幻影の狂剣士   作:izuki

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第八話 終わりと始まり

 11月7日、第75層のボス攻略が行われた。

 ボスの名は《ザ・スカル・リーパー》。

 クオーターポイントのボスと言うこともあり苦戦したが攻略組の奮闘により勝利。

 しかし、この戦闘により、17人の死者を出してしまった。

 その後、一同は76層へと足を踏み入れたが、ここでアクシデントが発生した。

 何と76層に言ったプレイヤー達は下層に行くことができなくなってしまった。

 さらに自身の保有しているアイテムやスキルが文字化けしてしまい使い物にならなくなってしまう。

 だがメッセージは何とか送れたため76層のプレイヤー達は下層のプレイヤーに自分達が置かれている状況と76層に来ないようにメッセージ送った。

 …………というのが現在のアインクラッド現状である。

 俺、シキは今日発行された新聞の記事を読んでいた。

 

(ついにここまで来たか)

 

 数日ほど前にだい75層のボス攻略が行われた。

 原作通りの展開で進んでいき、おそらくキリトはヒースクリフと戦ったのだろう。

 そしてヒースクリフを倒したんだろう。

 だが、ゲームは、終わらずに今もなお続き76層が解放されそしてバグの様なことが起こっているようだ。

 正直この先の展開を俺はほとんど覚えていない。

 この世界に転生して17年。

 もう昔の記憶が思い出せなくなってきていた。

 

(まぁ別にいいんだけど……)

 

 さて、俺も行くようにしますか。

 76層へ。

 

 

 時は遡り75層 、ボス部屋。

 

「......この世界に来てからずっと疑問に思っていたことがあった...。あいつは今どこから俺達を観察し、世界を調整してるんだろう、ってな。でも俺は単純な心理を忘れていたよ。どんな子供でも知っていることさ、「他人のやってるRPGを傍から眺めることほどつまらないことはない」...そうだろう、《茅場 晶彦》」

 

 キリトとヒースクリフ以外の全員が絶句する。

 ヒースクリフは無表情のまま。

 

「団長……本当、なんですか......?」

 

 アスナが問いかける。

 ヒースクリフが口を開いた。

 

「...なぜ気付いたのか、参考までに教えてもらえるかな...?」

 

「最初におかしいと思ったのは、例のデュエルの時だ。最後の一瞬だけ、あんたはあまりにも速すぎたんだよ」

 

 ヒースクリフは困ったように微笑を浮かべる。

 

「やはりそうか、あれは私にとっても痛恨事だった。

 君の動きに圧倒されて、思わずシステムのオーバーアシストを使ってしまった…」

 

 ゆっくりとプレイヤーたちを見回し、静かに笑みを浮かべると……

 

「…確かに私は茅場 晶彦だ。付け加えれば、最上層で君たちを待つはずだった、このゲームの『最終ボス』でもある」

「「「「「「「なっ……!?」」」」」」」

 

 そう宣言した。

 この場にいる大半の人間が驚く、

 

「...趣味がいいとは言えないぜ。最強のプレイヤーが一転、最悪のラスボスか」

 

「中々いいシナリオだろう?盛り上がったと思うが、まさかたかが四分の三地点で看破されてしまうとはな。……まあ、この想定外の展開もネットワークRPGの醍醐味と言うべきかな」

「俺達の忠誠を……よくも……よくもーーーーーーッ!!」

 

 その時、血盟騎士団の一人がゆっくりと立ち上がると、巨大な斧槍を握り締めて、絶叫しながら地を蹴り、重武器を大きく振りかぶる。

 それよりも早く茅場は”左手”を振り、出現したウインドウを素早く操作したかと思うと、男の人の体が空中で停止して次に床に崩れ落ちた。

 ヒースクリフはそのままウインドウを操作し続ける。

 突如、力が抜け落ちたかのようにその場で崩れ落ちるアスナ。

 他のプレイヤー達も皆その場で倒れ伏す。

 特殊権限でこの部屋内のプレイヤーに麻痺をかけたのだろう。

 立っているのは、ヒースクリフとキリトのみとなった。

 

「...この場で全員殺して隠蔽する気か?」

「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ。…こうなっては致し方ない、私は最上層の紅玉宮にて、君たちの訪れを待つことにするよ。…ここまで育ててきた血盟騎士団、そして攻略組プレイヤーの諸君を、途中で放り出すのは不本意だが、何、君達の力ならきっとたどり着けるさ…だが、その前に…キリト君、君には私の正体を看破した報酬を与えなくてはな…チャンスをあげよう」

「チャンス…?」

「今この場で、君は私と1対1で戦うことができる。無論、不死属性は解除する。私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこのログアウトできる……どうかな?」

 

 その言葉を聞いたアスナは必死に彼を止めようと首を振った。

 

「……ふざけるな…」

「……え?」

「いいだろう、決着をつけよう」

「キリト君……!」

 

 アスナの悲痛な叫びは、キリトを思いとどめるのには十分だったが、キリトはその意思を曲げることは無かった。

 

「ごめんな。ここで逃げるわけには...いかないんだ......」

「死ぬつもりじゃ......ないんだよね......?」

「ああ…必ず勝つ。勝って、この世界を終わらせる」

「……わかった。信じてる」

 

 キリトは腕の中のアスナを、ゆっくりと床におろした。

 

「キリト、やめろ...!」

「キリトーーー!!」

 

 キリトは体を起こそうと必死でもがく二人に向き直った。

 

「エギル、今までのサポート、サンキューな。知ってたぜ、お前が儲けのほとんどを全部、中層ゾーンのプレイヤーの育成につぎ込んでたこと」

「...!!」

「クライン。......あの時、お前を...置いていって、悪かった。  ずっと、後悔していた」

「......!!て...てめえ!キリト!謝ってんじゃねぇ!今謝るんじゃねぇよ!!許さねぇぞ!ちゃんと向こうで、メシの一つも奢ってからじゃねぇと、絶対許さねぇからな!!」

「わかった。約束するよ。次は、向こう側でな」

 

 そしてキリトはヒースクリフの前に立つ、

 

「準備はいいかね?キリト君?」

「ああ…」

「なら、戦う前に1つだけ、私から君に言っておくことがある」

 何だ…?

「本来ならば、君の他にもう1人、私の正体に気付いていたプレイヤーがいてね、そのプレイヤーにも私と1対1の勝負をするチャンスが与えられるはずだったが…どうやら私は彼に嫌われてしまっているみたいでね。1週間前に会ったのだが、『興味ないね』と言って去ってしまったよ」

 

 キリトはヒースクリフの言葉に唖然とする、自分以外にこの男の正体に気づいていた、プレイヤーがいたということに。

 

「君も会ったことがあるだろう。《幻影の剣士》、シキ君だよ」

「な──────」

 

……………………………………………………………

 

 1週間前

「グアァァァァア!!!」

 

 彼の刀によりネームドモンスターはポリゴン片となって消滅した。

 彼は索敵で1人のプレイヤーがこちらに近づいてくるのを確認する。

 

(はぁ……面倒だな……)

「…俺に何の用だ?」

「おや、気づいていたのかね。」

 

 彼が言うと、そこに血盟騎士団の団長、ヒースクリフが現れた。

 

「初めましてというべきかな?私は──」

「必要ない。お互い知らないわけじゃないだろ」

「…ふむ、それもそうだね」

「で、俺になんか用?」

 

 シキは自分の前に現れた理由を尋ねる。

 

「単刀直入に言おう、シキ君、君が良ければ私のギルド『血盟騎士団』に入らないかな?」

「…断る」

「ほう、理由を聞いても?」

「俺はそうゆう堅苦しいのが嫌いでね。……それに俺、あんたのこと嫌いだし」

 

 シキはヒースクリフを少し睨みながら言う。

 

「随分な嫌われようだね。」

「当たり前だろ《血盟騎士団》の団長でありながら、副団長のアスナの方が最前線に出ている。それにお前の情報だけがあからさまに少なすぎるってのも不自然だ」

「ほう」

 

 ヒースクリフは目の前の彼にに興味を抱く。

 本来ならばこの後お決まりのセリフを言って去るのが、目の前の彼が発した言葉に興味深く持った。

 

「それに、本来普通のゲームだったものが一転デスゲームとなったことを知ったプレイヤーは必ずほんの少しでも感情に囚われる、…なのにお前にそんな様子はどこにもない……まるで最初からこうなることが分かっていたかのように冷静だ……一般プレイヤーに紛れるならもう少し演技をするべきだったな”茅場晶彦”」

 

 その言葉にヒースクリフは驚く。

 ここでごまかしても構わないが……いや、彼は分かっているんだろう。

 

「…まさか初めて会ったにも関わらず私の正体を看破するとは」

「……お前は他のプレイヤーと比べてあまりにも違和感がありすぎたんだよ。…確信したのはこの間の決闘(デュエル)の時だが」

 

 あれか、あれは私にとっても痛恨事だった。キリト君の動きに圧倒されて、ついシステムのオーバーアシストを使ってしまった。

 

「…なるほど、では、もし私が今ここでチャンスを与えるとしたら?」

「…チャンス?」

「そうだ、今この場で、私と君が1対1で戦うことが出来る。私には不死属性が付与されているが、無論それも解除する、もし君が私に勝てば君を含めたこのゲームのプレイヤーが全員ログアウト出来る…どうかな?」

「……興味ないね」

 

 ヒースクリフの提案に対しシキはその場から去っていった。

 

……………………………………………………………

 

「……と言うわけでね。」

「そんなことが……」

 

 シキがヒースクリフの正体に気付いていたなんて。

 

「彼のことはイレギュラーだとは思ってはいたがまさかここまでとはね」

 

 イレギュラー?……一体何のことだ?

 

「……さて、そろそろ始めようか」

「その前に…悪いが、一つだけ頼みがある。」

「何かな?」

「簡単に負けるつもりはないが、もし俺が死んだら…しばらくでいい。アスナが自殺できないように計らってほしい。」

「…良かろう。」

「キリト君、だめだよーーー!!そんなの……そんなのないよーーーーー!!!」

 

茅場晶彦はウインドウを操作すると、赤色のシステムメッセージが奴の頭上に表示された。

 

『changed into mortal object』

 

 不死属性が解除された。

 お互いに武器を取る。二人の間の緊張感が高まっていく。

 

(これはデュエルじゃない……単純な殺し合いだ。そう、俺はこの男を……)

「殺すっ……!!!」

 

 二本の剣と盾とがぶつかり激しい金属音が鳴り響く。

 かなりの速度を誇ったキリトの剣戟を全てヒースクリフは防ぐ。

 キリトはソードスキルを使っていない。

 なんせ相手はあの茅場 晶彦、このゲームを作った張本人。

 下手に使えば反撃を喰らうだろう。

 だからこそ敢えて凄まじい速度の連撃をシステムアシスト無しで繰り出している。

 一方のヒースクリフは無表情で攻撃を防ぎ続け攻撃のわずかな隙をついて

 キリトに斬りかった。

 

(弄ばれてるのか………!)

 

 キリトは二刀流27連撃奥義ソードスキル《ジ・イクリプス》を繰り出した。

 その瞬間ヒースクリフの口元が歪んだ。

 案の定ヒースクリフはその攻撃を難なく防ぎ続けた。

 キリトは最後の斬撃を終わらせるとバク宙した。

 その隙を逃さずヒースクリフは剣を動かした。

 だがその時突然ヒースクリフの腕が止まったのだ。

 ヒースクリフ自身も不審に思ったらしく手元見ていた。

 キリトが着地して2人とも同時に後ろに下がった。

 態勢を整え直してキリトが再び容赦なくヒースクリフに攻撃を仕掛けた。

 しかしヒースクリフは自分の体が思う様に動かせないのかただキリトの攻撃を防ぐしかしなかった。

 激しいキリトの攻撃の末ヒースクリフは自分の盾を体の中心から弾かれ防備な隙が生まれた。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 その隙を見逃さずキリトはヒースクリフの胸にめがけてダークリパルサーを刺しこんだ。

 キリトは気が付くとヒースクリフの姿が消えている事に気づいた。

 

「…終わった……の…か……?」

 

 突然誰かが俺の背中に抱きついてきた。

 誰がだなんて、確認するまでもない。

 

「……キリト君っ!」

「……アスナ…」

「……バカバカバカッ……グスッ……ほんとよかった……!キリト君、キリト君......!」

 

 キリトの胸に泣きつくアスナ。

 キリトはアスナに、自分は死なない、必ず帰ってくると、アスナを言いくるめた。

 その上で自分が死んだ後のアスナの安全の保証を、茅場に頼んだ。

 その時のアスナの悲痛な叫び。

 

「ごめん……アスナ……でも、生きてるよ……俺……」

「グスッ……よかった……キリト君……生きてる……本当によかった……」

「茅場……ヒースクリフは?」

「グスッ…ん……わからない…でも、団長は見あたらないよ……」

「そうか……俺はあいつを倒した……のか?」

 キリトがそう呟くと、クラインが駆け付ける。

「おい……おいおいおいっ!やったじゃねーか!!キリの字!!!」

「クライン…」

「何ボサッとしてんだ!倒したんだよ!ラスボスを!おめえは勝ったんだよっ!」

 

 その言葉に攻略組メンバー全員が歓喜する。

 

「そうか…俺はあいつを……」

「キリト君…よかった…」

「アスナ……」

 

 キリトとアスナが見つめ合う。

 

「ウオッホン、あー、お二人さん?見つめ合うのはエンディングテーマが流れてからにしてもらえませんかね?」

 

 クラインと攻略組メンバーからの言葉にキリトとアスナは顔を赤らめる。

 

「いいさ!見てろよ!俺だってリアルで彼女作って幸せになってやるからな~~!」

 

 しかしクラインはある疑問を感じた。

 

「…………ところでキリト」

「……ん?」

「……俺達いつ戻るんだ?現実によ……?」

「いつって……それは……」

 

 2人は黙ってしまう。

 ヒースクリフことは茅場晶彦は自分が負ければ、生存している全プレイヤーを開放すると言ったのだ。なのにいまだにその兆しはない。

 

「ヒースクリフは倒したんだよな?それで終わりじゃねえのか?」

「ヒースクリフ……いや茅場晶彦は自分を倒せばゲームはクリアされて全プレイヤーが解放されると間違いなく宣言した。」

「私も……そう言ってたの聞いてたよ……けど、何も起こらない……何か、嫌な感じがするね……」

「じゃあ、何で終わらないんだよ……?本当は……元に戻る方法何てないんじゃねーのか……?」

「いや……ヒースクリフ……茅場はそんな嘘をつきはしないはずだ………」

(なら……なぜクリアにならない?他に条件があるのか……?)

 

 キリトはクリアにならない原因を考える。

 

「キリト!俺達はこれからどうすりゃいいんだよ!」

「……俺にもわからない。確かなのはこのゲームは今も動き続けてるってことだけだ」

「……そんな……私たちはまだ戦わなきゃならないの……?」

「おいおい……マジかよ……」

 

 キリトの言葉を聞いた2人は落胆する、するとエギルがこちらに駆け寄ってくる。

 

「キリト!先に進む扉が開いたぞ!」

「76層へと進む扉……」

「……進むか?」

「キリト君………」

「キリト……」

「……ゲームが終わらない以上、今は先に進むしかない、か……」

 

 キリトは76層へと続く扉を見て。

 

「行こう…………76層へ」

リメイクするって言ったらどうします?(ストーリーは基本変わらない)

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