東方短編集   作:文織

1 / 4
いつも通りの紅魔館のお昼過ぎ。
美鈴はいつものごとくお昼寝に勤しんでいました。

本作は最後までネタだけ。


昔はやんちゃしてたんですよ

 皆さんこんにちは、巷では紅魔の完璧な(パーフェクト)門番(ガーディアン)と噂の(ホン)美鈴(メイリン)です。

 今は紅魔館の正門前で門番としての仕事を華麗にこなしています。

 まあ誰も来なくて暇なので昼寝中なのですがね。

 むむっ、くせ者の気配が……

「おおっと、今日の図書館の解放時間は終わりよ、帰った帰った」

「そりゃあんまりじゃないか?12時に来て閉館ってどういうことよ」

 やって来たのは箒に乗って飛んでくる普通の白黒魔法使い、まあ私も普通の門番なんですけどね。

「今はパチュリー様のお昼の時間、今行かせるとパチュリー様怒るんですよ」

「じゃあそれを待ってから行くぜ」

 そう言うと魔理沙さんは箒からおりて勝手に人のティーセットが置かれたテーブルの椅子に座る、そこ私の席なんだけどなぁ……

「待っても行かれたら怒られるんだから帰ってくれないかなぁ?」

「なあなあ、暇だから昔話でも聞かせてくれよ」

「帰ってはくれないんですね……まあいつものことですけど」

 居座るどころか勝手に紅茶を淹れ始めちゃうし、まったく自由と言うかなんと言うか……おかげでパチュリー様が多少外に興味を持ってくれるようになったのでいいんですがね。

「お前も妖怪だったらそれなりに生きてるんだろ? 面白い話のひとつやふたつあるんじゃないの?」

「そんな面白い話ありませんよ~昔はただただ命懸けの喧嘩してただけですし」

「ほうほう?」

 えぇ……そこに食いつくんですか……

「たぶん聞いても面白くないですよ?」

「時間が潰せればなんでもいいわ」

「そうですね……これはまだ私が大陸にいた頃なんですけどね……」

 

 

 

 昔の私はとにかく喧嘩早くて、見つけた妖怪に片っ端から喧嘩売ってたんですよ。

 しかも見よう見まねで身につけた中国拳法が思ったより強くて、並の妖怪程度じゃ相手にならないほどで天狗になってたんですよ。

 あ、もちろん妖怪のじゃないですよ?

 それである時、西の方にえらく強い妖怪がいるって聞いたんですよ。

 ええ、あの頃の私はまさに怖いもの知らずで無謀にもそいつを倒そうと思ってしまいまして……

 その日から私は中国を横断してヨーロッパの方へと向かったんです。

 その道中でも出会う西洋妖怪を千切っては投げ千切っては投げ戦ってたんですがね、まあその話は今は置いておきましょう。

 そのあまりの鬼神っぷりに東の紅龍と呼ばれるほどに……ってなんですかその胡散臭そうな表情は、実際にそう呼ばれてたんですから仕方ないじゃないですか。

 ごほん、えーっと、どこまで話しましたっけ?……あ、そうでしたそうでした。

 で、無事ヨーロッパまでいけたんですが、そこに建っていたのは窓も全部血で染めたように真っ赤な館だったんですよ。

 そうです、まさに紅魔館だったんです。

 今から100年くらい前ですからお嬢様が400歳だった頃ですか。

 いやぁ、お嬢様あの頃から成長してませんねぇ。

 あ、今のお嬢様には内緒にしておいてくださいね、拗ねて夕飯抜きにされちゃうので。

 で、私は早速紅魔館に乗り込んだんです。

 そしたらメイド的な人はいないし、廊下は血で汚れてるしで外見はしっかりしてるし、すごい吸血鬼がいるって聞いてたので余計にびっくりしちゃったんですよね。

 まあそれで逆にワクワクしちゃう私も私なんですが。

 それで奥に進んでいったら微かに女の子の泣き声がしたんです。

 当時の私は人を食べなかったし、何よりまだ幼い子供を食い物にするのが許せなくて奥へかけていって飛び込んだんです。

 え?もうオチが読めた?

 そんなこと言わないで聞いてくださいよ。

 それが部屋に飛び込んだらそこでコウモリみたいな翼生やした女の子が泣いてたんです。

 

 まあお嬢様だったんですけどね。

 

 どうしたものかと困ったんですけど、とりあえず声をかけたんです。

「何かあったのか……?」

 そしたらお嬢様顔あげて、私の方を向いたんですよ。

 そりゃ泣き腫らして真っ赤な目が痛々しくてねえ……しかもお嬢様ってば。

「お父様が……お父様が人間に殺されちゃったの……」

 なんて言うもんだから、なんか戦う気も削がれちゃって、目的も失ってすることもなかったのでお嬢様に許可もらってしばらく住まわせて貰うことにしたんです。

 そしたらお嬢様ってば怖いから一緒に居て欲しいなんて涙目で震えながら言うもんですから当時の私にしては珍しく悶えてしまいまして。

 いやぁ、その時のお嬢様本当にかわいいのなんのって……あ、これ話したこともどうかご内密にお願いしますね。

 で、その日の夜が開けて朝、やっとお嬢様が眠ったんですがね。

 そしたら館の入り口の方から人間達の声がしたんですよ。

 英語だったんで何て言ってるのかはわからなかったんですけどね、でも明確な殺気と怒気が見えたんですよ。

 まあそれでわかったんですよね、お嬢様が怖がっていた理由が。

 いくら今まで酷い目に会わされていたからと言ってもあんな幼い女の子を殺そうとするなんて酷いと思いませんか?

 しかももう親を殺したって言うのに。

 それは妖怪側の言い分だって?

 まあ確かにそうなんですけどね……

 だからと言って私は妥協しませんよ、よってたかってお嬢様を殺すなんて。

 なので私はお嬢様を起こさないようにベッドから抜け出して、部屋の前で門番をすることにしたんですよ。

 今思えばこれが私の初仕事なんですよねぇ…感慨深いです。

 え?襲ってきた人間ですか?

 まあ当て付けに全員殺しちゃっても良かったんですけどね、逆に殺さない程度に生かして介抱までして人里に運び込んだら後日以降人間来なくなったんですよね。

 えげつないですって?

 いいじゃないですか、皆殺しにしたら皆殺しにしたであなた軽蔑するでしょうに、それに自分より弱い人をボコボコにしたって楽しくないじゃないですか。

 で、そしたらお嬢様私にいたくなついてしまいましてね、いっつも私の後ろをついてきてこれがまたかわいいんですよ、これで400歳ってわかったときの衝撃ったら凄かったですね……

 

 まあかわいいからいいんですけどね。

 

 とりあえず私は住まわせてもらうお礼として館全体を掃除するところから始めたんですよ。

 今は咲夜さんがやってくれてますが、これが慣れないとなかなか大変でしてね……お嬢様のご飯も用意しないといけませんでしたし、よくこれだけの業務を一日でこなしてますよ。

 やっと館の掃除が終わったのが一週間後で、そしたら唐突に館の玄関からノックチャイムの音が響いて、また人間かと思ったんですけど、それが違ったんですよ。

 え?また予想できた?

 あなたが話して欲しいと言ったから話してるんですから文句言わないでくださいよ。

 まあ玄関開けたらナイトキャップかぶったもやしっこが立ってたんですよ

 

 まあパチュリー様なんですが。

 

 そしたらその少女が言ったんです。

「レミィはいるかしら?」

 なんでお嬢様のこと知ってるのか疑問だったんですけど、まあこんなもやし一瞬で取り押さえられると思ったので通したんですけど、それがお嬢様と再開したとたんにお互いに抱きついて唖然としましたよ。

 今じゃ想像できないでしょうけど、当時のパチュリー様はまだ本当に子供で、もっと可愛らしかったんですよ?

 呪文間違えて失敗したり、薬の調合間違ったり……あ、これパチュリー様に言わないでくださいね?後でロイヤルフレアの刑が待ってるので。

 その日からですね、唐突に紅魔館が騒がしくなったのは。

 まずはパチュリー様があんの小悪魔を召喚して、当時のパチュリー様ではうまく制御できなくて、ちょくちょくお嬢様にちょっかいだしては私にしばかれてましたね……いや、懐かしいです。

 そしたらそれに誘われるように回りにいた妖精達が集まってきて、だんだんお嬢様が元気を取り戻してきたんでいいんですけどね。

 ちなみに妖精達に掃除させてたので、その頃から私の仕事が門番と料理係りに決まったんですよ。

 そしたら何十年か経った頃ですかね、いきなり幻想郷へいくとか言い始めましてね。

 どうやらパチュリー様から幻想郷のことを聞いたらしくて、まずはその貧弱な妖怪達の国から支配してやるとか言い始めまして……

 まあ私も一応あの館の住人ですから拒否できなかったんですけど、ぶっちゃけその頃には私もだいぶ丸くなってまして、門番より花壇の仕事の方が気に入ってたんですよね。

 え?そうでしょうそうでしょう、これでも毎日きちんと世話を……あ、すいません……って、この話振ったの魔理沙さんじゃないですか。

 まあ、それで紅魔館ごと幻想郷に引っ越してきたんですけど。

 今思うと幻想郷に喧嘩売るなんて馬鹿げてますよねぇ……八雲紫はともかくまさか幽香さんまで出てくるなんて思いませんでしたよ。

 しかも念入りに八雲紫の手で結界まで張られて完全に隔離されちゃったんですよ。

 あの化物二人に結局ボコボコにされてお嬢様またしばらく泣き寝入りしちゃったんですよね。

 まったく成長しないというかなんと言うか……でもカリスマ性って言うのはそういう放っておけないと思わせるようなものもあると思うんですよね。

 

 まあ、普通にしてたらカリスマなんか微塵も感じませんけどね。

 

 それで今から十年ほど前でしたかね、八雲紫が張った結界を乗り越えて一人の少女が入ってきたんですよ。

 最初は刺客かとも思ったんですけど、服はボロ着だけですし、持ち物は銀時計だけだったみたいですし、通したんですけどね。

 

 まあもちろん咲夜さんだったんですけどね。

 

 どうやらバンパイアハンターだったみたいでお嬢様と一戦交えたみたいなんですよね。

 しかもどういうわけかお嬢様咲夜さんのことを気に入ったみたいなんですよね。

 メイドとして雇うことが決まりまして、しかも料理が出来るみたいで、ついに私の仕事が門番だけとなったのです。

 

 

 

「と言うわけで今に至るわけです」

「意外と波瀾万丈な過去を送ってるのね」

「そうなんですよ、と言うわけで今日の解放時間は終了です! ほら帰った帰った」

 ずいぶんと長く話し込んでしまったのか、真上にあった太陽がいつの間にかだいぶ傾いてしまっていた。

「ああー! 門番め謀ったな!」




初めて短編というスタイルで書いてみました。
改めて見直すと酷い内容ですね……
思い付いたときに他のキャラも書いてみようと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。