SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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花咲く森の道ではないですが。


黒白のコンチェルト
ある日、森の中、妖精さんに、出会った。


ユウキside

 

 第三層までの階段を登り切り、扉を開けてボク達が最初に目にしたのは森だった。

 この層では虫や植物系のモンスターが多く出てきそうな雰囲気だ。

 

「そういえばシュバルト、さっき、これからがSAOの本番って言ってたけどどう言うことなの?」

 

「この層から、完全な人型mobが相手になるからだな」

 

「人型…?」

 

「ああ、今まで戦ったmobには植物、動物、鉱物、亜人と色々いるが、完全な人型はいなかっただろ?」

 

 テリーの言う通り、ボク達のような人間の敵とは戦ったことがない。正直、今までそう言ったmobとは戦わなくて良かったと思っている。覚悟もないまま戦っていたら、まともに戦えなかったと思う。

 

「コボルドもトーラスもいたしSSを使ってたけど、見かけは人じゃないだろ?」

 

「……確かに」

 

「外見的にはプレイヤーと見分けられないし、カラー・カーソルがないと本気でわからないのよ。NPC同様に喋るし、高度なSSを使ってくるから対処もしっかりしないと危険よ」

 

 βテスター組の説明でボク達は驚く。

 

 これから、そんな敵と戦うのは不安にもなる。

 

「つまりこれから、本物のソードアートが始まるんだ。晶彦さんも雑誌のインタビューにこう答えてたよ。『《ソードアート》とはソードスキルが織りなす光と音、生と死の協奏曲』だ、ってね。僕は正直、他の事だと思ってる……」

 

 シュバルトがそう言うのだが、とても不安そうな顔をしていた。

 

「…とは言え、その時点で茅場晶彦はこれを計画していたことになるわね」

 

「そうなるな」

 

「僕はこの協奏曲って所はおそらく……」

 

 その続きをシュバルトは言うことなく、クルリとこちらに振り向く。

 

「さて、第三層についた訳だけど、みなさんには2つ選択肢があります。1つはこのまま主街区に行くルート。もう1つはさっき話したSAOβの醍醐味のクエスト」

 

「俺達としてはどっちでも構わないが……ニュービーの3人はどうする?」

 

 テリーにそう言われるものの、これから人型mobとの戦闘があるのなら、その醍醐味クエストをやる方がこれからのためになる。

 

「ボクはその醍醐味クエストをやるよフィリアとアスナの2人はどうする?」

 

「私も行く。メンテも大丈夫だし」

 

「と言うか、それ以外に選択肢ないわよね。βテスターの4人が知ってるルート辿る方が、安全な訳だし」

 

 2人もシュバルト達について行くようだ。

 

「確かにそうだな」

 

 ボク達は階段を降りて、本格的に森の中へと入るのだが。いきなり深い霧に包まれ、視界が制限されてしまった。

 

「わわっ!シュバルト!」

 

「大丈夫、ここは《迷い霧の森(フォレスト・オブ・ウェイバリング・ミスト)》って言って、読んで字の如く、霧が濃いんだ。逸れやすいから、モンスターの深追いは厳禁だよ」

 

「了解!」

 

 ボク達はシュバルト達先導の下、森の中をドンドン進んでいく。

 

「さて……この辺のはずなんだが……」

 

「何が……ってさっき言ってたクエストね」

 

「イエス。クエストスタートのNPCの居場所がちょっとランダムなんだが……」

 

 キリトがチラリと超ラッキーマンの2人を見る。

 

「はいはい、適当にあるけば見つかるかもね…?」

 

 呆れたようにシュバルトが足を進める。

 

「そうだ、みんな耳に自身はお有りで?」

 

 キリトがそう言うと、アスナが耳を隠して一歩後ずさった。

 

「……キリト君って,そういう趣味だったの? 耳フェチなの?」

 

「ち、ち、ちがわい! この状況で自信って言ったら形じゃなくて聴力に決まって……」

 

「冗談よ。ていうか、この状況って言うなら、耳の善し悪しなんか関係ないでしょ。私達、音は脳で直接聞いてるんだから」

 

「確かに……全員でやればすぐだろうし……聞き耳スキルあれば簡単なんだけど……」

 

「あ、私、聞き耳スキルとってるよ」

 

 そう言いながらフィリアが手を挙げる。

 

「おおナイス……そしたら、金属音……剣と剣がぶつかり合う音だな。聞き分けてくれるか?」

 

「オッケー……」

 

 フィリアがそう言って、耳をすませる。

 

「どうだ?」

 

 テリーが聞くと、フィリアがピクリと反応し、左に視線を動かす。

 

「……えっと…あっちからだね」

 

 そう言ってフィリアは左側を指刺す。

 

「よし、行くぞ…!」

 

 ボク達は森を走り抜ける。途中で遭遇する敵mobは囲んで袋叩きにして倒したり、敵対を避けたりして行く。

 フィリアの耳を頼りに、森を進んで行くと索敵スキルに2つの反応を探知する。

 

「止まって…!」

 

 シュバルトが足を止めて、ボク達を制する。

 木の隙間から奥を覗くと、やや広めの空き地で激しく争う2つのシルエットがあった。

 1つはきらめく金髪と緑色の軽装鎧に身を固めた長身の男。もう1人は、対照的に黒と紫の鎧を着ている美人さん。

 

「ねぇ、シュバルト。あれがクエストNPCなの? ボク達と同じように見えるけど……」

 

「まぁ厳密にはmobだけどね。あの2人の耳を見てごらん」

 

 言われた通りに彼らの耳を見ると、尖っていた。

 

「もしかしてあの2人はエルフ…?」

 

「そう。男のはが森エルフ。女の方が黒エルフだ。で頭上も見て」

 

 再びシュバルトの言う通りに頭の上を見ると、2人とも金色の【!】マークを表示している。

 

「2人ともクエストマークつき……しかも戦っているって、どういうことなの……?」

 

「単純な話だ。どっちかしか受けられない。ここで選択なんだが……正直に言うと、ここにいる俺達は黒エルフ側しかやってない」

 

「なら、黒エルフ側一択だね」

 

「そう言うことになるわ。しかもこのクエスト、第九層まで続く、大型のキャンペーン・クエストよ」

 

「きゅ……」

 

 九層!? と叫びそうになった口を慌てて塞ぐ。声でバレたらアウトだ。

 

「しかも、途中でミスっても受け直し不可。当然、対立ルートへの変更も不可。ここで選んだ道を9層まで走り続けるしかないってわけだ。その分、報酬も豪華だ」

 

「なるほど……」

 

 かなり長続きするクエストのようで、これを進めれば、かなり攻略に役立つようだ。

 

「それで…この初戦闘は所謂、負けイベってやつなんだけど……ねえキリト」

 

 シュバルトは悪巧みをするような笑みを浮かべる。

 

「……おい、シュバルト……お前」

 

「キリトの考えている通りだよ。あの森エルフを倒そう」

 

「……おいおい、アイツは7層クラスのエリートmobなんだぞ…!」

 

「でもβと違って、戦力は前より上だし、行けそうでしょ?」

 

 シュバルトがニヤリと笑う。

 

「そうだね…ボクも負けるのは嫌かな。それにあのお姉さんを見捨てたくないし」

 

「そうね、私も倒すことに賛成するわ」

 

 ボクとアスナが討伐に賛成する。

 

「諦めろキリト、コイツがやるって言ったらやるやつだ」

 

 そう言ってテリーがキリトの肩に手を置く。

 その本人すらニヤリと笑っているので、彼も賛成派のようだ。

 

「しょうがないな……ならHPは半分を切らないように立ち回らないとな。もし下回ったら黒エルフのお姉さんが森エルフを道連れにしちゃうからな」

 

「ミトとフィリアもそれで良い?」

 

「勿論よ。負けイベを覆すのも、RPGの醍醐味よね」

 

「正直、人数も多いからいけると思うよ!」

 

 と言うことで、倒す方針になった。

 攻撃役はボク、キリト、アスナ。盾役はシュバルトとテリー。遊撃がフィリアとミトに分けて戦うことになった。

 

「3つ数えたら割って入るよ……クエストは自動進行だから僕達の近くにいればいいよ」

 

 そういうと、彼は指でカウントする。

 

「GO!」

 

 一斉に茂みから飛び出して、黒エルフ側に立つ。

 

「人族がこの森で何をしている!」

 

「邪魔立て無用! 今すぐに立ち去れ!」

 

 ボク達はそれぞれの武器を抜いて、森エルフに切先を向ける。

 

「愚かな……黒エルフ如きに加勢して、我が剣の露と消えるか!」

 

「そ……「そうよ、でも消えるのはそっちよこのDV男!」

 

 キリトのセリフに割り込むようにアスナが森エルフに向かって言う。

 シュバルトの表情がなんとも言えないようになっていた『こんな顔(-_-)』が、おそらくアスナのDV男発言だろう。正直どっちがDVかわからない。

 DV男と呼ばれた森エルフを見ると、カーソルが薄い黄色からドス黒いダーククリムゾンへと変色する。

 明らかにヤバそうな色だ。

 

「よかろう…ならば貴様達から始末してやろう、人間よ」

 

 森エルフの男が剣をこちらに向ける。

 

 そして、10分後。

 

「ば……馬鹿な……」

 

 そんな言葉を残して、森エルフの男はドサリと倒れ、ポリゴン片へと姿を変え、砕け散った。

 シュバルトとテリーが攻撃を弾いて、ガラ空きになった所を攻撃役のSSを当てて、盾役の2人が対応しきれないものを、遊撃役が妨害するのを繰り返した結果。ボク達のHPは6割を残して、森エルフの男に勝利することができたのだ。

 

「た、倒せたのか……?」

 

「ね? 行けたでしょ?」

 

 と、現実かと疑うキリトと、当然だと言うシュバルト。

 

 ボクは武器をしまって、黒エルフのお姉さんの方に向き直る。

 進行上では死ぬ運命にあった彼女の表情は、『あの、私はどうすれば?』と、とても困惑していた。

 

─────────────────────────

 

シュバルトside

 

 森エルフに首尾よく勝利することができたのだが、問題が一つ。

 βと違い、黒エルフのお姉さんが生存したことによる、チャートの変化だ。

 本来であれば、β通りに彼女の道連れ攻撃で進めるのが安全なのだが、もし、彼女を生存させたことによって、攻略で優位に進められる情報が手に入るかもしれないと、僕は考えた。

 

「おい、シュバルト…どうするんだよ……」

 

「まぁ未知のルートな訳だけど……おそらくは基本的には変化しないと思う……」

 

 そもそも、変化も大きくしないと思っている。

 

「まぁ、彼女が生存した所で、大きく変化しようがないからな……」

 

 キリトもそう納得したようだ。

 意識をクエストの方に向けると、アスナが地面に落ちている、葉っぱで作られた巾着袋を拾おうとした所を、ミトが止めていた。

 

「……あー、すまん、これは俺達が拾っても良いものなのか?」

 

 気を利かせたテリーが巾着袋を指差して黒エルフのお姉さんに尋ねる。

 彼女は呆然とした様子から、ハッとしたような反応をした後、その巾着袋を大切そうに拾った。

 

「これでひとまず聖堂は守られる……」

 

 彼女はそう呟くと巾着袋を腰のポーチにしまい、姿勢を正して僕達を見た。オニキスのような漆黒の瞳に厳しさが甦り、迷うように揺れる。そのさまは、プログラムに操作されているモノだとは思えない。

 

「…………礼を言わねばなるまいな」

 

 黒と紫の鎧をがしゃりと鳴らして一礼し、彼女は言葉を続ける。

 

「私の名はキズメル。そなたらのお陰で第一の秘鍵は守られた。助力に感謝する。我らが司令からも褒賞があるだろう。野営地まで私に同行するがいい」

 

「それじゃ、お言葉に甘えて」

 

「アスナ、その言い方じゃ……」

 

 ミトが言葉を止めたのは、キズメルが頷いたからだ。

 

「よかろう。野営地は森を抜けた先だ」

 

 クエストが進行したのだった。

 その事実にミトがあり得ないモノを見るような目で、僕の方を見る。

 

「……多分、AIが違うんだろうね。それも根本的な所から従来のモノと違う。僕はAIに関しては殆ど門外漢だから、そんなにわかんないよ……多分、βでのプレイヤーの会話を学習したのかもしれない」

 

 そういえば一度だけAIのことで、SAOに一つのシステムだかなんだかで、サポートAI的なものがあったのを思い出したが、実装されていなかったのだろう。このデスゲームが始まってから、そのような話を聞いていない。

 もし実装されていたのならエラーが発生して壊れてしまうだろう。

 それは余りにも残酷な事だ。僕が晶彦さんの立場なら、そんな事はしたくない。

 

 しばらく深い霧の森を歩いていると、何本も並んている黒い旗が視界に入る。

 

「……あっさり着いちゃったな」

 

「野営地全体に〈森沈みのまじない〉が掛けてあるゆえ、そなたらではこうも容易く見つけられはしなかったぞ」

 

「へぇ……おまじないって魔法のこと?でもこの世界に魔法は無いんじゃないの?」

 

「あのな、アスナそれは……」

 

 キリトもミトと同じように言葉を止める。

 

「我らのこれは魔法とはいえないものだ。唯一残された、残り香のようなもの…大地から切り離されたその時より、我らリュースラの民は、あらゆる魔法を失ってしまった……」

 

 キズメルが言った事に、僕ですら黙ってしまう。

 アインクラッドの成り立ちを、その世界の全てを僕は詳しく知らない。

 どうして魔法がないのか、どうして遥か空に浮遊しているのか、その世界設定──成り立ちを彼等は知っているのだろうか。

 一介のゲーマーなら知りたがるような物だが、今はそんな場合ではないので、その思考を捨てる。

 

 濃霧の奥に飜る漆黒の旗に近づくと、一定の距離になると、霧がなかったかのように晴れる。

 切り立った山肌が左右に続いており、その一箇所に幅5mほどの谷間が口を開けていて、左右に細長い柱が立つ。

 黒エルフの野営地にたどり着いたようだ。

 内部を見渡すと、記憶より広いように感じた。ここに来た人数が多いからなのだろうか。

 

「……まさかと思うけど、この野営地で戦闘になったりはしないよね?」

 

「そのはず……だよ。こっちから彼等に斬りかかったりしなければ。いや、その場合もクエストの中断と追放くらいで済むんだったかな……」

 

「試したりしないでよね」

 

「しないって……」

 

 そんなキリトとアスナのやりとりを聞き流しながら、野営地の隅々を見る。見たことのない、設備もあり、本サービスで追加されたものなのだろう。

 

「ねぇ、シュバルト。ここって他のプレイヤーも来るの?」

 

「いや、今、僕達がいる野営地には別のプレイヤーはこれ来れないね。ここは一時的(インスタンス)マップだから」

 

「いんすたんす?」

 

「噛み砕いて説明すると、ここは野営地Aで、他のプレイヤーが同じように、黒エルフの味方になって、この野営地を訪れる時には、同じ場所にある野営地Bにたどり着くのさ。僕達がいる野営地Aは紙の一枚目、別のプレイヤーがいる野営地Bは重なった紙の二枚目って感じ」

 

「じゃあ、他のプレイヤーとは会わないんだね」

 

「そうなるね」

 

 色々とイレギュラーな展開だったものの、黒エルフ先遣隊司令官との面談は、平和に終わった。

 報酬に結構な額のcolと選択可能な装備アイテムだ。

 大体のメンバーは今使っている武器が強いので、防具かアクセサリーを選んでいた。

 僕も器用さが+1される首飾りをもらった。

 最後に司令官殿から、キャンペーンクエストの第二章を受けて、大天幕を辞した。

 その後、キズメルが僕等の名前の発音を微調整することもあったが、割愛しておこう。

 

「それでは、作戦に出発する時刻はそなたらに任せよう。1度人族の街まで戻りたいのなら、近くまでまじないで送ることもできるが、この野営地の天幕で休んでもかまわん」

 

 そう言うので大体のメンバーが休むようなのだが、僕は一つ主街区に用事があるので、送ってもらう事にした。

 かねてより、リアルで立てていた件を進める為だ。

 ユウキが着いていくと言ったが、ただクエストを一つ受けてくるだけなので、休んでも良いと伝えると「そうやってまた、ボクを置いてくんだ」と言われてしまったので、着いていくことを許可した。

 

 

 





今更オリキャラ紹介パート2

寺井蒼眞/テリー
イメージCV神谷浩史

竜翔の親友にして相棒。

父親、母親、姉、自身で暮らしているが、家族とはとある一件で仲違い中。
ロシア人の祖父を父方に、ドイツ人の祖母を母方に持つ。
銀髪なのは父方の祖父の血が強く出た。
好物は辛い料理。
いつか食べてみたいのは型月の某神父の好物である某麻婆豆腐。
得意料理は中華料理。
作中で現在使用しているのは片手剣のアニールブレードと盾(バックラー)のスモールバックラー。
戦闘スタイルは敵の攻撃を盾で弾いてその隙にSSを叩き込むのが基本。

昔は「ゴッドハンド!」とか「サッカーやろうぜ!」とか言いそうな声してた。


正直早くALO編終わらせて、青春パートやりたい自分がいる。

オトモアイルー参加させる?

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