SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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すんません
間違えてリメイク前に投稿しちゃいました


ビーター

シュバルトside

 

「おかしいだろ!」

 

 金切り声のような甲高い声がフロアに響く。

 声の主はキバオウが指揮していたパーティメンバーの1人からだった。

 

「なんで…なんで、フロアボスの使うスキルを知ってるんだよ!」

 

 その言葉を皮切りにフロアボス攻略メンバー達の表情がボスを倒した喜びの感情から僕への疑いへと変わっていく。

 

「そら、シュバルトはんがβテスターでそのスキルを見たことがあったからやろ」

 

 僕がβテスターだと知るキバオウが庇うように僕の前で話す。

 

「ならなんでβとの情報が違うのを黙ってたんだよ!」

 

「そんなんシュバルトはんかて知るわけないやろがい! 今回のボスが使うてくるであろうSSも一度βで経験したか、どこかで知ったから可能性として指示しただけやろが!」

 

「そうだぞ。ボス攻略前に彼はβと違う可能性はあるとだけ言ってたが、確定とは言っていないだろう!」

 

 そこからはヒートアップしていく、僕を庇う者、僕を非難する者。

 ユウキ達やエギルのパーティメンバー。ディアベルのパーティメンバー、キバオウの一部のパーティメンバーは僕を庇う側、他のメンバーが僕を非難する側に二分されていた。

 

「俺、俺わかっちまった!! そいつ! βテスターの中でもとびきり狡い奴なんだ!」

 

「なるほどな……貴様、そう言う事だったのか!!」

 

 非難する側の1人が叫ぶ。

 

「貴様は、このまま攻略部隊のリーダーであるディアベルを蹴落として、新たな攻略組のトップに立つつもりだったのだな!」

 

「なっ!?」

 

「はぁ!?」

 

 もとよりそんなつもりなどない。

 このままだと、攻略メンバーが分裂してしまう。

 どうしたらいいんだ。

 

「シュバルトがそんな事を企むわけない!」

 

 ユウキが叫ぶ。

 

「そんな非効率的な乗っ取りするわけがないだろうが!」

 

 テリーが叫ぶ。

 

「彼の事を疑ったって何もない!」

 

 フィリアが叫ぶ。

 

 僕自身が全てを話す?

 ダメだ。余計に対立を煽る上に、事実を知るユウキ達やミト、アルゴまでに被害が及ぶ。

 

 僕が悪役になる?

 そんな事をすれば、僕のもたらす情報が信用を失う。

 

 どうしたらいい、どうしたらいい…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、僕の情報だと言わなければ良い。そうすれば、情報源の信頼はともかく、情報の信用だけは確保できる。

 それに他のβテスターには矛先が向かわないはずだ。

 

 僕は意を決して、口を開こうとしたその時だった。

 少年の高らかな笑い声が響く。

 

「元βテスター? 俺というプレイヤーをそんな素人連中と同じにしないでほしいな」

 

「な、何ィ!?」

 

 声の発生源はキリトからだった。

 

「いいか、よく思い出せよ。βテスト抽選はとんでもない倍率だったんだぜ。その中の千人で本物のMMOプレイヤーは何人いたと思う?ほとんどが初心者ばかりだったよ。今のアンタらの方がまだマシさ」

 

 僕に集まっていた視線は全てキリトへと移っていた。

 

「──でも、俺だけは違う」

 

 冷笑するキリト。

 

 待て。君がそんな事をする必要はない。僕が、僕がやるべき事だ。

 

 なのに僕の身体は声は動かない。

 

「俺はベータテスター中に他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスの刀スキルを知っていたのもずっと上の層で刀を使うモンスターと散々戦ったからだ。俺が教えたから彼は知ってるんだよ。他にもいろいろと知っているぜ。情報屋なんて問題にならないくらいにな」

 

「………なんだよ…それ……」

 

「そんなのβテスターどころじゃねぇだろ…」

 

「そうだよ…チートだろ、チーターだろそんなん!」

 

 僕を責め立てていたプレイヤー達がキリトへの罵倒を投げかける。

 その中からβテスターとチーターから混ざり合った造語《ビーター》が生まれる。

 

「ビーター……良いなそれ。俺のことは今度からビーターとでも呼ぶと良いさ。他のβテスターとは一緒にしないでくれ。俺は二層の転移門は有効化(アクティベート)しといてやる。ついて来るなら初見のmobに殺される覚悟しとけよ」

 

 そう言うと、彼はメニューを開き、画面を操作する。数秒後には彼がLABで獲得しただろう黒いコートを装備して上層への階段に向かっていった。

 

 僕はキリトの後を追う。

 すると、近くにいたユウキが僕の手を掴む。

 

「シュバルト……キリトの所に行くの?」

 

「うん……本来なら、僕がその役目を担う筈なのに、それを彼にさせちゃったからね」

 

 僕はその場を立ち去ろうとするがユウキは手を離さない。

 

「ユウキ?」

 

「ならボクも行く。置いていかれるのはもう嫌だから……」

 

 彼女は黒曜石のような瞳で僕の目を見つめる。

 

「……わかった」

 

 ユウキと共に行こうとすると、誰かが肩に腕を回す。

 

「おいおい…相棒の存在忘れてんじゃねぇぞ?」

 

「そうそう。危険だからっていつものメンバーを置いていくなんて酷いよ」

 

「テリー…フィリア…」

 

「それに後ろの2人もだろ?」

 

 ミトにアスナの2人もついて行く気の目をしていた。

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

 ディアベルが呼び止める。

 

「シュバルトさん……彼の事を追うんだろう?」

 

「うん」

 

「なら、俺達の伝言を頼んでもいいか?」

 

「それなら構わないよ」

 

「ありがとう…まずエギルさんから。あの両手斧の巨漢の人な。『またボス戦。一緒にやろうな』で次にリンドから、『次の攻略も頼む』キバオウさんからは『なんか困ったことがあったらワシらに遠慮せんで相談しいや』最後に俺から『俺の尻拭いをさせてすまない。これからの攻略で返す』……頼めるか」

 

 それぞれの伝言を受け取る。

 

「了解…それと慣れない関西弁は似合わないよ?」

 

「ははは…俺も彼のことは追いかけたいが、ここにいるプレイヤーや街で待つプレイヤー報告もある」

 

「役割分担でしょ? 任せてよ」

 

「シュバルトさんも気をつけてくれよ!」

 

 ディアベルはそう言って、プレイヤーの集団へ走って行った。

 

「……よし。キリトの後を追うよ」

 

 5人は無言で頷き、二層への階段に足を運ぶ。

 

─────────────────────────

 

キリトside

 

 これでいい。

 シュバルトが第一層の頃──デスゲームが始まってから、今に至るまで、この世界のプレイヤーの為に動いていた。

 はじまりの街でクラインを置いていった俺とは大違いだ。

 そんな彼の苦労を水の泡にさせない為にも俺がヘイトを受けたのだから。

 

「キリト」

 

 俺を呼ぶ声がした。

 声の方に振り向くと、そこには、パーティーを組んだ面々とレイドを立て直した少年──シュバルトがいた。

 

「なんで来たんだよ…」

 

「死ぬ覚悟があるなら着いてきていいって言ったじゃない貴方」

 

「そうだったっけ……それでなんでこんな大人数で来たのさ……」

 

 困ったような表情でキリトは首を傾げる。

 

「ディアベル達からの伝言と……僕が言いたいことを言うために」

 

「ディアベル達から?」

 

 僕は言われたことをそのまま伝える。

 

「そうか……でシュバルトの言いたいことは…?」

 

 僕はキリトに向けて頭を下げた。

 

「僕が背負うべきモノを君に背負わせてしまったこと。本当に申し訳ない!」

 

「ま、待ってくれ!? なんでお前が頭を下げる?!」

 

 キリトは訳がわからない様子だった。

 それもそうだ、いきなり頭を下げられたら僕だって慌てる。

 

「本来ならこのデスゲームの製作に関わった僕がこの一件のスケープゴートになるべきだったんだ」

 

「……SAO(これ)の関係者だったのか」

 

「うん……君から……それにそこにいるアスナさんにもどんな誹りも恨みも受ける。それに許してくれなんて言わない」

 

 僕はここで2人に何を言われても何をされても構わなかった。

 このデスゲームの関係者の1人として少しでも責任を取らねばならない。

 

 そう考えていると、キリトが肩に手を置く。

 

「頭を上げてくれ……」

 

「キリト…?」

 

「俺は別にシュバルトを恨む事も罵倒するつもりもない……と言うか知らなかったんだろ?」

 

「それはそうだけど……」

 

「なら、この話はこれでおしまいだ。アンタもそれでいいだろ?」

 

「ええ。ミトからもある程度聞いたから」

 

「ミト…?」

 

「ごめんなさい……貴方が悪くない事…彼女にも知ってて欲しかったから…」

 

 どうやらミトが先にアスナに僕のことを説明していたようだ。

 

「それは…構わないんだけど……」

 

 僕はどうしたら良いかわからなくなった。

 キリトとアスナの2人から、色々と言われる覚悟をしていたのが、取り越し苦労になってしまったから。

 

「……とりあえず、上の層に行こうぜ。早く有効化(アクティベート)しないとディアベル達も困るだろうし」

 

「そうだね……行こうか」

 

 二層への階段を登る。

 登り切った先には巨大な扉があり、それを押し開ける。

 

「わぁ……綺麗……!」

 

 扉の先には広大な草原が広がっており、そよ風が僕等が待とうコートやマントをはためかせる。

 階段を降りて二層の地に足をつける。

 

「ただ広いだけなら良いけどな…」

 

「どう言う事?」

 

「この層の敵は大体が牛なのよ」

 

「牛?」

 

「歩きながら説明するよ。そこの3人!牛のモンスターと言ったら何を浮かべる?」

 

 キリトがベーステスターではない3人に質問する。

 

「あ◯れうし◯り!」

 

「ケン◯ロス!」

 

「……?」

 

 ユウキがドラ◯エ、フィリアがポケ◯ンの代表的な牛モンスターを上げる中、アスナはわからないようで首を傾げていた。

 もしかして彼女、ゲームとかしないタイプ?

 

「……まぁ突撃してくるようなモンスターが浮かぶよな」

 

「ここに出てくる雑魚mobは基本的にそう言った突撃してくる奴らばっかだよ」

 

「闘牛師の大変さがわかる…わかりたくもないがな」

 

 そう話していると僕達の後ろで『シュワン!』と涼しげな音と共に大きな影が現れる。

 

「……なぁ…俺、嫌な予感するんだが?」

 

「奇遇ねキリトくん…私もよ」

 

「こう言う時って振り向くのがお約束だけど……」

 

「とりあえずここは……」

 

 全員が足に力を入れる。

 

「逃げろぉぉーー!」

 

『ブモォォォォォオ!』

 

 予想通り、牛系mobに追っかけられた。

 僕達は一目散に街まで逃げ込む。

 

「やっぱりいたぁァァァ!」

 

 僕がギャグ漫画みたいに叫び、

 

「まだついて来てるかなぁ!?」

 

 ユウキは後ろを気にして、

 

「後ろ向いたら絶望するわよ!!」

 

 ミトが前を向かせて、

 

「コイツ足速い上にターゲット持続時間長いんだよ!」

 

 テリーが牛mobのことを解説し、

 

「AGI上げてないとキツイってこれ!」

 

 フィリアが嘆き、

 

「嫌ァァァ!」

 

 アスナが悲鳴を上げ、

 

「あと少し!」

 

 キリトが街までの距離に喜ぶ。

 

 僕達が街に駆け込むと、衛兵NPCがハルバードで牛モンスターを一撃で倒す。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「し、死ぬかと思った……」

 

「う、運が無さすぎる……」

 

「ぎゃ、ギャグ漫画じゃないんだぞ……!」

 

 全員牛との追いかけっこでへとへとである。

 

「と、とりあえず有効化しないと…」

 

 僕はフラフラとした足取りで転移門に触れて有効化する。

 

「この後はどうする…?」

 

「とりあえず…宿屋で休憩しよう……」

 

「「「賛成〜」」」

 

 全員で大きめの宿屋の大広間で休む。

 

「アレなんなのよ……」

 

「トレンブル・ラース・オックス……出現確率はすごい低いけど、倒せば良い肉をドロップするんだよ……」

 

 と、キリトが嬉しいような残念なような微妙な表情になる。

 

「へーレアモンスターねぇ……」

 

 ジト目でユウキは僕とフィリアを見る。

 

「ごめんなさい……」

 

「ごめんね…?」

 

 僕とフィリアが謝る。その事に『何故?』と言ったら目で見てくるキリト達。

 

「コイツらリアルラックすげぇ高いんだよ……」

 

「そーそー……ガチャ引くにも、ゲームのドロップも低確率のレアアイテム狙うにも、ぜーんぶ楽々取るんだよ……」

 

「じゃあ、ポケ◯ンの色違いとか、個体値とかそう言うのも?」

 

 ミトが廃人御用達の質問をする。

 

「そうだよ……対戦用個体値に不要の攻撃の個体値が逆Vだったり……」

 

 そんな幸運エピソードを話していく内に、キリトとミトの視線がユウキと同じジト目へと変化していった。

 

「もしかしてお前ら……」

 

「ドロップアイテムで苦労した事ない?」

 

 目を逸らす。

 アニールブレード獲得クエストのネペントの胚珠とかは身付きとか花付きとか良く出て来てドロップしまくった。

 

「……今度素材集めする時はどっちか必ず連れていくか」

 

「「幸運のお守り扱いやめて!?」」

 

 流石にその為だけに呼ばれるのはごめん被りたいよ!?

 

「とりあえず今日は一日休みましょう?」

 

 アスナの提案で、男女に別れて部屋をとって一夜を明かすこととなった。

 

「シュバルト……時間少し貰ってもいい?」

 

 僕はユウキに呼び止められた。

 

─────────────────────────

 

ユウキside

 

「シュバルト……時間少し貰ってもいい?」

 

「それは構わないけど……」

 

「ありがとう……」

 

 周りのみんなは、何があったのかを察したのか、部屋の中で彼と2人きりにしてくれた。

 

「シュバルト……ううん……竜翔……はじまりの街であんな事言って……ごめんなさい!」

 

 あの日ボクが竜翔を拒絶した事、これは必ず謝らないといけない。

 あの一言のせいで彼が寝る間も惜しんで攻略本に載せる情報を集めていた。

 攻略本を読んでいたテリーが言っていた。β時代にはない情報がこれでもかとびっしり詰められていた。

 普段の彼はのんびり屋だと言うのに、短期間でここまで書き記されていたということは、寝ていない可能性が高かった。

 

「いやいや待って……木綿季が謝る必要は……」

 

「……ボクが謝りたいの。ボクがそうするべきだと思ったから」

 

「…わかった。謝罪を受けとるよ。でも木綿季は気に病まなくていいからね?」

 

「…わかった…ねぇ竜翔。竜翔はこれからも攻略本を作るんだよね?」

 

「そうだけど…?」

 

「ならそれ、ボクも手伝う」

 

「いや、木綿季?」

 

「竜翔が背負っているもの、ボクも背負わせて!」

 

 竜翔がこれからも同じように情報を集めるなら、ボクもその手伝いをしたい。

 

「……お願い!」

 

「……わかった。でも危険な事はさせないからね?」

 

「でも、手が足りない時は必ず頼ってね」

 

「そうならないことを祈るよ」

 





シュバルト
キリトにヘイトを背負わせてしまった事にすごく罪悪感を抱く。
ユウキに謝られる。
ドンドン罪悪感が積もっていく。
実はリアルラック値高い。
なので、アニールブレードも3本(MAX強化済み)を所持。

ユウキ
シュバルトに遂に謝ることができた。
攻略本作りを手伝うこととなる。


フィリア
原作でもリアルラック値が高いエピソードとして、SAOのカセットを今作だとシュバルトから融通させてもらったが、原作だとふらっと出歩いて、偶々見かけて購入すると言う豪運。
朝まで並ばないと買えない筈のカセットなのに……

今作ではフロアボスのクエストは一層にはなくて、シュバルト達が戦った隠しボスから『察してね?』という意地悪仕様になっております。


SAOVSにて
ウチの子達の会話集

シュバルト×テリー

「さーてやりますか」

「そうだな」

「ならどっちが多く倒せるか勝負しない?」

「…なら負けた方は今日の3時のスイーツの奢りな」

「良いねぇ…それじゃあ…

「「ヨーイ…ドン!」」

クリアセリフ

シュバルト

「おしまい!それじゃあ次、行ってみようか!」

テリー

「肩慣らしにもならなかったな」

作者自身の幸運エピソード(自慢)
過去にポケモンのフーパの映画の前売り券で貰えるアルセウスで色違いを手に入れてたりしてます。
アレ1/19なんすね……
確率としては高いけど、当時は相当レアだったそうな。
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