踊り子のエーデルガルト実装を夢見て書いてみましたm(_ _)m
召喚師によって踊り子の衣装を着させられたエーデルガルトの短いお話です。
「ねぇベルナデッタ?何故私はこんな所に来ているのかしら?」
「べ、ベルに聞かれても…」
アスク王城の中庭ではある催し物が開かれていた。
『異界での制服を皆で着てみよう』
誰が言ったかは不明であるが、面白そうと皆が騒ぎ始めついには裁縫が得意の英雄達が腕を競い合う真剣勝負の舞台となった。
「あれは…クリミア王国のエリンシア女王ね。学校の制服らしきものを着ているわ」
「あちらのグループはフォルトナの方々がくれた資料を元に、お嬢様と側近の服を作ったらしいです」
エーデルガルトとベルナデッタの視線の先にはセーラー服に身を包んだエリンシアと白いシャツに黒い服を着用し黒いパンプスを履いたルキノ、同じく白いシャツと黒スーツを着こなしたジョフレが両脇を固めていた。以前召喚師が手に入れたサングラスを借りて装着という徹底ぶりだ。
「な、なんだか本当のボディガードみたいね」
「お二人ともエリンシア様の為に命をかけているらしいので、催し物でも手は抜かないらしいです…」
名家の清楚なお嬢様とボディガードのSPといったところか、実にサマになっている。
「あ、いたいた。エーデルガルト、こっちだ!」
「ん…召喚師?」
エリンシア達を見ていたエーデルガルトとベルナデッタの下へ声をあげながら走ってきた男がいる。白いローブに身を包んだアスク王国の召喚師である。
「ようやくエーデルガルトの衣装が完成したんだ。呼んでこいって頼まれたから探してたんだ」
「…私が?何も聞いてないんだけど」
エーデルガルトにしてみれば、いわゆるこの仮装パーティーに参加すること自体寝耳に水である。
「そりゃそうさ、だって今初めて話したんだから」
アドラステア帝国皇帝に対してあまりにも無礼な一言、極刑になってもおかしくない状況である。エーデルガルトの額に青筋が浮かび上がり、それを見たベルナデッタがヒィィと悲鳴を出す。
「大丈夫、エーデルガルトによく似合う衣装だったから。むしろあれを着こなせるのはエーデルガルト以外にいない!」
「そ、そんなにスゴイ衣装なの?」
「もちろん、スゴイよあれは…選ばれし者にしか着用を許さない。そんな感じだったね」
そこまで言われればちょっとは興味を示すのが人間というもの。エーデルガルトはついつい召喚師に手を引かれ城の中へと入っていった。
「なんだろう…絶対に嫌な予感しかしない…」
ベルの嫌な予感、それはズバリ的中していたのである。
※ ※ ※
アスク王城の一室ではエーデルガルトが用意された着替えを行っていた。ドアの前では召喚師が見張りとして突っ立っている。
待つことしばし、ドアがすぅ~っと開くと中から白い腕が伸び、召喚師の胸ぐらを掴み部屋へと引きずり込んだ。
「あなた…これはいったいどういうこと!?」
「…おお…実に良く似合っているよエガちゃん!」
異界広しと言えど皇帝エーデルガルトをエガちゃん呼ばわりできるのはこいつだけであろう。
エーデルガルトが身に纏っていた衣装は、紅く扇情的な衣装…おヘソや腕を丸だしにし、足元は風通しの良い素足にサンダル…そう、踊り子の衣装だった。
「私はアドラステア帝国皇帝よ?何故このような衣装を身に着けなければならないの!?」
エーデルガルトも踊り子は立派な仕事の一つであり、この衣装も自らにとっての鎧のようなものであることはわかっている。酒場で吟遊詩人の詩に合わせて踊り、荒くれ共に一夜の夢を魅せる…それがプロの踊り子なのだろう。アスク王国にも踊り子はいるし英雄にもいる。白鷺杯で優勝した金鹿の学級のマリアンヌもそうだと言える。
だが何故自分なのか?その答えを召喚師は用意していた。
「エガちゃん、確かに君は皇帝だ。だけどもまだこの場では一人の学生にすぎない。君が踊り子の仕事をするなんてあり得ない事だとは思う。だからこそ今だけは踊り子とはどんなものなのか、体験してもいいのではないかと思うのです」
まぁ確かに一理はある。こんな機会でもなければエーデルガルトがパーティダンスではなく男を喜ばせる踊りなど踊るわけがない。下々の仕事を理解するのも未来の皇帝の糧となるだろう。だが眼の前の召喚師がそんな真面目な答えなど本気で考えているわけがないという事など、エーデルガルトにはお見通しなのである。
「…本音は?」
「踊り娘の衣装を着たエガちゃんを見てみたかった…あ」
エーデルガルトが召喚師に近寄る。武器はない、ただ拳を握りしめており手が震えている。
「落ち着こう、冷静になるんだ。さっきの言い分だって別に間違っているわけでは…あ、ちょっと拳はやめて!全部エガちゃんが魅力的だからあの衣装を…ぎゃあああッ!」
アスク王城に召喚師の汚い悲鳴が響き渡った…。
※ ※ ※
イベントも終盤に差し掛かった時間、マントを羽織ったエーデルガルトはようやく中庭に姿を見せた。
「あ、エーデルガルトさん…その…召喚師さんは?ヒィッ!?」
「あのゴミくずならここよ。ほら、早く起きなさい!」
ベルナデッタの視線の先にはエーデルガルトがボコボコにされた召喚師を引きずる姿が見えた。だが召喚師からは、俺はやったぞという気迫が滲み出ていた。ボロボロだけど。
「そ、それよりももうお開きが近いからダンスの時間みたいですよ」
「…ダンスね…」
見ると周りは様々な衣装を着飾った英雄達が気になる異性を相手にパーティダンスを踊り始めていた。エーデルガルトはチラっと足元を見る。そこには何時の間にか脅威の回復力で完全回復を果たした勇者
「…召喚師、付き合いなさい」
「…えっ?何に…?」
エーデルガルトはハァッ…とため息をつき鈍感な召喚師の手を握る。
「察しが悪い男ね、一曲踊るわ、一緒に踊りなさい」
「い、いや…俺ダンスは全然…タンバリンなら演奏できるけど…」
生まれてこの方一度もダンスなどしたことがない召喚師。そんな彼に構わずエーデルガルトは彼の手を引きダンスの輪に入った。
「光栄に思いなさい。今だけは皇帝エーデルガルトではなく、踊り娘のエルとして接してあげるわ。それがお望みなのでしょう?」
「いや…そりゃあまぁ…」
基本的に陰キャの召喚師、エーデルガルトからの素敵な申し出にもしどろもどろであった。
埒が明かないと考えたエーデルガルトは召喚師の前で軽く右足を後ろに引き召喚師の手を軽く握る。
『お兄さん、あたしと踊ってよ』
「あ…えっと…よ、喜んで」
雰囲気がガラリと変わり皇帝ではなく本物の踊り娘のような気さくな感じに変わったエーデルガルトを前に、召喚師には他の選択肢などあるわけがない。
普段決めるときは決める時の真面目な顔の男がぎこちないダンスを踊る、しどろもどろの召喚師を正面から見るエーデルガルトの顔には自然と笑みがこぼれていた。
踊り娘のエルと召喚師のダンスは緩やかに進んでいったのだった…。
お読みいただきありがとうございました。
いつか踊り子のエルが実装されないかな~。頼むよフェーちゃん。