ドスゲネポス「麻痺…させられなかった…!」
テリー「なんでいるんだよ……」
シュバルトside
森から戻ってきた僕達は、1週間の契約で取っている宿で、テリー達が戻ってくるのを待っていた。
その間に、昼食を作る事にした。
「何を作ろうか……」
この前は親子丼だったし。今回はチキン南蛮を作ろうかと思ったが、手元にマヨネーズがない事に気づいた。
いずれ作る事にしようそれは。
「チキンカツにしようか」
油で揚げる事は出来る。
そう言うわけで僕は食材をストレージから、取り出した時だった。
「シュバルト、ボクも手伝ってもいいかな?」
宿屋のNPCから借りている調理場にユウキが入ってくる。
「ユウキ? 突然どうしたの?」
「いっつも作ってもらってばかりだから、ボクもお手伝いしようかなって」
「それは助かるけど、《料理》スキル取ったの?」
「うん。いつか必要になると思ったからね。前々から練習もしてたんだ」
彼女も料理が出来るのなら、手分けした方が効率もいい。
「そっか、ならユウキはこの恐竜肉の塊を1人分に切り分けてくれる?」
「任せて!」
ユウキは包丁を使って、肉の塊を切り分け始める。
僕はその間に、付け合わせのサラダを作る。
「キャベツは千切りにして……きゅうりは普通に切るか」
あとはドレッシングは木の実とかをすり潰したりして作った物があるのです、それを使おう。
「ユウキ、肉の方はどう?」
「もう切り分け終わったよ」
「ありがとう。それじゃあ、その肉を軽く叩いて柔らかくして」
「はーい」
ユウキは指示通りに肉を麺棒で軽く叩き始める。僕はフライパンに油を入れて、中火で加熱する。
「さてと、あとは米をといで……」
「シュバルト、終わったよ」
「ならその肉に小麦粉と卵液、パン粉を順番につけて」
「わかった〜」
僕はといだ米を釜に入れてから火にかけ、炊けるのを待つ。その間に底が深めのフライパンに油を入れて、泡が出るまで加熱する。
「出来たよ」
「なら後は油が熱くなったら、そこに肉を入れて揚げるから」
「はーい」
その後、ユウキが肉を狐色へと綺麗に揚げたので、これからは彼女にも料理を手伝って貰おうと思った。人数も増えて1人だと流石に手が回らなくなりそうで、人手が増えるのはとてもありがたい。
「そろそろテリー達も戻ってくるだろうし、テーブルに並べよっか」
「そうだね」
それぞれの茶碗に炊き立てご飯をよそい、揚げたての恐竜カツを皿に乗せ、付け合わせのサラダにドレッシングをかけて完成だ。
トレーに乗せて全員分を持っていくと、既にテリー達が帰ってきていた…
「お疲れ様、今日は恐竜カツだよ」
「この後のことも考えればゲン担ぎも悪くないな」
この後、ご飯は美味しく頂きました。
お粗末さまでした。
─────────────────────────
「それで、砂漠では何かあった?」
「ああ、お前のいない所でモンハンスキル関連であろう襲撃を一度受けた。後は火山内部でのクエストだな」
「テリー達も襲撃されたの? 僕がいないのに?」
今までは僕がいた場所で襲撃イベントが起きていたが、初めて僕のいない場所で発生したことに驚いてしまった。
「ああ、それでなんだが、もしかしたら今後戦うことになるフィールドボス・フロアボスは襲撃要素が含まれるかもしれない」
「それは僕がこのスキルを取ったからだろうね」
流石にこれは僕が原因だ。多分、晶彦さんがこのスキルを実装したのを見て、追加したんだろう。
いずれはディアベル達もフロア節目のボスではなく、今までのような襲撃に巻き込まれる。それは間違いない。
「それはない…! お前が原因なことがあるか!」
「テリー…?」
「お前のスキル関係なく出てくるだけだ。モンハンスキルのプレイヤーがいれば事前に対策できるようになってる。それにお前のスキルの強さでお釣りがくる」
「そう…なのかな…?」
「そうだ。この話は終わりだ。とっとと火山に行こうぜ」
「うん…」
僕は装備を整えて宿を出る。
「とりあえずクーラードリンクを配布してない森に行ったメンバーに渡すね」
僕はギルドストレージから森行きだったメンバーのストレージに、クーラードリンクを配布する。あと、例の激不味クーラーポーションも。
それに気づいたキリトにジト目で見られた。
どうやら間違えてクーラーポーション飲んだらしく、軽くトラウマになったのか、要らないと言って、僕のクーラードリンクと交換して欲しそうにこちらを見ていたが、その提案は拒否した。
僕が持っているのは、みんなに渡す為の予備分だ。モンハンスキルの《南風の狩人》で暑さ耐性とステータスを攻撃力15%防御力20%上昇している。代わりに今回は両手剣で盾を使わないので、ガード性能+1を外している。
「それじゃあ行こうか」
砂漠の暑さは耐性で無効化されてるのでドリンクは配布して良さそうだ。
目的地の火山の前まで辿り着くと、NPCが1人立っていた。
「貴方達が、彼が言っていた旅人達ですね」
「ああ、火山の中まで案内してくれ」
「かしこまりましたこちらです」
因みに火鎮めの涙を10個が必要だったが、運良く持っていたので、遠回りをすることはなかった。
「効果が、現れるまで少しお待ちください」
NPCはそう言って、火山の元へと向かった。
それまで入れるようになるまで、何をしようかと考えていると、前の方から赤と白を基調とした装備を身につけた集団と、その先頭に立つ赤い外套を纏った長身の男がこちらに近づいてくる。血盟騎士団と、そのギルドリーダー《ヒースクリフ》だ。
「遠目に見かけてそうだろうと思ったが……やはり君たちだったか。しかしここで何をしているのかね?」
「ヒースクリフさん。実は──」
僕は今受けているクエストのことを説明する。
「ヒースクリフさん達もこのクエストを受けているんですか?」
「いや、我々はレベリングだよ。迷宮区に行く前のね。しかし君達のギルドメンバーに見慣れないメンバーがいるな。新人かね?」
「はい。5人共皆、最前線でも充分戦える実力ですよ」
「ほう……それは楽しみだ。それでは我々は行かせてもらうとするよ。君達も気をつけてくれたまえ」
「ええ、其方も」
ヒースクリフ達血盟騎士団は去っていった。
「皆様、火山の熱が収まりました」
NPCが火山から戻ってきたようだ。
「んじゃ行こうか」
このまま火山の中へと向かう。
火山の熱が収まったと言えども、マグマが発する熱は健在のようで、クーラードリンクを飲み直しているメンバーが多い。
「クーラードリンクの効果もあって暑くないね」
「団長がいなかったらどうなってたことやら……」
「寒い層でも思ったけど、シュバルト君のドリンクなかったら、攻略速度落ちてたわね……」
寒暖でモチベーションが下がるのは避けたい。
「JWの奴らはドリンクのことでいちゃもんつけてこなかったのか?」
「うん。皆がいたからなんとかね」
ドリンクの調合リストを渡した時は、後ろにテリーとキリトが睨みを利かせてたお陰で、受け渡しい以上のことは起きなかったのだ。
「マグマに落ちたら、【死】だろうね……」
「マイクラみたいにリスポーンできないから気をつけないとっすね……」
マグマに落ちれば、高速でスリップダメージが発生し、ゲームオーバーになってしまう。
マイクラと違って火炎耐性の装備やポーションを使っても無駄だろう。
周囲に出現している敵mobは、フィールドにも出ていたマグマエレメントやラバークラブと言った炎系のモンスターばかりだ。
「それで、目的のドラゴンはどこだ…?」
辺りを見渡しながら、火山の中を進んで行く。
雑魚mobを蹴散らしていくと、奥の方に、鎧を纏った二足直立している赤い蜥蜴がいた。
頭上にクエストマークが浮かんでいるのを見るに、あれが暴れん坊のようだ。
《Flame Liward Warrlor》フレイムリザードウォーリアー。奴がこちらを睨む瞳は強者の余裕を感じさせる
「あれが暴れん坊蜥蜴……」
「見るからに強そうだねノー君」
「メンバー分けは?」
そんな時だった。
後ろから足音が響いてきたのだろう。聞き耳スキルを取っているフィリアとソーキが即座に振り向く。
僕も遅れて振り向くと、そこにはオレンジ色の体色の恐竜型モンスターがこちらへ向かってきていた。
「《Great Dino Orange》……この層の襲撃で出てきた奴らと似たようなタイプか……」
グレートディノオレンジ。引き連れている子分との差は、鶏冠と体格だ。
「どうするの…?」
「とりあえず、僕、ユウキ、ミト、ノーチラス、ユナの5人で戦闘する。残りのメンバーで襲撃mobを!」
「「「「「「了解!!」」」」」」
僕は背中の両手剣を抜刀し両手剣突進SS《アバランシュ》で先制攻撃を繰り出す。
『グルルラァ!』
暴れん坊に小手で受け止められてしまった。
「そう簡単に喰らわないか…!」
火蜥蜴は3本の鋭い爪を振り上げる。
「隙あり!」
ユウキが斬りかかるが、振り向いた火蜥蜴のもう片方の爪に阻まれるが、
「どこを見てるのかしら?」
屈んでいる僕の頭上をミトの鎌の柄が通り過ぎ、火蜥蜴の後頭部に直撃する。その明らかな隙に、僕は両手剣の3連中段突き、《テフラ・ディーセント》を放つ。きちんとクリーンヒットさせ、火蜥蜴のHPゲージを目に見えるくらいの量を削る。
「防御力はそんなに高くない…!」
「ならなんとかなるかもしれないな!」
そう言ってノーチラスとユナも攻撃を喰らわないように警戒しつつ攻撃を繰り出す。
『グルル…』
こちらを値踏みするような目つきで睨む。
「……確かに強敵だ」
どう攻めいるか、この強敵に対してどう隙を作るか。さっきのような2段フェイントはやり過ぎれば通じなくなるだろう。
─────────────────────────
テリーside
「俺とリクの盾持ちで挟撃! ジークとソーキがメインアタッカー! 残りのメンバーは子分を頼む! 攻撃を余裕で回避できるようにしろ! 何を持っているかわからない!」
俺は指示を出しつつ、リクと共にグレートディノオレンジへと突進する。
初撃は頭部に当たったが、硬い手応えが返ってくる。
「他の奴らと違って、頭が硬いのか…!」
「なら胴体を狙ってみましょう! 僕が引き付けます!」
リクが盾を前に構えながら奴の前へ出る。
「こっちだ恐竜!」
リクが声を上げると、グレートディノオレンジは彼の方を向いて走る。奴は頭を上げ、喉から何かが昇っていく。そしてそれを吐き出した。
「くっ…!」
吐き出されたそれは紫色の液体の塊だった。それをリクは盾で受け止める。
「テリー! コイツ、毒持ちだ!」
「何っ!?」
話が変わってくる。
「フィリア! キリト!」
「毒持ちだね! わかったよ!」
聞き耳スキルで聞こえたフィリアが先に反応し、声を上げて周囲に共有する。
「奴の前に立つのは俺とリクだ! ジークとソーキが後ろから攻撃を!」
俺は後ろから前へと戻り、リクと共に盾を構える。
「オラァ!」
ソーキが真っ先に曲刀の回転SSで攻撃する。
「ふっ!」
ジークも両手剣の2連切りで攻撃する。
グレートディノオレンジのHPは削られる。だが、他のグレートディノよりも、減りが少ない。
「ちっ……体力は多いか…!」
長期戦になるだろう。
俺はそう考えて、一度大きく息をすいて吐き出し、覚悟を決める。
毒を喰らえば、回復するのに手間取る。手持ちのポーションポーチには解毒ポーションは入っておらず、ストレージから直接取り出さなければならない。
「くっ……」
飛びかかりによる蹴り、頭突きや、毒液を吐き出す攻撃をいなしながら、俺はリクと共に正面戦闘を続ける。
フィリア達のことも気がかりだが、キリトがいる。アイツの実力は俺達の中でもユウキと同レベルの反応速度を持っている上に、ユウキよりも実践経験がある。
つまり、この中で1番強いのはキリトだ。
「キリト! 雑魚散らしが終わったら周囲の警戒!」
「わかった!」
最高戦力を信じて、俺は目の前の恐竜に集中するのだった。
現在のギルドでシュバルト君が担当しているもの。
ギルド運営に使うお金のやりくり。朝昼夜のご飯。アルゴがやっている、攻略の為の情報収集の補助(これはギルドメンバーもやっている)。ギルドリーダー同士での情報共有(サブリーダーの2人も参加)。
尚この程度はSAO制作に比べれば屁でもない模様。
グレートディノオレンジで文字数を稼いでる気がしてならない……
聞き耳スキルって便利だよね。
ワールドトリガーの菊地原とかDr.ストーンの羽京とか。