そんでもって姉属性と……
テリー君は弟属性持ち……
この作品を考えた上で、テリーの設定というかドラ6のテリーを出したわけだけど、まさかこんな噛み合い方をするとは思わなかったです。
中学生の俺よ……お前、これを予知していたのか……
テリーside
シュバルトの誕生日会を終え、その翌日、俺達は、昨日と違い、地下墓地周辺のクエストをキリト達と共に進めている。
灯りの少ない地下墓地は、薄らとしか見えない。その為、俺たちは手持ちのカンテラで周囲を照らしながら、目的地にまで足を運んでいる。
「ね、ねぇテリー……このクエスト何…?」
恐怖に震えた声で尋ねてきた。
「あー、三千年の嘆きだ」
そう答えた途端、彼女の顔が暗がりながらも、青ざめた気がした。
「え……」
フィリアはクエスト画面を見る。
「ねぇ……これクエスト進められるの午前2時だよ?」
そうフィリアの言う様に、このクエストは午前2時に起きる異変を突き止めるのだ。
「正攻法ならな。この手のクエストは抜け道があるのさ」
「そ。そのヒントはあと少し……いや来たみたいだぞ」
キリトがフィリアとアスナの後ろを指差すと、そこには『ぺたんぺたん』と、奇怪な音が聞こえてくる。
小さな悲鳴をこぼしながら2人は振り向く。
そこには濃い灰色のズタボロのフードコートを着込んだNPCが、蝋燭を右手に掲げながら現れたのだ。
「こ、こんにちは……」
アスナが挨拶をしたが、無視されてしまった。
「あ、あのー……ここで何か変なこと起きませんでしたか? それこそ…真夜中……」
フィリアは震える声でフードコートの人物に話しかける。
「おれ、夜中は、ここ来ない。朝、起きてろうそく、点ける。昼間、減ったろうそく足す。夜には、消して寝る」
そう言うと、フードコートの人物は礼拝堂を出ていく。
「いなくなったな。んじゃ蝋燭の火を消すぞ」
俺達はNPCには申し訳ないと思いつつ、蝋燭の火を消していく。
全ての火を消し、手元のカンテラも消したことで、この空間が真っ暗な闇へと包まれる。
すると足元から青白く何かが発光する。
「テリー……何か光らせた?」
「いや?」
「ならキリト君……?」
アスナがそう聞くとキリトの手には何も握られていない。
不思議に思う2人が光源を探そうとしたその時、『オォォォォォォ……!』と言う木枯らしのような音が礼拝堂の空気を揺らす。
女子陣が背筋を『ピーン』と硬直させた。
そして音と灯りの正体が姿を現す。
「な、なになになになに……!?」
「いやいやいやぁ!」
びびった2人が俺達の後ろに隠れる。
「……やっぱり怖いか」
「いきなりなのはダメだよ……!」
キリトの後ろに隠れたアスナもダメだったようで、彼のコートを握りしめている。
イタズラしたそうにしているキリトを、俺は視線でやめさせる。
「ねぇキリトくん、お化けどっか行った!?」
「まだいるけど……」
「や──────! 早く追い払って!」
「クエスト進めたらいなくなるけど」
「なら早く進めて!」
キリトがアスナにコートを掴まれたまま前に進み、幽霊に話しかける。
「幽霊さん……何故ここで暴れているんですか?」
『………ここから、出られないから……』
「なんで出られないんだ?」
『ここに……閉じ込められたから……………』
そうして会話は進み、クエストが進行したことで、現れた幽霊は姿を消した。
「も、もういなくなった…?」
涙声になりながらキリトに尋ねる。
「ああ、あとはクエストを進めつつ並行して猫探しをしたりするから……そのアスナ……離れてもらっていいか?」
「う、うん……」
何やら変な雰囲気になったが、気持ちを切り替えてすぐにクエストを消化していく。
迷い猫を見つけ、遺物を拾い、鑑定してこの街の豪商の紋章だと判明したりした。
それを見せつける。すると先ほど見た幽霊は豪商の娘らしく、遺物拾いで邪魔になったから閉じ込めたそうだ。
豪商の後を着いて行き、礼拝堂へ向かい、幽霊に豪商が土下座をして謝罪をしたことで呪いが解けて、姿を消した。
屋敷へ戻り、報酬を貰い、部屋を出て扉を閉めると、戸の向こうから『ガタガタ』と震え男の悲鳴が聞こえた所で扉を開けると、そこには男の姿は影も形もさっぱりなくなっていた…というかオチでクエスト《三千年の嘆き》終了した。
「ねぇ……今のクエスト子供向けじゃないよね?」
「そうだな……まぁSAOはレーティング13歳以下禁止だから大丈夫じゃないか?」
「そうかなぁ……そう言うのを破ってゲームする子供なんていっぱいいるから、ほら2年くらい前に4人でモンハンとかやったじゃん」
「あー……確かにそうだな」
そんなことを思い出していると、再びフィリアから質問される。
「なんで私達非β組はβ組にレベルが追いつかないのかな……」
「経験値システムが、分割分配だからな……与ダメやタゲされた時間とかそう言った要因で経験値が割り振られるシステムなんだ。だから前に出ている俺達に経験値が多く入ってる」
「へー……」
「ま、レベルが1違うくらいで何かあるわけじゃないから、そこまで悩む必要ないと思うぞ?」
そう言うのだが、納得していないようだ。
困ったと思いつつ、食事を続けていると、シュバルトからメッセージが入る。
「なんだ…?『この後、ユウキと一緒にディアベル達と話し合いをするから、残りのメンバーで自由行動して構わないよ』か……サブリーダーのユウキがいるから大丈夫か」
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シュバルトside
テリーにメッセージを送り終えた僕は、カルルインの角にある、宿屋へユウキと共に向かっていた。
メッセージに送った通り、ディアベル達FWKと話し合いをする為だ。
この話し合いをJWの連中に知られてはならない。色々と面倒なことが起きる。
目的地の宿屋の中の一室の扉を叩く。
「……ディアベル、いる?」
『ああ、入ってくれ』
どうやらディアベル達が先に着いていたようだ。
僕は扉を開けると、中ではすでにテーブルに座っている、FWKのサブリーダーの2人とディアベルが立っていた。
「呼んだ手前、後から来てごめんね」
「それは構わない。それで突然、相談があるって、どうしたんだ?」
「この層のフロアボスのドロップ品についてね……厄介な物だからさ」
「…? ドロップ品? LABじゃなくてか?」
「うん。ギルドを運営しているなら確実に不味いことになる」
「不味いってどう言うことだ? それもギルドが関係しているって言うのは?」
リンドの問いに僕が答える。
「ドロップ品の中にロングスピア系列の武器があるんだけど、それのマジック効果がだよ」
「どんなえらい効果があんのや?」
「名前はフラグ・オブ・ヴァラー。それ自体は攻撃力最低なんだけど、槍を地面に突き立てると」
僕はテーブルの上にあるフォークを手に取り、そのまま柄尻を下にして突き立て、大体半径15cmの円を指で描く。
「旗を中心に15m以内にいる旗を所持しているギルドのギルドメンバーに4種のバフが付与されるんだ」
そのことを伝えると、ニュービーだったリンドとキバオウは目を見開き口を大きく開いて驚き、そのまま固まってしまった。
そんな2人が絞り出したセリフが、某ジャンプで有名な死神漫画の「なん……だと(やと)……?」だった。
対して元βテスターのディアベルは思い出したのか、「アチャー」と言うように、額に手を当てていた。
「それの効果時間は……?」
「旗を立てている限り永続」
「人数に制限はあるんか?」
「ギルドメンバーであれば範囲内なら制限なし」
「改めて聞くととんでもないなそれ……」
本当にそうだ。
こんな物が片側のギルドの手に渡ってしまえば、攻略組のパワーバランスは一気に傾いてしまうだろう。
「つまり今回はそれの取り扱いの相談な訳か……」
「うん。まず第一に
「ボクもシュバルトから聞いたけど、同じ意見だよ」
「となると、取り合いになるのはウチか、JWのどちらかになるのか」
「せやな……」
3人は少し悩んでいると、ディアベルが最初に口を開いた。
「正直、そんなものはこれから先の攻略を見据えていくと、俺は使うのを躊躇うな」
「ディアベルはん? それはなんでや?」
「俺達は前のフロアボスでバフの凄さを体感しただろう? これがあればフロアボスも普通よりも安全に挑めるってね」
「それはそうだが……」
「なら、突然その旗が壊れたら? いきなりそのバフが消えたら? 確実にギルドメンバーは混乱するし、ガタガタになる」
ディアベルの指摘にサブリーダーの2人は理解し、そうなった時の光景を想像をしたのか、難しい顔をする。
僕もディアベルの言いたいことはわかる。
バフ頼りの戦い方を続けていけは、それに依存した戦闘ばかりの頭になっていく。
それにバフを受けながら戦うと言うことは新しく戦闘方法を考えなければならなくなる。ようやく慣れてきたレイドバトルに新しく陣形を考えるのは更に労力を要する。
それに半径15mは、戦うとしては、かなり狭い。
だが、武器を振り回したりするなら、可能なバフの範囲内でそれが出来るのは数人程度だろう。
バフの効果時間も、一度旗を立て、効果を得てから、旗を立てるのを止めたとして、どれくらい続くのか。
それはかなり短くなるはずだ。
なんせ立てている限り永続なら、外した後のバフ時間はバランスを考えてみれば、大体短く設定される。
「ディアベルさんが言いたいことは承知した……」
「なら、その旗をあの連中に渡すっちゅうことにもなってまうで」
「確かにその通りだ。仮に向こうがそれを獲得して、それを今後使っていくとすれば、士気に大きく影響が出るだろう。特にウチにはマイナスになる」
「なら…!」
「でもそれを向こうが使うことを承知で俺達は、レベルアップを少しハードにして、バフ付きの彼らに並べるようにする……まぁ言うは易し行うは難しってやつだけどね……」
ディアベルの言うことはある意味レベルのゴリ押しで、このSAO攻略に於いて、最も重要なものだ。
「……まぁアイツらをあっと驚かせる方が気分的にも今後の攻略でも生きていくから、いいかもな」
「せやな。あんの舐め腐った連中に負けるんはワイも嫌やからな……それに乗ったるわ」
2人もディアベルの考えに乗るようだ。
と言うか、キバオウ、JWの奴らに何されたんだろう…?
「そのリンドは兎も角、キバオウは良いのか?」
「確かに下層の者には、リソースを割ききれなくなるやろな……せやけど、そっちばっかやって攻略が疎かになるんのは本末転倒やろ? レベルが高いやつが増えれば、下の奴のレベルアップに回せる。先を見据えるならそっちの方がええわ」
と、言うキバオウの表情は晴れており、これから先に向けてやる気に満ちていた。
「とりあえず、ギルドメンバーの上のメンバーに伝えておくよ」
「うん。それでお願い。とにかく…」
「わかっているさ。モルテには伝えないようにする」
「それでよろしく……無茶なお願いしてごめんね」
「構わない。君が三層で襲われた事を考えれば当然のことだ」
ディアベルと握手を交わして、僕達は宿を離れる。
「なんか、ボク居る意味なかった気がする……」
「ユウキの立場上、この場にいてもらう方が信頼性がある。今回の相談は僕の方から、お願いしたし」
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フィリアside
夕食に食べたブルブルタルトのマジック効果で、私達は再び遺物拾いを始める。
「やっぱりこれはやめられなくなりそう……!」
「ほどほどにしとけよ……β終了までやってたヒロワーなんて呼ばれた奴がいるからな」
「……馬鹿にされてるよねそれ」
「褒められてるわけないだろ」
テリーと会話をしていると、箱らしきものの付近に、光るものが目に入った。
「ネックレスだ…!」
私がそれを拾い、どんな効果があるのかと調べようとしたその時だった。
『ガコン!』と何かが動く音と共に、私は浮遊感に包まれる。
「フィリア!」
テリーが慌てて駆け寄って来る。
私がトラップに引っかかり、落ちていることを今理解した。
落ちる私の手を掴もうとした彼の伸ばした腕は届かず空を切り、私は何もできないまま下へと落ちてしまった。
「キャアァァァア!」
「フィリアッ!」
ドサリと地面に尻餅をついてしまった。
(シュバルト曰く)
「うぅ……やらかした……」
そこまで高さがなかったので、落下ダメージがなかったのが幸いだ。
敵mobに襲われるかもしれないので、腰の短剣を抜刀しようとした時だった。
「あれ…? ない?」
慌てて周囲を見回すと、2m先に落ちていたので、急いでそれを回収しようと、駆け出したら、目の前を敵mobらしき影が走り抜ける。
「えっ…? あっ!」
鼠型敵mob──【
「待ちなさい!」
私はイーグルダガーを持ち去ったシュルーマンを追いかける。
それでも追いつくことが出来ずに、シュルーマンの姿を見失ってしまった。
「どうしよう……」
真っ暗闇の中、私は一人ぼっちになってしまった。
自分の軽率な行動がこんな状況を生み出してしまった。
暗闇の薄ら寒さが、私の思考を止めようとする。
「……ここで悩んでいても仕方ない。なんとしてでもあの武器を取り戻さなきゃ」
私はどう取り戻すか考える。
あのシュルーマンがいきなり現れた訳ではないだろう。敵mobが出現した音は聞こえていない。つまり、何かを手掛かりにここに走って来たはずだ。となると手掛かりにした物だ。まずこの暗さでは、視界による察知は至近距離でしかない効かないので、それ以外だ。ネペント系のように匂いで反応したか。それもないだろう。こんな場所で匂いを使う移動はしないはずだ。確かに洞窟内に現れた異質な匂いには反応はするだろうが、流石にそれは察知し過ぎている。つまりは音だろう。蝙蝠のように音を感じ取って走って来たのだろう。
「とは言え、音を立てても持ってるやつが来るとは限らないんだよね……」
とりあえずは、虱潰しにシュルーマンを倒していくしかない。
「予備武器買っててよかった……けど頼りないなぁ……」
ハードストーンダガーを私はストレージから直接装備する。
いつも使っているイーグルダガーと違い、石で作られているのか、重さ違う。
「重たいなぁ……」
そう言いつつ、散策を開始した。
「暗い……灯りになるようなもの……」
私はストレージにある、落ちる前に手に入れたネックレスを調べる。
「鑑定成功するかなぁ……」
装備している腕輪のマジック効果に、鑑定+5という物が付いていて、数字通りの鑑定成功確率が設定されており、運が良ければ、未鑑定アイテムの鑑定が成功する。
「よし、鑑定成功……何々……《燭光》……装備したらわかるかな?」
首にかけ、息を吹きかけると胸元から淡い光が放たれる。
「あとは聞き耳スキルで……」
鼠のような鳴き声が聞こえてくる。
「あっちね……!」
私は暗闇の中を駆け抜ける。見つけた片っ端から、SSを叩き込んで撃破する。5匹ほど倒したのだが、ドロップしたのは《フウセンキノコ》《雑草》《削った石ころ》《人骨》そして《丸めた紙屑》というゴミばっかりだった。
「中々見つからない……」
手に入れた紙屑を広げ、燭光ペンダントの灯りで何か書かれていないか確認する。
【29、22:00、B3F(181、203)】
「…………? なんの位置情報?」
時間は夜10時、29は多分今日だ。B3Fは地下3階、最後の数字は、
「座標……?」
今度は地図を開く。丁度自分は今、地下3階にいて、さらにその座標は30mほど先だ。
移動することは容易だ。
「………ひとまず確認しよう。もしかしたら短剣拾われてるかもしれないし」
座標が示す先まで走る。30mという距離はとても短くて、あっさり着いてしまった。
そして座標より数メートル離れた場所で何者かが来るのを待つ。
「どもどもぉ〜今日は早いですねぇ。お待たせしちゃいましたかぁ〜?」
現れた声の主は聞き覚えもなく、初対面の人なのかと思ったが、それに対して返事をした人物は、
「たいして待っちゃいねーけど、ここまで来るのがメンドイよ」
聞き覚えのある甲高い声だった。
「メンドイと言ったら手書きメモもダルいわ。メッセでいいだろ?」
「ダメですよぉ〜履歴残ったら不味いんですから。それに自分はスパイな訳ですし〜熱り冷まさないといけないんですから〜」
どうやら、気の抜けるような声の主が、スパイの疑いがかかっているモルテのようだ。
「へいへい、わーったよ」
「それよりも、尾行とか大丈夫ですかあ?」
「その為にここで集まってんだろ? なんせここに来るまでアストラル系のモンスターに見つかるからな」
「そーですねぇ。んじゃあサクッと本題に入りますかぁ……例の話、どうなりましたか?」
「あー上手くいつたぜ。ウチの主力は明後日の合同カウントダウン・イベントぶっちして、一気にフロアボスを倒す」
カウントダウン? どう言うとこと?
「しっかし、旦那も凄えよなぁ、上の立場になっちまうなんて」
「あはは〜それに関してはそっちのリーダーがアホだからじゃないですかねぇ〜」
「それもそうだな。それに対して、そっちのリーダーと、第三ギルドがな……」
「そーですねぇ……ディアベルさんは、ヒロイズムが高い上にフェアネスを兼ね備えていますし、第三ギルドはサブヘッドがおもちゃにしようとしてますしねぇ……しかもそのギルドリーダーを」
「……正直ヘッドの狙いを遂行するには邪魔だろ?」
「ヘッドが許してる時点で察しましょうよ〜」
「……ま、すぐってわけじゃないからな」
「そーそー過程を楽しみましょ? 今はまだ、種蒔きの季節なんですから〜」
「焦って祭りが台無しになるのはダメだもんな」
私はその会話を聞き終えて、その内容を理解したことで、身体が震える。
PK集団がいるのは聞いていた。とは言え、動向がわからないから、どう対策をしたらいいかわからなかった。
でも、この事を知ってしまったからには、報告しなければならない。
だが、ここを離脱するのは高難易度だ。
「……どうしよう」
すると、私が追いかけていた敵mobが奴らの前に現れる。
「おわ!? なんだこいつ!」
「あはーβの時に嫌われてるルーターmobですよぉ」
そう言いつつ、シュルーマンの移動先を制限し、甲高い声の男がそのままダガーで倒した。
「ったく、騒がせやがって……ん? お? おお!? ラッキー!」
「どうしたんですかぁ?」
「こいつ、レアモンのダガー持ってやがったぜ」
息を呑む。
まさか、それは自分のイーグルダガーなのではないか。
「よかったですねぇ〜シュルーマンはそう言ったギャンブルもあるんですよぉ」
「丁度、オレも短剣使ってっから更にラッキーだぜ。こりゃ作戦も成功しそうだなぁ」
男が武器をタップしてステータスを確認する。
「えっと……イーグルダガー……しかも強化済みぃ! ヒャッホウ!」
不味い私のだ。
どうしたらいいか考えていると、別の人物が現れる。
「おっとぉ……今度は貴方ですかぁ」
「ウチのリーダーじゃなくて悪かったな」
暗がりで色がわからないが、声からしてテリーなのは間違いない。
「あははぁ。それでなんですかぁ?」
「そのダガー、ウチのメンバーのなんだが、ルーターmobから手に入れたのか? まぁそれか真実かなんてわからないが」
「あ? なんだ? もしかしてオレがこれを手に入れたのが、PKをしたからだって言いたいのか?」
「ああ。なんせ隣の男はウチのリーダーに決闘PKを、仕掛けた前科持ちだからな」
3人が会話している間にダガーを取り戻す方法とこの場を切り抜ける方法を思いついた。
私は思いっきり息を吸い込み、
「わ─────────っ!!!」
叫んだ。それはもう、思いっきり。人生で一番叫んだかもしれない。
そんな私の声にPK集団の2人は不意の爆音に驚いたのか、手に持っている武器を落とした。
それを私の声に反応したシュルーマンが集まり、武器を掻っ攫っていく。
その内の1匹が私のダガーを拾うのをしっかり確認する。
「ふっ!」
速度重視の2連突きSS《ファントムピアーズ》で一撃で仕留める。
そしてドロップ品の中に、イーグルダガーがあるのを確認する。
「ヨシ!」
私はそのままその場を離脱。それを見たのか、テリーも私の後ろを追いかける。
「な……な、なんっ……ど、どっから出て来やがったっ……!?」
私は戸惑っている連中2人を置き去りにして、地上まで駆け抜ける。
「はぁっ……! はぁっ……!」
「全く……とんだ作戦を思いついたもんだなお前は」
「あはは…でも上手くいったから無問題でしょ?」
「そうだな……アイツらも、お前の声に引き寄せられた敵mobに慌てふためいているだろうしな」
その場に座り込んだ私は、緊張が解けたのか、腰が抜けて立ち上がれなくなってしまった。
「あ、あれ…? た、立てない…」
そんな私に彼は軽く抱きしめる。
「無事でよかった……」
「……本当は怖かった」
「ああ…」
「武器を落として、真っ暗な中、1人になって……どうしようって」
「ああ…もう大丈夫だ」
「………うん」
「お前とまた逸れるようなことがあっても、必ず見つける」
そう言うテリーの暖かさに私は身を委ねるのだった。
アスナ
アストラル系はダメらしいが、ゾンビ映画は見る模様。
いるんだかいないんだか曖昧な存在が受け入れられないらしい。
シュバルト
ディアベル達FWKとフロアボスのドロップ品の扱いについて相談しに行った。
個人的にも人数的にもいらないが、一悶着起きるのは面倒。
ユウキ
シュバルトの横にいただけ。
自分でもいる意味がないんじゃないかと思うほど。
テリー
穴に落ちたフィリアを助ける為に全力疾走。
みつけた時にPK集団のプレイヤーがいた時は焦った。
フィリア
トラップに引っかかって穴に落ち、武器も奪われてしまうと窮地に陥ってしまったが、なんとか切り抜けることに成功。
その際、PK集団が何かを企んでいること、そのサブリーダーかシュバルトを狙っている事を聞いてしまう。