土日はアクセス稼ぎやすいのも理由でェ...
もう書き始めの頃に妙なテンションで書いた物を納品するしかなくてェ...
次が出るまでのツナギだから怒らないで欲しくてェ...
あとカニバリズム苦手な人は気をつけて欲しくてェ...
「ミートパイ」
「〜〜♪」
ご機嫌に鼻歌を歌う銀髪の女性を先頭に、4人が裏路地を歩く。
「ねぇー。ハルナー!まだ着かないのー?」
後ろを歩く赤毛の女が猫背で腕をブラブラと振りながら文句を言う。
「うふふ、ジュンコさん、何も食することだけが美食の探求ではありませんよ?」
「実際に食するまでの道のりも含めて美味しさの秘訣ですもの。」
「でも、この前の所は遠くまで行った割には微妙でしたね〜」
もう無くなりましたけど。と長身金髪のアカリがつぶやいた。
「お腹すいた〜!!」
またもや長身桃色の髪のイズミが言う。
そんな腹ぺこ御一行様はついに目当ての店に辿り着いたようだ。
「ピエールのミートパイ」
店の前には一欠片切り取った円形のパイのイラストが描かれた看板が吊り下げてある。
余分な装飾がないのは好感が持てる。
そう、ハルナは思った。
店を過度に飾るのは彼女の好むところではない。
「では、入りましょうか。」
木製のドアを開き、鈴の音と共にせわしなく、ゆったり、せかせか、ドタバタと四つの足音が店の中に転がってきた。
厨房で仕込みをしていた店主がカウンターからひょっこりと顔を出し、雪のような白肌の上に柔らかい笑顔を浮かべた。
「いらっしゃい〜」
「好きなところ座っていいわよ〜」
店主は綺麗な声で上機嫌に歌を口ずさみながら包丁を動かしている。
四つ並んだテーブルの一つに腰掛け、メニューを見る。
「ふむふむ、粗挽き混ぜ肉ソーセージ、上質ステーキ、賄いビーフシチュー...」
(なるほど、肉料理専門店なだけあって、レパートリーはかなり広いようですね?これだけあるならその日の気分に大きく左右されて中々決めかねるところですが...)
ハルナは同胞の顔を伺うように見回す。
(でも、みなさんもうお決まりみたいですね。
ジュンコさんはそっぽ向いてますし、アカリさんはメニューすら見てませんもの。
イズミさんは...アレは持ちませんね。机を齧りだす前に注文しましょうか。)
「ミートパイ四つ、お願いしますわ」
「分かったわ!」
待ってましたと言わんばかりに元気な返事をし、店主はテキパキと樽から血の滴り落ちる肉を取り出した。今朝仕入れたのだろう。
まな板の上に肉を乗せ、なんでもないように繰り出される鮮やかな包丁さばき、刻むと切る中間の動作に合わせ、まな板の上で血と残光が踊る。
顔に飛ぶ血に気も止めず、夢中で肉の下ごしらえを進めていく。
一通り加工が終わると、生地に肉を乗せ、棚の上から取った小瓶の赤黒い液体を円を描くように垂らし、上からまた生地で包んだ。
そして、それをオーブンに入れ、汗と血を拭い、一息ついた。
ボーッとオーブンを眺めた後、
店主ははっとしたように客の方を向き、「焼き上がるまで30分ぐらい待っててね!」と言った。彼女は料理に没頭するあまり客を忘れていたのかもしれない。
「素晴らしい集中力ですわね。」
「あなたの情熱、よく伝わってきますわ。」
「評価は食べてからにしてちょうだい。結局のところ食べて美味しいかどうかよ。そうでしょう?」
「ええ、おっしゃる通りですわ。」
「ところで、あなたは美食家なのかしら?」
「うふふ、そんなに大したものじゃありませんわ。それなりに食べ歩いてはいますけど。」
「あらら、そうなの。」
「ちょっと残念ね。ここ最近美食家から評価をもらってないから....」
「ま、美食狩りが来るよりは良いけど。」
「美食狩り?存じ上げないのですがどのような方達なんですか?」
「そうねぇ...よく分からないことも多いんだけど、食べにきた店を不合格だと判断したら店主もろとも店を消して帰る連中よ。」
「あ、別に料理に自信がないわけじゃないわよ?うちのミートパイは美味しいんだから!味の分からない連中だったらちょっと困るってだけよ。」
「でも、逆に言えば、その4人が来て店が残ってるなら美味しい店の証になるのでは?」
「そうかしらね?味覚なんて人それぞれだから....」
店主が黙り込む。
「どうかしましたか?」
「いや、4人なんだ。と思っただけよ。」
「私は何人って言ってないんだけど。」
店主が笑みを溢してハルナを見る。
「うふふ」
2人の女性は全く笑顔で顔を合わせていると言うのに、張り詰めた空気がその空間を果てしなく遠いものにする。
立てかけたメイスに伸ばした手が届く瞬間、あるいは店主が逆手に持ち替えた包丁を振り上げる瞬間、
チンと音が鳴り、香ばしい香りが漂ってきた。
ハルナはスッと手を戻し、テーブルの上に置いた。
それを見た店主はカツカツとヒールを鳴らしながらオーブンの方へと歩いて行き、4人分のパイを持ってきた。
出来た食事を放置するなど、この場所ではあり得ないことなのだ。
「どうぞ召し上がれ」
「いただきます♪」
運ばれたパイを齧る。
「熱っ」
いつも自分が猫舌なことをつい忘れてしまう。
だが、舌先の熱よりも味が衝撃だった。
まず最初にパイ生地だ。
畑一つ凝縮したような穀物の香りを放ち、サクサクとした生地を咀嚼するたびに口内で香りの爆弾が弾けるかのような。
その生地が作り上げた舞台の上に主演の肉が現れる。
赤身寄りでありながら心地の良い油の乗り方をしており、その身に甘辛いソースを纏い、咀嚼をメトロノームにして血と肉汁を撒き散らしながら、口内の美食公演を彩っていく。
「んー❤︎」
身震いするような幸福感を感じながら、残り香のように、あるのかないのか朧げな風味に気がついた。
「二本足100%のパイですわね。肉ジャムも見事なものですわ。」
「お見事!」
「ところで...何か隠し味を使っていらっしゃいませんか?」
「経験のない味わい、いや風味?が残っていまして...」
店主は少し考えた後、
「夢の跡。かしらねぇ。」
とだけ言って、血の付いた指輪を見せてくれた。
誰が持ち主かは、実に明白な。
「なるほど。それなら味に深みがでますわね。まるで美しい絵画に上質な詩が添えられているようですわ。」
「感謝いたしますわ。ピエールさん。良い経験をさせていただきました。」
「私もよ。美味しそうに食べてくれるとやっぱり嬉しいわね。」
「ところで...」
「貴女すっっっごく美味しそうだと思うんだけど、ダメかな?」
店主は包丁を手に持って尋常でない熱を帯びた視線をハルナに向けた。
「すごく光栄ですけれど、まだ探求が終わっていませんので、いつの日か。」
「んー。残念ねぇ。ジャックもきっと良いって言うでしょうに。」
店主は心底残念そうな顔をして肩を落としたが、直ぐに切り替えて、
店を出たハルナはすっかり夜の帷が降りた路地に吹き込む夜風を浴びる。
冷たさを含んだその風に長い銀髪を靡かせながら、彼女は充足感を感じていた。
「やはり、食するまでの道のりも美食の一部ですわね。」
「ふふふ、次が楽しみですわ。」
その一文を背負う彼女は歩きだす。
美食の探求はまだ続く。
2週間ぐらいはこのシリーズで乗り切ろうと思ってるけど(あと3話ストックがある)不評ならふっつうに消すんで正直に言ってね!
アンケも作るね!
御職業は?(展開の参考にするかもしないかも。)
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管理人(プロムンユーザー)
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先生(ブルアカユーザー)
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その他(どっちも知らない)