ばぁどばぁど、あんらっく   作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ

2 / 15
ブルアカ要素…どこ? 2/3



あの場所の思い出

 

 

 

 

 

 

 無機質な部屋。白い照明。乾いた足音。光を反射した刃物が、銀色の軌跡を描いて振り降ろされました。

 

 飛び散る鮮血が自分の物だと気付いた時には、燃えるような痛みが、焼き付けるような苦しみが、全身をのた打ち回り口から迫り上がる様な感覚でした。

 

 

 いったい、わたしがなにをしたのでしょうか?

 わかりません。ですがきっと、わたしがいけないのでしょう。

 

 だって、わたしは《出来損ない》なのですから。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 冷たい床。無数の機械。痛む頭。在りし日の家族達が、一斉に銃口を向けました。

 

 あの感情が悲しみだと、当時は知る事がありませんでした。思考は単純でした。死にたくないと、消えたくないと一心不乱に。まだ、倒れてはいけないと自分に言い聞かせて。

 

 

 わたしは《出来損ない》です。ごめんなさい。ごめんなさい。こんなによくしてもらったのに《出来損ない》でごめんなさい。

 

 だから、いつか生まれる家族のために、せいいっぱいがんばるからね。

 

 

 


 

 

 

 

 

 揺れる水面。見えない鎖。微睡む意識。霞む視界の先では薬品が流れ、管を通ってわたしに向かっていました。

 

 今となっては、それが何かは分かりません。言われるがままに投与される薬によって、わたしの五感は少しずつおかしくなっていました。鋭くなったり、鈍くなったり、見えない物が見える日や、記憶が消える日。

 

 そんな事が当たり前に感じられるぐらいには、わたしは長く使われていました。いつ壊れても、惜しくないのでしょうから。

 

 

 しにたくない。きえたくない。わたしはだれですか?わたしはなんなのですか?わたしはひとですか?わたしはきかいですか?わたしはいま生きていますか?わたしはいま死んでいますか?どうして、くるしいのですか?

 

 わたしは、死にたくありません

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 開かない扉。捻じ曲げられた机。分解された時計。廃棄処分を待つ日々を、退屈に待つだけの日常でした。

 

 悲しみも苦しみも、絶望すらもありません。役割は果たしたのですから。きっと、新しい家族の役に立っているに違いありません。

 

 この頃になると、結構自我が安定してきていました。まあそうですね、今のわたしに近い性格…でしょうか。そんな感じです。

 

 あいも変わらず《出来損ない》ではありますが、試作機としては上々ではないでしょうか。

 

 

 けれどあぁどうか、一目で良いから、新しい家族の顔を見てみたい。

 

 

 

 

 

 


 

 

 崩れた壁。錆び付いた椅子。破れた毛布。いつからか朽ち果てていたこの部屋に、光が差し込みました。

 

 それはとても暖かで、優しくて、誘われる様にわたしを外へ連れ出しました。外の世界は鮮やかで眩しくて、思わず目を伏せてしまいました。

 

 

 その日、初めて太陽を見ました。

 

 その日、初めて風を感じました。

 

 

 

 

 

 

 ……その日、初めて…人に撃たれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公の名前が決まらない…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。