後輩で遊ぶな山田ぁ!
今日はハロウィンじゃないけど、元スレはハロウィンに建てたんです……。
ハロウィンに突発的に建てて即終わらせた話なので色々おかしい。

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ぼっち「今日はハロウィンだから仮装して登校しなきゃ!」

 10月31日。そう、ハロウィンである。陽キャにとっては大きなイベントなのかもしれないが陰キャには関係ない。ひとりには家に帰ったら仮装した妹にお菓子を強請られる日、位の認識だ。

 だが今年は違う。

『東京の高校ではハロウィンの日に仮装して登校しないと退学』

 昨日、リョウから教えて貰った暗黙のルール。

 そんな常識など一切知らなかったひとりは慌てて仮装の準備をした。

「リョウさんが教えてくれなかったら普通に登校しちゃってたよ」

 ぼそりと独り言を漏らしながら、小さい頃以来の仮装に童心が刺激され、やや浮かれ気味に駅から秀華高校へ続く通学路を歩く。

「あっ! あのピンク髪はひとりちゃんね! ひとりちゃんおは……」

 すると後ろから聞き慣れた声がしたため、振り向いて挨拶を返そうとすると郁代が口をあんぐりと開けて固まっていた。

「あっおっおはようございます。……喜多ちゃん?」

「……ひ、ひとりちゃんなんでトイレットペーパーを体中に巻いてるの????」

「あっミイラの仮装です」

「しかも、もしかしてトイレットペーパーの下、服着て無くない!?」

「あっミイラですからね」

 そう、後藤ひとりの仮装はミイラだったのだ。急造の衣装だった為、トイレットペーパーを体に巻き付けただけの手抜きミイラである。

 痴女デビューしてしまっていることに全く気が付いていないひとりは、唖然とする郁代のいつもの制服ではない服装が目に留まる。

 黒を基調とし、ところどころに赤紫が入ったミニスカートのレースがあしらわれたドレス。肩には裏地が赤の黒マント。首には暗めの赤のチョーカー。そしてつけ耳とつけ牙を郁代は装着していた。

 シルエットは可愛らしく、だが全体的に暗めの色で揃えることによってシックなヴァンパイアを体現している。

「あっ喜多ちゃんは吸血鬼ですか? 牙がカッコいいですね!」

「あ、ありがとう。それよりひとりちゃんその格好で学校行く気!? いくらハロウィンでも駄目よ!」

「えっ、てっ適当すぎましたかね?」

「トイレットペーパーなんてすぐ破けちゃうし濡れたら溶けちゃうからよ!」

「でっでも沢山巻いてきたし、防水スプレーもかけてきましたよ?」

「あらそうなの? なら安心ね!」

 不安事項が取り除けた郁代は納得し、2人はそのまま学校へと向かった。

 

 

***

 

 

「あれ……?」

「な、なんでみんな仮装していないの……?」

 正門の前で立ち止まる2人。眼前にはいつも通り制服に身を包んだ生徒たちが、痴女とヴァンパイアにちらちらと視線をやりながら通り過ぎてゆく光景が。

「も、もしかして日付を間違えましたかね??」

「スマホに10/31って書いてあるから間違いなさそうよ……」

「ももっもしかして、昨日のリョウさんの話は……う、嘘だったとか?」

「は、ははは、リョウ先輩がそんな嘘なんかつくわけ……ない、わよね……?」

 だがそうとしか思えない。青ざめた顔を見合わせて震える郁代とひとり。

 その時、突然雨が降り出した。

「きゃー! メイクが崩れちゃう!!」

「あわわ、いっ急いで校内に行きましょう!」

 一旦目の前の問題は置いておき、2人は校内へと駆け出す。

 人の出入りが多い下駄箱では目立つため、いつもの階段下の謎スペースへそそくさと移動した。

「メイクは無事だったけどちょっと髪型が崩れちゃったわ」

 折角時間をかけてセットした髪が雨に濡れてしまい、郁代はややしょんぼりとする。

「あっ私は防水スプレーが雨を弾いてくれました! きっ喜多ちゃんも今度使ってみたらどうですか?」

「多分人体にかけるのは良くないと思う」

 流石防水スプレー……! と、感動するひとりの勧めをバッサリ断る。

「それよりひとりちゃん、私たち以外何故か仮装をしていない問題についてどう思う?」

「は、恥ずかしいなって思ってます」

「そうだけどそうじゃないわよ!」

 ぽっ、と頬を赤らめて可愛らしくいうひとり。だが問題の解決手段を話したいのであって感想を求めているわけではない。

「あっやっぱりリョウさんの嘘だったんじゃないですか?」

「信じたくないけどそうとしか考えられないわよね……。先生に怒られたくないし、着替えましょうか」

「えっわ、私着替え持ってきてないです」

「えっじゃあ駅で着替えて来たとかじゃなくて、家からずっとその格好なの!?」

「あっはい」

「そ、そう。それならそのまま授業を受けるしかないわね……」

「うぅ、どうか誰にも気づかれませんように……」

「流石に無理じゃない?」

 結局、クラスメイトにちらちらと見られるも、誰からも突っ込まれなかった。

 教師すらひとりの格好に少しぎょっとしたものの、特に注意することなく授業は進む。

(そういえばひとりちゃんって普段から制服着てなかったし、今更なのかしら?)

 秀華高校の寛容さに感心する郁代だった。

 

 

***

 

 

放課後、着替えた郁代と全裸トイレットペーパー女後藤ひとりはスターリーの扉を開ける。

「おはようございまーす!」

「おっおはようございます」

「おはy──ってぼっちちゃんどうした!?」

 ひとりの妙ちきりんな格好にすかさず虹夏が反応する。

「あっミイラの仮装です」

「伊地知先輩は──シラス丼の着ぐるみ!?」

「あっえっと、お、美味しそうですね!」

「でしょ!? 今日ハロウィンだし頑張って作ったんだ~!」

 シラス丼の着ぐるみから手足と頭だけ出した状態の虹夏はひとりに褒められ、えへへ、と頬を掻きながら喜ぶ。

「ってそうじゃない! ぼっちちゃんその格好で店まで来たの!? どうして喜多ちゃん止めてあげなかったのさ!!」

「だってひとりちゃん、着替え持ってきてなかったんですよ」

「どういうこと!?」

 郁代が今日の経緯を説明すると、虹夏は血相を変えた。

「山田ぁぁぁ!!!!!!」

「あっ! にっ虹夏ちゃんデッキブラシは人を殴るためのものではなく掃除用具ですよ!」

「流石にリョウ先輩が死んじゃいます!」

 バイオレンスを回避すべく、ひとりと郁代は虹夏を必死に止めようとする。だが、何も知らないリョウは別室からひょっこりと呑気に顔を出した。

「呼んだ?」

「あっリョウさん逃げて!!」

「え?」

 

 

***

 

 

 一頻りリョウをシバいた虹夏は、目の前の惨劇に震えることしかできずにいたひとりと郁代の方を振り返る。

「さて、ぼっちちゃん」

「あっはい!」

「仮装して登校しちゃったのはそこのクズのせいだけど、どうして全裸の上からトイレットペーパー巻いちゃったの……?」

「あっミイラだからです」

「伊地知先輩、ひとりちゃんはちゃんと防水スプレーかけてきてるから大丈夫ですよ?」

「防水スプレーをかけてようがトイレットペーパーの耐久力の無さは変わらなくない!?」

「でっでも雨にも耐えましたよ?」

「凄いわよねー!」

「その防水スプレーへの信頼はなんなの??」

 虹夏が後藤ひとり痴女ミイラ事件の事情聴取を進めていると、折檻されたダメージで床に転がっていたリョウが、回復したのかむくりと身を起こす。

「いてて……。お? ぼっち凄い格好してるね。写真撮って良い?」

「お仕置が足りなかったかな?」

 虹夏がひとりを守るべくデッキブラシを手に取るも、ひとりはいつもなら嫌がるのに今日はにやにやと笑みを浮かべてピースをしていた。

「あっへへ、カッコよく撮ってくださいね」

「任せて」

 ピースに続いて奇怪なポーズを次々と披露するひとりをリョウはカメラに収める。

(後で店長に売ろう)

 ひとりが嫌がっていないならばいいか、と虹夏はデッキブラシを戻す。

「ぼっちちゃんミイラコス気に入ってたんだ……」

「ひとりちゃんが写真を嫌がらないなんて珍しいわね。なら私も着替えてくるから一緒に撮りましょう!」

「あっそれじゃあ折角なので皆で撮りませんか?」

「いいわね!」

「私も良いけど、リョウは衣装用意してきたの?」

「勿論。仮装するだけでお菓子が貰えるからね」

 リョウはそう言うとスカートのポケットから狼の耳を模したカチューシャと尻尾を取り出し、装着した。

「耳と尻尾つけただけかい!」

「牙もあるよ」

「リョウ先輩素敵!」

「あっカッコいいですね!」

 結果、制服に狼耳と尻尾のリョウ・ヴァンパイア郁代・シラス丼の着ぐるみ虹夏・全裸トイペ痴女ひとりの集合写真が誕生。

 その後ひとりの部屋中に張り付けられた為、後藤家で家族会議が勃発した。




https://bbs.animanch.com/board/2579653/
あにまん掲示板で建てたダイススレ↑を改稿したものです。
元は台本形式でしたが、三人称視点の小説にしました。
ノリの良いあにまん民のコメントが多く結構気に入ってるスレなので良かったら元スレも見てね!

ぼっちのこの仮装、他にもR18で書いたやつがあるからそのうち改稿終わったら載せます。
(「虹夏と喜多が男の結束バンド」スレで書いたやつ)
実はそれが人生初の台本形式じゃない二次創作なんだ。やばいね。

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