幻影の狂剣士   作:izuki

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第二話 攻略会議  

 デスゲームが始まって1か月ほどたった。

 案の定、未だ第一層の攻略すらも終わっていない。

 そしてその間に多くの人が死んだのだろう。

 何人かは迷宮区で死にそうになってたところを助けてやったりはしたけど。

 それでもほんの数人程度だ。

 そして明日、《トールバーナ》と言う街で第一層攻略のための会議が行われる事になったというのを聞いた。

 正直あんまり興味はなかったが一応参加することにした。

 だってこれから起こることの内容とか全部知ってるしな。

 ちなみに今の俺のステータスは主にAGIに振っている今のところはこれでいい。

 後武器は曲刀のクエストがあったのでそれをこなしそれなりに良い刀を手に入れた。

 さて、今日は道中のmobを狩りながらトールバーナに向かうとしよう。

 

~~~~~~~

 

 翌日、俺は会議がおこなわれるというトールバーナの劇場に来ていた。

 俺が来た頃には既に多くのプレイヤーが集まり、会議の開始を待っていた。

 だが、これでも少ない方だったはず。

 

(確か、1パーティーにつき組める人数は6人、フロアボス攻略なら6人パーティーを8つ用意したレイドパーティーを組まないといけないはず。それに、フロアボスを死人0でクリアするなら、そのレイドパーティーが2つは必要なんだっけ)

 

 ここにいる人数は40人ほど。

 レイドパーティー1つもつくれない。

 とりあえず、周りに人のいないところに座り開始の時間まで待つことにする。

 しばらくするとステージに青髪の男、ディアベルが出てきた。

 

「はーい!そろそろ始めさせてもらいます!」

「今日は、俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!俺はディアベル。職業は、気持ち的にナイトやってます!」

 

 周りから笑い声やヤジを飛ばす声が聞こえ、ピリピリした空気が少しばかり和んだ。

 彼なりに、会場の空気を和ませようとした発言で、狙いどうりにいったようだ。

 

「今日、俺たちのパーティーが迷宮区の最上階で、ボスの部屋を発見した」

 

 その言葉に、会場のプレイヤーたちが息を吞んだ。

 

「俺たちはボスを倒し、第2層に進む。そして、≪はじまりの町≫で待ってる皆にこのゲームがクリアできるってことを伝えるべきなんだ。それが、ここにいる俺たちの義務なんだ!そうだろみんな‼︎」

 

 ディアベルの言葉に皆賛同するかのように拍手が起こった。

 その時。

 

「ちょお待たんか!!」

 

 イガイガ頭の関西弁男は叫びそのままステージに上がった。

 

「ワイは《キバオウ》ってゆうもんや。ワイが言いたいんはな、こん中に詫び入れなきゃあかん奴がおるっちゅうことや」

「キバオウさん、詫びと言うのは誰にだい?」

「決まっとるやろ!死んでった2000人にや!それもこれも、全部β上がり共の所為や!」

 

 その発言に、何人かのプレイヤーが反応した。

 

「β上がり共は、自分らだけうまい狩り場やボロいクエストでかっぼり儲けとる。そんでもって、9000人のビギナーは知らんぷりや。あいつらがはなから情報やアイテム、金を分けとったら2000人は死なんかったし、今頃、2層、3層、突破できとったはずや!せやから、ため込んだ金とアイテム、全部出して謝罪と賠償せい!」

 

 キバオウの発言に、広場に居たプレイヤーから何人か賛同する声が上がる。

 案の定キバオウははβテスターのことを糾弾し、さらには罵りさらにはアイテムと金を出せと言ってきた。

 こいつはβテスターのことを目の敵にし過ぎだ。

 持ってるアイテムやコルを全部出して賠償しろ、そんなことをしたら元βテスターは弱くなり、死ぬ奴が出てくるだろう、そんなことをしてこいつは責任が取れないだろう。

 何なら他のβテスターに恨まれて殺されてもおかしくない。

 ほとほと呆れる。

 

「発言いいか?」

 

 手を上げて斧を背負った黒人の大男、エギルは立ち上がるとキバオウの前に移動した。

 

「俺の名はエギルだ。キバオウさん、金やアイテムはともかく、情報ならあった」

 

 そう言い、エギルは手の平サイズのハンドブックを出す。

 

「コイツだ。このガイドブックは道具屋で無料配布されていたやつだ。新しい村や町に行くと必ず置いてあった。情報が早すぎるとは思わないか?」

「だ、だからなんや!!」

「俺は、コイツに載ってるモンスターやマップのデータを提供したのは、元βテスター以外にあり得ないと思ってる」

「だ、だけど、死んだ2000人の中には他のMMOじゃトップ張っとるベテランも居ったんやぞ!それは、どう説明するんや!」

「ベテランだったからこそ死んだんだろう。SAOを他のMMOと同じように計り、引き際を誤った。だが、今はそのことを追及する暇は無いと俺は思うんだが?」

 

 そう言われるとキバオウは納得がいかないような顔をしながら元座っていたところまで戻った。

 そんな中、ディアベルは手を叩いて、仕切りなおす。

 

「まあそこまでにしよう。今は第1層のボス攻略会議が先だ。それじゃあ、改めて攻略会議を始める!」

「とりあえずまず、6人のパーティーを組んでくれ」

 

 周りのプレイヤーたちはパーティーを作り始める。

 さて、どうするか。

 このまま、ソロでも別に俺は問題ないんだが。

 一応パーティを組んだ方が良いのか?

 まあ最悪、攻略に参加しなければいいし。

 

「なあ、あんた」

 

 俺が考えていると黒髪の少し女顔の少年……キリトが話しかけてきた。

 

「あんたも溢れたのか?よかったら今回だけの暫定でいいからパーティ組まないか?」

「あっちのフード付きのローブを羽織った子も一緒だけど」

 

 ちょうどいい、キリトとアスナとの関わりもできるしボス攻略の参加もできる。

 乗らせてもらおう

 

「……ああ、よろしく」

 

 パーティを組むと、俺のHPゲージの下に新たに2つのHPゲージ、そして《Kirito》と《Asuna》の2つの名前が表示された。

 その後はボスの情報を確認した。

 ボスの名前は《イルファング・ザ・コボルトロード》。それと《ルイン・コボルトセンチネル》という取り巻きがいる。ボスの武器は斧とバックラー。4段あるHPバーの最後の1段が赤くなると曲刀カテゴリのタルワールに武器を持ち替え、攻撃パターンも変わるということ。

 それを確認すると最後にアイテム分配についてと明日の集合時間を確認してその場は解散した。

 

 

 その日の夜攻略会議にいた者達は町の噴水広場に集まっていた。

 英気を養う為、明日のボス戦へと意気を高める為、あるいは自分の生を実感する為か、人によって違うだろうが今だけは諍いはなかった。

 広場の中心ではディアベルとキバオウが腕を互いに組みながら盃を傾けている。

 そんな中、広場から離れた路地の段差に座る姿が1つ。

 そのプレイヤーは1人、フードを被ったままパンをかじっていた。

 それはかなり硬く、味気のなくとても美味しいとは言えない。

 

「結構、美味いよなそれ」

 

 すると、黒髪の少年、キリトがその人物に話しかけた。

 

「隣、座ってもいいか?」

 

 キリトの問いにフードのプレイヤー、アスナは無言で頷いた。

 キリトは、彼女の隣に腰掛け、やはり同じパンをかじり始めた。

 

「本当に美味しいと思ってる?」

「もちろん、この街に来てから1日1回は食べてるよ。まぁ、ちょっと工夫はするけど」

 と言って、キリトは小瓶を置き言った。

「そのパンに使ってみろよ」

 

 そう言われ、小瓶に触れる。

 すると指先に青いエフェクトが発生した。

 そして、自分の持っていたパンを指でなぞると、何もなかったパンの上に乳発色の物体が現れた。

 

「クリーム?」

 

 そう呟いて、隣を見るとキリトもまた同じようにパンにクリームを塗り食べていた。

 小瓶は役目を果たした為か、ポリゴンのの結晶となり消えた。

 アスナはパンにクリームをつけて齧り付く。

 すると、何の味もなかったパンから甘みが口の中に広がる。

 この世界に来るまでは当たり前だったもの、しかしここ数日は感じることのできなかった甘味というものに懐かしさを覚えつつ、気づけば夢中なって食べていた。

 そんな様子を見て笑みをこぼしキリトは言った。

 

「一個前の村で受けられる《逆襲の雌牛》ってクエスト。やるならコツ教えるよ」

 

 今回限りのパーティーではあるが何かのきっかけになればと思い、話しかけたキリト。

 しかし、そんな相手から返ってきた言葉は平坦なものだった。

 

「美味しいものを食べるために、私はこの村まで来たわけじゃない」

「じゃあ、何のため?」

「私が私でいるため。最初の街の宿屋に閉じこもって、ゆっくり腐っていくくらいなら、最後の瞬間まで自分のままでいたい。たとえ怪物に負けて死んでも。このゲーム、この世界には負けたくない」

 

 そう言うパーティメンバーをキリトはただ黙って見ていた。

 そして、持っていたパンを口の中に放り込むと

 

「パーティメンバーには死なれたくないな。せめて明日はやめてくれ」

 

 そう言ったキリトの言葉に続いて背後から声が聞こえてきた。

 

「ああ、全くだ」

 

 2人は慌てて振り向く。

 するとそこにいたのは、先ほどの会議にて同じように溢れていたもう一人のパーティーメンバーがいた。

 

「……驚かせたんなら悪い。たまたまここを通った時に見かけたんでね。」

 

 そう言って不敵な笑みを浮かべフードを被った自身のパーティメンバーを見る。

 しかし、当の本人はこの状況に未だ困惑しているようだった。

 そういえば紹介していなかった。

 

「えーと、明日のボス攻略で一緒に戦うことになった俺達のパーティメンバーの―」

「シキだ、……よろしく」

 

 そう挨拶をするシキに対して、無言で頷くだけだった。

 一方でアスナは今一度突然現れた彼を見る。

 身長は170㎝くらいだろうか、色白の肌で髪は黒く、少し伸ばしている後ろ髪を一つにまとめている。顔はぱっと見だと女の子に見えてしまうが……どうやら男の人みたい。

 年上だろうか?

 

「………なんだよ」

「あ!い、いや…」

 

 じろじろ見ていること気づかれてしまった。

 

「…………まあいいけど、お前、死ぬのは勝手だが俺の前では死ぬなよ。…後味が悪くなる」

 

 そう言うと彼はその身を翻してこの場から去った。

 

「……なんなの、あの人」

「……悪い奴ではないと思うんだが…」

 

 しばらくの間、彼が去っていった場所を見ていた。

リメイクするって言ったらどうします?(ストーリーは基本変わらない)

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