SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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大変お待たせして申し訳ない。
ちなみそろそろリメイク前で止まったところを超えます。
浅いなぁ。


半裸の牛?と鍛治師のロジック

シュバルトside

 

 フィールドボスが討伐された報告をキリト達から受け、攻略範囲が広がったことにより、攻略本の更新も進む。

 そしてキリトから鍛冶屋の仲間の存在も明らかになった。

 当然、僕の仕事も増える訳だが。そこで待ったをかけたのがテリーとフィリアだった。

 

「お前はしばらく、強化詐欺のロジックを暴くのに集中しろ」

 

「そうね、ミトやアルゴさんから聞いたけど、休まずに第一層の攻略本作ってたらしいじゃない」

 

「うぐっ…!」

 

 どうやら、徹夜の件がバレていたようで、僕の仕事を減らそうとしていた。

 

「それに最近、お前が別室でコソコソなんか作ってるのも気づいてるからな…?」

 

「流石は相棒……よーくご存じで」

 

 ここまで言われてしまえば、隠すより成果を披露した方がいいだろう。

 

「ちょっと待ってね……」

 

 僕はメニュー画面から複数のアイテムを選択し、オブジェクト化させて、円卓に並べる。

 

「シュバルト……これって……」

 

 僕が並べたビンの一つをミトが手に取る。

 

「僕が作った薬。ポーションというには効果は微妙だけどね。スキルとアイテムのランクが低いからこんなものしか作れないし、持ち歩くには邪魔なんだよね……おまけに設備もないし」

 

 ただすり潰した薬草やらキノコやらを煮込んだりなんやらして作った怪しい薬みたいなものだ。

 調合台で蒸留したりすればポーションと呼ぶのに相応しいものが作れるが、今はこんなゴミしか作れない。

 

「これの効果はなんなの?」

 

「まず赤い液体が、回復、緑が毒の弱体化、黄色は麻痺の耐性を微妙に上げる……ね? 微妙でしょ」

 

「確かに……こんなのゴミ同然だな……まぁ持って損はないってやつだ」

 

「どれくらい作ったの?」

 

「うーんとね……」

 

 僕はストレージから全て出す。

 その量は机が埋まるほどだった。

 

「……作りすぎでしょ」

 

「まぁお陰で調合スキルの熟練度は上がったし」

 

「……それはモンハンについてるやつか?」

 

「そだよ」

 

「……なんでもありだなおい」

 

 と、テリーが評した。

 

「それじゃあ僕はロジックを暴きたい所だけど……僕も迷宮区に行くよ」

 

「アレ?鍛治師の方はいいの?」

 

「そろそろ僕もレベルとか上げないと危ないのと、何度も見張ってると怪しまれるからね……攻略本の情報集めの為に迷宮区の中でレベリングと行きますか」

 

「確かに……警戒されたら意味もないもんね」

 

「…ちょうどキリト達も行くみたいだ。2パーティに分けるか」

 

「なら、3と4だね……

 

「じゃあ4人の方に私、テリー、キリト、アスナ、3人の方にシュバルト、ユウキ、ミトにする?丁度βテスターも2人ずつ分けられてるし」

 

「それが良いわね。アスナにメッセージ送ってみるわ」

 

 数分すると、彼女からメッセージの返信が来たようで、迷宮区行きも、パーティ編成も問題ないようだ。

 

「それじゃあ、準備できたら迷宮で情報収集するよ」

 

「「「「了解」」」」

 

 

─────────────────────────

 

 迷宮区にて、僕達は巨大な敵mobと戦闘を繰り広げていた。

 

「嫌っ……来ないで……! 近づかないで……‼︎」

 

 ノッシノッシと迫る逞しいシルエットにサスペンスホラーのような悲鳴をアスナが上げていた。

 

「来ないでって……言ってるでしょ!」

 

「ブ……モオオオオッ!」

 

 彼女のリニアーからのパラレル・スティングが巨漢に突き刺さり、その姿を無数のポリゴン片に変える。

 レッサートーラス・ストライカーを屠った彼女は僕達を睨み叫ぶ。

 

「……牛じゃないでしょ! こんなの!!」

 

「まぁ八割は人ね」

 

「なんでミト達は平気なのよ!」

 

「まぁゲームとかアニメ見てたら当たり前の敵だし……」

 

「まぁアスナが嫌がるのはゲーム慣れしてないから分かるけど……」

 

「でも、ゲームのミノタウロスって大体こんな感じだし、これ系のmobを牛って呼ぶのはゲームだとお約束だよ?……」

 

「それにの層のフロアボスはミノ系統だから慣れないと」

 

「ミノタウロス? ギリシャ神話の?」

 

「神話だと、確か、ラビリントスに住む怪物で、勇者テセウスに退治されるやつだな。そういうのがゲーム的だから定番モンスターに選ばれてるんだよ」

 

「まぁ、このゲームだとタウロスをトーラスに英語読みしてるから、トーラス族だけどね」

 

 そう説明するとアスナは納得と同時にキリトの略し方に一言もの申す。

 

「ミノタウロスのミノはミノス王のミノだから略称として扱うのはどうかと思うわ」

 

「そりゃまたなんで」

 

「死後に冥界の裁判官になったからだよね」

 

 と、フィリアが回答する。

 

「そうよ……ミノ呼ばわりされたら怒るわよきっと」

 

 彼女の怒りが収まって来たのを見計らい、キリトが口を開いてアスナの様子を伺う。

 

「それで……アスナさん……さっきのミノ…じゃないトーラスの何がお気に召さないので?」

 

「あ、あんなのほぼ裸じゃない!ミト達はなんで平気なのよ!」

 

ドラク◯のモンスターなんかパンツマスク(カンダ◯やエリミ◯ーター)の敵いるし…」

 

「こんなので一々叫んでたら進めないよ?」

 

 ユウキは慣れた理由をフィリアは呆れたように言った。

 

「こういう王道な敵を倒すのもこのゲームの醍醐味なんだから、頑張って慣れなさい」

 

「うー……みんなしてそこまで言わなくてもいいじゃない」

 

 今度はアスナがいじけてしまった。

 でも、これから先、トーラス族が出て来た時、苦労するのは彼女なので、慣れてもらわないといけない。

 そしてキリトが何やら変なものを見つけたような反応をしていたが、特に何も言わなかったので放っておくことにした。

 

「で、みんな……特にユウキ達ニュービー組はトーラス達の《ナミング・インパクト》は対処できる?」

 

「ボクはもう大丈夫だよ!」

 

「私は3回くらい見ときたいかな」

 

「私もそのくらい見たいわ」

 

 2人はまだ確認したいと言うので、僕達はトーラス狩りを続ける。

 ゲーム慣れしているフィリアに学歴の高そうなアスナは、言った通り3回でナミング・インパクトに完璧に対応していた。

 狩りを終えた僕達は、拠点にしている《タラン》へと戻った。

 

「さてと……この後は何もないし、纏めた情報をアルゴに渡す予定だけど、他にアルゴに聞きたい事とかあるなら伝えるけど」

 

「俺も聞きたい事があるからついてくよ」

 

「私もアルゴさんに用事があるわ」

 

「他は?」

 

 そう聞くと、残りの4人は首を横に振る。

 

「なら3人でアルゴと晩御飯食べながら用事済ませるから先に宿に戻ってて」

 

「了解だ」

 

 テリー達と別れ、キリトとアスナの2人と共に彼女と待ち合わせの酒場へと足を運ぼうとしたその時。

 金属を叩く音が聞こえてきた。

 

「この音って……」

 

 音の方へと視線を向けると、そこには強化詐欺師である鍛治師が店を構えて、ハンマーを振るっていた。

 

「……堂々としたものね…詐欺がバレたって言うのに、こんなところで」

 

「いや、むしろ警戒した結果じゃないか?」

 

「うん……アスナのウィンドフルーレを取り返された事は向こうも気づいてる筈だ。それにキリトから聞いたけど攻略組を目指しているのなら攻略組だとわかるプレイヤーからは詐取しないと思う」

 

「じゃあ私は攻略組と思われてなかったってことかしら」

 

「うーん……その時、アスナやキリトがどんな恰好してたか知らないけど、今みたいにフード被ってたりバンダナ付けてたらわからないんじゃないかな?」

 

 そう言うと2人は納得したように頷く。

 ふと、テリーの方をチラリと見る。

 やはり…と言うべきか、表情があまり良くなかった。

 それもそうだ。彼は過去の一件から、金属を硬いものに叩きつける音が苦手としている。

 戦闘にまで支障は出るほどではないが、それ以外の時はやはり顔を顰めている。

 

「テリー、早めに宿に戻りなよ…?」

 

「あ、ああ…そうさせてもらう……」

 

「フィリア…お願い」

 

「任せて」

 

 急足で彼は宿へ向かうのだった。

 

「鍛治師のプレイヤーネームって何?」

 

「し、知らなかったのか……名前はネズハだ」

 

 ネズハね……読み方の問題なのかな?スペルによっては彼の名前も伝説の英雄と同じだ。

 

「そういえばディアベル達はギルドを作るんだろうけど、名前とかって決まってたらするの?フィールドボス討伐に参加してないからわからないからさ」

 

「ああ…なんでもフリーダムウィングナイツ(Freedom wing Knights)って名前にしたらしいぞ」

 

「自由の翼の騎士団ね…騎士(ナイト)ディアベルにぴったりじゃないか…」

 

「それに、ディアベルのカリスマならプレイヤー達を纏められるだろうな」

 

 そう納得している内に、待ち合わせの酒場に到着する。

 中に入ると、そこには既に席に座っている、金髪少女──アルゴが手を振っていた。

 

「もしかして待ち合わせの時間間違えてた?」

 

「いんや、俺っちが早く着いただけだかラ、問題ないゾ。それでも、女の子を待たせるのは良くないナー」

 

 揶揄うようにアルゴが言うので、僕は

 

「それは申し訳ないね。次からは僕が席を取れるようにしとくよ」

 

 と返した。

 キリトが耳打ちしてくる。

 

「対応が慣れてるな……」

 

「リアルでそういう付き合いがあっただけだよ…?」

 

「そ、そうか…」

 

 それ以上は追求してこなかった。

 

「ひとまず……第二層迷宮区到着を祝って……」

 

「「「乾杯‼︎」」」

 

 飲み物の入ったジョッキを打ちつける。

 

「いやァ……5日で迷宮区到達カ……結構早かったネ…俺っちもここまで極端に早いとは思ってなかったヨ!」

 

「確かに、一層は長かったからね……確か大体、1ヶ月だったからね……レベルもそうだけど、前例がなかったり、挑む勇気がなかったのもあったんだろうから、攻略できるってわかれば自信にもなって、攻略速度も上がるだろうさ」

 

「確かにナー……おまけに犠牲者0だったのも大きいヨ。立ち向かえば負けないって思って、はじまりの街に留まってた人がフィールドに出始めたしナ」

 

「安全マージンさえとっていれば死ぬ事はないからな……レベル制MMOの良いところであり、悪いところだ…」

 

「……どういう事なの?」

 

「スタートダッシュに遅れた人はそれだけ俺たちに追いつくことが困難になるんだ……」

 

「なるほどね……ミトが私を急いで連れ出してくれたことがわかったわ」

 

 アスナはあの日を思い出すように目を閉じて納得した。

 

「この層のフロアボスの情報は集まったの?」

 

「一応ナ。ただβと変わってなさそうなんだヨ」

 

「なるほど……βとの違いを示すクエストを探さないといけない訳だ……」

 

「アルゴ。迷宮区のマップデータだ」

 

 僕はオブジェクト化したスクロールを彼女に手渡す。

 

「いつも悪いナ」

 

「マップデータで商売する気はないからね。地図を持たないプレイヤーが死んでしまったら寝覚めが悪いし……ただその代わりというか、一つ条件付きの依頼を受けて欲しい」

 

「ふぅン? まぁ、オネーサンに言ってみナ?」

 

「キリトから僕は聞いたんだけど、フィールドボス討伐戦に参加してた、《レジェンド・ブレイブス》って言うチームの情報が欲しい。名前と結成の経緯とか」

 

「デ、条件ってのは何ダ?」

 

「僕達が知りたがっているということを知られたくないってこと」

 

 僕の言ってることがアルゴの情報屋としての矜持というものを傷つけようとしているのはよくわかっている。

 しかし、強化詐欺を解決する為には必要なのだ。

 

「ん〜……ンン〜〜〜」

 

 金髪の鼠少女はその髪を弄り、しばらく悩むそぶり見せた後、「ま、いっカ」と言うと僕の方へと振り向きにんまりと笑う。

 

「でも、憶えといてくれよナ。オネーサンが、商売のルールよりシュバルトへの私情を優先したってことをナ」

 

「ああ、借りでもなんでも構わないさ」

 

「了解ダゾ。んデ、アーちゃんもオイラに何か依頼があるのカ?」

 

─────────────────────────

ユウキside

 

 ボク達は晩御飯を食べた後、シュバルトとからメッセージが送られて来た。

『これからレジェンド・ブレイブスの調査を再開する。ユウキとミトは参加する?するならここの空き家に来て欲しい』

 

 と、地図付きでだ。

 

「ねぇ…ミト…行く?」

 

「勿論よ」

 

 彼女がそう言うので、ボク達はすぐに準備をして指定された空き家へと向かう。

 

「ここ……だね…」

 

 ボクが扉を開けると、そこには屋台で買ったような饅頭を食べているシュバルトの姿があった。

 

「お、来た来た。ここから例の鍛治師が見えるよ」

 

「…いいアングルね」

 

「おそらくここがベストポイントの筈だ。真後ろじゃ角度的な問題で見えないからね」

 

 そう言うと彼はストレージから2つ、今食べている饅頭をボク達に差し出す。

 

「ほら、食後のデザート。タラン饅頭。中身はクリームとイチゴみたいなのだから」

 

 それを受け取り、ボクはかぶりつく。

 しっとりとした歯応えに甘さ控えめのクリームにシュバルトの言った通りイチゴのような果実が入っていて、とてもベストマッチした味だ。

 饅頭を食べながら、ボクは件の鍛治師を眺める。

 お客さんが次々とやってくるが、大体がメンテナンス目的ばかりで、強化をする人は中々現れない。

 

「……中々、強化目的の人は来な……シュバルト…!」

 

 ボクがそう言おうとした瞬間、1人のプレイヤーから受け取った剣を回転式砥石に当てるのだが、革袋に手を伸ばす。

 

「彼の手から目を離さないで…!」

 

 素材が炉に流し込まれ、光を放つ。

 そして強化の光が強く輝く。その瞬間だ、ボクの目に一瞬。その一瞬だけだが、剣が明滅したように写った。

 

「い、今……!」

 

「剣が……!」

 

「なるほど……そんな一瞬なら気づかれることもない訳だ……」

 

「で、でもどうやって…!?」

 

 ボク達が動揺している間に、剣は砕け散ってしまった。

 

「この一瞬で武器をすり替える…? いや…でも…あの方法なら……」

 

 シュバルトは何かに気づいたようだ。

 

「……とりあえず、宿に戻ろう。剣を取られた彼には申し訳ないが、騒ぎを起こすわけにはいかない」

 

 彼は苦い顔をしながら空き家から出ていく。

 ボク達もその後を追うように空き家から離れるのだった。

 

「明日、宿屋で緊急会議だ。その時にロジックの種明かしもやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 





シュバルト
調合しまくっておくすりいっぱいつくった。
そして強化詐欺のロジックを理解した様子。

ユウキ
牛を狩りまくって、強化詐欺の瞬間を目にした。

ミト
強化詐欺の瞬間を目撃。
ロジックに薄々勘付いていたりする。

テリー
どうやら金属を叩きつける音が苦手なのが判明。
一体何が彼の身にあったのだろう。

アスナ
トーラスは苦手。
他の女子陣が平気なことにショックを受けている。




フリーダムウィングナイツ
キバオウのアインクラッド解放隊とリンドのドラゴナイツブリゲードの両方の意見を取った結果、この名前になった。

とりあえずプログレッシブは五層までやる予定です。
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