SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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花は咲いていないけど森の中です。




ある日、森の中、◯さんに、出会った〜♪

シュバルトside

 

 目的地の小屋に辿り着いた僕は、中に誰かいるか確認の為にノックを2回する。

 

『鍵はかかっとらん。用があるなら勝手に入れ』

 

 と、無愛想な声が扉越しに聞こえてきた。

 

 これは厄介なクエストの予感がする。

 

 そう思いつつ、僕は扉を開けて中へと入る。

 中はいかにもボロ小屋と言わんばかりの朽ちた壁の木だったり、ボロボロの本が置かれている。

 ここ十数年整備する事なく放置されてきたような建物だ。

 そして中で返事を返した人は、すぐにでも壊れそうなブロッキングチェアに座り、右手に酒瓶を持ち、それを呷るようにグビグビ飲む、落ちぶれ飲んだくれになった老人だった。

 肌はよく日に焼け、ノースリーブの肌着から晒されている逞しい筋肉。

 だがそれを持て余しているようで、目もどこか遠い何かを見ているようで少し虚ろいでいる。

 そんな目でも睨まれれば怖さを感じる。

 

「威圧感がすごいな……」

 

「うん……」

 

 そんな姿に少したじろいだテリーとフィリア。

 確かにあんな体格に睨まれるのは怖い。

 

「あの、お爺さん! 何か困っている事ありませんか?」

 

 ユウキがそう言うが、

 

「困っとらん」

 

 とすげなく答える。

 頭上のクエストマークやログに変化はなかった。

 どうやら、街でキーワードを探す必要があるタイプのクエストのようだ。

 アルゴと探しまくった結果、その過程をすっ飛ばしてしまい、どうしたら良いかわからないと言う状況だ。

 

「とりあえず、室内を見て回ろう。どこかにヒントがあるかも知れない」

 

 そう言う事で僕達は室内を隈なく散策する。

 ボロ小屋なだけあって、いろんなものが散乱していて、何がヒントか分かりづらい。

 壁に立てかけられている銛を見ると漁師のように思えるのだが、そんな簡単な話ではなさそうだ。

 

 「ねぇ、シュバルト、これはどう?」

 

 ミトがボロボロの表紙の本を開き、中に辛うじて読めそうな掠れた文字を見せる。

 

「確か、アインクラッドの単位はメートル方を起用してるはずたから……」

 

 ミトから僕は本を受け取り、ページをめくり、ヒントになるものがないか探す。

 

「……見る感じ何かの大きさに切るための目安…かなこれ」

 

 僕が中身を読んで、書かれていた内容から予想したのは、何かを組み立てるために必要な物を切り分けるためにまとめられた本だということだ。

 ということはあのお爺さんは、過去に何かを作るプロだったのだろう。

 

「なぁ…アスナ。これ、何か心当たりあるか?」

 

 するとキリトが何か拾ったようで、それを近くにいた彼女に質問する。ら

 

「あるわよ」

 

「本当か!?」

 

 流石に何か気になったので、僕はキリトの肩を叩き、こちらに見せてもらう。

 彼の手に握られていたのは、錆による経年劣化した、投擲用ピックのような物だったが、この場所にそんなものがあるとは思えない。

 となると、何かを固定する為のものだということだ。

 

「釘よこれ」

 

「釘? これが?」

 

 キリトはピンときていないというより、そもそもこんな形の釘があると知らないようだ。

 それもそうだ、こんな釘を見る機会なんて、それこそその道の職人くらいのものだ。

 

「キリト君がよく見てる釘は日曜大工とかで使っているものだけど、これは特殊な用途に使うのよ」

 

「へぇ」

 

「確か、食い込む力が普通のよりも強いから木造船とかによく使われ……」

 

 僕は途中で言葉を切る。

 このクエストの報酬(リワード)内容がわかった。

 

「お爺さん。僕達に船を造ってくれませんか?」

 

 僕がそう言うと、老人の頭に浮かんでいる『?』マークが揺らいだが、すぐに元に戻ってしまった。

 

「ダメじゃ」

 

「ダメェ!? そんなぁ…」

 

 どうやらワードか何かが足りていないようだ。

 出直した方がいいのだろうかと思ったが、老人は話を続ける。

 

「ワシは船大工を辞めた……いや、『辞めさせられた』んじゃ」

 

「辞めさせられた?」

 

「水運ギルドの連中に資材を全て独占されちまったからな。ギルド非所属の職人は爪弾きじゃ……」

 

 一息つくように、キセルを吸い、煙を吐く。

 

「ギルドに掛け合ったが、連中、ゴロツキどもを雇っておって……まぁそこからはご想像の通りじゃよ」

 

 どうやら、あの老人は造る熱を燻らせているようだ。

 造らないじゃなく、造れないのだから。

 

「なら、僕達が耳を揃えて材料を持ってきたら船を造ってくれますか?」

 

「……!」

 

 老人の『?』がついに『!』へと変わる。

 

「フン…いいじゃろう。造る事自体は止められておらんからのう。じゃが一筋縄にはいかんぞ?」

 

「望むところさ」

 

「なら、この街の南にある熊の森で熊の油を採ってこい。それと一つ忠告じゃ」

 

「忠告?」

 

「あの森にはヌシが生息しとるんじゃが……つい最近、そのヌシよりも凶暴で大きな熊が現れとるらしい……ギルドの連中が騒いでおったからな…気をつけて行けよ」

 

 やはり敵mobは一新されているようだ。

 

「わかりました!」

 

 そう言って、僕達は材料を調達する為に、森へと向かう。

 

─────────────────────────

 

「さてと……どうする?」

 

「どうするって?」

 

「船だよ。普通のを造るか、それとも最高の船を造るか」

 

「もちろん最高の船だよ!」

 

「そうね。私もユウキに同意よ。あのお爺さん。ただ船を造るだけじゃ満足しないと思うし……」

 

 ユウキとアスナの2人は素材からも最高のものが造りたいようだ。

 

「なら、樹も良いのを探そうか」

 

 最高の船を2隻造ることになった。

 

「どうやって樹は伐採する?」

 

「出る前に、街の武器やで買った斧があるからそれで切り倒すよ」

 

 ストレージにある、《フェリング・アックス》で切り倒す予定だ。

 アイテム説明にも、『魔物を切るには向かないが、木を切り倒すにはもってこいの一品』と書かれている。

 

「お前が斧を使えて良かったわ本当」

 

「樹を探しつつ熊を探す訳だけど……」

 

「とりあえず、爪の位置だな。高い位置にあればそれがヌシとか例の凶暴な熊の縄張りだとわかるからな」

 

 テリーの言う通り、僕達は高い位置につけられた爪痕を探す。

 樹を伐採しながら、探し始めて30分が経過した頃だった。

 

「おーい! あったぞ!」

 

 どうやらキリトが爪痕を見つけたようだ。

 

「どこなのキリト?」

 

「ユウキ、あそこだ」

 

 彼が指を指した方を見ると、そこにはしっかりと荒々しい爪痕が深々とつけられていた。

 

「ねぇ……ミト、この高さにつける熊ってどれくらいの大きさなの?」

 

「……大体、8メートルくらいかなぁ…?」

 

「それって熊じゃないよね?!」

 

 そんなことしていると、後ろから『グルルルル……』と言う唸り声が後ろから聞こえてきた。

 

「アレだな……」

 

「アレって熊って言う?」

 

「どっちかというとモンスターじゃない? ツノも生えてるし」

 

 モンスターつまりは普通の熊がやらないような事をするのだが。

 それはすぐにわかった。

 《Magnatherium》──マグナテリウムとでも読むのか。ヌシ熊は赤い光を口から漏らしていた。

 

「全員僕の後ろ、若しくは左右に退避!」

 

 そう叫ぶと、皆一斉に左右に散るか僕の後ろへ下がる。

 その間に、僕は盾を呼び出し、マントで身体を覆うように身を固める。

 

「グルルルルァ!」

 

 ヌシ熊は予想の通り、火炎ブレスを吐き出す。

 僕はそれに合わせて、盾を正面に構え、全身する。

 

「ぐうっ!」

 

 ブレスみたいな不定形攻撃はジャストガードし辛い!

 

 直撃の衝撃が来ない上に、熱によるダメージは遅延してくるから、こういった攻撃は防御よりも回避が得策なのだが、今の僕はかなりの銘木を抱えているので、所持品の重量で素早く動くことが出来ないでいた。

 なので、装備品の特殊効果で耐える事を選んだ。

 

 木を先に回収するのは間違いだったか。

 

「ふう……みんなとにかく後ろを回るように戦って! ツノがあるから多分、突撃してくる!」

 

「了解!」

 

 ブレスを僕が防ぎ、残りのメンバーでヌシ熊のケツを攻撃し、隙を見てミトがヴァリアブル・シックルの可変機構で使える鎖鎌の投擲による攻撃でヘイトを散らす。

 これを繰り返していけば危なげなく倒せると思った矢先だった。

 

「フィリア、危ないっ!」

 

 テリーがフィリアを抱えて前方に飛び込む。

 何事かと思い、テリーの後ろに視線を動かすと、そこにはヌシ熊よりも二回りほど大きい体格の青い体毛の熊が暗闇から姿を現す。

 

「《Scary Blue》? 怖い青?」

 

 突然の乱入モンスターに、一同は硬直する。

 

「シュバルト! 奴は俺が相手をする! その間にお前達はヌシ熊を!」

 

 そう言ってテリーは青熊に切り掛かる。

 

「フィリア、キリト、アスナ! 3人はテリーの援護! 僕とユウキ、ミトでヌシ熊を相手にするから!」

 

 僕の指示に3人はハンドサインで答える。

 

「さて……熊さんや……こっから先は通行止めだよ!」

 

 偶々と溜めた剣撃エネルギーを頭目掛けて解き放ちながら言う。

 

 乱入モンスターは彼らに任せて、僕達は急いで倒さないとね。

 

─────────────────────────

 

テリーside

 

 ユウキが前にシュバルトの言っていたモンハンスキルを取得した際に襲われるって言っていたが、こう言うことか。

 

「どうする?」

 

「とりあえずマグナテリウムと同じように後ろを狙う。あの剛腕に襲われたらひとたまりもない」

 

 一撃死なんてことになりかねない。

 とにかく俺が壁役(タンク)を務める。

 

「盾持ちの俺が、アイツの正面に立つ。お前らは後ろや横から攻撃してくれ」

 

「わかった。でもやばくなったらすぐ交代だからな」

 

「無茶はしない」

 

 青熊の剛腕の爪攻撃がくる。

 俺はそれを仰反るように躱す。

 

「くっ……思ったより早いな…!」

 

 これは余裕を持って大きめに回避するべきだな。

 

 俺はそう考え直し、青熊の動きを見逃さないよう目を皿のように開いて見つめる。

 

 両腕を広げて前進し、抱きしめるように腕を回してくる。

 

「おおっ!」

 

 俺はそのまま懐に潜り込み、《閃打》を顎目掛けて放つ。

 

「グララァ!?」

 

 隙を晒した腹目掛けて《ホリゾンタル・アーク》を喰らわせる。

 

「フィリア!」

 

「任せて!」

 

 俺の呼びかけに、彼女は然りと答え、《ベーシック・バイト》で脳天目掛けて突進する。

 

「やぁっ!」

 

 怯んだ隙を狙い、アスナが《パラレル・スティング》で追撃し、そのダメージにより、大きく後ろへと下がる。

 

「そこだぁ!」

 

 その先にキリトが待ち受けており、頭へと《バーチカル・アーク》で切り付ける。

 

「攻撃はさせるか!」

 

 怯ませループをさせるように、俺は《レイジスパイク》で突き飛ばす。

 

「この調子で行くぞ!」

 

 時折、掠りそうになるが、人数差でカバーし、危なげなく事が進んでいる。

 

「この調子なら、大丈夫そうだね」

 

「ああ、だが油断はするなよ」

 

 そしてついに激昂状態へと青熊が移り変わる。

 

「激昂状態だ! 攻撃速度に気をつけろ!」

 

 ブチギレした青熊がこちらへと走ってくる。

 俺はそれを迎え打とうと盾を前に構え走る、がしかし、奴は俺を無視して、後ろにいるフィリアの方へと向かっていった。

 

「フィリア!」

 

 俺は叫びながら、青熊を追いかける。

 

「待ちやがれ!

 

 不意を突かれた彼女は、辛うじて手に持つイーグルダガーで爪による一撃を受け止める。

 

「ぐっ…ぐぐっ…! きゃあああ!」

 

「フィリアさん!」

 

 のだが、彼女のステータス割り振りが、敏捷寄りに振られているが為に、受けきれずに後ろの方に離れた木へとぶっ飛ばされる。

 左上に表示されている、彼女のHPゲージが7割弱まで一気に減少する。

 

「クソッ!」

 

 俺はすぐ様方向転換し、フィリアの元まで走る。

 

「速いっ!」

 

 激昂したことにより、通常よりも攻撃力だけでなく、速度も上昇している。

 

「させるかよぉ!」

 

 《ソニックリープ》のシステムアシストによる加速で追いかけ、背を切り付ける。

 

「おらぁ!」

 

 赤いポリゴンが血のように飛び散るも、傷が浅かったのか、青熊の走るスピードが緩むことはなく、そのまま速度を上げて行く。

 《ソニックリープ》を放った勢いのまま背中に着地する。

 

「くっ! こんのぉ…! 待てって…言ってるだろうが!」

 

 俺はアニールブレードを背中に突き立てる。

 

「ギャオウッ!?」

 

「ようやくこっち見たなクマ公!」

 

 俺は腰に括りつけている投擲用の小刀を耳の付け根に突き刺す。

 

「ギェアアアアア!」

 

 咆哮と共に、一本の樹を中心にぐるぐると周り始める。

 

 どうやら目潰し同様に、三半規管にあたる部分を潰せば平衡感覚を失うようだ。

 

「さーてと……よっと!」

 

 俺は青熊の背中に着地し、そのまま脳天を突き刺し、残りのHPゲージを削り切る。

 

「ようやく片付いたな……フィリア、無事か?」

 

 地面に降りた俺は、木の麓で座っている彼女の元へ駆け寄る。

 

「う、うん……」

 

「…ひとまずポーションを飲んでおけ」

 

 俺はポーチからポーションを取り出し、フィリアに飲ませる。

 飲み干したのを確認し、彼女の肩に体を回して立ち上がらせる。

 そのまま赤ゲージまで減ったHPを削り切る。

 

「2人とも大丈夫か!」

 

「生きてる!?」

 

 キリトとアスナの2人がこちらは走り寄ってきた。

 どうやら俺達は戦闘で、相当な距離を走っていたようだ。

 

「ああ。俺もフィリアも無事だ」

 

「よかった……フィリアさんがふっ飛んだ時はどうなるかと…」

 

「しかしなんだったんだアイツは……」

 

 キリトの疑問はもっともだろう。

 

「多分、シュバルトのモンハンスキルに引き寄せられたか、それで現れたモンスターだと思う」

 

「どう言うことだ?」

 

 俺はユウキから聞いた説明と同じ内容のものをキリト達に伝える。

 

「なるほどな……」

 

「シュバルト君は毎層毎層、今みたいに狙われるの?」

 

「どう…だろうな……もしかしたら今回がイレギュラーで襲われることは少ないのか、それとももっと激しくなるのか。シュバルトも俺たちも、わからない」

 

 目をつけられるとかそう言うわけだが、βじゃそんなことがなかったが故、判断がつかない。

 

「そうか……ってシュバルト達は大丈夫なのか!」

 

 キリトが彼らの心配をするのだが、それはやはりと言うべきか、杞憂に終わる。

 

「そっちは無事かい?」

 

 と、なんでもないようにシュバルト達がこちらへ歩いてきていた。

 

「ああ、なんとかな……お前らは?」

 

「このマントが火属性に対して耐性があるからね。火炎ブレスは対して脅威にならなかったよ…」

 

 シュバルトは安堵した息を漏らす。彼らも無事だと言うことに、俺も安堵した。

 

「その熊から船の素材取れた?」

 

「ちょっと待ってくれ……」

 

 俺はストレージを開いて手に入れたドロップ品を確認する。

 中には『青熊獣(せいゆうじゅう)の油』『青熊獣の爪』『青熊獣の毛皮』など船に必要な素材であろうものがドロップしていた。

 

「多分な」

 

「じゃあ、あとは樹を集めるだけだね」

 

 そう言うわけで俺達は素材を回収し切り、あの老人の小屋まで向かうのだった。

 

 





Scary Blue
スケアリーブルー
原作モンハンにおけるアオアシラさん。
実はラバラ・バリナがワイルズで現れなければ最初のモンハンモンスになっていた。

青熊の倒し方
ヤンキー漫画BOYより、ミリオン。
No.5の熊を調教師であるNo.4が殺した方法と同じ。

シュバルト
今回は火属性の攻撃に耐性のあるマントでヌシとの戦いでタンクとして戦った。
このマントが優秀すぎるので、大事に使っていこうと思っている。

ユウキ
描写していないが、ヌシにトドメを刺している。
しかし、LABはなかった。

テリー
青熊相手に危険な壁役を熟したが、フィリアが危険な目に遭ったことに不甲斐なさを感じている。

フィリア
青熊に一気に近寄られ、襲われた。
まさかテリーを無視してくるとは思わず、咄嗟に防御出来なければ、どうなっていたことやら。

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