でも呪術世界だと三輪ちゃんとかあんな感じだったので髪色そのままでも違和感ないですよね。
時は少し遡り
呪術師の少年は帰路についていた。
(あいつ大丈夫かなー。
とりあえず気は抜かずに呪力感知に集中しとくか。)
(でも、羽入ってやつの呪力って感じられねぇんだよな。
呪力操作の要領で隠してるとは思うんだが、それにしてもほぼ0にするなんて奴、少なくとも俺は知らねぇ。)
様々な可能性を自分の経験と思考を合わせながら考える。
(いやー。わかんねぇなぁ。)
思考を続けていると
ズワァ
と呪力が凪ぐのを感じた。
それは、思考をしながらも呪力を感知することに集中していた裕斗が察知するのに充分な呪力だった。
そしてその方角は奇しくも梨花と羽入が歩いていった方角であり、その場所に向かうのに思考は必要なかった。
(やはり何かが起きている。
あいつの反応から違和感は感じていた。
だが、あいつの反応からそこに踏み込むべきではないだろうと思っていたのと、原因が他にある可能性を捨てきれなかったからだ。
やはり俺もついて)
ビュ
視界の隅に何が高速で飛んでくる。
「っぶね!?」
思考のせいで数瞬反応が遅れたがそれでも躱すのに充分な間ではあった。
呪術師には。
「おいおい。
いつからここは刃物が飛んでくる物騒な村になったんだ?」
「あははっ!本当に躱せるんだ。」
「やっぱりオヤシロ様が言ってた通り。」
「アンタは要らないって言ったけどね。」
「それはコッチの台詞なんだけど。」
悪態をつきながら緑色の髪をした、中学生ほどの少女と少し前に梨花にキレていた茶髪の少女の2人が横の道から歩いてきた。
「それで?
お兄さんすこーし急いでるんだけど後でじゃ、ダメかな?」
余裕を崩さずに2人に問いかける。
「ダメだね。」
「その答えはお兄さんが一番わかってるんじゃない?」
答えは明白だった。
茶髪の少女は鉈を。
緑色の髪の少女はところどころ凹んでいる金属バットを持っていた。
「どうでもいいけど邪魔だけはしないでよ”礼奈”」
緑色の髪の少女が茶髪の少女に言う。
「はぁ?
それこそこっちの台詞なんだけど”魅音”」
礼奈と呼ばれた少女が、緑色の髪の少女へ言葉を返す。
瞬間、礼奈は鉈を振りかぶり裕斗へ襲いかかった。
ガツッ
裕斗は袋から刀を出さず柄の部分を両手で持ち鉈を止めた。
そしてこの村に来て幾度も感じる違和感を増やした。
(こいつ...!呪力を纏ってやがる!)
身体的な大きさ、男女の身体能力の差がありながらも礼奈は裕斗との鍔迫り合いを力で押していた。
そして、ブォンと金属バットが空を切る音が鍔迫り合っていた場所に鳴る。
(こいつも...!どうなってやがる!?突然呪力に目覚めた...なんつうのは少し有り得ねぇと言わざるを得ねぇよな!
てか、術式は!?術式あったらやべぇぞ!?)
魅音のバットを躱し、後ろに後退した裕斗は
内心、急な展開に思考が追いついていなかったが
「いやー。君たち凄いわ。
どう?中学卒業したら呪術高専にでも入るのは。
今の強さでも2級下位はあると思うよ?」
出たのは、率直な感想であった。
実際に呪力量や出力、細かな呪力操作をどうやって身につけたかを置いておいてもこの2人の戦闘力は”術式無しの状態”で平均的な2級下位だと裕斗は感じていた。
「お生憎。
そんな物騒な名前のところはお断り。」
と礼奈が
「アタシは行ってもいいよ。
縛られないなら。」
魅音が言い終わると同時に再び礼奈が距離を詰めてくる。
今度は鉈を止めずに避ける。
鉈は先程よりも早く裕斗を襲うが、当たらない。
礼奈が裕斗から見て左側に鉈を振る。
そして、右側から礼奈の後ろにいた魅音の姿が少し右側から見える。
(バット女は鉈女を目隠しに強襲。
意外と連携してくるじゃねえか。)
裕斗は強襲してきた魅音を迎撃、そのまま礼奈を撃破という流れを考えていたがその考えは覆されることになる。
バシン!と音ともに裕斗の視界は真横になる。
それを理解するのにコンマの意識を取られた。
(こんの鉈女!大ぶりの横薙ぎで俺を油断させてバット女に強襲させると見せかけて崩れた体制で蹴ってこっちの体制を崩してきやがった!)
礼奈は魅音の強襲に対応してくる裕斗の動きを読んでいた。
そして、魅音は体制を崩した礼奈をジャンプで躱しながら金属バットを振り下ろす。
振り下ろしたバットは的確に体制を崩した裕斗の頭を捉えた。
ドゴン!
はずだった。
魅音が振り下ろしたバットは、裕斗の頭を捉えることなく地面に拳ほどのクレーターを作っていた。
裕斗は頭にバットが当たる瞬間に体を捻り、すんでのところで直撃を回避していた。
「ちゃんと仕留めろよ!」
礼奈が叫ぶ
「うる」ドッ
魅音の返答が礼奈に最後まで届くことは無かった。
「悪いんだけど時間がねぇんだ。」
魅音は裕斗の”横薙ぎ”で的確に頸をはたかれ、気を失った。
驚きつつもその隙に体制を立て直した礼奈は斬りかかる。
裕斗はしゃがみこむような姿勢を取ると次の瞬間、礼奈は
ドサっ
と音ともに崩れ落ちた。
シン・陰流 居合 「夕月」
の姿勢をそのままに抜刀はせずカウンターに使用した。
本人は深くは考えていなかったが、身についているカウンターのしやすい姿勢が自然と出ていたのだろう。
「ふうっ。急がねぇと!」
と、一息付く間もなく古手神社へ向かう。
終わってみればほとんど無傷で戦闘を終わらせた裕斗。
が、これは決して2人が弱かった訳では無い。
相手が悪かったという他にならない。
経験の差もあるが、素の身体能力と呪力操作で準1級へ登り詰めている彼は術式持ちとの戦闘は日常茶飯事であり、肉弾戦のみで彼を下すには同じ等級で見ても難易度は高い。
故に、この程度の相手を”最低限の呪力”で”相手の命を奪わず”に無効化するのは、彼にとってそう難しいことではなかった。
───────
時は戻り、古手神社。
「あっぶねぇぞバカ!」
「...。」
古手神社の階段を駆け上がると喉を切ろうとしている梨花を見つけ瞬時に刃物を奪い取った。
あまりの出来事に周りが視界に入っていなかったが、刃物を持っている村人、冷たさを感じるほど冷めた顔をした羽入、そして腹を裂かれている兎が転がっている。
「どういう状況だよ...。」
「...。」
梨花はその場に力が入らないかのようにぺたりと座り込む。
裕斗の疑問に返答をするものはいなかった。
「はぁ...。あの二人はどうしたのですか?」
羽入が口を開く。
「あぁ、鉈女とバット女か?」
(やっぱこいつかよ!
神は神でも邪神じゃねえか!)
内心は悪態をつきながらも冷静を装う。
「まぁ、俺の足止めにしちゃ間違った意味で役不足だったな?」
「のようなのです。」
「まぁ?ここで消せば問題ないのです!
それに?裕斗も食べてみたかったのです!」
と羽入は食べることを想像したのか、恍惚笑みを浮かべる。
「随分物騒な物言いじゃねえの。
やってみな!」
(梨花は折れたか...。
が、こいつを死なせるのは色んな意味で怖ぇ。
あとできるだけ場所を変えて戦いてぇ!)
基本的に裕斗は任務に私情を挟まない。
理由は私情を入れるということは命を落とす確率が多いということを嫌という程、高専で教えられたからだ。
だが、今回ばかりは入れずにはいられなかった。
それを本人は自覚してはいなかった。
そして神に人間の理論や理屈は通用しない。
「領域展開」
「おいおいおい嘘だろ!?」
「
神の領域はその場にいる全てを呑み込んだ。
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