ひぐらしのなく頃に 夢呪い編   作:たらたらたら男

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呪夢相殺 参

 

「なるほどねぇ...」

 

古手神社に向かいながら梨花の話を聞く。

羽入と名乗った少女は用事があるらしく途中で別れていった。

 

「あなた呪術師?なのよね。

何かわからないの? 」

 

話を要約するとこの梨花という少女は昭和58年6月に何者かによって必ず殺され、何度も死ぬ前に戻っているという。

そしてその運命を仲間たちと打ち破った。

打ち破ったはずだった...。

が、目覚めた時には昭和58年の6月に戻っていたという。

 

「そういう術式とか呪霊は聞いたことも見た事もねぇ。

が、空間を繋げたりしてその空間から出られなくするようなケースは聞いたことあるな。」

 

梨花の方が精神年齢的にはかなりの年上ということで、話し方や態度も砕けるようになった。

 

(てか、呪術師は嘘ついてナンボ。能力を隠してる奴、全容を言わずにブラフをかける奴、奥の手は別で持ってる奴と色々いる。)

 

(呪霊と戦う時だって相手に術式や能力を発動させずに祓うのがベストな訳だから早々に祓っちまって分からない時もある。)

 

「色々話を聞いたり、文献を漁ったりはしてたんだけどよ。

全部は見きれてねぇし、そもそも自分の術式を全て説明する人はあんまいねぇんだ。」

 

「なんで?仲間なんでしょ?」

 

「まぁな。でも、自分の能力がどこからか漏れるっつうのも嫌だし、そもそも呪術師は複数人で動くのは学生時代以降はそんな無いって話だぜ。」

 

「そうなの?」

 

「呪術師って基本的に人手不足なんだよ。

任務で死ぬわ心折られて辞めるわでさ。」

 

「心を折られる?」

 

「あぁ。聞いた話だと呪霊を祓うのは呪術を知らない人を守るためなわけだから、その守る対象がクソだと何のために自分は...って感じにな。」

 

「なるほどね...。」

 

「てか、雛見沢症候群ってやつは俺は大丈夫なのか?」

 

「雛見沢症候群自体には恐らくかかっているわ。

でもそれは疑心暗鬼や羽入の存在を感じるようになることで進行する。さっき言ったL5...つまり最終段階になると首を掻きむしって死ぬわ。」

 

「随分と物騒だな。

まぁ俺は疑心暗鬼になりようがないし、”雛見沢症候群”ってもんを知ってるからおそらく大丈夫だろうってとこか?」

 

曰く、雛見沢症候群は幻覚、幻聴を引き起こし疑心暗鬼を増幅させ、症状が進行すると周囲の人間に危害を加えながら最後には自害するという病であると聞く。

 

(つってもここに来たらもうなってるとか気分としてはいいもんじゃねぇよな。)

 

「大体そんな感じ。

だから大丈夫だと思っているわ。」

 

「おいおい...」

 

「あ、ここを上がると古手神社よ。」

 

と、話している内に古手神社に着いた。

 

神社を周りながら話を続ける。

 

「俺が怪しいと思うのは、やはりあの神っつってる羽入って子だな。」

 

「馬鹿言わないで。

羽入は鷹野を打ち破った世界での最後のピースだったのよ?

それこそ有り得ないわ。」

 

「でもこの世界の君が知ってる人間はほとんどが死亡もしくは変わってしまっている。だろ?」

 

「...。」

 

「ならば1番の味方が1番の敵になっている可能性だって無くはないんじゃないか?」

 

「だとしても...私は...」

 

梨花は俯いたまま呟くように声を絞りだす。

 

「わぁってる。信じたいんだろ?

あくまで可能性だよ。」

 

「うん...。」

 

「話は変わるんだけどこの建物の中には入れねぇのか?」

 

「祭具殿ね。この中には入れないの。」

 

「ありゃ、呪力の反応があるんだけどな...。

この中って何が入ってんの?」

 

「拷問器具よ。」

 

「は?」

 

あまりにも場所とは似つかわしくない文字に頭が真っ白になる。

 

「だから拷問器具よ。」

 

「どこの神社に拷問器具あるんだよ。」

 

「現に中身はそうなんだもの。」

 

「まじかよ。」

 

(この村やべぇな。

てかそんなところから呪力を感じるってことは呪具じゃなく溜まった呪いってことか。

てか、昔なんだろうがそんなことしてたってことはこの村自体とんでもない呪いが溜まっててもおかしくねぇな。)

 

「大体見終わったけどこれからどうするの?」

 

「そうだなぁ。

今日は山も見ようと思ってたんだけど情報が結構集まったから纏めてぇしな。」

 

「じゃあ、ここで解散ね。」

 

「だな。気ぃつけて帰れよ。

ルール的には死んだらまた戻っちまうってことだろ?」

 

何気なく放った言葉に2人ではっと気づく。

 

「...送っていきなさいよ。」

 

「...だな。」

 

その日は梨花を家まで送っていき古家にもどった。

 

───────

 

(梨花が言うにはループは鷹野ってやつを打ち破った時点で終わった。

俺は知らねぇけど7月へ辿り着いたと本人が言っているからここはそうだと結論づけちまおう。

問題は何故またループに入ってしまったかだな。)

 

(考えられるのは梨花が持っている死亡すると戻る能力。聞いた話を纏めると死亡すると別の雛見沢の2、3週間前に戻る。こいつが暴発して死なずとも発動しちまったか?

いや、そんなことは今まで1度もなかったっと言っていた。)

 

(やはり打ち破った世界でもう一度死んでしまった。

だがこれだと死亡してしまっている人物や変わってしまっている人物の理由がわからねぇ。)

 

「唯一変わってねぇのは...羽入って奴...か。」

 

「ダメだ。考えすぎて頭いてぇ。寝よ。」

 

1日での収穫はかなり大きかったがそれ故に考えがまとまらなくモヤモヤとする思考の中、意識を落として行った。

 

───────

 

 

呪術師の少年が意識を落とした頃、繰り返す少女は眠れずにいた。

 

(呪術師...。そんな団体や人は私が知っている雛見沢にはいなかった。

それにレナや魅音、詩音に沙都子...それに圭一まで...誰も味方じゃない...。)

 

繰り返す毎に多少の差異はあったもののそれは誰が発症したか、誰が引き金になってしまったか位のものであった。

だが今回は全く違うものである。

 

彼女が直ぐに呪術師の少年に全てを打ち明けたのも早く元の世界に戻りたいというのもあるだろうが、それ以上に最善の雛見沢からの最悪とも言える状況に転じ、心が持たないと無意識に感じていたというのもある。

 

そして、呪術師と言う特性からそういう能力(術式)というのがあるのかもという淡い期待もあった。

もし少年が知らなかったとしてもこの世界のどこかにはそういうものがあるのかもしれないという思考を持つことが出来る。

 

と、少年に全てを打ち明けたのにはこのようにいくつかの要因があったのだが一番の理由は

 

(みんなに会いたい...。もう一度あの世界に...。)

 

彼女の心はこの世界に来てから数日と持たずに限界に近かった。

 

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