SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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タイトル詐欺だなこりゃ



川の流れは勢いを増して

テリーside

 

 洞窟から戻ってきた俺とフィリアはシュバルト達に報告の為に街へと戻っていたのだが、

 

「いないな……」

 

「まだクエストとか終わってないのかもね」

 

「みたいだな……」

 

 この層が変わりすぎたこともあり、キークエストやらなんやらが大きく変わっているのだろう。

 しばらく待つことになりそうだ。

 

 どうにかして時間を潰すこととなるな。

 

「……そろそろ装備の新調をするか」

 

「そうだね。私もそろそろ防具を新しくしたいし」

 

 そう言うわけで、街で装備品を見に行くこととなった。

 

「そろそろ盾を新しくしないとな……」

 

「あー、その盾ボロボロになってるもんね」

 

 そう、第一層から使い続けて、修理もしながらここまで来たのだが、そろそろ寿命になるだろう。

 傷跡が痛々しい。

 

「良いの見つかるといいね」

 

「ああ、できれば小型盾(バックラー)がいいな」

 

 そう思いながら店の商品を確認する。

 防具の情報を文字列をタップして開き、マジマジと見つめて確認する。

 メニューをスライドしていき、好みの形の盾が目に入る。

 

「スフェーン・バックラーか……」

 

 内側が緑で縁が白い盾だ。

 

「店主、これを一つ頼む」

 

「あいよ、3.600colだ」

 

 少し痛い出費だが、キチンと強化すれば、層を跨いでしばらく使い続けられる。そう考えれば、安いものだろう。

 防具を長続きさせて使うのが節約と良い装備と出会うための上手い生活方法だ。

 

「ちょうど貰うぜ」

 

 俺は購入した盾を直ぐに装備する。

 

「少し…重いな…」

 

 前に使っていたスモールバックラーは木の素材も使っていた事もあり、軽めだったが、この盾は金属素材が中心の為か重い。

 

「装備するには、ちょっと早かったのかな?」

 

「だろうな。まぁしばらくは持ち続けて慣れるとするさ」

 

 その後、フィリアは防具を購入し、少し遅めの昼ご飯を食べている内に、シュバルト達が戻ってくる。

 

「お、戻ってきたのか」

 

「ただいま。こっちはフィールドボスの情報が集まったよ。ディアベル達と共同で進めたから、確実性は高いよ」

 

「飯の後で聞く」

 

「おっけ。そっちはどうなの?」

 

「実はだな……」

 

 俺は洞窟内での出来事を説明する。

 

「ふむ……フォアマンって言うのは職人頭とか工場長って意味だから……」

 

「やっぱりあの木箱は船の素材だったか」

 

「でも船の素材なんか集めてどうするんだろう…」

 

 と、ごもっともな疑問をシュバルトが口にする。

 

「その辺りは然るべき人物が分かればだな」

 

「そうだね。今はご飯にしなきゃ」

 

 シュバルトはメニューを開いて、店員に注文を始める。

 

「しかし、ここは移動しづらいな……」

 

「基本的に移動の為に船を使わないといけないのがね……」

 

 観光としてなら問題ないのだが、生活するとしたら面倒くさい。

 現実のヴェネツィアの住民はどうやって生活しているのだろうか。

 

「あー……早く次の層行きたいな」

 

「あはは………確かにね……」

 

 船に思い入れがあっても次の層以降には持っていけないのが、なんとももどかしい。

 あれだけ苦労したと言うのにだ。

 食事を終えた俺はシュバルトからフィールドボスの情報を聞いた。

 

「双頭の化け亀か……」

 

「βじゃゾウガメみたいなので鈍くて雑魚だったね」

 

 全く苦労した覚えもないので、この水浸しフィールドは正式サービスでの予定通りだったわけだ。

 

─────────────────────────

 

シュバルトside

 

 翌日、フィールドボス攻略の作戦が決行される。

 昨日は、正義の戦士団の姿を見ることがなかったが、彼らはどこで情報を仕入れているのだろうか。

 アルゴやスノーベルは自身の足とプレイヤーとの交流で得ているが、彼らがどこで得ているのか全くわからない。あの鎖頭巾のプレイヤー、βテスターのモルテが裏でコントロールしているのだろうか。

 その考えを一度捨てて、今を見る。一歩ずつ、攻略してフロアボスの情報も手に入れる。千里の道も一歩からだ。

 まぁ、大体は諦めるが千里の道の現実なのだが、アインクラッド攻略はまさに千里の道だ。百層の事を考えると気が遠くなる。

 それでも、この世界に囚われたプレイヤーを解放する為にはここを攻略しなければならない。

 責任を果たさなければならない。

 

「シュバルト? どうしたのそんなに深く考えてて」

 

「……よくわかったね」

 

「シュバルトって結構わかりやすいんだよ?」

 

 師匠にポーカーフェイスを褒められたことがあるのだが、そんなにわかりやすいかな。いや、おそらくはこの世界、もといナーヴギアがこちらの感情を読み取って表に出しやすいからだろうか。

 

「そっか」

 

「それで、何考えてたの?」

 

「アインクラッドの事だよ」

 

 僕はそう言って、ディアベル達の元へ向かう。

 

「ディアベル。調子はどう?」

 

「シュバルト。俺達は問題ないぞ。君こそどうなんだ?」

 

「大丈夫。足は引っ張らないさ」

 

「そうか。今日は初めての水上戦だ、手探りの部分が多いだろうから、安全第一で攻略しよう」

 

「そうだね。下手に無理をして戦線が崩壊したら危ないからね」

 

「ああ、そろそろ作戦開始だ。シュバルトもギルドメンバーの所に戻った方がいい」

 

「そうするよ」

 

 ディアベルと別れ、ユウキ達の所へ戻る。

 

「それじゃあ、初めての水上戦。気を引き締めてやるぞ!」

 

「「「おー!」」」

 

 僕達は気合を入れてボス戦に挑むのだった。

 

─────────────────────────

 

「キバオウ艦隊、全艦発進〜〜ん!」

 

「リンド艦隊、出撃!」

 

 キバオウ達の緑色のゴンドラとリンド達の青い船が先陣を切る。

 

「奴らに遅れを取るな! 正義の船隊、出陣!」

 

 それを追うようにドライア達の船が出る。

 

「ユウキ、ミト!しっかり捕まっててよ!」

 

「うん!」

 

「多少の無茶な運転は許容するから、操船頼むわよ!」

 

 櫂を力いっぱい動かしてティルネル号を進める。

 双頭の古代亀が巻き起こす、強い波に僕達の船が大きく揺れる。

 

「とにかく僕達は側面からチクチク攻撃するよ!」

 

「あまり無理をして川に落ちたら危ないからな!」

 

 揺れる船の上でバランスを崩さぬよう注意を呼びかける。

 2つの頭の噛みつき攻撃だけならば大したことはないが、船の上と揺れによる、不安定な場所だと話が変わってくる。

 盾や武器で受け止めたとしても、踏ん張りが効かず、そのまま押し切られて川に落ちてしまう。

 

「ユウキ! 左頭が噛みついたら首にホリゾンタル!」

 

「了解!」

 

「ミトは、その後に鎖鎌の根本を頭目掛けて投げて!」

 

「OK!」

 

 2人は指示通り的確に攻撃を当て、亀を怯ませる。

 

「今だ! B隊、D隊! 怯んだ頭にSS!」

 

「おう!」

 

 作られた隙に本隊の攻撃が叩き込まれる。

 順調に戦闘は進んでいく。

 最初は慣れない戦闘だったが、慣れてきた頃には操船と攻撃は安定してきたようで、落ちそうな瞬間は無くなっていた。

 

「ラストゲージが赤だ!」

 

 そう攻略組の誰かが叫ぶと、命の危機を感じ取った亀は手足と頭を引っ込める。

 

「回転するぞ!」

 

 亀の向こうでエギルの声が響く。

 

「どうするの!?」

 

「このまま突撃する!」

 

「ええ!?」

 

 僕はこの船に備えられているとある装備で攻撃してトドメを刺すことにした。

 亀は回転し、渦を巻いていく。

 僕はその流れに乗るように操船する。そして勢いよくぶつかり、それと同時に亀のHPがなくなり、ポリゴン片となり爆散した。

 

「シュバルト…なんで倒せたの?」

 

「衝角を当てたのさ」

 

 そう、あのマグナテリウムの角を素材に付けられた衝角で攻撃したのだ。

 

「さてと……」

 

 LABは僕の物のようだ。

 まあ大した物ではなかったけど。

 

「お疲れ様だナ」

 

「アルゴ…って何それ、忍者にでも弟子入りしたの?」

 

 水面をアメンボのようにスイスイ滑る彼女の足には丸い木の板が装備されており、それを使って浮いていた。

 確か水蜘蛛だったか。

 

「主街区でいいモノ見つけたンダ」

 

「へー……」

 

「アルゴのそれがあったら船を造る必要なくなるんじゃ……」

 

 ミトがそう問うと、アルゴは揶揄うような表情を作る。

 

「ところがどっこい、要求AGIが高い上に、装備重量を思いっきり減らさなきゃいけないんだナー」

 

「その割にいつもと変わらないように見えるけど?」

 

「そう見えるカ? この下はもしかしたら何も着てないかもだゾ」

 

 そう言って服をチラリと捲る。

 

「アルゴ、乗ってく?」

 

「揶揄いがいがないナー、シュバルトは。マ、お言葉に甘えさせてもうヨ」

 

 ヒョイっと船の上に飛び乗る。

 

「この後は、エルフクエストの続きだね」

 

「でも、どこで受けるの?」

 

「テリーとフィリアのお陰で進められるようになったよ」

 

「そうなのカ?」

 

「ああ、あのフォールンの事でね…まあとりあえずは攻略完了の打ち上げに行こうか」

 

 そして、次の拠点となる場所、ウスコの村へと向かうのだった。

 

─────────────────────────

 

「しかし、ハイペース攻略だね」

 

「第一層の頃からしたら相当早いナ」

 

「2ヶ月経ったからね。あの時は前例がなかったから、誰も攻略する勇気も覚悟も出てこないからね…」

 

「んで、エルフクエストの件はどうなってるんだ?」

 

「テリー達がフォールンと木箱の取引していて、職人がいることからわかることがあるんだけど」

 

「けど?」

 

「実はこの後ディアベル達主催のクリスマスパーティーがあるんだ。参加するならそっちに行っても大丈夫だよ」

 

 と、言うと皆は

 

「当然、エルフクエストに参加するさ」

 

「ああ、悪いがそっちの方が重要だからな…」

 

「キズメルに会いたいしね」

 

 エルフクエストを優先するようだ。

 

「そっか、ならご飯食べ終えたらエルフクエストの続きが出来る場所にまで行こうか」

 

 そういうわけで、僕達は再びゴンドラに揺られてとある場所にまで、向かう。

 

「ねぇ…ここであってるの?」

 

 ユウキが不安そうに尋ねる。

 

「大丈夫。霧が濃いけど、目的地はこの先だよ」

 

 そのまま進んでいくと、霧の左右が仄かに何かが灯っているのが視界に写る。

 

「そろそろね」

 

 この先に何があるのがわかっているβ組はなんでもないようにいる。

 それに対してニュービー組は不安を隠しきれずにいるのか、辺りをキョロキョロと見渡している。

 

「あの旗…! もしかして!」

 

 見覚えのある黒い旗にアスナが反応する。

 霧が晴れた先に見えたのは、幻想的な城だった。

 

「綺麗……!」

 

 フィリアが感動した声を漏らす。

 テリーは何か満足したような顔になったのが見えた。

 

「止まれ!」

 

 黒エルフの衛兵が叫ぶ。

 

「ここより先は人族が立ち入ってよい所ではない!」

 

「我が名はシュバルト! 城主に目通り願いたい!」

 

 僕は三層で野営地の司令官から貰った紹介状を提示する。それを見た衛兵はハルバードを垂直に戻し、正門を開ける。

 粉雪がふわふわと降る中、そのままゴンドラを進めて、中へと入ると、外よりも綺麗な光が僕達を出迎える。

 ここヨフェル城の目的はとある人物に会うためだ。

 城の中庭へ向かう為、城内を進み、途中にあるいばらの迷路を抜けると、立派な針葉樹がある美しい庭園へと辿り着く。

 

 その庭園の景色に立ち尽くす僕達の先に見覚えのある人物がこちらに気づくと、動きづらいであろうドレス姿にも関わらず、こちらへ駆け寄ってくる。

 

「シュバルト! ユウキ!」

 

 そしてその人物は僕とユウキに腕を回す。

 

「久しぶりキズメル」

 

 





テリー&フィリア
街でデートです。
尚無自覚。

ユウキ
キズメルと再会した。

シュバルト
ユウキに長考している時の癖がバレているようだ。



ちょっとした小話。
ちなみ軽くネタバレすると、SAO編はアリシゼーションまでやった後、暗殺教室編に入ってありふれに入ろうと考えています。
ちょうどありふれには教師のネームドキャラいますし。
SAOのクロス先にこの二つは見た事ないので。
ないなら書くしかねぇ!の精神です。


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