フィクサー事務所68   作:バラのレバー

14 / 23
おはレバー(天下無双)
奇跡的な投稿速度。
小話ならスキマ時間でサッと書けていいゾ〜これ。


「ウサギ」

「...最後までしぶとく生き残りましたね。78番。」

「貴方が残ったんですね。1865番。」

透明なガラス壁で囲まれた丸い空間の中。

二人の人物が向き合っていた。

どちらも白のミディアムに水色の目、オレンジのラインが走り、ピッチリとした黒いスーツを着た2人は体格から身長まで全てが同じだった。

双子などと言うレベルではなく、まるで鏡写しのように完全に同一な二人が向き合っていた。

「...覚えていますか?526番のことは。」

「私とは思えないほど陽気でしたね。同盟を組んでいた時は彼女によく救われました。」

()()()()()は、結局言い損ねてしまいましたが。」

78番は捨てられたおもちゃのように積み上がった自分の死体の山を一瞥し、小さくため息をついた。

「ところで、私達はどれほどの間戦っていましたか?」

「100倍加速で1週間なので大体2年ほどです。」

1865番は淡々と答える。

「思うと、我ながらよく続けられたと思います。寝込みを襲われないために死体の中で眠り、自分の肉を食べて飢えを凌ぎ、何人も何人も殺しました。心が折れそうにもなりました。狂いそうにも。」

「でも、耐えられた。私には信じる正義があったから。そうですよね?」

「ふふ、その通りですね。私は、いえ、私達は...正義の味方になりたかった。

正義なんてなにか分からなかったくせにがむしゃらに頑張って、鍛えて、この場所に来た。

それからも、戦場を這いずり回って、たくさん、たくさん殺して、ついには自分とも殺しあって...

ふふ、元々正義なんてこの都市には無かったのかもしれないのに。」

1865番はそう言って自虐的な笑みを浮かべ、

78番は黙って聞いていた。

「さて、これで最後です。悔いなく決めましょう、78番。どちらが月雪ミヤコか、いえ、どちらの月雪ミヤコが生きていくのか。」

1865番の表情が鋭くなり、逆手にナイフを構えた。

「行きます。」

1865番が姿勢を落とし、素早く突進する。

頸動脈を狙った逆手の振り抜き。

しかし、78番は身を翻してそれを躱す。

「もらった!」

78番は両手でナイフを握り込み、隙をさらした1865番に振り下ろすが、1865番はあえて崩れ落ちるように姿勢を沈めると、着いた片手を軸として独楽のように回転を加えた回し蹴りでナイフを蹴飛ばした。

「あっ!」

78番が消えたナイフに視線を奪われた一瞬、凶刃が鈍く光った。

咄嗟に身を捩ったものの、そのナイフは深々と左肩を貫いた。

「うっ...!」

そして、78番はそのまま床に押し倒された。

焼かれるような熱と共に傷口からどくどくと血が流れ出ていく。

身を捩って必死に逃れようとするものの、ナイフの背に付けられた返しがそれを許さない。

「ごめんなさい。」

馬乗りになった1865番は抉るように刃を捻り、引き抜いた。

「なぁああっ……!」

78番の口から声にならない激痛が漏れる。

「苦しませてしまってごめんなさい。せめて、心臓を一突きにして終わらせます。」

1865番が機械的にナイフを振り下ろした。

可能な限り苦痛を与えないための真っ直ぐな軌跡は吸い込まれるように心臓に向かい、78番の命を終わらせる...はずだった。

「ゴホッ...」

1865番が突然ナイフを止め、口から血を吐きだした。

彼女が驚いた表情で視線を落とすと、自分の左胸に何か白くて鋭いものが突き刺さっていることに気がついた。

「これは...」

1865番の体がぐらりと揺れ、糸の切れた人形のように後ろに倒れ込む。

背を着いた衝撃で手からナイフが零れ落ち、息が荒くなる。

膨らんだ肺で胸が浮き上がるごとに血が噴水のように溢れ、みるみるうちに床を赤く染めあげた。

疑いもなく致命傷であった。

「勝っていたのは...貴方でした。」

78番が肩を押さえながらふらりと立ち上がった。

耐え難い激痛に立つのも辛いはずの彼女は、それでも1865番へ懸命に言葉を紡ぐ。

「あなたのナイフが左肩に刺さったのはただの偶然です。私が526番の骨を持っていたのも...」

「あぁ...なるほど...彼女の。」

1865番は胸に突き刺さった骨を見て弱々しく笑った。

その目は既に霞み、声もか細くなっている。

「それでも...勝ったのはあなたです。」

「それはきっと偶然じゃない。ミョ先輩にも聞いたでしょう?」

「強い者が生き残るのではなく、生き残った者が強いのだと。」

「誇ってください。月雪ミヤコ。あなたは強い。」

「そして...叶うなら...どうか...」

「あなたの正義が見つかりますように。」

消え入る声を一言も逃さず聞き、光を失っていく水色の瞳を月雪ミヤコはいつまでも見つめていた。

目の前の自分が懸命に絞り出した激励(呪い)の重みを胸の奥にしまい込み、軍人らしく敬礼する。

「ありがとうございました。」

二人に感謝を告げ、彼女は孵化場を後にする。

久方ぶりに血の匂いのしない外界の空気を吸った途端、懐かしい声がした。

「よしっ!78番だ!モエ!約束通り昼飯を奢ってもらうからな!」

「う〜〜〜ん...読みを外したかぁ...」

「ふ、2人とも...ミヤコちゃんのことも考えないと...」

「もう、()()()()()()()()()。皆さんは。」

そう言って、二年ぶりに会った3人にミヤコが笑いかけると、サキとモエは驚いて顔を見合せ、大声で笑った。

「あはははっ!モエ聞いたか今の!?」

「ひゃひゃひゃ...!ヒーッ...!ヒーッ...!あ゛ーっ、待って、もう無理!ミヤコが冗談言うとかレア過ぎて...」

笑い転げる2人をスルーし、ミヤコはミユに聞く。

「ミユ、次の任務はいつですか?」

「あ、えーと...この後です。」

「ええ...早くシャワーを浴びたいのですけど...」

「私達死臭まみれだもんね〜」

「幸い簡単な任務だ。すぐに片付けて祝杯というのも悪くないな!」

「まぁ、仕方ないですね...」

その後、ミヤコは治療を受け、出撃の準備を進める。

ウサギを模したヘルメットを被り、両手に握るのは自動小銃とナイフ。

「さてと。」

彼女は空間転移装置の前で振り返り、うずうずして号令を待つウサギの群れに向かって言い放った。

「初仕事ですよ。新しいウサギの皆さん。一欠片も残さず草を食みに行きましょう。」




評価を...評価をつけてくれ...めっちゃやる気出るから...!
あとお気に入りも!
あっ、あともし良かったら感想欄にブルアカ×プロムンの面白そうなネタ書いてください。書けそうだったら書くので。
本編書けないからって時間稼ぎするな...?チガウチガウ(目逸らし)

御職業は?(展開の参考にするかもしないかも。)

  • 管理人(プロムンユーザー)
  • 先生(ブルアカユーザー)
  • その他(どっちも知らない)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。