翌日、俺たちは集合時間に劇場に集まった後、迷宮区に続く森フィールドをディアベルを先頭にして進んでいた。
最後尾は俺たちのパーティーだ。
「確認しておくぞ、あぶれ組の俺たちの担当はルイン・コボルト・センチネルっていうボスの取り巻きだ」
俺とアスナは頷く。
「俺かシキが奴らのボールアックスをソードスキルで跳ね上げさせるから、すかさずスイッチして飛び込んでくれ」
「スイッチって?」
「もしかして、パーティ組むのこれが初めてなのか?」
その言葉にアスナが頷く。
それを見たキリトは顔を固まらせたと思うと肩を落とした。
それを見かねた俺が説明をする。
「……俺たちが敵の攻撃を弾いたら敵は体勢を崩すはずだ、お前ががその隙を狙って攻撃すれば良い」
「わかった」
その後は迷宮区に到着しボス部屋へ進む中で襲ってきたmobをスイッチの練習がてら倒しならついにボス部屋の前にたどり着いた。
リーダーのディアベルが扉の前に立ち、皆に向かって言った。
「聞いてくれ皆んな。俺から言うことはたった1つだ。勝とうぜ!!」
その言葉に全員が頷き、気を引き締める。
「行くぞ!」
そう声を上げると、ディアベルは扉を置く。
ギィィと不快な音を立てて扉が開かれる。
真っ暗な部屋の奥、そこには巨大な体をしたモンスター、第一層のボス
イルファング・ザ・コボルトロードが鎮座していた。
全員が部屋に入ると、突然視界が明るくなる。
そして、イルファング・ザ・コボルトロードが高く飛び目の前に現れた。
その周りには取り巻きであるルイン・コボルト・センチネルが現れこちらに向かってくる。
「戦闘開始!」
ディアベルの掛け声とともに、ボス戦が始まった。
戦闘を始めて数分ディアベルの指示のもとボス戦は順調に進んでいる。
今のところ死者は出ていない。
「スイッチ!」
キリトの掛け声に、アスナがソードスキルを発動させ、コボルドの鎧の隙間をリニア―で貫いた。そのまま、コボルドはポリゴンとなって、消滅した。
相変わらず彼女の剣は正確でそれでいて早い。
キリトも元βテスターなだけあって立ち回りがしっかりしている。
俺は魔眼を使わずに相手をしている。
そんなことを思っていると、ボスのイルファング・ザ・コボルトロードが雄叫びをあげた。
奴の最後のHPゲージがレッドゾーンに到達したことを示していた。
ボスは手にしていた巨大な斧と盾を投げ捨てる。
(来る)
「下がれ!俺が出る!」
そう言って、指揮をしていたディアベルが声を上げ、前に出て剣を構える。
ボスが腰の武器を引き抜いた。
それは事前情報のタルワールではなく、野太刀という刀だった。
「駄目だ!全力で後ろに跳べ‼︎」
キリトが叫ぶ。
だがもう遅いディアベルはソードスキルを発動させており動けない。
その瞬間全力で走り出す。
ノダチを構えたボスは高く跳躍すると、ディアベルへ狙いをさだめ猛スピードで柱から四方八方に飛び移り勢いをつけて斬りかかる。
走り出した俺はそのままディアベルへ一直線に向かいノダチがディアベルに当たる前に何とか横から割り込み体当たりの要領でそのまま横に飛びながら倒れこみ何とか回避することに成功した。
「ディアベルはん!」
「だ、大丈夫だ」
それを聞いたプレイヤー達は安堵するが、リーダーであるディアベルが離れたことで隊列が少し乱れておどおどしながら戦闘をしていた。
「ディアベルさん!」
俺とディアベルが端に避けているとキリトがここまで来た。
そしてそのまま質問をする。
「何故、一人で?」
その質問にディアベルは答えた。
「君も、ベータテスターなら分かるだろう?」
その言葉にキリトはハッと息を飲む。
ディアベルの意図がその一言で分かったからだ。
「ラストアタックによる、レアアイテム狙い。お前もβテスターだったのか?」
「すまない、そして頼む…!ボスを倒してくれ。みんなの為に!」
「――――ああ!」
そう答えるとキリトはボスを見て剣を構えなおす。
「私も。」
隣にアスナが並びともに行くと言う。
俺も無言で反対側に並ぶ。
出し惜しみはしない、確実に殺す。
俺は瞼を閉じて再び開く。
そしてその眼で視る。
見えるあいつの死が。
「行くぞ!」
キリトのその一言で俺たちは走り出す。
「手順はセンチネルと同じだ!」
「分かった!」
「了解だ!」
ボスの野太刀が光を帯び、キリトに向かって放たれる。
それをキリトもまたソードスキルにより弾く。
それによりボスの体勢が崩れる。
「スイッチ!!」
キリトの声にアスナがボスに攻撃を仕掛ける。
すると、ボスの目が見開き、崩れた体勢でなお攻撃をしかけてきた。
剣と剣がぶつかり弾ける。
そこに俺が飛び出し、刀を振る。
ボスはノダチを盾代わりにして防ごうとするが無駄だ。
俺はすぐに刀の軌道を変えノダチの死の線をなぞり斬る。
次の瞬間ノダチは砕け散った。
「スイッチ!」
そう言って後ろに下がる。
アスナが物凄い速さで突っ込んでいく。
その時アスナがかぶっていたフードが外れた。
気にせず突っ込みボスにソードスキルを繰り出す。
HPはもうミリだ、後一撃で終わる。
「スイッチ!」
それが聞こえた瞬間アスナは後ろに下がりキリトがソードスキルを発動し突っ込んでいく。
「うおぉーーーーー!!!」
キリトが飛びあがりその剣がボスの体を両断する。
弾き飛ばされたボスは眩いほどの光を放ち、消滅した。
ボス部屋を静寂が包む。
しかし、それもつかの間だった。
「や、「「「やったーーーー!!!」」」
誰かの声につられるように全員が歓喜の声をあげた。
上空には《Congratulations!!》の文字が浮かび上がる。
ああ、終わったか。
俺は力を抜き、眼を戻す。
俺はキリトに近づき言う。
「……お疲れさん」
するとアスナとエギル、ディアベルが近づいてきて労いの言葉をかける。
「お疲れ様。」
「見事な剣技だった。Congratulations!!」
そんな時だった。
「なんでや‼︎」
突如上がった大声で歓声はかき消され、ボス部屋は再び静寂に包まれる。
声の主は、キバオウだ。
「なんでディアベルはんのことを見殺しにしようとしたんや!」
「見殺しだって?」
何のことかわからず、キリトは尋ね返した。
「そうや!自分はボスの使う技知っとったやないか!最初っからあの情報伝えとったら、ディアベルはんも危険な目に遭わずに済んだんや!」
「きっとあいつらも元βテスターだ!だからボスの攻撃パターンも全部知ってたんだ。知ってて隠してたんだ!他にもいるんだろ。βテスター共、出てこいよ!」
「待ってくれ2人とも。彼は俺を助けてくれたんだ。それなのに彼を責めるのは間違ってる」
「ディアベルはんは黙っといてくれ!」
「そうだ!お前を助けたのだって、あいつが信用を得る為の演技だって可能性もあるだろ!」
さて、どうするか。
こうなることは分かってはいたがいざこうなると面倒くさい。
今こいつらに何を言っても無駄だろう。
この手の奴らは何を言っても聞かないもんだ。
どうするか。と俺が考えていると。
キリトが突然笑い出した。
「元ベータテスターだって?俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな。」
「な、なんやと!」
「SAOのβテストに当選した1000人の内のほとんどはレベリングの仕方も知らない初心者だったよ。」
キバオウに近づきながらキリトは続ける。
「今のあんたら方がまだマシさ。でも俺はあんな奴らとは違う。俺はβテスト中に他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスの刀スキルを知っていたのは、ずっと上の層で刀を使うモンスターと散々戦ったからだ。」
そして、キリトは言う。
「他に色々知っているぜ。情報屋なんか問題にならないくらいな。」
そう言い放ったキリトに罵声が飛び交う。
その中で聞き覚えのある単語が聞こえた。
ベータテスターのチーターだから《ビーター》だ。と。
「《ビーター》、いい呼び名だな、それ。そうだ、俺はビーターだ。これからは元テスター達と一緒にしないでもらおうか。」
キリトはウィンドウを操作しラストアタックボーナスの《コート・オブ・ミッドナイト》と言う黒のロングコートを身に纏う。
(ああ、結局こうなってしまうか……ならせめてこれから起こることは…)
「第2層の転移門は俺が有効化アクティベートしといてやるよ。町までフィールドを少し歩くからな。初見のModに殺される覚悟があるなら、ついてきてもいいぜ」
そう言ってキリトは踵を返して、第2層へ続く階段へと向かう。
「……良いのか?」
俺はすれ違いざまに聞く。
キリトは足を止め「ああ」と答える。
「お前が決めたことだこれ以上は言わない。だが……そこから先は地獄だぞ」
キリトはそのまま通り過ぎ階段を上っていく。
俺はキリトとは反対方向に向けて歩き出した。
リメイクするって言ったらどうします?(ストーリーは基本変わらない)
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して欲しい
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しなくていい