ばぁどばぁど、あんらっく   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

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 セイアの服装、頭イカれてて好き。




息抜きも仕事の内

 

 

 

 さむい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   さむい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     さむい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 助けて欲しかった。

 ただ、この苦しみから抜け出そうと藻掻いた。

 

 底なしの絶望に、抗いたかったから。

 

 

 

「…ばぁど、ばぁど……あんらっく…、…認めてなんて、やるものですか…」

 

 

 どれだけそう思っても、身体がもう動かない。

 冷え切った身体を他所に、心だけが熱を持っている。

 

 

 

 

 

 足音が聞こえる。

 離れなければ、ここから立ち去らなければ、逃げなければ。

 

 ここまで来る間に、いくつか学んだ事がある。

 その最たるものとして、人はわたしを襲うという事。何も持たないわたしは、おそらく都合の良い獲物なのだろう。反撃の心配が無い弱者ほど、楽に狩れると言うものだから。

 

 早く、立ち上がらなければいけないのに…力が入らない。

 

 イヤだ、認めたくない。

 こんな所で終わりたくない。

 

 

 

 

 …なのに、さむくて…動けなくて……

 

 

 なんて、情けない最期なのだろう………

 

 

 

 

 

 

 

 

「妙な胸騒ぎを覚えて来たのだけど…君、助けて欲しいのかい?」

 

…いら、ない……ふこうじゃ、…ない…から…

 

「ふむ…いや、流石に無視は出来ないぞ?」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 目が覚めた時は、真っ白で柔らかいベッドの上でした。

 

 大きくはないけれど、窮屈には感じない広さの部屋。わたしが寝かされていたベッドの他に、小さなテーブルやイスのセット、傍らには何も映っていないモニターがありました。

 当時は知りませんでしたが、病室と言う部屋です。

 

 起き上がり、隠される様に取り付けられた小さな窓から空を眺めていました。なぜなら、捕まってしまったと思ったからです。もうどうする事も出来ないので、大人しく受け入れるしかありません。抵抗する気力も無くなりましたし。

 

 

「ッ!」

 

 

 部屋の外から足音が聞こえました。おそらく3つ、こちらに近付いてきています。

 束の間の休息もここまでかと少し落胆し、これから起こるであろう苦痛に耐えられるように身構えました。

 

 

「やはり起きていたようだ。ほら、私の言った通りだっただろう?」

 

「あら、本当ですね」

 

 

 開いた扉から2人分の声が聞こえてきます。

 

 え、もう1人ですか?

 青い軌跡を残してわたしを抱え上げ、あっという間にベッドに寝かされました。目にも止まらぬ早業、わたしは見逃しました。

 

 

「貴女は要救護者です。良いと言われるまでは、あまり動かないで下さい」

 

 

 と、言われてしまいました。

 

 救護とか言われても、既に身体は直っています。それよりも、ここが何処なのかが気になります。

 わたしにとって安全な場所である事を祈るばかりです。せめて、与えられるモノが痛みだけであるようにと。それなら耐えられる筈ですから。

 

 不安が顔に出ていたのか、青い羽のある方の話は続きます。

 

 

「申し遅れました。私は蒼森ミネ、救護騎士団の団長をしています。あちらの2人からの要請で、貴女を救護しに来ました。」

 

 

 だからなんだ、と思って聞いていました。

 だって、別に頼んでないので。

 

 

「それで、わたしは何をすればいいの?」

 

 

 どうせ実験とかでしょうし、さっさと始めましょう。いちいち話が長かったり回りくどかったりと、その上イヤな事ばかりを強要してくるので研究者は嫌いです。覚悟が出来ている内に、自分から乗り込んだ方が苦痛は少ないんですよ。

 

 

「健康になって下さい。それでは状態を確認します、怪我の場所を教えてください」

 

「自己修復により怪我は直りました。また、身体の情報密度を下げる事で活動維持に必要なエネルギーを獲得しました。一般に言われる健康状態と相違ないでしょう」

 

「…診察をします」

 

 

 まるで割れ物を扱うかのように触れられ、身体を調べられました。優しくされるのは初めてです、なんだかむず痒い思いをしていました。

 まあすぐに困った事になりましたけど。

 

 診察を終え、その結果を聞きました。

 

 

「外傷は無く、意識もはっきりとしています。記憶の混濁と思われる症状こそありますが、日常生活に支障はないでしょう」

 

「そうかい?それは良かった」

 

「しかし、まるで作られたかのように一定の値を…彼女は何者ですか?」

 

「さぁ?」

 

「…ハナコさん」

 

「私は何も知らないですよ♡」

 

「…なるほど……なるほど?」

 

 

 そうして、6つの瞳が私に向けられました。

 何を求められているのか分からなかったので、とりあえず目線の先。つまりは振り返って背後の確認をしました。

 

 

「いや、君の事だ。まずはそうだな…君が倒れていた理由から聞かせてもらえるかい?」

 

「分かりました」

 

 

 聞かれるがままに答えていきます。

 隠したり嘘を吐いても良い事などありませんし、本当の事を話します。そもそも偽ったところで、バレた時の仕打ちを思えばリスクは抱えたくありません。

 

 

「──…つまり君は行く宛もなく彷徨い、襲い来る暴漢から逃げ続けながら『安らぎ』を求めていたと。ついでに、長くても残り数週間で死ぬ。そう言いたいのかい?」

 

「はい。訂正するのなら、わたしに訪れるのは『死』ではなく、ただの機能停止です。活動限界が近いので」

 

「君は、死にたいのかい?」

 

「いいえ。そんな風に見えますか?」

 

「ッッ!こうしてはいられません!準備してきます!!」

 

 

 1人、走って行きました。

 いったいなんの準備をするのやら、とりあえず放っておくことにしました。

 

 

「…その割には、ずいぶんと余裕がありそうですね。ナニか延命する方法を知っているのでしょうか?」

 

「密度の高い情報媒体を吸収するか、普通に食事を摂れば解決します」

 

「今すぐ食事を用意させよう」

 

 

 なんと、それはとても助かります。

 感謝を伝えると、2人に眠るようにと言われました。拒否する理由もないので、大人しく眠るとします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寝ちゃいましたね」

 

「平静を装った所で、疲労は溜まっていたのだろう。今は休ませようじゃないか」

 

「詳しくは後日、ですか」

 

「…クク、『才女』様はずいぶんと心配性のようだ」

 

「まあまあ、『大天使』様もお優しい事で」

 

「すまない、この話は止めにしよう」

 

「あら、もう少し遊んでも良かったんですよ?」

 

「止めよう。本当に、止めよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ───…と言う経緯で、セイア様に拾われました」

 

 

 

 なんとなく、話しの流れで語ってしまいました。

 まあ別に隠してはいませんし、桐藤様になら話しても問題はないでしょう。

 でもせっかくのティータイムですし、もう少し楽しい話しがしたいですね。

 

 セイア様も聖園様も今はいないので、桐藤様と2人きりです。呼べは人は来ますが、呼ばれて来たのがわたしです。お仕事の休憩に、話し相手が欲しかったそうですよ。

 

 …確かにわたしは政治的権限は持ち合わせておりませんし、干渉したいとも思ってはいません。ですが一応、サンクトゥスの派閥なのですが……

 まあ、本当に一応ですけどね。

 

 何故かフィリウス分派やパネル分派の方達からもお仕事を頼まれていますので。皆さん、やたらと頭を撫でたりお菓子をくれたりするんですよ。わたし、生きている年数だけならかなり年上なのですが…身長だって、別に低い訳ではありません。だから、背伸びしてまで頭を撫でようとするのは何故でしょうか?

 

 

 

「なるほど…嫌な事思い出させてしまいましたね、申し訳ありません」

 

「いえ、問題ありません。これも大切な思い出ですから。…それよりも、このケーキ美味しいですね。桐藤様の手作りですか?」

 

「ええ、今日の為に用意した物です。お気に召した様でなによりです」

 

「呼んで頂ければお手伝いしたのですが…と言うか、次は呼んで下さい。一緒に作りたいです」

 

「ふふっ。次はご一緒しましょう。ですがあまり貴女を独占していると、セイアさんに怒られてしまいますね」

 

「セイア様が怒った所で、プリプリして小言が増えるだけです。桐藤様と一緒に過す時間の方が大切です」

 

「それは、まあ……!」

 

 

 あ、セイア様が帰って来ました。

 パタパタと小さな羽を羽ばたかせて、白い大福が飛んで来ました。

 

 

「全く…誰が主人か、もう一度言って聞かせるべきかな?」

 

「おかえりなさいませ、エガさん」

 

 

 空飛ぶ大福の正体は、セイア様の分身であるシマエナガさんです。わたしは勝手に、エガさんと呼んでいます。何故か嫌そうに髪の毛を引っ張られるんですよね。

 そう簡単には抜けませんよ、この前毛根を強化したので。

 

 

「全く君は自由と言うかなんと言うか……まて、なんだい?そのエガさんとやらは!?」

 

「この子の名前です。勝手に呼んでます。何故か嫌がられていますが。ダメならもう、げろしゃぶにするしか…」

 

「可哀想に…センスと言うものが欠落しているようだ」

 

 

 今日もセイア様は元気でした。

 

 桐藤様は優しいので大好きです。今度は一緒にお菓子を作る約束をしました。帰ったら練習しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 あの格好、羽持ってる子の奴だろ絶対…肩甲骨当たりから羽生やしてないと露出狂だよ。獣耳っ子が着るものじゃないってそれ、あの体型じゃなきゃ規制がかかるだろ。良いぞもっとやれ。
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