この世界はとてつもなく暑い。炎に焼かれた大地を俺達は鉄の足で歩く。灰になった草木を踏み締め血反吐吐けど先のない未来。
「クソ……」
こうなったのも全部あのクソ坊主のせいだ。
前世でわかっていたはずの事だったが体が動かなかった。
そう……前世で見た漫画と同じ光景だったというのに……
俺には前世がある。ここよりとてつもなく平和でゴミな世界。そんな世界の一つの娯楽に漫画があった。
その漫画でとてつもなく好きだった作品。魔女―マジョ―。
表紙を飾るキャラクター一人一人に繊細な感情があり、理不尽な世界を生きる二人のカップル。とても面白いSF作品だとオススメできる。そんな漫画に転生したんだ。
憑依とかではなく、転生。一人のモブに転生したんだ。
だがこの漫画の終わりはバッドエンドだった。主人公たちはこの世界を平和にする為に奔走していたが、メインヒロインのマジョがこの世界を滅ぼしてしまう。そんな終わり方だ。
死にたくはない。せっかくこの世界に転生したんだ。生きて老衰したい。そして、余生を一人で謳歌したい。
やるべき事は一つだ。主人公達の前に立ちはだかり、計画を止める。
その為に、俺は今研究所に居た。
「ここで始まった。悪魔の始まり……」
あまりにも突飛な始まりだ。
廃墟の研究所に放置されたマジョ。彼女を見つけ出すは主人公。
「ここで始まる。この場所の何処かで……」
急いで見つけてマジョを殺さないとこの世界は破滅する。
俺は……死にたくない。死ぬのであれば……
「ッ゙!?」
突如聞こえた爆発音。この音は主人公がマジョのトビラを開けた音だ。
そして、マジョと出会う。
「させない………」
俺は…………死にたくない
例え何千万が死のうと
俺は死ねない
死ぬのならば…………
「そこまでだ」
一歩遅かった。
マジョを起こし、こちらを見つめる4つの目。
「だ、誰なんだアンタは……」
「目標を排除する……」
もう遅いか?いや、まだ間に合う。
意識しろ、当てろと。当たると意識しろ。
右腕の銃を持ち上げる動作と共にトリガーに指をかける。
そうだ。そのまま流れるように狙って殺せ。
殺せ……殺せ………殺せ!!!
「イヤダ!!」
「なっ!?」
突如発生した風圧に押され銃を手放してしまった。
マジョ ガ メザメル
死ぬのならば……
死ぬのであれば……………
お前がシネ……マジョ!!
「ッ!!」
俺はすぐさま爆破し外れた扉を手に取り身を守る。マジョの力がメザメル。
マジョの体が胞子が出て光り輝く。
そしてその日……物語は始まった………
***
黒い花が咲く大地の恵み
青い血が皮を濡らす
「クソ……」
この世界はとてつもなく暑い。炎に焼かれた大地を俺達は鉄の足で歩く。灰になった草木を踏み締め血反吐吐けど先のない未来。
最初に止めれたら楽だったのに……でも……
楽しみに思っている自分に俺は舌打ちをした。