書き方わがんなぐなっだ。
煙草に火を付ける。
吸いこんだ香りが鉄の味を和らげ、吐いた煙が屍山血河を覆う。
血濡れた裏路地の一角、冷えた月の下に描かれた惨景の中にカヨコは佇んでいた。
彼女の足元には、討伐対象だった組織員達の死体が転がっている。
中途半端に繋がった胴と腰、引きずったような地面の血痕。
剣技による即死でなく、じわじわと失血死したことが見て取れる有り様。
得物がなまくらか、それとも太刀筋が迷ったか。
「はぁ」
煙を纏ったため息が溢れる。
ゆっくりと宙を漂うその中を、突然銀色の光が通り抜けた。
常人なら反応すらできない速度の抜刀は灰色の煙をちぎり飛ばし、夜の闇へと消し去った。
「はぁ...」
目を閉じ、彼女は一層大きくため息を吐いた。
「煙も...切れなくなったか」
苦々しく言葉を絞り出した彼女の目元には真っ黒なクマが鎮座していた。
もう何日もろくに寝れていないようだ。
「こんなのじゃ...足りないのに、あの子達を守るには全然...足りないのに」
疲労と焦燥感の板挟みになったカヨコは幽鬼のような足取りで路地を歩いて行く。
その姿が一瞬、煙のようにぼやけて見えた。
あの子と出会った日のことは、ずっと忘れないだろう。
黒く閉ざされた私の生に光が差し込んだ日。
そして、私の刃が鈍った日。
黒雲を抜けた私は生まれ変わろうとした。
刀の振り方、所作、考え方。
心に積もってた埃をはたいて、ゴミ箱に投げ捨てた。
血みどろの剣客としての私ではなく、あの夢見がちで正直な代表の下で歩くフィクサーとして在るために。
返り血の代わりに、負う傷が増えた。
指示を飛ばす代わりに、飛ばされることが増えた。
刀を研ぐ時間より、帳簿をつける時間が増えた。
どれも、心地よかった。
私が私として居られる場所を手に入れた幸せに浮ついていた。
それが薄氷の上に成り立っていることも忘れて。
あの日。
血染めの夜と遭遇した日。
私は何も出来なかった。
血鬼の分身を打ち倒すどころか、仲間を逃がす時間すら稼げず意識を失い、たまたま通りかかったあの子の師匠に助けてもらっただけ。
最悪だよ。本当に。
私はあの時生きようとしていた。
命なんてすぐに吹き飛ぶ戦場で、日常を生きたいと思ってしまった。
だから食いしばることもできずに意識を手放した。
覚悟が、足りていなかったから。
あの子が施術を受けに行った。
室長と新入りは何やら機材を弄り始めた。
みんな、変わろうとしているのだろう。
私も、変わらなければ。
強くならなければ、腕をもがれても、脚を砕かれても動き続ける決意を手に入れなければ。
ハナ協会の公開依頼を片っ端から受けて、手頃な組織を片っ端から潰して回った。
血の雨を浴び、死体の山を築き、刃を研がないと。
刀を振るほど、傷を負うほど、私を駆り立てるものが足りないと叫び続ける。
もっと強くならないと。
もっと、もっと、もっと、もっと、あの子達を守れるように!
気が付けば、私は事務所の前まで戻って来ていた。
頭がぼんやりしていて、どうやって帰ってきたのか思い出せない。
頬から血が滴る。
痛みはない、返り血だろうか。
知らないうちに寄り道をして来たようだ。
疲れた体で倒れかかるようにドアノブを傾けた時、違和感を感じた。
ドアノブが、動かない。
「...?」
見れば事務所の電気も消えている。
中に、誰の気配も感じない。
「ムツキ、居る?」
背筋に冷たいものが走りながら、私はドアをノックした。
返事は、帰ってこない。
もう一度、ドアノブを傾ける。
やはり、鍵がかかっている。
「はぁ...普通こんな時間に事務所を無人にすることある?今、何時だと...」
遅くなっていた頭の回転が急激に早くなり、今の状況を理解する。
今は深夜。
そして私は、
すぐにドアを蹴破ろうとした瞬間、腕時計がアラームを鳴らした。
ドアに当たる寸前の脚を止め、ゆっくりと首を回す。
現在時刻、午前3時13分。
「...まずい」
どこからか、不気味な水音がし始める。
ゴボゴボとストローに息を吹き込むような奇妙な音が。
荒々しくアスファルトを踏む足音が満ちていく。
尾を引く真っ赤な瞳が増えていく。
雪崩のように、掃除屋達がやってくる。
裏路地に夜を引き連れて。
モチベ回復頑張ります。
御職業は?(展開の参考にするかもしないかも。)
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管理人(プロムンユーザー)
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先生(ブルアカユーザー)
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その他(どっちも知らない)