公由村長との話しが終わった後、日野は雛見沢での拠点になる古家に案内された。
「少しボロくてすまないねぇ。
なにぶん話が上がったのが急だったもんで...」
「いえいえ。
わざわざ1軒貸してもらえるなんて思わなかったです。」
(ラッキー!
変な部屋とか共同は流石にキツかったぜ。)
「鍵、鍵っと。」
公由村長は鍵を探しながら
「あぁそうだ。
中にあるものは好きに使ってもらって構わないからね。
一応生活用品は揃えておいたけどもし足りないものがあったら私のところに来てくれればできる限り用意するよ。」
「あざっす!何から何まですんません...」
「いやいや。急な依頼だったからこちらとしては来てもらっただけ有り難いんだ。
じゃあ、おやすみ。」
「はい!おやすみなさい!」
公由村長から受け取った鍵を使い古家に入る。
(うん。まぁ田舎の家ってこんな感じだよな。
ま、今日は寝て明日から活動開始としゃれこみますかね。)
朝 6月11日
「あ〜よく寝た。」
古屋の中は意外に物が充実していた。
服や食べ物、布団、小物なども暮らすには不自由しないくらいにはあった。
(高専は寮だったからな〜。
これも一人暮らしみてぇでいいな。)
今まで生きてきた生活とは違う新鮮さに楽しみを覚えた後、着替え等を済ませる。
(よし。今日はとりあえず村を回って情報集め。上手いこと進んで呪霊が居そうな場所をピックアップ出来たらしらみ潰しに回って行こう。)
今後の予想を立てながら古家を出る。
(鍵閉めてっと)
───────
少し歩いていると男の村人が見つかる。
「すんませ〜ん。
自分、呪術高専の日野祐斗って言うんですけど少しお話聞かせてくれませんか?」
「ん?あぁ。君が村長が呼んだって言うアレかい。」
「はい!一応昨日、村長さんとお話させてもらったんですけどやっぱり直接見た人とかの話聞いた方が早いかなと思って。」
「そうだねぇ。俺は直接見てねぇんだけどみんなが言うには大きさは人間くらいだって」
「人間くらい...。でもやたら皆さん怖がってるって言うかその...」
「そうなんだよ。人間くらいなんだけどなんでも顔とか体が潰れてるんだとよ。」
「おぉ...それは。」
(なるほどねぇ...外傷あり。
しかもおおよそ人間が活動できる感じではない感じか。)
「ま、俺が聞いた話だとそんなもんだなぁ。
直接みたやつは確か...」
直接見たと言う村民の場所を聞いたあとその村民とほか数名からの情報得た。
(うーん。ほかの人達の情報も大体同じ感じだったな。)
曰く、体や顔面が潰れており、明らかに人とは違う雰囲気を醸し出しいる。
人への被害は今の所ないが目撃情報が多かったのは夜の山の入口あたり。
古手神社という神社でも見たと言う人もいた。
(とりあえず古手神社ってとこに行ってみるか。
山の入口付近はその後だな。)
と考えていると
「何いきなりじゃれついてきてんだよ。
このクソガキ!」
喧嘩かと声がする方に向かうと茶髪の女の子(中学生くらいだろうか)は歩き出しており、青色の髪の少女(こちらは小学生だろう)がペタンとその場に座り込んでいた。
「大丈夫かい?」
少女を怖がらせないようなるべく優しい声色を心がける
「!は、はいなのです...。」
「立てる?」
少女が立てるよう手を差し出す。
「ありがとうございますなのです...。」
「僕は日野祐斗。
ここのみんなに頼まれごとをされてて少しの間お世話になってるんだ。」
「日野...祐斗...」
青色の髪の少女は先程から困惑の表情のままだ。
(参ったな...。小さい子と話す機会なんてなかったし。どうしたもんか。)
「さっきの子はお友達...かな?えぇっと...。」
「みぃ...。古手梨花なのです。」
(みぃ...?小さい子の言葉は分からないな。)
「古手さんか。よろしくね。」
「梨花でいいのです。
よろしくお願いしますのです。」
「梨花ー!大丈夫なのですか!」
「!?」
「羽入!」
巫女服で背は梨花と同じくらいの少女が”飛んで”きた。
「梨花...言いづらいのですけどやっぱり圭一やレナは梨花の言う人とは別人としか...」
「そんな...そんなわけ...!」
と今にも泣きそうになる梨花はハッと自分の存在を思い出し顔を上げた。
「あ、な、なんでもないのですよ。」
「あ〜...その子のこと?」
「!?”視え”ているのですか!?」
「うん。”視え”てるよ」
「驚いたのです!
僕のことが視える人が梨花以外にいたなんて!」
祐斗は表面上は何も無いように振舞ったが、実際は
(気取られなかった!この俺が!
しかもこのバカでかい呪力量で!?
ただ、呪霊のように嫌な呪力を感じねぇ。
あの子の外付けの式神みたいな感じか?)
異常とも言えるほどの呪力量
それに加えそれほどまでの呪力量を持った存在を気取られなかった事実にたらりと冷や汗が流していた。
(探ってみるか..。)
「改めて俺は日野祐斗。
呪術高専って言うところから来たんだ。
最近この村で起きている異変を解決しにね。」
「僕は古手羽入といいますのです。
そうだったのですね。
僕が視えるのもそこから来たからと言うことですね。」
「まぁ、簡単に言えばそうだね。
悪いふうに捉えては欲しくないんだけど、羽入さん、君は何者なんだい?」
「羽入でいいのですよ。
僕はこの村に祀られているオヤシロ様という神様なのです!」
(神...!
状況的には産土神だが...。
意思疎通も図れることから1級以上は確実...!
そしてこのバカみたいな呪力量...
戦闘能力が未知数な以上なんとも言えないが、確実に特級案件...!)
(ただ、古手羽入...か。
古手梨花と同じ苗字、血縁か?
死後呪いに転じたか...?
だが、神様って言ってたよな...。
そもそも俺が姿を捉えている以上、分類的には呪霊だよな。
なんか引っかかる。)
様々な可能性を模索していると
「どうしたのですか?」
思考に夢中になっていると羽入が不思議そうに顔を覗き込んでいた。
「あっと。ごめん。少し考え事をしてた。」
「ふふ。祐斗は面白いのです。
ね。梨花!」
「そ、そうね。」
梨花は心ここに在らずという感じで生返事を返した。
「さっき祐斗の目的はこの村の異変の解決って...言っていたわよね!」
梨花は思い出したように尋ねる。
その姿は何処か焦燥しているようにも見えた。
「そうだね。悪い幽霊みたいなものなんだけどね。俺はそれを退治しに来た...みたいな感じかな。」
(なんか急に語彙がしっかりしたな。
さっきのは演技だったのか?)
梨花の言葉遣いが変わったことに些かの違和感を覚えたが態度は崩さないように務めた。
「私を助けて欲しいの!」
「え」
あまりにも急な展開に思考が追いつかずにいると間髪を入れずに梨花が話しを続ける。
「私は!昭和58年の6月を繰り返しているの!」
...は!?