「《幻影の剣士》?」
俺はその日、迷宮区の帰りに秋水を研ぎに出すために行きつけの鍛冶屋に来ていた。
そこの店主が急に《幻影の剣士》について知ってる?と聞いてきたのだ。
「なんだそれ」
「やっぱり知らないんだ、あなたの二つ名だよ」
少しメイド服に似た服を着た綺麗なグレージュカラーの髪の店主、”レイン”がそう言ってくる。
「へぇ」
「『戦場で数多の敵を一瞬にして斬り伏せる。だが、誰もその瞬間を見た者がいない。気づけば相手が倒れており、刀はすでに鞘に納まっている。その異様な戦いぶりから、人はこう呼だ。──《幻影の剣士》と』だって」
ポエムじみた文章を読み上げながら、新聞を見せてくる。
「……へえ」
「興味なさそうだね」
「……どうでもいいからな」
新聞の見出しには、幻影の剣士のこと、55層のフィールドボスを俺一人で撃破したことやどうやって一撃で倒したのかということが書かれていた。
「随分有名になったね♪」
にやにやした表情でこちらを見てくるレイン。
「……それより早く研いでくれ」
「はいはい。じゃあちょっと待っててね」
そう言って俺から秋水を受け取ったレインは鍛冶場に入っていった。
数分後レインが鍛冶場から出てきた。
「はい、終わったよ」
「ありがと」
秋水を抜き刀身を見る。
うん。相変わらずいい仕事をする。
「……じゃ」
「またね」
「………何やってんだこいつら」
俺がこんなことを言うのも無理はないと思う。
何故かというと。
「Z~Z~Z~」
「スゥ~スゥ~」
59層の転移門の周りには広場を取り囲む小さな丘がある。
俺が今日ここに来たらその小さな丘の上で黒の剣士ことキリトと血盟騎士団副団長アスナが二人して気持ち良さそうに寝ていたからだ。
俺が知っている限りこいつらが仲がいいなんて聞いたことがない。
何なら55層のフィールドボス攻略会議と56層のボス攻略会議で意見が対立したって聞いたんだがな。
まあそんなことはいい問題は”ここで寝ていること”だ。
《圏内》において、プレイヤーは他のプレイヤーにダメージを与えることは基本的にできない。
どんなにプレイヤーにソードスキルを叩き込もうとしてもシステムによって阻まれて終わる。
だが、デュエル中はダメージが通る。
それを利用して寝ている相手の指を動かして、《完全決着モード》のデュエルを受けさせ、一方的に殺す方法。
《睡眠PK》というのがあるためこういった場所で寝るのは危険なのである。
(まあ俺は圏外で寝たりしてるが)
「さて、どうするか」
こいつらが起きるのを待ってやる義理はないが…………
「Z~Z~Z~」
「スゥ~スゥ~」
「はぁ……」
結局俺はどちらかが起きるまで待ち、先に起きたキリトに後は任せてに57層へ向かった。
狩りの帰りに消費したアイテムを買うために街に来ていた。
(なんだ、騒がしいな)
広場の方が少しうるさい。
少し気になったため広場の方に向かうと教会の二階から剣で胸を貫かれ、首にロープを巻き付けられ吊り下げられている男の姿があった。
しばらくして男の体はポリゴン片となって消滅した。
それを見て俺は思い出した。
(圏内殺人事件か……)
圏内殺人事件はこの57主街区マーテンで起きた事件。
第59層ダナクで「睡眠PK」をガードしてくれた奢りとしてアスナとキリトは第57層マーテンにて食事をしていたが、外から悲鳴が聞こえ向かうと教会の二階から吊るされ、身体に剣がつきささったプレイヤーが発見され、死亡した。
それはカインズという元《黄金林檎》というギルドのメンバーでキリトたちはその場にいた元同じメンバーのヨルコに話を聞く。
昔、ギルドで敏捷性を上げる指輪を手に入れ、協議、結果売ることになったが売りに行ったギルドリーダーグリセルダは戻ってこなかった。
「圏内PK」の危険性を考え、調査を進めるアスナ・キリト。そこで《聖竜連合》のシュミットという売却に反対したものがあらわれた時、ヨルコがまたもや短刀で殺されてしまう。
が実際は死んでおらずこれらは全て自作自演、死んだように見せかけただけだった。
こんなことをした目的は指輪事件の犯人を見つけて追いつめるためだったはず。
ちなみにこの世界にも聖竜連合は存在する。どうゆう経緯でできたのかまでは知ないが。
(この事件、俺が介入する意味はない。するだけ無駄)
それに心底どうでもいい。
巻き込まれる前に行くとしよう。
俺はその場から離れるために歩き始める。
(ああけど、”あいつら”が来るんだったな)
これから起こることを思い出してあいつらの顔が浮かぶ。
鬱陶しいんだよなぁ。
「……消しとくか」
「確かにコイツはデッカイ獲物だ。聖竜連合の幹部様じゃないか?」
フードを被って現れた三人組を前に、麻痺状態のシュミットは死を覚悟した。
何故ならその三人組は、アインクラッド最悪のレッドギルド《
「さて、どうやって遊んだもんかね?」
「あれ、アレやろうよヘッド!『殺し合って残った奴だけ助けてやるぜゲーム‼︎』」
「そんな事言って、お前結局残った奴も殺しただろうがよ」
「あー!今それ言っちゃゲームにならないっすよヘッド!」
男の言葉は、子供のような喋り方からは想像もつかないほど、狂気に満ち溢れていた。
「さて、取り掛かるとするか」
ヘッドと呼ばれた男がシュミットの近くに歩み寄り、その手に持つ包丁のような剣を振り下ろそうとする。
「……相変わらず趣味が悪い」
途中で手を止め、声が聞こえてきた方。
斜め前にある林の方を見る。
そこから一人の人物が出てくる。
「久しぶりだな《死神》」
「その呼び方、やめろって何度言えばわかるのかな」
そこにいたのは紺色のロングコートを身を包んでいる人物、シキ。
左手には鞘に納めたままの刀を持っている。
「《ジョニー・ブラック》、《赤目のザザ》か、……暇なのお前ら」
「いいや、今回は依頼さブラザー。ここに来ればデッカイ獲物を狩れるってメールが届いたんだよ」
「なるほど」
「で、死神さまはなぜこんなところに?」
「別に、なんとなくお前らがこの層にいる気がしてね、たまにはこっちから出向いてやろうと思っただけだよ」
殺気のこもった眼で目の前の男《PoH》を視る。
PoHと他二名は警戒態勢を取る。
「わざわざ殺されに来てくれるなんてなぁ」
「冗談、死ぬのはお前らだろ」
一触即発の緊張状態。
そんな中、馬の蹄が地を蹴る音が聞こえてくる。
その音はどんどん近づきシキ達の近くまで来ると、馬が後ろ脚だけで立ち上がり、鋭く嘶いた。
騎手は、馬上から振り落とされて「いてっ!」と尻餅をついた。
レンタルが解除されたのか、馬は走り去っていく。
騎手はキリトだった。
「…よう」
「シキ、なんでお前がここに……まあいい」
キリトは、PoHの方を向き。
「よう、PoH。久しぶりだな。まだその趣味悪い格好してんのか」
「………貴様に言われたくねぇな」
挨拶代わりに、PoHを挑発するキリトに、PoHは殺意を込めて言葉を返す。
「それよりどうする?もうじき援軍が駆け付けるが、攻略組30人を相手にしてみるか?」
「……Suck」
PoHは舌打ちをし、《
「……なんだ、もう行くのか?」
「ああ、ここでお前を殺し合いたいところだが攻略組が来るってんなら話は別だ」
そう言い、PoHはジョニー・ブラックとザザに撤退の合図をし霧の中に消えた。
「……チッ」
「シキ、とりあえずありがとう。俺だけじゃ間に合わなかったもしれない」
「…そいつらのことなんて知らない。ただあいつらを始末しようと思ってよっただけだ」
「……シキはアイツらと何かあったのか?」
「……少し付き纏われてるんだ。それよりいいのかアイツら」
俺はさっきまで倒れてた3人を指差す。
キリトは、思い出したかのようにそいつらの方に行った。
俺も帰ることにした。
憂さ晴らしにボスでも殺すか。
リメイクするって言ったらどうします?(ストーリーは基本変わらない)
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して欲しい
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しなくていい