
赤い目が大きく見開かれる。
「ははは...喋ると喉が渇いていけないな。」
鬼は反応を示さない私に飽きたのか、その手を私の首元へと伸ばす。
私の足は根を張ってしまったかのように動かない。
あぁ。ここが私の最期なんだ。
蛇に睨まれた蛙のように動けない私は、そう思わざるを得なかった。
…私は、一人で生きることは強さだと思っていた。
それなら全てを自分が背負い切れる。
たとえ死んでも納得がいくと。
人と関わりを持たなければ、命を断つ為の腕が鈍ることは無く、帰る場所を思い隙を晒すこともない。
瞬く間に命の吹き消える戦いの中で私は死を恐れなかった。
それで、彼らは死んで、私は生きた。
でも実際のところ、私は何も恐れないのではなく、何も持っていなかっただけなのだろう。
だから、がむしゃらに誰かを殺し、幸せを探してきたのだ。
それは皮肉にも、目の前の鬼と良く似ている。
いや、それは違うか。
土壇場になって自分の生き方を後悔する私は鬼にもなれない半端者だ。
爪が少し首に食い込んだ。
このまま突き刺されるのか、それともクイと喉を掻き切られるのか。
私の空虚な生がもうじき終わる。
諦めて目を閉じた瞬間、勢いよく噴き出す蒸気の音と共に、何かが風を切る音がした。
「チッ…」
血染めの夜は爪を私の喉元から話し、飛び道具を迎え撃つ。
金属音と共に、頭上へと鎌が舞い上がった。
だが、その頭は90度曲がっており、薙刀のようになっている。
鎌は空中で角度を戻し、背から噴き出す蒸気により、ブーメランのように飛んできた方向へと戻っていった。
鎌を掴んだピンクのサイドテールの女が走っていくのを唖然としながら見ていると、後ろから体を抱き上げられる。
「うわっ!?」
私を傍に抱えた人物はそのまま血染めの夜から反対側に走る。
流れる地面から目を離し、自分を抱えた人物の顔を見て驚愕する。
「え?えぇえ!?昼間の人ですか!?」
「ええ、恩返しになるかしら!?」
馬鹿だ。大馬鹿だ。
たかが財布を拾ってもらったというだけでこんな危険を冒して私を助けに来たのか。
最早お人よしというレベルではない。
それは人を助けないと死ぬという病気のようなものだ。
本来ならば唾棄すべき存在。
幾度と無く喰い殺し、奪ってきた甘い奴ら。
そうだった、はずだ。
「食事の邪魔をされると腹が立つな…」
血染めの夜はサイドテールと私達を交互に見た結果、より腹の満ちそうな方を追うことにしたようだ。
一瞬のアスファルトを打つ音。
音が聞こえた瞬間、既に血染めの夜は目の前に来ていた。
「え?うわぁ!?」
突然、朱色髪は私を前側に放り投げる。
一瞬、私を見捨てたのかと思ったが、何処からともなく飛び出して来た白髪の女が私を受け止め、そのまま担いで走り出した。
「そんなにも他人の食事の邪魔をするのが好きなのか?」
「結果的にそうなってるだけよ。」
紅と朱色は静かに向き合った。
「ここら辺で降ろすから、あとは自分で帰って。」
「私は代表を援護しに行くから。」
黙って俯く私の言おうとしていることを見透かしたようにして、白髪の女は言う。
「…馬鹿だよね。うちの代表。」
「でも、私も馬鹿なんだ。」
白髪の女はそう言って笑うと、元いた場所に走って行った。
そこが彼女の帰る道かのように、跳ねるような軽い足取りで。
私は、帰った先には何がある?
私には何もない。
友も、家族も、夢も、目標も、生きる理由さえも、また無色無味の灰色の日々に戻るのか?
私は白髪の彼女の後を追いかけた。
私は今日、色彩を得た。
あの灰色の巣から飛び出してから真に色を見た。
淡く、暖かい朱色の髪を。
彼女のことを思うと、胸の奥が熱くなり、何かが湧き上がるように感じる。
それはきっと、終ぞ得ることのなかった希望という物なのだろう。
背からバットを抜く。
私が行っても何も変わらないかもしれない。
犬死にして彼女の献身すら無駄にするかもしれない。
それでも、高鳴る鼓動は私の脚を、腕を、強かに動かす。
これは私の初めて持つ意志だ。
人からの願望ではなく、追い立てられた訳でも無い、私が私の心に従った結果。
彼女の為ならば全てを投げ出しても良い。
彼女の側で、この世界を生きていきたい。
芽生えた意志が私の五体を巡り、強張っていた身体に活力を与える。
あぁ。彼女もこんな気持ちだったのか。
死地に赴くと言うのに、私の足は不思議なほど軽かった。
「…弱いな。」
血染めの夜はそう吐き捨てた。
眼前の三人は体中に裂傷を負い、呼吸も乱れている。
戦力差は明らかだというのに、致命傷を避け続ける3人に彼女は少々苛立っていた。
「可食部が減ってしまうのは望むところではないが…」
血染めの夜の掌に血が集まっていく。
「手荒に行くとしよう。」
嗜虐的な笑みを浮かべる血染めの夜の手に紅い鉤爪が形作られた。
「死ね。」
血染めの夜が腕を振る。
それは、不可視だった。
瞬きさえ冗長に感じられる紅い軌跡。
直感でそれに飛び込んだのは、カヨコだった。
刀を鞘ごと胸の前に構え、爪を受ける。
確実に命取りになるあの爪から自分と仲間を守る為の唯一の方法。
実際、彼女の選択にミスはない。
一か八かで突き出した刀は確かに爪を迎え撃った。
「…ぁ」
爪と金属のぶつかる高音、そして、鈍い肉を裂く音と共に、カヨコが血溜まりに倒れた。
彼女の側に落ちるのは、二つに断たれた刀。
恐るべきかの紅い爪は鋼すら切り裂いたのだ。
「カヨコ!!」
アルの悲痛な叫びを聞きながらカヨコは歯噛みしていた。
格が違いすぎる。
最善手すら悪手に変わるほどの絶望的な差。
刃に映る自分の姿が憎らしい。
私は、私はこんなにも弱いのか。
カヨコは血が出るほどに拳を握りしめたままにその意識を手放した。
「さて、まずは1人…」
そう言って、歩き出した血染めの夜の腕にナイフが突き刺さる。
「またか。」
心底面倒そうに彼女は振り向くが、すぐにその口元は大きく吊り上がった。
「逃げた獲物が戻って来るとはな。」
「なんで戻って来てるのよ!逃げなさいよ!」
「す、すみません!それだけは…聞けません。」
ハルカは決意に満ちた顔で血染めの夜に向かい合う。
「やぁっ!」
ハルカはバットを構えて姿勢を低くし、飛び出した。
迎撃の体制を取る血染めの夜の寸前でバットを地面に振り下ろし、空中で鋭く一回転する。
振るわれた紅い爪が頭のすぐ下を通り抜けた。
いかに速かろうが、座標が合わねば当たりはしない。
そのまま渾身の力で血染めの夜の脳天を打つ。
「…ッ」
「...貴様。」
油断し切っていたとはいえ、遥か格下からの思わぬ被弾。
プライドを傷つけられた絶対強者は、鬱陶しい虫を叩き潰すような、怒りに任せた反撃をした。
振るわれた鋭利な五本の刃が、大根でも切るようにバットを両断し、ハルカの腕を切り裂く。
「っッ!」
ハルカは目尻に涙を溜めながらも、奥歯を食いしばり激痛に耐える。
本来であれば、腕が落ちるところだが、生来の頑強さ故か、その二つの腕は肉が抉れ、白い骨が見えながらも健在だった。
怒りで沸騰していた血染めの夜の思考は追撃の判断を下す前にアスファルトの地面と金属のぶつかった高い音で急速に冷えていく。
目線を落とすと、黒光りする3個の球体。
ハルカはその場から大きく飛び退いた。
閃光、爆炎。
火柱が天を衝くように伸びていく。
地を砕き、大気を焼く三粒の破壊。
上部に指向性を持つ至近距離特化型手榴弾。
ハルカの切り札であった。
「し、死にましたか…?」
ありったけの火薬を詰め込んだ一品だ。
これで死んでくれ。
ハルカは祈るような独白をする。
炎の中から、鬼が姿を現した。
全身に火傷を負い、チリチリと髪を焦がして
多少ふらついているものの、活動に支障が出るほどの重い負傷は見られない。
それどころか赤く光る目には、先程にも増して純然たる殺意が籠っていた。
空気が鉛に変わったかのような重圧に虫が這い上がってくるような悍ましさが合わさった奇怪な感情が場を支配する。
その場の誰も動けはしなかった。
ただ、一人を除いては。
「…?」
血染めの夜は唐突に腹部に生じた熱を感じて視線を向ける。
そこには深々と『黒い剣』が刺さっていた。
疑問に思う間もなく、直後に叩き込まれた強烈な蹴りで地面に打ち付けられる。
それによって、血染めの夜は自分を突き刺したものを見上げる形になった。
そこに立っていたのは、のっぺりとした黒い仮面に黒いスーツの男。
「誰だ...?お前は?」
「…死ね。」
男の剣が心臓に突き立てられる。
大きく身を捩った後、雪が溶けるように血染めの夜の体は赤黒い液体へと変わっていった。
「…また分身かよ。」
ローランは舌打ちして赤黒い液体を蹴飛ばした。
そして、アル達の方へと向き直り近づく。
「あ、せ、先生?」
「久しぶ…」
「いったぁ!?」
ローランはアルに拳骨を落とした。
悶えて転がり回っているアルを見て逃げようとしたムツキにも同じように拳骨を落とす。
HP*2薬を飲み、意識を取り戻していたカヨコ、そして腕をだらんと下げたハルカは訳が分からないといった顔でそれを見ていた。
「お前らなぁ…身の丈に合わないことには首突っ込むなって言ったよな?」
「俺がたまたま通りかからなかったらどうするつもりだっ…」
「あがっ!?」
突然、猛ダッシュで走ってきた銀髪の女性がローランをぶん殴った。
「一人で突っ込むなって言いましたよね!?」
「痛ぇ…今回は仕方な…」
「ぐぁっ…また殴りやがったな!?」
銀髪の女性は反射的に叫び返してきたローランに一瞬驚いた顔をした後、もう一撃殴った。
「言い訳する前にごめんなさいの一つでも言ったらどうですか!」
「この野郎…!」
「マジか。都市とは思えない義理人情劇場が繰り広げられてたんだな…」
病室で椅子に腰掛けたローランはアルから聞いた経緯に呆れ半分驚き半分の返事をした。
「表現が合ってるか分かりませんけど、どこかドラマチックな出会いですね。」
銀髪の女性もとい現在ローランの相棒として動いているアンジェリカが言った。
「こんな血みどろな出会いが好みなのか?」
ローランが冗談めかしく言った途端、アンジェリカが拳を振り上げ、ローランは防御の姿勢を取る。
互いに睨み合い、有効打無しと見て、短い膠着は解かれた。
口より先に手が出るタイプなんだな…とアルはベッドに寝転んだまま思った。
「病室内ではお静かにお願い致します。
死た…患者のお身体に障りますので。」
「あぁ、悪い...今死体って言わなかったか?」
「お聴き間違いかと。」
セナと名乗った看護婦は腕をグルグル巻きにされているハルカに病院食を食べさせ始めた。
看護婦を白衣の天使などと呼称することがあるが、彼女はその無表情さを除けば正しく天使と言える献身ぶりだった。
死屍累々の四人が運び込まれた時から片時も側を離れずに消毒、包帯の交換、バイタル値のチェックを行い続けるのは並大抵のことではない。
彼女の仕事に対する信念あってのことだろう。
「申し訳ありません。料理は不得手ですので、味の保証はできかねます。」
「次回のご来院の時までには上達させておきますので。」
「お世話にならないに越したことはないんだけれど…」
「今回みたいな無謀を繰り返すのならまた世話になるかもな。」
「うぅ…耳が痛いわ。」
「だねー。」
プルルルル…と電話が鳴る。
「ローラン、呼び出しですよ。」
「分かってるよ。」
「じゃ、あんまり無茶すんなよ?」
そう言うとローランとアンジェリカは次の現場へと向かって行った。
病室が少し静かになったところで、アルは口を開く。
「ハルカ…だったわよね。」
「は、はい!ハルカです!痛っ…」
「安静にしていてください。」
アルから名前を呼ばれて飛び起きそうになったハルカをセナが抑えた。
「な、なんでしょうか?」
「本当にうちに入って大丈夫なの?」
「経営が安泰とはちょっと言えないんだけど…」
アルが言った途端、ムツキは軽く噴き出し、カヨコはやれやれと言った反応を示した。
「大丈夫です!」
「是非ともお好きに使い潰してください!アル様!」
「お側に置いてくださるのなら私はどんなことでもします!アル様のためなら私が誰だって殺しちゃいます!」
ハルカは恐ろしいことを口走りながら一点の曇りも無い笑顔をアルに向ける。
「アルちゃんの人たらしぶりもここに極まれりだよね〜」
「鈍さは一向に変わらないけどね。」
「?脳外科は専門外ですが…」
「やらなくて良いわよ!?」
また病室がわちゃわちゃと騒がしくなった。
そんな喧騒を聞きながらハルカはまた笑った。
悲鳴を上げるように走り続けた人生に意味はあったと。
私は今、確かに幸せを掴んだのだと。
あぁーん?エレナさんの生態が違うって?
ごめんね。そっちの方が話作りやすかったんだ....
御職業は?(展開の参考にするかもしないかも。)
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管理人(プロムンユーザー)
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先生(ブルアカユーザー)
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その他(どっちも知らない)