シュバルトside
ユナが龍歴院に加入した翌日。
僕達は再びフィールドへ向かう。ボスクエがどこにあるのか、自らの足で探すのが今回の目標だ。
朝食時に全員にそのことを伝え、装備を整え、回復アイテムを揃える。
「目星はついているのか?」
「一応ね、火山とは別にある森が気になっててね」
ああいう場所にヒントが隠されていたりするものだ。
僕のモンハンスキルも森の奥にあったのだ。無いと断定するのは早計というものだ。
「特に怪しいと思っているのは、この一部分だけ赤くなっているエリア。ここだけ葉っぱが赤いんだ」
「何かありますよ、と言わんばかりだな」
これで何も無いなら、なんなんだって話になる。
「それならアルゴも連れて行くの?」
「いや、彼女には圏内でクリアできるクエストをやってもらってる。僕達がフィールドに出るとこっちが手をつけられないからね」
既に置き手紙を書き置き、僕が用意した弁当を持って行ったアルゴの手紙を見せて言う。
「あと気になっている場所は、火山の中だね。やっぱり目立つ場所にあるから、必ず行く人は出るだろうし」
◯ii ◯ports ◯esortの遊覧飛行で何度もマグマダイブする人は多いのだ。かく言う僕自身もよくやったし、頭も打ちつけるように墜落していた。すごい懐かしいぞ。
「メンバーは……半々に分けるか……」
アルゴを抜いて、ウチは12人。改めて、この層で結構増えたものだと、感心する。
盾持ちは半々にするとして、統制を取る為にも、僕とサブリーダーのテリーは分かる方がいい。
となると、チーム森行きは、僕、ユウキ、ミト、リク、ジーク、ソーキ。チーム火山行きは、テリー、フィリア、キリト、アスナ、ノーチラス、ユナで分けることとなった。
「火山行きメンバーにだけ渡すものがあります」
僕はポーチを人数分オブジェクト化させる。
「中に何が入っているんですか?」
「僕が調合して作った、暑さ対策のアイテム」
ポーチに入っているのは、クーラードリンクとクーラーポーション(ゲロ不味)だ。クーラー系に必要な氷結晶は第八層で手に入れているので、在庫は問題ない。
中に入っている物を説明すると、クーラーポーションの時に、全員の顔が嫌そうな顔をしていた。当たり前か。
尚クーラーの時点で不味いのは言わなかった。
「まぁ飲むことがないようにね」
暑さ耐性とHPの両方を回復するための一本しか入っていないので、そうそう使うことはないと思っている。なんなら苦味で怯ませる為に使えたりしそう。
「あと、加入したての新人5人に注意する事がある」
僕は一呼吸置いて続ける。
「僕が今所持しているスキル《モンスターハンター》で、予想外のモンスターによる襲撃が起きるかもしれないんだ」
「……それは今までもあったんですか?」
「うん。第三層ではローズバレリーナって言う蜘蛛、第四層ではスケアリーブルーって言う熊に襲われて、第八層ではブルドロムって言うデカい猪に襲われたんだよね」
「……色々苦労したんだね〜」
「まぁそのおかげでレベル上げとかスキルの熟練度は大きく伸びたからトントン…かな?」
お陰で武器の熟練度も上がったし、少数精鋭なのもあって集中的に強くなれたし、二層にいるグラインガー翁から、新しい技教えてもらった上、僕自身が1番ダメージを稼げる武器種が使えるようになる方法も教えてもらった。
あの人には足を向けて寝れない。
「と言うか団長。獲得者のいないそのスキル持ってたんすね」
「まぁね」
そもそも作ったのは僕自身だ。
「んじゃ、各々、安全第一で出発!」
「「「「「おー!」」」」」
─────────────────────────
街を出て、南にある森では、フィールドに出てくる恐竜系mobとは違い、昆虫系のmobが多く出現する。打撃系武器を使っている人は、あまり好かない相手だ。叩き潰した時の感触が気持ち悪いのなんの。どうしてそこにまで、こだわったんですか? と言いたい。
「あれ? 団長、今回は片手槍なんすね」
「うん。人数もそこそこいるから、守り重視で行こうかなって」
「団長は武器のこだわりとか無い人なんでしょうか?」
「こだわりのある武器はあるけど、まだ使えないからなぁ……」
短剣のスキル熟練度を上げる必要があるから、もう少しかかるんだよね。それが解放されたら、一思いに暴れてみたさはある。
「いつか団長の全力戦闘か見てみたいような、でも安全を考えるのなら、見れない方がいいのか……」
「攻略しているうちに見る機会は必ず来るよ」
そう言いながら、僕達は森を進む。蜂やら、蛾やらきんもち悪い虫mobを切り裂いて、いるうちに目的地である、赤い木にたどり着く。
「ここが目的地の木だね」
「周辺の木も赤くなってるわね」
「手分けして、ここら辺の木に、クエストマークが出てないか確認しよう」
散開して、赤い木に何かないか探し始める。木に登ったり、奥の方に行くが、これといったものは見つからない。
ただ単に赤いだけだったのか? 他の所で何か見つかっていると良いが。
合流地点へ戻ってみると、全員揃っており、それぞれ浮かない表情をしていた。
「ただいま。で、その顔を見るに、みんな目ぼしいのは見つからなかったみたいだね」
「うん。ボク達の方も何も見つからなかったよ」
「そっか……僕の勘違いだったみたいだね」
みんなには申し訳ないことをしたな。
「団長、なんかドタドタ走る様な音が聞こえるんすけど、これって何かあったりします?」
「僕には聞こえない方……ソーキ、君、聞き耳スキル取ってるの?」
「はい。3人で行動してた時に、索敵スキルで気付けないような敵の為に自分が取ったんす」
「因みにそれはどれくらいいるの?」
「えっと……聞き分けすると、大きめの足音が2つ、それに追従するように小さい足音が複数。右と左から聞こえます。左の方は右と違って、小さい音が2種類あります」
「……とりあえず迎撃しよう」
全員が武器を抜き、スリーマンセルで待ち構える。そして現れたのは、この層に出る恐竜系mobの群れのようなものだった。しかし、明らかに異質な敵mobの姿だ。
右は青い体に黄色の蛇のような目、赤系のトサカが生えており、リーダー格のものは、子分のよりも大きい。反対に左から現れたのはエリマキトカゲがデカくなったような紫色のリーダー格と、そのリーダーを小さくしたような子分と、コモドドラゴンのような子分の2種を引き連れていた。
青い方は、《Great Dino Blue》。紫色の方は《Great Dino Purple》と言うようだ。子分の方にはGreatの名前がついていないだけのようだ。
「今まで見た奴らよりは小型だね」
熊とか蜘蛛よりは小さい。
モンハンスキルによる、この展開はかなり久しぶりだ。
「盾持ちはリーダー格の相手を! それ以外は小型を散らして!」
「「「「了解!」」」」
僕は盾を構えて、紫色のリーダーへ突撃する。そいつが、体当たりをかましてくるので、それを左手の盾で受け止め、右手の槍で突き刺す。
「通りは悪くないね…!」
鱗もそこまで固いわけではないようで、柔らかい肉質だ。とは言え身体の大きさはこちらの身長より高いので、先程の体当たりをまともに喰らえば、容易に吹っ飛んでしまうだろう。
「けど、今までのボス戦よりはマシだね」
こいつよりデカいボスの攻撃を正面から受け止めたこともある。今回の乱入は、そう苦戦するような相手ではない。
「ただ、まだ片手槍は習熟してないから、ガンガン突っ込んで返り討ちにだけは気をつけないとね」
紫ディノの噛みつき攻撃を横ステップで躱して隙だらけの顔面に突きを入れる。そこへ追撃で、単発突きSS《アクシス》、単発横薙ぎSS《アプシス》を喰らわせる。
「良い手応えだ…」
それに対して尻尾の薙ぎ払いが来る。SSの後隙で動けないので、盾でしっかり受け止めて、後ろに下がる。
やはりフロアボスやフィールドボスと比べると劣る強さ。ちょっとした大きめのモンスターだと思えば、妥当なものだろう。
現にユウキとミトが相手にしている子分も、2連撃SSであっさりぶっ飛ばされて、数を減らしている。
『グルォォオ! オッオッオッ!』
遠吠えのような声を上げる。すると、木の陰からユウキ達が相手をしている子分が追加で飛び出してきた。
「群れで攻め込まれると面倒だな……」
かと言って、ユウキ達に押し付ける訳にもいかないので、2連横薙ぎSS《バイナリー・フェイズ》でまとめて吹き飛ばす。
再びボスの方へ向き直り、攻撃を続ける。数回ほど単発や2連撃SSを当てている内に、奴のHPゲージが3割以下になる。
「そろそろトドメと行きますか!」
僕は3連SS《セレスティアル・イクエイター》で残りのHPを削り切る。
HPを失ったボスディノは宙に吹き飛ばされながら、身体が砕け散り、ポリゴン片へと姿を変えた。
「ふう。またモンハンスキルの乱入か……」
武器を納刀し、地面に光る何かが視界に入る。攻略に必須になるものかと考え、それを拾うことにした。
「さてさて、何かなぁ…?」
僕は拾ったソレをタップして、詳細を確認する。
『狗竜の大襟巻』狗竜を従える、親リーダーの象徴。その大きさによって、リーダーとしての格が決まる。とある研究家が集めている。
「なんかありそうだな……」
後で共有しようと考え、僕は子分残党をユウキ達と蹴散らしに行った。
─────────────────────────
リクside
突然森から現れた2匹の恐竜の群れを3人で迎え撃つ。
これが団長のに言っていた、モンハンスキルの襲撃。
「ジーク! ソーキ! 二人は子分を突き飛ばすんだ! 君達の両手持ち武器なら、軽々蹴散らせる筈だ!」
「了解!」
「おう!」
普段、こう言ったボス系mobとやり合う際は、スリーマンセルでやっていたので、タイマンするのはほぼ初めてだ。
グレートディノブルーの身体は細身で鳥のような嘴、鋭い爪を持つ。
「まずは、厄介な動きを封じる!」
足目掛けてホリゾンタル・アークで切りつける。筋肉が硬いのか、良い手応えはない。だが集中攻撃をしていけば、いずれ体勢を崩す。それまで攻撃を続ける。
「うわっと…!」
爪の振り下ろしが頭を狙ってくる。それを左手の盾で打ち払い、カウンターのレイジスパイクで、喉元に突き刺す。
体幹はそれほどないのか、簡単にのけぞった。
「そこ!」
さらにホリゾンタルスクエアを放ち、大ダメージを与える。
「よし……」
順調に事が進んでいることに、少し余裕ができる。
『グギャアオ!』
2連引っ掻き攻撃を弾き、SSを叩き込もうとした時だった。
「っ!?」
反射的に盾を構えたのが幸いだった。嘴が眼前に迫って来たのだ。
「ぐっ…!」
上手くガードできずに、僕は膝を地に付けてしまい、更なる追撃をしようと、爪の振り下ろしが再び襲いくる。
なんとか防ぐ為に、盾を構え直す。しかし、その横からライトグリーン色の剣光がグレートディノブルーに突き刺さる。今のはソーキの曲刀突進SS《ディパルチャー》だ。
「リク! 大丈夫か!?」
「すまない、助かった」
「よかった……! 交代するか?」
「いや、大丈夫。団長から言われた改善点を直す為にも一人でやるさ」
僕は気合を入れ直し、一人で挑もうと意気込む。
「なら、ジークの奴と子分共の相手してるからな」
「頼む」
単発SSで横から攻撃して、怯んだ時に片手剣重単発SS《プレダトリー・ガウジ》で頭を切りつける。
クリーンヒットにクリティカルも加わり、頭部のトサカが粉砕される。
「よし!」
その威力に、グレートディノブルーがぶっ飛ぶ。
「これでトドメだ!」
バーチカル・スクエアで残りHPを削り切り、初めてのモンハンスキルによる襲撃が終わった。
「ふう……これが乱入か……」
これを3回も乗り越えているのか。普段戦っているmobとは違った緊張感だ。
「リク! 無事か!」
「ジーク。ああ問題ない。少し危ない場面もあったが、HPが危険域に行くことはなかったからな」
「そうか……それならいいんだ」
「相変わらず過保護だな、2人とも」
「当たり前だろう。お前は、昔から病気がちでそれのせいで虐めにも遭っていたんだぞ」
「ははは……その節はお世話になったな……」
「そのことはまぁいいとして……ソーキの奴は……なんか拾ってんな」
ジークの言う通り、ソーキが地面に落ちている何かを拾い、詳細を確認している。
「リク。これ団長に見せた方がいいか?」
僕はソーキからアイテムを受け取り、それの詳細を確認する。
『グレートディノブルーの大トサカ』ディノブルーを率いるリーダーの証たるトサカ。これを持つディノブルーは知能が高く、それをわかりやすく見せつけるための象徴とも言われる。とある研究家が集めている。
「……キーアイテムだったりするかも知れないから、合流した時に渡そう」
「わかった」
ソーキがトサカをストレージに入れたのを確認し、僕達は団長達と合流しに、赤い森の外に出るのだった。
現在のシュバルト君の武器熟練度は、片手剣350、短剣が370、両手剣、200、片手槍210、両手斧300です。
なんで武器種多いのに上がってるのかは、5層で貰ったネックレスのスキル成長速度アップと、モンハンスキルのMOD(モンハンで使えるスキルとは別枠。チートですねこれは)の武器熟練度上昇によって上がってます。
グレートディノパープル&ブルー
前者がドスジャギィ、後者がドスランポス。
初めてやり合うメンバーにはちょうどいい相手として、フィールドの雑魚mobも恐竜系なのでピッタリですね。
シュバルト
流石にモンハンスキルによる襲撃には慣れた模様。
リク
初めてのモンハンスキルによる襲撃。傾向の違ったモンスターに少し苦戦した。盾がなければ致命傷だったかもしれない。