SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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お待たせしました


きのこのこのここしたんたん

テリーside

 

 始まりの街で一夜を明かした俺達は、最前線のクエストを進める為に再び第十四層へと戻ってきた。

 俺が先頭になり、薬師の弟子が待つ場所へと向かうと、そこには昨日いた薬師の弟子ではなく、薬師本人と思われるNPCが立っていた。

 彼に話しかけると、どうやら瞑想の森という場所へ行き、その最奥にいる《スキャッター・エルダーマッシュ》を倒し、《老茸の薫香》というアイテムを持って帰って来て欲しいとのことだ。

 森鎮めの儀式の準備を進めることができるようだ。

 

「私も薬師さんのお弟子さんからクエストを受けましたが、この中にいる亀型mob《クナヴィッシュ・メイオラニア》を倒して、その《森亀の足ヒレ》を5つ持ってきて欲しいって言われました」

 

「へー…クエストの内容が違うのにNPCは同じなんだ……となると、この層のキークエストは、複数パーティでクリアしてフロアボスの情報を得るのかな?」

 

「だとしたらディアベル達も進めてるのかな?」

 

「そうかもしれないわね……そしてアスナ達も別の場所に行ってるかもしれないわ」

 

 別行動中のキリトとアスナも別でクエストを受けている可能性がある。この層のクエストは厄介だ。

 

「とりあえず、丁度近くにラヴィナスの目的のmobがいるし、そいつを狩るとしますか」

 

 のっそりと目の前に緑色の体色の亀mobが歩いている。

 

「僕が体勢を崩して横倒しにするからみんなは弱点の腹をお願い!」

 

 そう言ってシュバルトは剣──ではなく、細長い縄を手に取る。どうやらまた新しい武器種を使うようだ。

 

「団長、新しい武器っすか?」

 

「まぁね。臨機応変にできるようにするのが団長の役目だから……ねっ…!」

 

 そう言いながら、シュバルトは鞭のSS《パワー・ショット》で甲羅の横に勢いよく先端を叩きつける。

 鞭の武器攻撃属性は打撃と貫通、斬撃の全てを併せ持つ非常に珍しい武器種だ。

 鞭の攻撃力で攻撃対象の防御力を上回り、尚且つそれが1.5倍以上の時には、その装甲を貫くことが出来る。

 斬撃属性に関しては、横薙ぎや縦下ろし攻撃の際に、うまく先端のみを相手へ当てることが出来れば、それが斬撃属性となる。

 3種全ての武器攻撃属性を使える武器は鞭くらいのものだ。

 

「うーん、1発じゃ倒れないか……それならっ……!」

 

 シュバルトは続いて《テクニカル・ショット》で3連続の攻撃で亀mobを横倒しにする。

 

「よし。それじゃあみんなお願いね。僕は次の亀倒してくるから」

 

 亀を袋叩きにする俺達に、そう言ってこのままレベル上げも兼ねながら、とシュバルトはドンドン亀を横倒しにしていく。

 

 なんと言うか、亀をよってたかって、攻撃する俺達の姿は、さながら浦島太郎に出てくる最初の悪ガキ共だ。

 

「……ねぇテリー」

 

「どうしたフィリア」

 

「なんか……悪いことしてるみたいで……」

 

「お前もか……」

 

「やっぱりテリーも同じこと考えてたんだね…」

 

 そんな風にやる気が減っている俺達を見たサーニャが、こちらをジト目で睨んでいた。

 

「そこのお二人! しっかりなさい!」

 

「すまん」

 

「ごめんね?」

 

「全く……これでも攻略組なのですか?」

 

「いや、なんか悪役みたいでな……」

 

「……確かに、日本の昔話にある浦島太郎の悪い子供みたいですわね」

 

 そんなこんなで、俺達はあっさりと老茸の薫香を必要分集めることができた俺達は、このまま森の奥を進み、ボスキノコを探す。

 道中出てきた虫らやらなんやらを倒しているうちに、全員のレベルも一つ上がり、武器の熟練度も上がった。

 

「……なんか視界が……ピンク色に…?」

 

「キノコの胞子だ…!」

 

「吸わない方がいい……」

 

 俺達は近くにボスがいると確信し、更に奥へと進む。そして遂にボスキノコ、スキャッター・エルダーマッシュと対面した。

 黒い傘にお化けのような顔の付いた柄と足の生えたつぼ。姿はお化けキノコのようだ。

 周辺には胞子に寄せられているのか、通常のキノコmobをわんさか侍らせている。

 

「テリー達がボスキノコを! 僕達は周囲の雑魚キノコをやる!」

 

 シュバルトの指示に俺は力強く「了解!」と答える。

 俺のパーティには【俺、フィリア、サーニャ、リク、ジーク、ソーキ】の6人で構成されており、シュバルトのパーティは【シュバルト、ユウキ、ミト、ラヴィナス、ノーチラス、ユナ】の6人だ。

 既にシュバルトは武器を範囲攻撃のできる両手剣に変えており、雑魚キノコ共を一層するつもりだ。

 

「指揮は俺が執る! 焦らず、慎重に行くぞ!」

 

 ボスキノコは俺達にターゲットを定め、こちらへとつぼから生えている短い足を小刻みに動かしながら走ってくる。

 

 正直その見た目はキモいの一言だ。

 あまり視界に入れたくないので、早急に葬ることにしよう。

 

「サーニャはタゲが向かない程度に後ろから攻撃! 俺とリクは正面! ジークとソーキはサイドから! フィリアは周囲の警戒を頼む!」

 

 俺は盾を構え、いつもの連携にサーニャを加えた動きで様子を見る。

 しばらく観察してわかった奴の攻撃方法は、胞子を振り撒いて毒状態を起こす攻撃、胞子を吸い、それを勢いよく吐き出すブレス攻撃、頭を振り回しながら直接胞子に触れさせる、物理ダメージの伴った攻撃。

 だが手がないのが致命的だった。

 奴の攻撃は、範囲が広いだけだ。本来ならば、その撒き散らした胞子で、雑魚を誘き寄せて袋叩きにするモンスターなのだろう。

 その雑魚はシュバルト達によって集まる前に屠られている。

 

 つまりは奴に負ける理由などなかった。

 

 ソーキの一撃が重く、奴はSSを喰らう度に怯み、サーニャの絶え間なく続いて、更に上がり続ける攻撃力の攻めにより、スキャッター・エルダーマッシュはあっさりと姿をポリゴン片へと変えてしまった。

 

молодец(マラジェッツ)! 見事な連携でしたわ!」

 

「この人数だ。勝てて当然だろう」

 

「確かに。いつもの面子でさえ余裕で勝てる相手なのに、追加でサーニャがいるんだから、負ける未来なんかなかったな」

 

「そうだな。と言うかその剣、魔剣なんだね……ドレインとブーストの両方の性質を併せ持つのかな?」

 

 と、リクはあっさりとサーニャの剣の特性を見抜く。

 

「よく見抜いたな……

 

「このギルドの皆様は視野が広いのですわね……まさか、貴方達もこの剣の譲渡を要求するんですの?」

 

 目を細めて彼女はこちらを睨む。

 

「それこそまさかだ。確かにその剣は強い。だが、その剣を最大限に活かせる使い手は一番使い込んだお前だ。いきなり武器に合わせるような戦い方に変えるのは無理だ」

 

「そうだよ。それにその剣はサーニャの相棒なんでしょ? それを譲れなんて言えないよ」

 

「ええ。《フィンスタニス》は今や、私の半身ですわ。そして誰よりもこの剣を使いこなしたいる自信がありますの」

 

「確かにその剣を使い慣らしているのはサーニャだけだな。攻撃が途切れたら、上がった攻撃力もなくなるんだろ。硬直の長いSSなんかもっての外だ。トドメに使うなら兎も角、戦闘中に攻撃力を下げるようなことになれば、瓦解しかねない」

 

 そう言うと、サーニャは一度驚いたのか、目を大きく見開く。そして俺をじっと見ると、何に納得したのかわからないが頷く彼女。

 

「ええ。テリーの言う通りですわ。そんなこともわからない凡百の愚か者には渡せませんわ」

 

「前に譲れとか言われたのか」

 

 流石に深入りし過ぎたか?

 

「……そうですわ。売って欲しいと言う人は大勢おりましたわ。中には私に剣を向けた方もね」

 

 そのことにフィリアは驚きを露わにする。

 

 うちのギルドリーダーもPKを消しかけられたのだ。それに警戒しているPK集団以外にもそんな奴らがいるとは思わなかったのだろう。

 

「PKを消しかけられたの…!?」

 

「軽い脅しのつもりだったのでしょうね。それなりの期間、パーティを組んでいたので、信頼していたのですけれど……」

 

「その剣の性能を見て欲が出たか……」

 

 サーニャの持つ魔剣はユニーク・ウェポンなようなものだろう。ネットゲーマーであれば、欲しがるのも頷ける。だが今はそんな状況ではないのだが。

 

「どうやって切り抜けたんだ…?」

 

「笑って私も剣を向けてやりましたわ。『代償にあなたの命を貰いますけどよろしくて?』とね……」

 

「……その言い方だとビビって向こうさんは、諦めたのか」

 

「ええ。すぐに剣を収めて、冗談だと笑い出しましたわ。まあ夜のうちにパーティを解散して姿を眩ませてましたので、追跡されることはありませんでしたが」

 

「お前も危ない橋を渡ってるんだな」

 

「もう慣れましたわ。それに昨日も見たように、私には帰るべき場所もある。ですから、この世界や愚か者に負けるわけにはいきませんのよ」

 

 サーニャの瞳には俺達とはまた違った覚悟を宿していた。

 

─────────────────────────

 

 瞑想の森を出た俺達は、そのまま薬師にボスキノコのドロップ品を渡し、次のクエストを受ける前に再び、主街区で休むこととなった。

 カフェテラスで、俺、フィリア、サーニャの3人で休むことにした。

 

「あなた方を見ていると昔の事を思い出しますわ」

 

「昔?」

 

 フィリアが聞き返すと、サーニャは懐かしむように思い出話を始める。

 

「ええ、私が日本に来る前のことですわ」

 

 昔ロシアに住んでいた頃、遊んでいた友人がいたそうだ。引っ込み思案な彼女の手を引く、明るい友人だそうだ。

 しかしその友人は突然の引っ越して離れ離れになってしまった。

 その友人の母親が日本人だと言うことから、日本にいるのではと、友人を驚かす為に、頑張って日本語を覚えて、留学しに来たとのこと。

 

「なるほどね〜」

 

「なぁサーニャ。その言い方からするに、その友人もハーフなのか?」

 

「? ええそうですわ。…『も』と言うことは貴方も」

 

「少し複雑なんだが、俺は日本が50%でロシアとドイツが25%ずつのクォーターなんだ」

 

「まぁ、それは珍しいですわね」

 

「んで俺は父方の祖父さんの血が色濃く出たのか、銀髪なのさ。逆に姉さん母方の祖母さんの血が色濃くでて、金髪だ」

 

「そんな珍しいことがあるんですのね……」

 

「まぁな……幼稚園とかは髪の色で苦労したこともあったがな……」

 

 もっともそれよりも、大きな事件のせいで、俺に友達が離れて行ったが、そのことを話す必要はないだろう。

 

 俺は小学生の頃の記憶を飲みこむように、NPCに出されたコーヒーの残りを一気に飲み干すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





鞭スキル

原作でもユリエールが使っているであろう武器種。
参考にしているソードスキルウィキには全く載っていないので、これから出てくるSSは大体、作者のオリジナルになります。

というよりどう言う経緯でシュバルト君は鞭スキルを開発したんだ……ドラクエじゃメジャーな武器だけどさ……
ポールダンスが行われるような場所に彼、師匠に連れて行かれてたけど……まさかね……

打撃と貫通は両手棍のような武器が持っている。え?斬撃?無いよそんなものは。ダンボール戦機無印でAX-00がクイーンを両断してた?あれはAX-00がおかしいだけです。あんな平気で兵器なホビーと一緒にしないでください。

テリー

14話の後書きで説明した通りロシア・ドイツのクォーターで日本のハーフ。
自身はロシア人の血が濃く出たのか、銀髪。姉の方はドイツの血が濃く出てるので、金髪。一体何ーユ姉さんなんだ……


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