キラーマジンガが倒せない   作:地球の星

18 / 18
Quest.18 君のために…

 レック、ハッサン、バーバラ、チャモロ、アモス、ターニアの6人は再度狭間の世界にのりこんでいき、絶望の町などでの問題を見事に解決した。

 そして彼らはこれまでに貯めたお金をつぎ込んで、欲望の町でみかがみの盾を購入した。

 この盾はこれまで魔法の盾で粘り続けていたバーバラにとって待望の装備品であり、彼女は大喜びで装備をした。

 

 元の世界に戻ってきた彼らはミレーユ、テリー、ドランゴ、ピエールと合流し、熟練度上げのための修行に励んだ。

 その結果、まずターニアが賢者を、チャモロがレンジャー、アモスがバトルマスター、ハッサンがパラディンをマスターした。

(その後、チャモロ、アモス、ハッサンはアイテム集めのために盗賊に転職し、ターニアは賢者のまま。)

 一方、デュランとの勝負の前に勇者になったレックは、ギガスラッシュなどの強力な特技を身に付けた。

 この時点で賢者になればその特技が消費MP半分で使えるため、彼は状況に応じて2つの職業を掛け持ちしながら、最終決戦の場所に行くまでに勇者をマスター出来るようにした。

 バーバラはしばらくバトルマスターとして活動した後、おたけびを覚えるために一旦商人になり、その後、僧侶をマスター、パラディンになってしんくうはをマスター、そしてバトルマスターに復帰というやり方を選択したため、まだ上級職を極めていなかった。

 スーパースターをマスターしてから武闘家として活動しているミレーユは、らいめいの剣によるライデインやムーンサルト、会心の一撃を駆使しながら、ハッスルダンスによる回復役を担った。

 そして彼女は武闘家を極めた後も転職はせず、最後までこのままの職業でいくことにした。

 ドラゴン職のテリーとドランゴは二人三脚で(時にはミレーユも加えて)熟練度上げに励んでいた。

 テリーはケガの影響で武器を装備出来ず、呪文も使えないためにこの特技にかけるしかない一方、ドランゴは元々の能力の高さに加えてドラゴンキラーを装備していることもあり、即戦力間違いなしの状態だった。

 それでも彼女はテリーと一緒に行動を続け、彼が吐く炎や氷のダメージ量が少しずつ上がっていく様子をじっと見守り続けた。

 ピエールはこれまで最短距離でパラディンへの道を突き進んでいたが、熟練度8が段々視界に入ってきたため、状況に応じて盗賊としても活動することにした。

 

 彼らがやがて来る最終決戦の時に備えてが気合いを入れる中、レックとバーバラの不安は日を追うごとに大きくなっていった。

(どうしよう…。未だにもう一人のバーバラに関する情報が得られない。このままいけば、僕達は別れるためにデスタムーアを倒すことになってしまう…。)

(所詮、あたしとレックは住む世界の違う人同士。あたし達もキラさんとグリンガムさんのようにいずれ別々の人生を歩んでいくことになるのかしら…。)

 2人の置かれた状況は他の人達も把握していたが、どこにも情報らしい情報が無いまま、時間だけが過ぎていった。

(すまねえな2人とも。俺達は何の障害もなく付き合えるのによ。)

(私だってもしテリーと引き離されたら、耐えられるかどうか…。)

(私ももし融合していなかったら、同じような運命だったわけね…。)

 ハッサン、ミレーユ、ターニアをはじめ、みんなもバーバラの運命を変えたいという気持ちでいっぱいだった。

 そんな中、3人はすがる思いでマーズの館にやって来た。

 しかし扉には張り紙がしてあり、さらに鍵がかかっていたため、中には入れなかった。

 その紙には何やら暗号のような文字が書かれていたため、ハッサンとターニアには読めなかった。

「ミレーユさん。これ、何て書いてあるんですか?」

「ええっとねえ…。ちょっと待って。」

「もしかして、ミレーユには読めるのか?」

「少し時間がかかるかもしれないけれど、何とか訳してみるわ。」

 彼女は2人の要請を受けてポケットから小型の辞書のような本を取り出し、単語を調べながら少しずつ解読をしていった。

 その結果、グランマーズの伝言内容が判明し、ミレーユは「わしはこれから出かけます。しばらく留守にするので、その間仕事を休止します。」と読み上げた。

「出かけるって一体どこになんだ?」

「しばらくってどれくらいなのかしらね。」

 ハッサンとターニアを含め、3人は彼女のとった行動に疑問を抱えたまま、その場を後にしていった。

 

 その頃、レックとバーバラは下の世界のレイドック城の近くにおり、レックは左手をバーバラの左肩に置き、バーバラは自分の頭をレックの肩に当てながら座っていた。

(あたし達、このまま一緒にいられたら、どんなに幸せだろうなあ…。)

(僕はあきらめない。絶対に一緒にいられる方法を見つけてやる。)

 彼らが泣きたい気持ちをこらえながら景色を見つめていると、ふと遠くから誰かがこちらに飛んでくるのが見えた。

「あれ、一体誰だろう。」

「2人?いるみたいね。」

 その姿が気になった彼らは一緒に立ち上がると、今度は手をつないだ。

 その人達はグランマーズとグリンガムで、グリンガムは毛布で何かを抱えており、ベホマを唱えていた。

「おおっ!お前さん達、ここにおったのか!探したぞい!」

 グランマーズは切羽詰まった気持ちだったのか、2人を見るなり、途端にほっとした表情になった。

「あなた達、ここにいたのね。良かった。間に合ったわ!」

 ほっとしたのはグリンガムも同じで、彼女は抱えていたものを地面に下ろすと、毛布を取り去った。

 すると生命維持をするためのアイテムを顔に付けている赤毛の少女が姿を現した。

「ええっ?この人は!?」

「夢じゃないですよね!?」

 バーバラとレックはこれまで全く情報が得られず、半ばあきらめるしかないのかという思いがあっただけに、ただただビックリするばかりだった。

「夢なんかじゃないわ。でも、このままでは手遅れになってしまいます!バーバラさん、早く!」

「分かりました。グリンガムさん。」

 バーバラは一瞬自分がどうなってしまうのかという不安に襲われたが、迷っている時間はなかったため、素早く気持ちを切り替えた。

 そしてぐったりしている少女のかたわらで横になった。

 するとグランマーズが何か強力な呪文のようなものを唱え始め、それに伴って2人の少女の体は少しずつ光り輝いていった。

(本当にこの少女、僕達が夢にまで見た女の子なんだよね。夢じゃないよね。本当に僕達の願いが叶うんだよね。)

 レックはまだ半信半疑の気持ちでありながらも、光に包まれるバーバラの姿を見守った。

 

「良かったのう。お前さん達、これで安心して最終決戦に挑んでいけるぞい。」

 呪文を唱え終わったグランマーズはレックの肩をポンと叩き、彼の気持ちを落ち着かせた。

「おばあさん。本当に…、本当に夢がかなったんですね。」

「うむ。夢ではない。これは現実じゃ。これでお前さん達は無事に結婚出来るぞい。」

「えっ!?けっ、結婚って!」

 彼女にイジられ、レックは思わず顔を真っ赤にした。

「そういうことじゃ。ただし、バーバラはこれから時間をかけてリハビリをする必要があるし、その間、戦力にはならんじゃろう。場合によっては最終決戦に間に合わんかもしれん。そして全てが終われば、お前さんかバーバラのどちらかは自分の世界に別れを告げることになる。それだけは覚悟してほしい。」

「構わないです。たとえバーバラがどうなろうと、彼女と一緒にいられるのであれば、それで僕は幸せです。本当にありがとうございます。」

 彼は顔をくしゃくしゃにしながらお礼を言った。

 

 しばらくするとグリンガムはバーバラの呼吸が安定しており、脈拍も正常であることを確認したため、生命維持のアイテムを取り外した。

「良かった。これで何も思い残すことなく自分の世界に帰れるわ。」

 彼女はほっとしながら時空を超えるためのアイテムを取り出し、早速それを使おうとした。

 するとレックはとっさに「待ってください!」と言い出し、グリンガムを引き留めた。

 そして彼はキラがひどく落ち込んでおり、もう一度会いたがっていることを彼女に伝えた。

「そう言うわけなんです。帰る前に、どうか彼に会いに行ってくれませんか?」

「私だって本当は彼に会いたいです。でも、それは許されることではありません。」

「どうしてなんですか?」

「私は元々バーバラさんの運命を変えるためにこの世界にやって来た身だからです。そしてデュランと名乗るモンスターのご協力もあって、目的を果たせた以上、私は元の世界に帰らなければいけません。もし帰らなければ、時の逆説(タイム・パラドックス)が起こり、世界の運命は大きく変わってしまいます。」

 グリンガムは声を震わせながら、所詮自分とキラは結ばれない運命であることを伝えた。

「だからこそ、私はあの時彼に何も言わないまま、そっと自分の世界に帰ってしまいました。私がこんなことをした以上、彼に合わせる顔がありません。もしこんな私を許してくれたとしても、今度は別れが耐えられないほどつらいものになってしまいます。だから…。」

「それは違います!」

 レックは以前抜け殻のように落ち込んでいたキラと話をした時、他の誰をもってしても彼の心の穴を埋められそうにないこと。そして自分の世界を捨ててでも彼女と一緒に過ごしたいと言っていたことを打ち明けた。

「レック君。それは本当ですか?」

「はい。彼は決してあなたを恨んではいません。きっと許してくれるはずです。現に彼は『グリンガム、私は君のために生きる。君のために戦う。君のために盾になる。君のために死ぬ。』と言っていました。だから、お願いします。彼に会いに行ってください。」

「でも、私…。」

 グリンガムはレックに説得されても、なかなか決断出来ずにいた。

 しかしグランマーズから「いい加減自分の気持ちに正直になりなさい。きっとこれからの人生で、キラ以上にお前さんのために生きてくれる人は現れんじゃろう。」と言われると、ついに迷いを吹っ切った。

「分かりました。彼に会わせてください。」

「では、わしは今からお前さんを連れて彼のところに向かうことにする。そこでしっかりと気持ちを伝えるんじゃぞ。」

「はい、分かりました。お願いします。」

 彼女はグランマーズに向かってお辞儀をした。

「グリンガムさん。この度はバーバラを治療してくれただけでなく、運命までも変えてくれて、本当にありがとうございます。この恩は一生忘れません。僕達は必ず幸せに過ごしますので、あなた達も幸せになってください。僕達はこの世界から見守っています。」

「分かりました。バーバラさんに直接お礼を言えなかったことが心残りですが、元気でいてくださいね。」

「はいっ!」

 彼らが会話を済ませると、グランマーズはグリンガムを連れてルーラを唱え、キラのもとへと飛び立っていった。

 

 2人きりになってしばらくすると、バーバラの目が開き、意識を取り戻した。

「うっ…。」

「あっ、バーバラ。気が付いたんだね。」

「レック…。」

「どう?目は見える?立ち上がれる?」

「目は…、見えるわ…。でも…、あれっ?あれっ?」

「どうしたの?」

「体が…、体が…、動かないよおっ。」

「えっ?でもまあ、無理もないよね。もう一人の君は生命維持をしていたわけだから。」

「あたし…、融合は出来たけれど…、また…、役立…。」

「そんなことないよ!」

 レックは弱気になってしまったバーバラの発言を阻止した。

「だって、あたし…。」

「僕はうれしいよ。涙が出るほどうれしいよ。だって、ずっとかなえたかった夢がついに現実になったんだから。今までこの時をどんなに待ち続けたことか…。」

 彼は自分の正直な気持ちを打ち明けながら、涙ぐんでしまった。

「そんなに…、そんなにあたしのこと、思ってくれたの?」

「うん!心の底から思っているよ。たとえどんなに活躍してもいつか離れ離れになるバーバラよりも、今のバーバラの方がずっといい。君が呪文や特技が一切使えなくても構わない。普通の女の子でも構わない。僕、これから君のために生きていくよ。だから、一つ、約束してほしいんだ。」

「約束って?」

「僕、必ず君を幸せにする。たとえ世界中の人達に冷たくののしられようと、僕は君を守る。君を絶対に幸せにする。だから…。」

「だから?」

「あの、僕の…。」

「なあに?」

「僕の…。」

「ねえ、教えてよ。なあに?」

「僕の…、婚約者になってくださいっっ!!」

 レックはくしゃくしゃの顔を真っ赤にし、心臓をバクバクさせながら言い切った。

「うん、いいよ。」

「えっ?」

「あたしも、そうなれたらいいなって、思っていたの。レック、これからよろしくね。」

 バーバラは顔を赤らめながらニッコリと微笑んだ。

 それを見たレックにも笑顔があふれていき、「やったーーーっ!」と叫んだ後、両手を上に突き上げながら全身で喜びを表現していた。

 

 やがて気持ちが落ち着くと、バーバラはカルベローナに行って、ブボール達に自分達の報告をしたいことを打ち明けた。

「分かった。一緒に行こう。じゃあ、君を抱え上げてもいい?」

「うん、いいよ。でも変なところ触らないでね。」

「ちょっ!ちょっと!」

「冗談よ。とはいえ、たとえ事故っても、レックなら許してあげるからね。」

「えっ?ええっ!?」

 思わぬ発言を受けて、レックは思わず顔を赤らめた。

「キャハハハ。かーわいーー。それじゃ、お願いね。」

「分かった。」

 バーバラの了解を受けて、レックは両腕を伸ばし、彼女をお姫様だっこする形で抱え上げた。

「それじゃ、行くよ。」

「いいわよ。お願いね。そしてカルベローナに行った後、ハッサンやミレーユ達にも報告したいし、レックの両親にも会いたいな。」

「そうだね。順番にまわっていこう。」

「賛成!」

「じゃあ、まずカルベローナに行くよ。せーの、ルーラ!」

 レックが大声で叫ぶと、2人の体は宙に浮き、空高く舞い上がっていった。

 

 バーバラ。僕、君のこと、ずっと大好きだよ。

 必ず君を幸せにするから、ずっと一緒にいようね。

 そして大魔王を倒したら、みんなに盛大に祝ってもらおうね。

 約束だよ。

 

(終わり)

 




 最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
 構想段階では最終回にもキラーマジンガを登場させ、レックのギガスラッシュとバーバラのマダンテで倒すシーンを書きたいと思っていました。
 しかし、物語をしめるのはやっぱり主バ要素だよなと思っていて、そちらに力を入れたため、結果的に断念しました。
 悔しいですが、何卒ご了承ください。

 さて、作中で「キラーマジンガが倒せない」の歌詞を1番だけ掲載しましたが、ここでフルバージョンを掲載します。
 元々詞は「You Are There」を書いていた時に作ったもので、当時は主人公がスーパースター経由で早めに勇者になるという設定でした。
 その後、彼を賢者経由に置き換えた上でこの小説を書きましたが、本作でキラーマジンガ打倒のシーンを繰り上げた結果、最後のサビをどうしても合わせることが出来なくなってしまいました。
 その点を何卒ご理解ください。


タイトル:キラーマジンガが倒せない

 気が付いたら 同じ面ばかりプレイ
 そして いつも 同じ敵にKO
 あきらめずに 海底宝物庫に 挑戦するけど
 すぐに 返り討ちになる

 グリンガムのムチがあれば バーバラを強化出来るけど
 何回やっても 何回やっても
 キラーマジンガが倒せないよ

 あの攻撃 何回受けても 半端ない
 職業解除で 木の実を食べても ワンパンされて OH NO!
 せいけん突きも 試してみたけど 先制されたら 意味が無い
 だから 次は絶対勝つために 僕は カルベローナにまずは行っておく

 気が付いたら 伝説の装備がそろった
 そして 次は ヘルクラウド城に行く
 あきらめずに デュランに面会しに行くけれども
 アレを見るたび ビビる

 最初のバトルに勝てば 楽に次の相手に勝てるけど
 何回やっても 何回やっても
 あのコンビが倒せないよ

 あの攻撃 何回受けても 半端ない
 スクルトで こちらは応戦するけど ワンパンされて OH NO!
 星降る腕輪で マダンテしたけど 身代わりされたら 意味が無い
 だから 次は絶対勝つために 僕は メダパニダンスをまずは使用する

 グリンガムのムチがあれば バーバラを強化出来るけど
 何回やっても 何回やっても
 キラーマジンガが倒せないよ

 あの攻撃 何回受けても 半端ない
 仁王立ちで 仲間を守ってみたけど ワンパンされて OH NO!
 きせきの剣と 力のルビーも 一体だけでは 意味が無い
 だから 次は絶対勝つために 僕は 主バの愛の力で挑んでく

 ギガスラッシューーーッ!!!
 くらえ マダンテーーーッ!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。