SAO-絶剣と怪物狩り   作:小説大工の源三

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大変お待たせしてしまった……
最近仕事でずっと帰れなくて…中々書く余裕がないでござる。



刃と拳と新参者

シュバルトside

 

 先日、アスナのウィンドフルーレが奪われかけた事をキリトから報告を受け、僕達は主街区《ウルバス》で会議を開いていた。

 この建物は隠れ家的スポットのような場所になっており、他のプレイヤーの姿はなかった。

 因みに取り戻した方法はメニュー画面の奥底にある《所有アイテム完全(コンプリートリィ・オール・アイテム)オブジェクト化(・オブジェクタイズ)》を使ったそうだ。

 その事を知ったミトが、キリトの事を殺さんばかりの目で見ていた。

 後に彼女は「あの時、アスナの武器が見つかってなければキリトの事をおそらく4/5殺ししてたと思うわ」と語っていた。

 怖い。

 

「……しっかしなんでまたそんなことが起きたんだよ」

 

「……ねぇシュバルト。武器が砕ける理由ってどう言う時なの?」

 

「強化限界の武器を強化しようとしたらなる。と言うかそれだけだよ」

 

「アスナのウィンドフルーレは砕けてないのを見るに、別にあるエンド品のフルーレとすり替えてそれを砕いたってことになるわね」

 

「それをいつどうやってすり替えたかだな……」

 

 そう、そこが1番のキモだ。

 

「2人はその時、どこを見てたの?」

 

「炉だな俺は。素材がキチンと入ったか気になって」

 

「私も…炉から出る光が綺麗だったから……」

 

 なるほど。つまりその一瞬か。

 その一瞬で鍛治師のプレイヤーがすり替える方法を考える。

 

「……考えても出ないね。そもそも僕らはその現場に居合わせてないから、何を使ってどうしたのかもわからない」

 

 このプレイヤー鍛治師のことをしばらく探らないといけない。

 今日の会議はこれで終わりを告げた。

 

「で、明日ってフィールドボスに挑むんだっけ」

 

「ああ、偵察隊に参加して、そこまで強くなかったからな。ディアベルが指揮取れば問題ないだろうから、俺は不参加にした」

 

「私達も体術クエスト受けたいからね」

 

 フィールドボスをディアベル達に任せ、テリー達も体術を習得するようだ。

 体術スキルは便利だ。武器を持たない手、若しくは蹴りによる一撃に補正と専用SSが汎用性の多い性能をしている。

 

「シュバルトは……見に行くの?」

 

「うん。なるべく早めに事件解決しないと、大変な事になりかねない」

 

「私も行くわ。アスナの武器を盗もうとした奴の顔も見てみたいし……」

 

 ミトが犯人への怒りを露わにしている。

 親友の武器が盗られかけたのだ、思いっきり表情に出してないのが不思議だ。

 

「ま、明日からだけどね。流石にこんな夜まで営業はしないだろうし」

 

 部屋をとってある宿で一晩明かし、キリトから聞いた情報の場所に向かう。

 

「ここって前に、運悪くエンドさせちゃった人のとこじゃない?」

 

「……確かに。なら…なるほど?」

 

 その店主がエンド品を買い取っていた事を思い出す。

 

「エンド品……そして…アレは…?」

 

 僕は店の床に敷かれている赤いカーペットに視線を動かす。

 

「《ベンダーズ・カーペット》ね……それがどうかしたの?」

 

「いや、特殊な機能あるから少し気になっただけだよ」

 

「そう……」

 

 しかしこの日は強化を依頼する人は来店する事はなかった為、今日の張り込みは無意味に終わってしまった。

 

─────────────────────────

 

テリーside

 

 俺とフィリアは体術スキルを獲得できる場所へと向かっている。

 

「ねぇ、テリー……キリト達3日かかったって言ってたけど、大丈夫なの?」

 

「……一応コツがある。βの時にこのクエ受けた事あるし、それが通ればすぐだ」

 

 おそらくキリト達はそれを知らなかったから、3日も時間がかかったんだろう。

 

「じゃあテリーにお任せするよ」

 

「おう。通じたら教える」

 

 クエストのある場所。この層の東の端にある、テーブルマウンテンを登り、洞窟を通り、ウォータースライダーのような地下水流を通る。

 

「ね、ねぇ本当にここを通るの?」

 

「そうだが?」

 

 フィリアは嫌そうに水流を見る。

 確かに地下水流に入るのは気分が良いものではない。

 しかし、ここを通らねばクエストのところまで辿り着く事はできない。

 

「どうするんだ?俺が先に行くか?」

 

「お、お願いします……」

 

 そういう事で俺が先に降ることとなった。

 冷たい水流に身体を浸し、一気に滑り落ちる。

 

「…激流を制するは静水……激流ってほどでもないがな」

 

 少し待つと、フィリアも覚悟を決めたようで、上から落ちてくる音が聞こえる。

 

「テリー! 避けてぇ!」

 

「はい?」

 

 俺は彼女の言っている事に反応することができずに、後ろから来たフィリアにぶつかってしまう。

 

「うごぁ!?」

 

 そしてそのまま一気に下まで流れてしまった。

 

「痛つつつ……オイ…フィリア大丈夫か…?」

 

 俺はフィリアが無事か確認をする為に、立ち上がろうと手を地面につく。

 すると『ふにゅん』と何か柔らかい物を触ったような感触が手のひらに伝わる。

 

「んぅっ……テリー……手ぇ…避けて」

 

「待ってろ今起きる……」

 

 俺は周囲を確認しながら立ち上がった。

 周りにはフィリアの姿が無いのに、声がしたのは不思議だ。

 まさかと思い下を見ると、そこに彼女が仰向けで倒れていた。しかも俺のことを頬を染めながら睨んでいた。

 

「……? ……!」

 

 俺は手のひらの柔らかい感触を思い出す。

 つまりあの時、俺が手をついたのは、フィリアの──

 

「テリーのエッチ……」

 

「…す、すまない」

 

「ねぇ…この画面どうしたらいいの?」

 

 フィリアの目の前にメニュー画面が一枚表示されていた。

 

 俺にとってとても不味いものが。

 

「……ハラスメント警告画面か……とりあえず通報だけはしないで閉じてくれ」

 

「……わかったわ」

 

 彼女はNOのところをタップし、画面を閉じる。

 

「さっさと行こう!」

 

 そう言ってフィリアが立ち上がり、先に進もうと促し、俺の思考を止めた。

 

「そ、そうだな……」

 

 彼女がくるりと振り向き、頬を染めたまま俺を睨みながら指を刺す。

 

「それと……さっきのこと、蒸し返したら許さないからね」

 

「お、おう……」

 

 俺達はそのまま道なき道を進み、ついに岩山の山頂にある小屋に辿り着く。

 

「ここなの?」

 

「ああ。入るぞ」

 

 中に入るとそこには筋骨隆々のつるっぱげ親父が胡座をかいていた。

 

「あ、あの人がクエストNPC…?」

 

「そうだ…」

 

 俺が一歩踏み出すと、そのNPCが立ち上がり口を開く。

 

「入門希望者か?」

 

「ああ…」

 

「修行の道は長く険しいぞ?」

 

「望む所だ」

 

「汝らの修行はたった一つ。両の拳のみで、この岩を割るのだ。なしとげれば、汝らに我が技の全てを授けよう」

 

「良いだろう!」

 

 俺が声を上げて受ける。

 

「この岩を割るまで、山を下りることは許さん。汝には、その証を立ててもらうぞ」

 

「きゃぁあ!?」

 

 そう言って親父は筆を懐から取り出し、俺達の両頬にヒゲを描いた。

 フィリアはいきなりな事に仰反る。

 

「その証は、汝らがこの岩を割り、修行を終えるまで消えることはない。信じてるぞ、我が弟子達よ」

 

 そして、そのままドアの奥へと消えていった。

 

「テリー……ほっぺ……っ!」

 

「ああ…ヒゲが描かれてるな3本の。お前もだぞ」

 

「うぇ!?」

 

 フィリアはそう言って、泉に自分の顔を映す。

 

「な、なによコレェ!?」

 

「くっクククっ…! 可愛いぞフィリにゃん!」

 

「うー! 早く割ろう!ね?!」

 

 頬をさっきの時よりも赤く染めたフィリアは岩の前に立つ。

 

「んじゃ、俺の真似して岩殴れよ」

 

「うん!」

 

 俺は腰を深く落とし、右腕を後ろに引き、真っ直ぐ岩に向けて拳を突く。

 

「これを割れるまで繰り返す。いいな?」

 

「う、うん…やってみる」

 

 俺達は破壊不能(イモータル)オブジェクト一歩手前の岩を何度も殴り付ける。

 

「そして同じ所を殴るっ!」

 

「了解っ!」

 

 俺達は何度も何度も拳を岩に叩きつける。

 痛覚緩和機能(ペインアブソーバー)で痛くないはずなのに、痛い気がするくらい殴る。

 そして岩が割れたのは次の日の朝だった。

 

「我が弟子達よ……よくぞ、岩を割った。汝らは我が技を使うに値する」

 

 割れた岩を眺めながら親父は言う。

 

「日々研鑽を怠らぬようにな…では行け!」

 

 そのまま俺達は小屋を追い出された。

 

「ねぇ……アルゴのヒゲの理由って」

 

「多分これなんだろうな……できなかったからそのままヒゲが残ったままβ版をプレイして、鼠の異名がついたってわけか」

 

「……んじゃ戻るか」

 

「そうね……」

 

 俺達は何事もなく主街区に戻った。

 言っておくが、ラキスケはこの間のだけだ。俺はシ◯・アス◯じゃないからな。

 

─────────────────────────

 

キリトside

 

 俺とアスナの2人は、フィールドボス攻略に参加し、周りの取り巻きを倒しながら、ボスをチクチク攻撃していた。

 

「流石ディアベルだな……」

 

「……そうね。誰1人危険域に落ちてないわ」

 

 別のゲームでも指揮を取ることが多かったのだろう。的確な指示を出して、ボスのヘイトをコントロールし、プレイヤーを危険に晒す事なく戦えている。

 

 そんな中俺はガチガチに鍛えられた防具を身につけているプレイヤーの方をじっと見ている。

 

「………っ」

 

「キリト君? さっきから新規参戦した人達……《レジェンド・ブレイブス》のこと見てるけれどどうしたの?」

 

「……実は、シュバルト達と合流する前に彼等を一度見たんだ」

 

「……一度見ただけでそんなに気になるって…何かあったの?」

 

「夕べ酒場でアスナの剣を騙し取った鍛治師──ネズハと話しててたんだ……」

 

「……それって彼らが詐欺に関係してるってこと?」

 

 アスナの目付きが鋭くなる。

 

「ああ……その可能性は否定できない」

 

 彼等がネズハの仲間なら、警戒せざるを得ない。

 

「なぁ、アスナ。彼らの名前って覚えてるか?」

 

「……貴方ね……玉ねぎみたいな兜の人はオルランド、小柄な両手剣使いがベオウルフ、もう1人がクフーリンよ」

 

「なるほど……それでレジェンド・ブレイブスって名乗ってるのか」

 

「…?どう言うことよ?」

 

「アスナが今教えてくれた名前なんだけど、全員、それぞの国の伝説上の英雄の名前なんだ。オルランドがフランス、ベオウルフは確か北欧圏、クフーリンがケルトだ」

 

「へぇ〜……」

 

「詐欺のことはシュバルト達、3人に任せて、俺たちはボスを倒してから、考えようか」

 

「そうね……もうすぐあのデカ牛も倒せるでしょうけど、最後の最後に何をしてくるかわかったものじゃないし」

 

 そう言って俺達は思考をフィールドボスへと戻し、剣を振るのだった。

 

 





シュバルト
強化詐欺のロジックを暴くために奔走中。

ユウキ
シュバルト同様ロジックの解明の為に奔走。

ミト
親友の武器を奪おうとしたプレイヤーを問い詰める為に奔走。
キリトはいつか1/5殺しにする。

テリー
ラキスケして牢屋に入れられそうになった。

フィリア
ラキスケされた。
ただ内心、満更でもなさそうだった。

キリト
詐欺のロジックはシュバルト達に任せて攻略の方へ行った。
とは言え気がかりなのは事実である。

アスナ
詐欺のロジックもそうだが、キリトが気にしていた、レジェンド・ブレイブスのことも気にし始めた。



シュバルト君のイラストです。
ただ下手くそな絵なのでだっさいです…



【挿絵表示】




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