キラーマジンガが倒せない   作:地球の星

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Quest.8 チャンスは一度

 海底宝物庫を後にしたレック達は、次の目的地である海底神殿に乗り込んでいくために、装備を整えることにした。

 その中で、チャモロは商人に、アモスとハッサンは盗賊に転職して、お互い協力しながら資金集めに奔走した。

 ミレーユはグランマーズの弟子としての仕事をこなしながら、お給料という形でお金を受け取った。

 レック、バーバラ、ターニアは村人達の農作業を手伝うことにし、畑を耕したり、種をまいたり、水やりをしながら過ごした。

 各自で色々活動をした後、レックは一度海底神殿を下見に行こうと提案したため、7人はさらなる資金集めを兼ねてその場所に向かうことにした。

 その際、ハッサンはパラディンに復帰し、チャモロは盗賊に転職した。

 

 現地はかなり広い上にモンスターも多いため、なかなか進むのが大変だった。

 そんな中でも彼らはミミックから命の木の実を、ヘルパイレーツから鉄仮面を入手し、さらに宝箱からピンクパールやマジカルスカートなどを回収した。

 その直後。サイレス4匹が現れたため、ハッサン、ミレーユ、チャモロ、アモスが相手をすることになった。

チャモロ「私はまずおたけびを使います。」

ミレーユ「私はイオラで対抗するわ。」

アモス「私はまわしげりで集団攻撃をします。」

「俺はこれをを使うことに…。」

 ハッサンはキラから教えてもらったしんくうはを使おうとしたが、唯一ひるまなかったBのバシルーラにかかってしまい、戦線離脱をよぎなくされてしまった。

「し、しまった!マホトーンを唱えておくべきでした。」

 次のターンでチャモロは先制で相手の呪文を封じ、ミレーユがまわしげり、ハッサンの代わりに入ったレックがベギラゴン、アモスがまわしげりを使い、残りはCとDのみになった。

(その間、相手からは通常攻撃やわしづかみを受けた。)

 次のターンではチャモロとミレーユのメラミで戦闘が終了し、彼らは降参のあかしとして、まふうじの杖を手渡してくれた。

 戦闘後はターニアがベホマラーでHPを回復させてくれた。

「じゃあ、今日の探索はここまでにしよう。」

「そうね。ハッサンを探しに行かないと。」

 レックとバーバラの意見を受けて、一行はここでリレミトを唱え、急いで神殿を後にしていった。

 

 地上に戻ってきた彼らはあちこちを探し回った後、ルイーダの店にやってきた。

「もしや、あんたはアモっさんではっ!?いやー、探しましたよ。」

「さあ、力を合わせ、共に戦いましょう。」

 現地で待機していたハッサンとアモスのやりとりはまるで「ハッサンが仲間に加わった(しかもファンファーレ付きで)。」というような感じだったため、他の5人は思わずツッコミを入れたくなった。

 何はともあれ、ほっと一安心した彼らは、これまで手に入れたものを売った結果、目標額の22500ゴールドになったため、、ついに炎の剣を手に入れた。

アモス「これできせきの剣に近い威力の武器が手に入りましたね。」

チャモロ「早速私にも使わせてほしいんですが、よろしいでしょうか?」

「いいですよ。あなたはこれまで火力不足でしたよね。」

「はい。何しろ私は武器がモーニングスターでしたから。」

 これまでおたけびが主な役割だったチャモロは、ようやく通常攻撃(と追加攻撃)で戦力になる目途が立った。

 そして、宿で一泊した後、レック達は再度神殿に乗り込んでいった。

 

 その後、何度も現地を訪れ、砂のうつわを手に入れた上でグラコスとの戦いに挑んでいった彼らは、苦戦の末にどうにか討伐に成功した。

(※海底神殿でグラコスと戦うシーンはすでにYou Are Thereの中で書いている上に、新たなアイデアが浮かばなかったため、カットさせていただきます。あしからず。)

 その際、グラコスの槍を手に入れたため、ハッサン、チャモロ、アモスはそれに加えてきせきの剣、炎の剣をローテーションで使い回していくことにした。

「それじゃ、余った氷のやいばはどうするんですか?」

「それはお前が道具使用で使ってみたらいいんじゃねえか?」

「確かに道具使用でヒャダルコの効果がありますからね。」

「あなたがMPを節約する時や、マホトーンにかかった時に役立ちますよ。」

 ハッサン、チャモロ、アモスの後押しを受けて、その武器はターニアの手に渡ることになった。

「みなさん、ありがとうございます!私も頑張ります!」

 彼女はありがたくその武器を受け取り、戦力として貢献していくことを誓った。

 

 カルベローナが解放され、その町が上の世界に舞い上がっていった後、レックとバーバラは早速現地に向かっていった。

 そこで2人を待っていたのは、バーバラに「様」をつけて呼ぶ人達だった。

「えっ?あたしが『様』?どうして??」

 記憶が無いせいで初対面も同然の彼女は、思わぬ言葉遣いに戸惑うばかりだった。

「あの、これは一体どういうことですか?どうしてバーバラのことをそんなにうやまうのですか?」

 状況を理解出来ないレックは、首をかしげながら住人に問いかけた。

 するとそこに車いすに乗った老人の女性が、男性にいすを押される形で姿を現した。

「バーバラ。お帰りなさい。よく無事で帰ってきてくれた。」

「えっ?あたし、あの…。この世界にいた時の記憶が…。あの…、お名前、教えてもらえますか?」

「そうか。それさえも忘れてしまったのか。まあ、良かろう。わしの名はブボール。このカルベローナの長老であり、この地に代々伝わる究極の呪文『マダンテ』の継承者じゃ。」

 ブボールはその後もカルベローナの成り立ちや、大魔女バーバレラが大魔王デスタムーアに対抗するためにマダンテを使用したこと。さらには町が滅ぼされ、住人達が夢の世界で生き残ったことを話してくれた。

「とはいえ、いずれはこの世界にもデスタムーアの魔の手が及ぶ時がやって来る。さらには、わしの寿命もそんなに長くはない。だから、出来るだけ早い時期にバーバラにこのマダンテを継承してほしいと考えておる。どうじゃ?同意してくれるかの?」

「いきなり同意を求められても…。あの…、あたしがその呪文を使うと、どうなるんでしょうか?」

 バーバラの質問を受けて、ブボールはそれがどういうものなのかを話した。

「というわけじゃ。つまり、現時点で持っている全ての魔力を解き放ち、大きなダメージを与えるんじゃ。その代わり、使った後でお前さんの体に何か起きるかもしれんがのう。」

「えっ?何か起きるって?何が?」

「それはわしにも分からん。とにかく、これはいざという時の切り札としてのみ使うと良い。」

「分かりました。」

 バーバラはこの呪文について詳しく理解した後、果たして自分が継承していいのか悩みだした。

 そしてこの場で決断を出せなかったため、この日はカルベローナを後にすることにした。

 

 翌日。バーバラがレックのアドバイスのおかげでようやく決断出来たため、2人は再びカルベローナにやってきて、砂のうつわを使ってブボールの家に入っていった。

「そうか。バーバラはマダンテを継承してくれるかの。」

「はい、決めました。レックも『君が悩むのなら、その悩みを自分にも分けてほしい。』と言っていましたし、自分は一人じゃないんだということをすごく実感しました。あたしとしても、世の中のために役に立ちたいと考えていましたし、継承することにします。」

「分かった。ではバーバラ。こちらに来なさい。」

「はい。」

「それからレック。そなたはマダンテ継承の儀式が終わるまでの間、外で待っていてください。」

「分かりました。」

 彼は出来ることならバーバラと一緒にいたい気持ちだったが、いさぎよく家の外に出ていくことにした。

 

 それからしばらくして、バーバラはマダンテを習得した状態で家から出てきた。

「レック、お待たせ。」

「バーバラ。良かった、元気で。」

「何言ってんのよ。あたしがこんなことでへこたれたりするわけないじゃない。」

「でも、もし君と一緒にいられなくなったらなんて思っちゃって…。」

「もうっ!縁起でもないこと言わないでよ!」

 バーバラは右手でレックの左肩をビシッと叩いた。

「ごめんね。じゃあ、ここで何が売られているか見ていこうか。」

「うんっ!」

 レックとバーバラは仲良く手をつなぐと、町の中を歩き回った。

 その中で、町の人々は自分達が崇拝する少女がデートするような感じで歩く姿を興味深く見つめていた。

 

 バーバラがマダンテを使えるようになったことを知ったミレーユはサンマリーノに行き、キラーマジンガとの戦闘をシミュレーションしてみることにした。

(うーーん。一体であれば勝てるようになったけれど、2体となると話は別ね。とりあえず、相手のHPがこれだけあることと、せいけん突きが有効であることははっきりと分かったけれど…。)

 彼女は出来るだけ被害者を出さずに勝つ方法を模索していたため、頭を悩ませていた。

 そして奥の手とばかりに思い切ったことに挑戦した結果、ようやく2体を倒せる方法を見つけ出した。

(なるほど。こういう手があったのね。それじゃ本番で使わせてもらうことにするわ。)

 彼女は思いついたアイデアをみんなに打ち明けた上で挑んでいくことを決意した。

 

 なお、この時点で7人の熟練度は次の通りになっていた。

(※熟練度2以下の下級職を除く)

レック … 賢者:4

ハッサン … パラディン:2(間もなく3)、盗賊:3

ミレーユ … スーパースター:5、魔法使い:5

バーバラ … バトルマスター:4

チャモロ … 盗賊:8、商人:8、魔物マスター:5

アモス … 盗賊:8、武闘家:7、戦士:5

ターニア … 魔法使い:7(間もなく8)、僧侶:8

 

 翌日。ミレーユは不思議な木の実を3個持った状態でレック、ハッサン、バーバラと合流し、自身が考え出したアイデアを彼らに打ち明けた。

「そういうことなの。この方法ならキラーマジンガ2体に勝てるんじゃないかと思っているんだけれど、どうかしら?」

「でもそんなことをしたら、あたしがすぐにやられてしまうじゃない。」

「確かにそうなるわね。でも、今の私ではこの方法しか思い浮かばないの。バーバラ、お願い。」

 ミレーユが考えた作戦は、自分とレックが少しでもHPを増やすために戦士になる半面、バーバラはMPを増やすために不思議な木の実を食べた上で魔法使いになるというものだった。

「つまりよ、俺達はバーバラの身代わりになってくれっていうことだよな。」

「大丈夫なのかな。あの時みたいに被害者になりたくはないんだけれど。」

「私だって出来るだけそうならないように考えたわ。でも、多少のことは我慢して。」

「でもよ…。」

 ハッサンとレックはなかなか同意をしてくれず、むしろ現地に行くことに反対をしていた。

(やっぱりまだ早かったのかしら。でも、以前キラさんに会った時、「ぜひ自分達を超えていってほしい。」と言っていたし、何としても超えていきたいんだけれど…。)

 ミレーユがその時のことを思い出していると、ふとバーバラが「あたしはやっぱり行ってみたいな。」と言い出した。

「えっ?どうして?」

「あたし、グリンガムさんのムチを使ってみたい。あのものすごい攻撃力が忘れられないし、それに彼女は『アレ2体に勝ったら使ってもいいわよ。』って言っていたから、少しでも早く彼女を超えていくためにも、ぜひ使わせてもらいたいの。」

 一旦は悩んでいた彼女は自分に気合を入れながら、ミレーユの考えに同意してくれた。

「分かった。じゃあ、僕ももう迷わない。君のために協力するよ。」

「レック、いいのかよ。危ねえぞ。絶対に大ダメージをくらうと思うぜ。」

「いいんだ。バーバラのためなら、喜んで盾になる。彼女がバトルマスターの状態でその武器を使えば、間違いなくエースアタッカー級の活躍をしてくれるはずだし、そのためなら喜んで協力する。」

 レックはハッサンから色々言われても、すでに揺るがぬ決意をしていた。

「分かったぜ。じゃあ、俺も協力してやるよ。」

「いいの?ハッサン。」

「ああ。俺だけ逃げ出したりしたら、カッコ悪いからよ。」

 これまで不安を隠せずにいたハッサンだったが、バーバラとレックの決意を目の当たりにして、ついに迷いを振り切った。

「みんな、ありがとう。それじゃ、今からダーマ神殿に行きましょう。」

 ミレーユの提案を受けて4人は早速現地に飛んでいった。

 そしてパラディンのままで挑むことにしたハッサンは、魔法使いに転職するバーバラと、戦士に転職するレックとミレーユを見守った。

(僕達のHPは増えたけれど、MPが大きく減ったから、呪文は節約していこう。)

(バーバラが大きく弱体化した以上、絶対に彼女がやられないようにしないとな。)

(私がこの作戦を考えた以上、私が責任を取るわ。何としても一発で成功させなければ。)

 レック、ハッサン、ミレーユは一時的に控え要員になってしまったバーバラを見ながら気合を入れていた。

 

 現地に到着すると、4人は入口でHPを全回復させた。

 バーバラは戦闘でも移動中でも全く出番が無かった代わりに、MPが最大値の状態をキープしていた。

(ミレーユが言うには、この状態ならマダンテで勝てるはずね。でも、この呪文は魔力をためるのに時間がかかるから、それまで誰かに守ってもらわなければ…。もし大ケガをさせてしまったら本当にごめんね。)

 彼女は自分の行動に全てがかかっているだけに、胃が痛くなるようなプレッシャーを感じていた。

 

 中に入っていくと、そこに待っていたのはキラだった。

「君達、久しぶりだね。ここに来たということは、グリンガムの持っていた装備品を取りにきたということですね?」

レック「はい。そのために、何としてもあなた達を超えていきたいと思います。」

「そのためには、多少のケガは覚悟してもらうが、それでもいいか?」

「はい。どうなるか分かりませんが、きっと乗り越えてみせます。」

「よろしい。では、どちらを手に入れるつもりなのか、選んでください。」

 キラはキラーマジンガとガーディアン一体ずつに勝てば風神の盾が、キラーマジンガ2体に勝てばムチが手に入ることを伝えた。

「それなら後者にするわ。それがあたしの欲しいものだから。」

 バーバラは迷うことなく即答した。

「分かりました。では、私についてきてください。」

 キラが歩き出すと、レック達4人もそれに続いた。

 そして突き当りのところには、修理を終えたキラーマジンガ2体がいた。

「ついにこいつらと再戦の時が来たか。」

「いざ実物を見ると、足がすくみそうだな。」

「シミュレーションでは勝てたわ。後は実戦でうまくいくことを願うだけよ。」

 緊張しているハッサンとレックを、ミレーユは懸命に励ました。

 一方、バーバラはもし自分がダメージを受けたら間違いなく一発でKOになってしまう上に、重大な役割を担っているため、ガタガタと震えていた。

「みなさん、準備はいいですか?」

 キラが忠告をしても4人の頭にはそれが届いておらず、しかもバーバラはフライングをしてマダンテの動作に入ってしまったため、制止されてしまった。

「あっ、ご、ごめんなさい…。あたし…、つい…。」

 彼女は慌てて動作を止め、一旦気持ちを落ち着かせた。

 幸いMPはまだ消費していなかったため、詰んでしまう事態は免れた。

「それでは今度こそ開始します。」

 キラはそう言うと、キラーマジンガを動かすための準備をした。

 それを見て、レック達は事前の打ち合わせに従って、行動に出る準備をした。

「それでは、始め!」

 彼の合図と同時にバーバラは全ての魔力を解き放つ動作に入った。

 

 チャンスは一度。何としてもこのマダンテを成功させなければ…。

 




 この作品ではマンガ版同様、ブボールがバーバラにマダンテを継承した後も生き残る設定になっています。
 僕は作中で登場キャラが死ぬシーンを出来る限り避けたいと思っているため、このようにしてみました。

 以前発表したYou Are There では、カルベローナでのシーンのアイデアが浮かばす、少ししか書けませんでしたが、ようやくまともな形に出来ました。
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