SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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設定変更としてレイドは原作と違い、8パーティに変更してます。

投稿が大変遅れました。
二作品並行は難しい…


フロアボス

ユウキside

 

 宿屋で一夜を明かしたボク達は再び会議を行った広場に集まっていた。

 ボス攻略に集まった人数は48人。会議に集まった人数全員が集まっていた。

 

「──みんな! いきなりだけど、ありがとう! 昨日の48人が1人も欠けることなくここに集まった!」

 

 ディアベルの演説に歓声が起き、滝のような拍手が空気を揺らす。

 

「今だから言うけど、オレ、実は1人でも欠けていたらこの作戦を中止しようとしてた! でもそんな心配は不要だったな!」

 

 そんな彼に対して、笑い声を上げる者、口笛を吹き鳴らす者。

 そんな状況にボクは気を緩め過ぎなのではないかと思ったが、変に緊張し過ぎて、力を出しきれなかったり、普段しないようなミスをして死んでしまったらもっとアウトだと思い、何も言わなかった。

 すると1人のプレイヤーが手を挙げていた。

 

「ディアベル、盛り上がっているとこ悪いけど、一つだけみんなに忠告したい事がある」

 

「ああ。構わないぞ」

 

 そのプレイヤーの声はとても懐かしいものだった。

 

「βテスト版とは完全に同じとは限らない。だから最後まで油断しないようにって事。僕もこの戦いで犠牲者は出したくない」

 

「そうだな……ありがとうな! みんな! 彼の言葉を忘れるなよ!」

 

 そう言って再び攻略部隊は盛り上がる。

 

「……ユウキ?」

 

「フィリア?どうしたの?」

 

「…すごい険しい顔してたから」

 

「そんな顔してたんだ……」

 

 思った以上に緊張していたみたいだ。

 

「ボクは大丈夫だよ。フィリアこそ、大丈夫?」

 

「……正直に言うとね……怖いよ。一歩でも間違えたら死ぬかもしれないって思うと足が止まりそう。でも、テリーやユウキ……シュバルトが戦ってるのに、私だけ安全な所で引きこもっていられないから」

 

「…フィリアがそうしても誰も責めたりしないのに」

 

「うん、だからこれは私の自己満足。ユウキも今は難しく考えないで、ボス攻略に集中しよう?」

 

 フィリアはそう言ってボクの手を握る。

 その手は仮想世界でも暖かくて、とても安心できる温度だった。

 気持ちも落ち着いた所で前を向くと、レイドリーダーのディアベルが腰に吊っている銀色の長剣を抜きはなち──。

 

「勝とうぜ!!」

 

 歓声がトールバーナの街の広場に響き渡った。

 

─────────────────────────

 

テリーside

 

 広場から俺達、攻略集団は迷宮区の最奥まで移動している。

 それぞれのパーティが感覚を開けて、敵mobからのターゲットを受けないようにし、戦闘を最小限にしている。

 

「……些か気が緩み過ぎてないか?」

 

「テリー?」

 

「…どうしたフィリア」

 

「……難しそうな顔してるから、気になって」

 

「……前の集団を見てみろ」

 

「…?」

 

 俺の言う通りに彼女は前を歩くパーティを見る。

 彼らのパーティ内で談笑しながら歩いている。遠足の目的地までの道中のように楽しくだ。

 

「楽しそうに話してるけど…それがどうしたの?」

 

「気が緩み過ぎてるんじゃないかって…な」

 

「…なら、ユウキも同じようなこと考えてたのかな」

 

 俺は気を張った表情で両手斧を背負うチョコレート肌の大男を見た。

 

「…まぁ、そこのデカい大人組が気を張っているから、いざとなったら、彼らに協力を仰ぐかもしれんな」

 

 そんなことがなければ良いのだが。

 

「ねぇ……ゲームの登場人物ってこういう道中ってどんなこと考えてるのかな?」

 

「……ドラ◯エとかF◯とかか」

 

「うん…」

 

「そうだな……あんまり俺達と変わらないんじゃないか? ボス倒したらどうするだとか、明日は何をするとか…」

 

「そう言うものなのかな?」

 

「さぁな……俺は…このボスの対策を頭の中で何度もシミュレートしてるが…」

 

「……私はまだ少し怖い。実際にどんな動きをしてくるのか本に乗ってるのを読んでも見るまでどうするかわからないから」

 

「……ニュービーとβテスターの違いだな」

 

 そういう差で悲劇が起きなければ良いが…

 

 そう思いながら、俺達は森を、迷宮を進んでいく。

 いつのまにか、ボス部屋の扉まで到着していた。相当、深く考えこんでいたようだ。

 

「みんな、この扉を開ければ、フロアボスとの戦いだ。準備はいいか?」

 

 ディアべルの声に、集まった攻略集団は握り拳を掲げる。

 

「──行くぞ!」

 

 短くひと言叫び、扉を押し開けた。

 数ヶ月ぶりに入った第一層のボス部屋を見て僕はその広さに少し放心した。

 それと同時に部屋の柱に付けられている松明に火が順に灯っていき、全てに火が灯ると部屋が明るくなり、彩り鮮やかな部屋が顕になる。

 その奥には赤い体色の巨体が退屈そうに座り込んでいた。

 

 『イルファング・ザ・コボルドロード』

 第一層のフロアボスが僕達を認識すると玉座の横に立て掛けられている無骨な骨斧と皮を貼り付けたラウンドシールドを手に取り、立ち上がりと同時に飛び上がる。

 

「グルルラアァァァァッ!」

 

 俺に向けて威嚇の咆哮を上げる。

 さらに左右の壁の穴から3匹のルインコボルド・センチネルが飛び降りてくる。

 俺達H隊はセンチネルへ切りかかる。

 

「オラァ!」

 

 センチネルは長柄斧で俺の剣を受け止める。

 そのまま、後ろに少し下がり、力点をずらして受け流し、長柄斧を持つ手に剣を振り下ろす。

 

「冷静に立ち回れば死ぬことはない!やるぞ!」

 

「わかった!」

 

「了解!」

 

─────────────────────────

 

ユウキside

 

 あれから衛兵コボルドとの戦闘も危なげなく続き、ボスのHPゲージもディアベルが「2本目!」と叫ぶ声が聞こえたので順調に進んでいるようだ。

 

「スイッチ!」

 

 フィリアはテリーに長柄斧を弾かれたセンチネルの無防備な喉元にブロンズダガーの剣先を突き刺す。

 

「ふぅ……大丈夫か?」

 

「問題ないよ…! 本隊の方も誰も赤まで落ちた人はいないみたい」

 

「ああ……このまま何事もなければ良いが……」

 

 そう言うテリーの表情は不安を隠せない。

 

「…次来るぞ!」

 

 キリトがゲージを削り切ったことによる追加湧きのセンチネルが降りてくることを知らせる。

 

「「了解!!」」

 

 降りて来たセンチネル達を私達は確実に仕留めに行く。

 フロアボスと戦闘している、メイン部隊に邪魔をさせないように、遠ざけながら押して攻撃する。

 今も本隊のメンバーは黄色までHPゲージまで削られることはあれど、危険域の赤ゲージまで落ちた者はいない。

 

「最終ゲージに突入!」

 

 どうやら、フロアボスのHPゲージがラスト一本になったようだ。

 それと同時にボク達が相手をしているセンチネルにトドメを刺し、フロアボスに向き直る。

 奴は今使用している骨斧と皮盾を投げ捨て、腰に下げている二つ目の武器を取り出す。

 

「どうやら遂に湾刀が抜かれるみたいだね…」

 

「ここまで来れば大丈夫だろう…」

 

 そう思っているけど、何故か警鐘を鳴らすボクの心がいる。

 コボルドの王が腰から抜刀したのはβと同じ湾刀──ではなかった。

 

「何あれ…湾刀より細い…?」

 

「何?」

 

 ボクの呟きにテリーが反応する。

 そして彼はフロアボスの姿を見て目を見開いた。

 

「な、βと違う!」

 

「嘘っ!? なら早く本隊に伝えなきゃ!」

 

 フィリアが焦るように叫ぶ。

 しかし、その異変に気づかない者が駆け出していた。

 

 

 

─────────────────────────

 

シュバルトside

 

 フロアボスの武器がβと違い、湾刀ではなく、野太刀に変更されているのが判明した。

 βと違うことに驚いたが、以前僕とアルゴ、ミトの3人で倒した隠しボスの武器が曲刀だという事を思い出した。

 

 隠しボスなら未知の武器を使っても良いのに、何故既存の武器だったのか。それを深堀りしなかった、僕の怠惰が招いた。

 

「ディアベル! 待て!」

 

 僕の叫び声はフロアボスの発動させたSSのサウンドエフェクトによりかき消されてしまったようで、そのまま突っ込んでしまう。

 

「こうなったら!」

 

 コボルドの王が大きく跳躍し、空中でその巨体をギチリと捻る。

 

「アレは旋車…!」

 

 HPがイエローゾーンまで落ちた僕は回復の為、ボスから距離を取っていたのでそのSSをパリィできない。

 

「うわぁ!」

 

「ぐはっ!」

 

 フロアボスを取り囲んでいたプレイヤーが一撃で吹き飛ばされる。HPゲージをイエローゾーンまで一気に減り、更に黄色の回転する光が取り巻いている。

 スタン状態になり、身動きが取れなくなってしまったのだ。

 

「グルルルルッ……!」

 

 唸り声を上げるコボルドの王が標的として最初に選んだのはこのレイドのリーダー、ディアベルだった。

 

「こうなったら僕が止めるしかない……!」

 

 HPは回復途中だが、ここで動かねば、ディアベルは死ぬ。彼を助ければ、代わりに僕が死ぬかもしれない。

 だが、それでも構わない。

 

「間に……合えぇぇ!」

 

 野太刀が床スレスレの軌道からディアベルを切り上げようとする。

 アレは《浮舟》だ。スキルコンボ始動技なので、アレをまともに喰らえば、いくらディアベル言えども死ぬ。

 僕は《ホリゾンタル》で弾こうと、剣を振る。

 

「ぐっ……!」

 

 だが、僕の身体は奴のパワーに僅かだが、押し負けてしまい、後へ飛ばされてしまう。

 ゴロゴロと床を転がる。

 咄嗟に自分のHPゲージを見るとポーションの回復が終わってしまっていたが、それまでに回復していた分があった為、4割で留まっていた。

 安心している暇はない。早くスタンしている連中が離れられるように、1秒でも長く、奴のを気を引かねばならない。

 そう覚悟を決めて走ろうとした時、僕の左右から青と紫の影が駆け抜けてコボルドの王に切りかかっていた。

 

「はァァァア!!」

 

「こんのぉ!」

 

 勇ましい叫び声と共にその2人は野太刀を弾き飛ばしていた。

 

「大丈夫かシュバルト!」

 

 そう言いながら下がって来た青の影は、はじまりの街で別れた友人のテリーだった。

 

「…う、うん」

 

「良かった……積もる話は色々あるが、それは後だ」

 

「今はフロアボスだね。わかった」

 

 僕は立ち上がり、剣を再び構える。

 

「SSは何を使ってくると思う?」

 

「βで使われたモノだけ…だと思う。最初に使った《旋車》、さっき使った《浮舟》、さっき2人が止めた《緋扇》。最後に上下ランダムの《幻月》の4つ」

 

「うし……キリトにそれ伝えてくるからお前はユウキとミトの2人と時間稼ぎしててくれ」

 

「わかった……ってあの2人もいるのか」

 

 テリーが後ろにいる2人の所へ駆けていくのを見送り、コボルド王に向き直る。

 視線の先には見覚えのある少女2人がボスの右側に寄り、大振りの攻撃を誘発させ、それによって生まれた隙に攻撃を喰らわせていた。

 

「ゼェァァァ!」

 

「やァァァア!」

 

 更に現れた黒髪の少年と栗色の長髪の少女の同時攻撃によりコボルド王の身体がノックバックする。

 おそらくその2人が、キリトとアスナなのだろう。

 

 剣の振り方に見覚えがある。まさかあの時まで一緒に攻略してたキリト?

 

「ほら、行くよ!」

 

「……ああ!」

 

 フィリアの声に、僕は大きく返事をしてアニールブレードを握り直して走る。

 

「ボスを囲むな! 後ろまで囲んだら最初に使ってきたスタンするSSを放つ! 囲まなければ問題はない! それ以外のSSはしっかり防御すれば大ダメージはない! SSの動きをしっかり見れば余裕を持てる!」

 

「「「了解!!」」」

 

 僕の情報に力強くテリー達は返事する。

 

「スイッチ!」

 

 ユウキが野太刀を弾き飛ばして後ろに下がる。

 僕が入れ替わるように前に出てホリゾンタル・アークを叩き込む。

 その間にセンチネルの追加湧きが現れる。

 

「後方部隊! 湧いて来たセンチネルの相手を!」

 

「シュバルトはん! 追加の雑魚ボルドはワイらに任しとき!」

 

「俺達が抑えている間にボスを頼む!」

 

 戦線に復帰したキバオウがセンチネルの長柄斧を受け止め、ディアベルと同じパーティにいたシミター使いの男──リンドが隙だらけの身体に斬撃を入れる。

 

「っ! ああ! 頼む!」

 

 そして回復し切ったディアベル達他の攻略メンバーも参加してコボルド王を追い詰めていく。

 攻撃とパリィを繰り返していく内に集中が切れたのか、プレイヤーの1人が足を縺れさせる。

 

「しまった!」

 

 コボルド王が囲まれたと判断し、旋車を発動しようと飛び上がる。

 

「させるかァァァア!」

 

「落ちろーー!」

 

 僕が《ソニックリープ》で飛ぶと同時にミトも飛び上がり《トーメント》でコボルド王を切り落とす。

 

「両手斧の旦那! 全力でぶっ飛ばしてくれ!」

 

「まかせろ!」

 

 チョコレート肌の巨漢は両手斧SS《ワールウィンド》でコボルド王をゴルフでフルスイングするようにぶっ飛ばす。

 

「今だ! フルアタック! 全力で叩き込めー!」

 

「「「「よっしゃあァァァア!」」」」

 

 お祭り騒ぎに集まるように血気盛んな男達がSSで袋叩きにする。

 

「俺も混ぜろ!」

 

「おっしゃリンドはん! ワイらも行くでー!」

 

「おう! 革命と行こうじゃないか!」

 

 ディアベル、キバオウ、リンドも参加し、逆にコボルド王が可哀想なくらいボコボコである。

 流石にボスとしての意地があるのか、周りのプレイヤーを吹き飛ばして立ち上がる。

 

「ユウキ!ミト!」

 

「フィリア!」

 

「アスナ!」

 

「「「最後の一撃行くぞ!」」」」

 

「うん!」

 

「ええ!」

 

「任せて!」

 

「了解!」

 

 僕とユウキは《レイジスパイク》で怯ませ、テリーは《ソニックリープ》で武器を弾き、フィリアは《アーマーピアス》で防御力を下げ、ミトは《パージ》で巨体の足を切り裂く。

 

「「キリト!」」

 

「「「アスナ!!!!

 

「「「「「トドメだ!」」」」」

 

 バランスを崩して背中から倒れて来たコボルド王をアスナの《リニアー》で突き上げ、キリトが《バーチカル・アーク》で切り裂く。

 コボルド王のHPゲージがなくなり、コボルドの王はその身体をポリゴンの破片へと姿を変えた。

 

 その姿を見たディアベルは剣を掲げて叫んだ。

 

「俺達の……勝ちだァァァ!」

 

 ドッと勝利の雄叫びが第一層、ボスフロアに響き渡る。

 

「やったぁ! 倒したんだぁ!」

 

 そう言ってユウキが僕に飛びついてくる。

 突然のことに僕は反応し切れず、受け止めてそのまま倒れる。

 感極まったのか、嬉しそうな声色で笑っていた。

 

「ユウキ……?」

 

「……ご、ごめんね。今降りるから」

 

 ユウキは僕の上からそそくさと降りて隣に座る。

 

「ボクね……君に謝らないといけないんだ」

 

「…違う。キミは謝る必要はない。むしろ僕が謝らないといけない」

 

 2人で話していると、突如、声を上げる者が居た。

 

「おかしいだろ!」

 

 





シュバルト
SSを知り尽くしているから、原作でキリトのポジションで指示出しをした。
頼ってしまえるメンバーが多かったのもあって少数精鋭の部隊で立て直しができた。

ディアベル
今作では生存。
リメイク前では死んでしまったが、やっぱり死ぬには惜しいと思ったので。

キバオウ
頼りになる大人枠へと変わった。
原作初期の面影はもはや消え失せた。
おまだれ?

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