もう言い訳は必要ない。なんならもう王サガでやってる...
それなのにさぁ!まだお気に入り940件あるんだよ!?
みんな俺の何億倍心の器広いのさぁ!?
てなわけで完成しました。
ルシエド作品から学習しようとしても相変わらずへたっぴですが...
それでも読んでくれるなら最高です!
アマゾンシグマ。
それは、原作の仮面ライダーアマゾンズに登場する敵キャラ。
Season1で屈指の強さと人気を誇り、
その腕前は主人公であるアマゾンオメガとアルファ、
更にはアマゾン駆逐を目的とした駆除班をもってでもしないと倒せなかった程である。
...と、ここまでが原作でのシグマの経歴だ。
にわかの俺でもここまでは知っている。
もう一度言う、こいつは原作で倒された。
というか、腹を貫かれて殺された。
―――だったら、こいつは何だ?
今目の前に佇む、こいつはあの
まさかとは言うけど、原作のが死んで生き返った...?
そんなバカな、俺なんじゃあるまいし。
でも転生者以外考えられないだろこれ...
以前として紫色の瞳を光らせ、怪物がこちらへと歩みよる。
やべえって、体動かねぇって。
それでいてなんか死にそうっていう実感湧かないって。
ガチで危機感持った方がいいと思う、俺。(某メンズコーチ)
そもそも俺よりも戦闘力高いタカヤマサンダーとかが戦っても苦戦する相手ぞ?
そんな奴とタイマンで戦うなんて...
Q.へなちょこなお前に出来ますか?
A. 出 来 る わ け な か ら ぁ っ !(迫真)
待ってお慈悲を!どうかお慈悲を!
いくら何でも初のライダー戦がシグマとか終わってますやん!
こっちはノイズのチュートリアル数ヶ月続けてたようなものなのに!?
いきなり中ボスレベル出してくんなや!
とは言うけど実力ラスボスレベルだけど!(尚裏ボスは野座間製薬)
あのなぁ...初心者に優しくないゲームはいつの時代だってオワコン化してゆ...
「大人しくしてれば良かったものを...」
その時、俺の耳元でそんな囁くような声が響いた。
あれ?待って、いつの間にそんな距離に...?
「ちょ…」
その間合いは、流石に...!
「まぁとりあえず、ねんねしててくださいね。」
その言葉と共に、腹部に凄まじい衝撃が走る。
しかも更に、さっきと全く同じ位置。
もはや機械の所業と言ってもおかしくは無かった。
再び視界が瞬く間に移り変わり、地面と激突する。
一瞬、死んだかとまで思った。
だがこうして生きてる。真面目に死にかけだけど。
体感だけだが、今のでも相当の血が出た気がする。
駄目だ、ここから立て直すビジョンが浮かばねぇ。
ただでさえ、さっきの不意打ちのアドバンテージがあるのに。
それに加えてこのコンボは...さてはオメー無慈悲だな?(今更過ぎる)
ピンチすぎてもはや考えることもめんどくさくなってきたこの状況。
何が5手で詰むだよ、こっちは一発で死にかけなんだが?(絶望)
このまま立て続けにもう一発入れられたら終わる。本気で終わる。
...だがおかしい。一向に、止めの一撃が来ない。
おっとぉ...?ここで相手のお慈悲君が死者蘇生してきたか?
油断大敵。こないだの金ぴか錬金術師にも言った気がする。
ならばこの好機を逃してなるものか。アマゾンの回復力を舐めんじゃなぇ!
ここで正々堂々戦ってやろうじゃないの!
さぁシグマさんよぉ...俺が本場(現場経験たったの3ヶ月)ってやつを見せてやるよ。
うぉぉぉぉぉぉ!デッカーダイナミックタイプ初登場ばりの咆哮と起き上がり!
さっきはよくも卑怯な真似してくれたな!
すっかり忘れてたがこっちは
推しの力!推しへの想い!(一方的)
これさえ揃えば1人で1億人前ってところ見せてやるぜ!
さぁ覚悟しやがれクソアマゾォォォォォォン!
そうして静流は、怪物へと向き直った。
推しパワーとかいうトンチキで(白目)
だが振り向いた先にあったのは...
こちらに背を向け、既にあの怪物へと歩み始めていたシグマだった。
「......」
ここであえて言おう。
今のカッコつけた痛いセリフは、ただひたすらに無駄だったのだ。
アァァァァァァァァ!!!
テメェコラァ!勝手に向こうの怪物にかまけんなや!
おかげでカッコつけた俺がバカみたいじゃないですかぁ!(字数がもったいない)
いいぞ?てめぇがそんな舐め腐った態度取り続けるんならこっちだってそれなりの報い受けさせてやるよ!
うぉぉぉぉぉ喰らえぇぇぇぇアマゾンパーンチ!
相手の意表をついた、後ろからの奇襲。
静流から見れば、それは最も効率的で、効果的な選択。
...静流から見れば、だが。
その直後、振り返ったシグマと共にその拳が静流に直撃した。
非の打ち所のない、例えれば仮面ライダーカブトのごとき完璧なカウンター。
「ッ!?...」
心の中でリアクションを取る余裕すら無く、ニューオメガの体が直線上に吹き飛ぶ。
さらにはその先に、港に積まれていたコンテナ。
わずか40mにも満たないそんな距離で、素人の静流が体勢を整えられる訳もなく...
流れるままにぶつかった衝撃と共に、ニューオメガは崩れ落ちるコンテナの下敷きとなった。
一瞬。本当に一瞬である。
あの一連の流れを見届けていた装者たちは、文字通り身を震わせていた。
突如として現れたニューオメガと、それに似たまた別の怪物。
さらにはその怪物が聖遺物すら超える力を持つニューオメガを、軽く圧倒して見せた。
これに恐怖しないなど、出来るであろうか。
クリスがボウガンを向け、翼が剣を構える。
だが両者共構えはしたものの、動こうとはしない。
否、動けない。
あのニューオメガの動きに対して即座に行動できるような怪物に、行き当たりの攻撃ができようか。
下手な手を打てば、死ぬ可能性もある。
ニューオメガの強さは、一度戦った為に嫌と言うほど思い知らされた。
あの戦いからまだ数日しか経っていない現状で、ニューオメガを超えるのは―――はっきり言って不可能だ。
怪物と装者の、終わりなき睨み合いが続く。
だが睨んでいるのは翼たちの一方だけで、怪物の方はそんなこと気にも留める事なく歩みを続けている。
そして、思わずクリスが後ずさった時―――
2人は、とても重要な見落としに気づいた。
切歌の背後に忍び寄っている、オオカミアマゾンを忘れていたことに。
「...え?」
「ッ!?」
「しまった!」
「「切歌(ちゃん)!」」
切歌自身ですら、ニューオメガとの戦いに釘付けになっていた。
そのために、ここまで気づくのに遅れた。
2人(?)の距離、わずか1m。
「きりちゃ...」
調が手を伸ばす。
だが、届かない。
真横に、その側にいるのに、何もできない。
ギアは起動できていない。
割って入れたとしても、シンフォギアを押し返す怪物を纏ってもいない状況で止めるのは不可能だ。
緒川たちと少し離れた響とマリアはギアを急いで纏うが、到底間に合いそうではない。
何ならもうすでに、オオカミアマゾンは腕を振り上げている。
しまった、と全員が動き出したのはもう時すでに遅し。
瞬く間に鋭い鉤爪が、切歌の顔面めがけてぶつかろうとしたのを―――
なんと、横から入ってあの怪物が止めた。
「グギィャ...!?」
獣のような声で、オオカミアマゾンが動揺を露わにする。
そして怪物が片手で掴んだ腕が、ミシミシと何か不気味な音を立て始めた。
「ギィャャャャャャ!」
困惑の声は、一瞬にして悲鳴へと変わった。
右腕の関節が、あらぬ方向へと曲がっている。
その腕を抱え込み、アマゾンは膝から崩れ落ちた。
「切ちゃん!」
すぐさま腰を抜かしていた切歌へと、調が駆け寄る。
「止めてもらえますかね。無闇にことを大きく広げてもらうと困ります。」
そこで喋った。怪物が人の言葉を喋った。
再び装者達に、激震が走る。
「あなた一体何...?人間なの!?」
そこで、マリアが叫んだ。
応じるように、ゆっくりと怪物が振り向く。
「人間...?そう言われるのは心外ですね。
立場をわきまえてください。」
帰ってきた言葉に、また装者たちの疑問は積み重なる。
「やはり、ニューオメガと同じ人外の類か。」
「ちょっと待って下さい、ことを広げるって...」
「言葉の通りですよ。貴方達は所詮私達の...おっと。」
響の言葉に反応し、怪物が何かを言おうとする。
しかしその途中で、突然言葉は止まった。
「言えない事情があるなら、とっ捕まえて話させた方が得策だな。」
「できますかね。ニューオメガごとき倒せない貴方達に。」
「言ってくれるじゃねぇか...!」
クリスの言葉にも動じる気配すらなく、怪物は体の向きを装者たちへと戻す。
そこで一撃。
構えたイチイバルのボウガンから、1発の矢が放たれる。
「怖いですねぇ。そんな顔して。」
しかし、躱された。それも首を傾けただけで。
続いて2発目、3発といくが、それもまた同じ結果。
必要最低限の動きで、クリスの攻撃がいとも簡単に無駄打ちとなる。
「てんめぇ...」
そこでクリスも1歩、2歩とバックステップを見せて構えに入った。
直後、ギアの腰部分が展開し巨大なミサイルが2発放たれる。
「......」
だがそれに対して、怪物は怯えることもなく―――
片方のミサイルを腕のカッターで両断した。
残骸が飛び、その背後で爆発が起こる。
「ヘッ。」
しかしクリスは逆に...微笑んだ。
「...?」
怪物が訝しむような仕草を見せる。
だが思考を遮るように、すぐさま迫るもう一発目。
それに対しても、怪物はまた切り裂こうと腕を振ろうとして...
ミサイルはその手前で着弾した。
「!?」
怪物...シグマは、ここに来て初めて不意を突かれた。
周囲は辺り一面爆煙。視界は完全に塞がれた。
そしてその後ろから、迫りくる気配。
「!」
避けようとはした。
だがその前に、体は蛇腹状の剣に縛られていた。
直後、真上から叫びと共に拳が振り下ろさせる。
「ハアッ!」
響のガングニールの一撃。
喰らえば一溜まりもないことなど、"彼"はとっくに把握はしていた。
しかしそれを、シグマは体を捻らせ跳び上がることによって何とか躱す。
脚の銀色の表皮が火花を放って、ギアの先端を掠めた。
「まずは1!」
シグマが叫ぶ。
それと同時に、自身を縛り付ける剣の元を辿って、煙越しにマリアの位置を特定した。
「来た!」
急いで剣を引っ込めてくれたおかげで、シグマは動きが取れるようになる。
パンチの構えを見せて、煙からその姿が現れ出た。
だがそれは、その横で待ち構えていた翼にとってはまさしく好機。
「もらった!」
天羽々斬が振るう、刀の一閃。
シグマは構えを崩し眼前に腕を構えてガードして見せるが、勢い余るままに吹き飛ばされる。
だがその先に...港のガントリークレーンがあった。
「...続いて2。」
怪物は突然と冷静になり、今度は呟く。
迫り来るクレーンの鉄骨は、“足場“とするのには最適だった。
そして怪物はクレーンを蹴りーーー跳ね返ってきた。
反動でクレーンが傾き、倒れてゆく。
「危ない、翼!」
いち早く気づいたマリアが庇うように立ち、短剣を両手に構える。
だが翼の攻撃を押しのけるシグマの脚力が合わさった体当たりは、想像を絶していた。
「きゃあぁぁぁぁぁッ!」
瞬く間に、アガートラームの鎧が粉砕されてゆく。
マリアは弾き飛ばされ、コアを残してギアも解除された。
「マリアさん!」
腕から血を流し倒れたマリアへと、まず最も近い響が。
「「マリア!」」
続いて調と切歌が駆け寄る。
だがその隙を狙って、シグマは3人へと近づき始めていた。
「立花!」
翼が叫び、シグマへの後ろからの奇襲を図る。
クリスも言わずもがなと傍からガトリングを展開し、翼の援護を試みた。
「...3、かな。」
しかし銃撃は、数発掠めはするもののほとんどが躱される。
援護射撃が意味をなさないまま、後ろからの近接攻撃。
駆け寄った勢いでもう退くことはできない。
先程同じ流れを見た翼からすれば、どうなるのかはわかっていた。
繰り出される、カウンターの一撃。今度は蹴りで。
「ガッ...!」
それが翼の、腹に直撃した。
地面に叩きつけられ、間もなくギアは解除される。
「先輩!」
翼の方を向き叫ぶクリス。
その隙を、シグマは見逃さなかった。
進み続けるかと思いきや、地面を蹴り上げ突如クリスの方へと飛んでゆく。
「あっ...」
脚の鋭い刃を立てた、かかと落とし。
それが、クリスの頭上へと迫っていた。
「4」
「殺った」とシグマは確信していた。
その後ろで、高まりつつある2つの気配に気づかなかったから。
―Zeios igalima raizen tron―
―Various shul shagana tron―
2つの歌が聞こえ、シグマの動きが止まった。
直後、視界の隅から突如として緑の大鎌が現れる。
「!」
全身凶器と言ってもいいシグマの脚と、鎌の刃先が鍔迫り合った。
「獄鎌、イガリマか。」
最初はどう防がれようがシンフォギアなら押し返せると、シグマは思い込んでいた。
だが、それは所詮"思い込み"。
イガリマの鎌は、その範疇を超え予想外の出力を叩き出した。
「なっ...!?」
吹き飛ばされる。ここで初めて、シグマは押し返された。
後ろから来る響の一撃を避けつつ地面に着地すると、その体はふらつき、膝から崩れ落ちる。
「ッ!...回避で5か。」
ペースを完全に崩され、その息遣いはほんの少しだが乱れていた。
右手を地面につき体を支えながら、シグマが前を見上げる。
そこには、神の使いし2つの刃を構えた2人が居た。
「......ゼェ...」
「ハァ...ハァ......」
息遣いは少し荒い。
そして何しろ、目がおかしい。
これはなんだろうか―――殺気だ。
自問自答して、すぐさま"彼"は答えを出した。
仮面の下で何も見えていなかったニューオメガとは違う点。
あの瞳には『覚悟』がある。
いつでもお前を倒すぞと。
家族を、仲間を傷つけるのならと。
それはデータで見たことのなかった、装者の目だった。
普段の彼女たちはあんな目つきをしない。
だがその昔...一部S.O.N.G.の敵だった頃の彼女たちが近い例だった。
面倒になったと、心の中でシグマはため息をつく。
もっとも、あの戦いが手抜きでなければの話だが。
血が繋がっていなかろうがほとんど"家族"に怪我をさせたのだ。
まさしく彼の母の言っていた..."愛"。
これが人間かと、少しシグマの学びが少し増えた。
「イチイバルよりまずはザババの双刃か...来い。」
手招きをして、シグマが構えを取り立ち上がる。
「もちろん...」
「やってやるデス!」
切歌と調が、その挑戦に受けて立った。
まず初めに、二手に分かれてシグマを挟むように移動する。
次に調がシュルシャガナから小型鋸を射出、擬似的に弾幕を張った。
それによりシグマは、一方からの防御を余儀なくされる。
そこで切歌が、背後から鎌の斬撃を振り下ろした。
――が、ノールックの蹴りで相殺される。
「デス!?」
同じタイミングで、鋸の嵐が止む。
手が空いたシグマは、真っ先に切歌へと向かった。
カウンターを試みて、切歌は鎌を横に構え独楽のように回る。
だがシグマはそれに驚くこともなく、腕の刃を振るった。
「きゃあっ!」
打ち消すどころか、切歌が吹き飛ばされる。
「切ちゃん!」
心配の声を漏らすも、調がその隙を逃さずに大鋸を振りかざす。
しかし、それも跳び上がって躱される。
シグマが、再び切歌へと向かう。
そして―――切歌の後ろから現れた、響の拳がシグマに叩きつけられた。
「ッ!」
シグマの予測は、狂い始めていた。
ニューオメガはいとも簡単に倒せたはずなのに。
なのにそれに敵わない、装者たちに押されている現実が理解できなかった。
記録された限りのデータは見た。
戦闘においての彼女たちの行動パターンはある程度読めているはずだ。
なのに、何かが違う。
ニューオメガと"彼"の間に、明白な『差』がある。
そして、それが分からない。
「下衆が...!」
シグマの心に苛立ちが募り始める。
吹き飛ばされた"彼"の、拳に力が込められる。
もはやシグマは父から教えられた『攻めの手を数える』ことすら忘れていた。
足を地に着け勢いを殺したシグマが、まるで瞬間移動したかのように響の前に現れる。
力任せの乱暴な打撃の嵐が、響を襲う。
「ッ!?...だはっ!」
不意打ちに成すすべもなく、今度は響が吹き飛ばされた。
「よくもこんな汚い戦いをさせてくれたなぁ...」
敬語すら使わなくなり、シグマは倒れた響を見つめる。
最初はまだ、響も瓦礫を退けれる程には動けていた。
だがそれもほんの一瞬。ついに響も気を失った。
そうしてすぐに見据える先を変え、シグマは今度はターゲットを切歌に変える。
「ッ!?」
「切ちゃん!」
ゆっくりと、それでいて速く、シグマが歩み寄る。
しかしさせまいと、調がシグマの行く手を阻んだ。
頭のアームから振るう鋸と、手投げの大鋸が放たれる。
だがシグマは、お構いなしに片手でそれを木っ端微塵にしてゆく。
文字通り、先程とは馬力が違った。
「!?」
「調!」
今度は切歌が、調を守るために駆け寄る。
対するシグマが、ベルトのグリップを捻る。
『BIOLENT PUNISH』
2人は互いを守るために双刃を盾にして、
シグマは腕のカッターに力を漲らせ――
――そして、2人が吹き飛ばされた。
「「きゃぁぁぁぁ!」」
調が壁に叩きつけられ、その上に切歌が重なるようにぶつかる。
そうして衝撃の大きかったシュルシャガナは解除され、イガリマは間一髪解除を逃れた。
「ハァ......ハァ......」
切歌の視界がぼやけ、朦朧としてゆく。
鎌でなんとか支えた体は、既に傷だらけ。
しかしそんな姿を見ても、シグマは歩み寄ってくる。
「もう一手加えるか迷ったが...」
銀色の腕の鉤爪を撫で、シグマが呟く。
彼には躊躇いがなかった。
殺すことにも、プライドを貫き通さないことにも。
だからこそ、あの状況下でも"拘り"を捨てることによって逆転できた。
何手目か忘れた、チェックメイト。
「...終わりだ。」
だが彼は、忘れていた。
1人の存在を。
1人の命を。
1人の実力を。
1人の重すぎる推しへの愛を。
「誰か...」
切歌は背後で倒れる調を庇うように、そこから一歩も退きはしない。
だが心は、ほんの少し諦めかけていた。
以前にも、こんなことがあった。
あの時、自分ではどうしようもなくて。
それから、誰かの力に頼りすぎないように頑張ったけど。
今回は「駄目だ」と、心の中で確信した。
だからこそ、そんな言葉が思わず零れ出る。
「誰かぁぁぁぁぁぁッ!」
暁切歌に助けを求める言葉を言わせたこと。
それがシグマの、最大の失敗だった。
「オオォウラァァァァァァァァァァ!!!」
その瞬間、大地が震えた。
鉄製の瓦礫の山が、一瞬にして粉微塵と化した。
ニューオメガは、覚醒する。
「オゲノドジニダギジデンダァァァァァァァ!?」
(俺の推しに何してんだァァァァァァァ!?)
「何!?」
シグマは雄叫びの方向を向き、目を疑った。
「馬鹿な、確かに急所を打ったは...」
だが、驚嘆の声を漏らす前に言葉は止まる。
それは無論、突如目の前に現れたニューオメガに顔面を蹴られたから。
「!?」
水切りの石のように、シグマが地面を転がる。
それは偶然か、切歌を最大限まで引き離すようなものだった。
(馬鹿な、さっきと馬力が違いすぎる...!)
シグマの思考は、一向に現実についていけていなかった。
予想外にも程があるニューオメガ復活。
そして、その想像を絶するパワー。
発する意味不明な言語。
「ガグゴドジュンギヲジデオゲェ!」
(覚悟の準備をしておけぇ!)
転がる中で、再びシグマの眼前にニューオメガは現れる。
それはまるで、先程のシグマと同等の速さ。
「さっきの私の動きをこっそり見ていたのか!?」
見ていない。(断定)
ただただ生命を脅かされたニューオメガの防衛本能である。
するとニューオメガは転がるシグマの胸元を掴み、止めた。
「...?」
無理やり立たされ、シグマが心の中で首を捻る。
しかし、そんな余裕を与える前に、ニューオメガの打撃の嵐が彼を襲った。
「!」
顔面に、関節に、同族の重い拳が当たる。
肉片が、縦横無尽に飛び散ってゆく。
...が、それもすぐに再生。
シグマは黙って、相手の攻撃を耐えしのぐ。
しかしその背後に、緑の大鎌が迫っていた。
「!?」
本能で危機を察知し、シグマは横に転がり寸前で斬撃を躱す。
「驚いたな...まだ戦える余力があるとは。」
目の前に立つ暁切歌を見つめ、シグマは呟いた。
「当たり前デス。ここまでしでかしてくれて逃がす訳にはいかないデス!」
そう敵を見据えて、少女は叫ぶ。
だが同時に、助けてくれたニューオメガに感謝したくて。
シグマに一撃を与えたあの姿に、何故だか懐かしさを覚えて。
そんな思いを抱えて少女は、隣の怪物に微笑んだ。
「一緒に戦うデスよ!ニューオメガさん!」
推しの声が尊すぎて戻ってきました、静流です。
いやはぁ、推しの叫びが聞こえたと思ったらなんか最強格を膝立ちさせてらぁ。
これが相手ウルトラマンメビウスだったら俺の負け確だったね()
ここで終わる俺じゃないんだよ、残念ながらなぁ(尚ほとんど偶然)
てなわけで気づいたら推しと共闘じゃあ!
よっしゃ...ぐぼげあぁぁぁぁぁ!!!(時間差で来た尊さ)
いやー危ない危ない、いきなり血を吐くところだった。
こんなことで倒れたらしゃれにならないっつーの。
あ、先に行かないで切ちゃん!
君怪我してるでしょうが!
おいこらシグマぁ!何してんだてめぇ!(責任転嫁)
しっかり責任取れよオラァ!
怒りの鉄拳!
ドガッ!
!!!(電流走る)
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ...
俺は拳を防がれると思ったら推しが敵の注意を引き付けたことで当てることができた!
多分読者なら分かると思うが俺には分からねぇ()
頭がどうにかなりそうだった。
というかなぁ、その前に既に推しが攻撃が来たとた――
※以下省略
切歌が鎌を振るう。
その攻撃を防いだ隙に、シグマをニューオメガが襲う。
ニューオメガの打撃が躱される。
それを見越していた切歌が、鎌の一振りを当てる。
さっきからずっと、その繰り返しであった。
「ッ...!」
状況を打破できない現状に、シグマは再び苛立ち始める。
解決策を考えようとするも、全てその前に仕掛けられるのがオチ。
完全に相手のスパイラルにはめられている。
「だぁ!」
怒りが抑えきれず、思わず叩いた地面に亀裂が入る。
思わずその瞳を睨みつけ、シグマは叫んだ。
その後ろで蠢く影も知らずに―――
「お前は何なんだ!ニューオメガッ!」
いやはぁぁぁぁぁぁ!
推しが俺を助けてくれる!!
俺がしっかり推しを救えてる!!!
脳汁が止まらねえ!止まらねえよぉ!(いつも以上に重症)
まだまだ行くよー!
オラァッ蹴り!拳!斬撃!
...なんか全然効いてない気がするんだけど...?
と、とにかく今はラッシュ、今はラッシュ...
ん、なんだぁあれは?
あ、さっきのメギド?それともアンデッド?いやアンデッドはないか。
シグマの後ろで何してんだてめぇ?
まーたろくでもない考え企んどんのか?だったら来いよ、俺が叩き潰しt...
―――ファッ!?向こうを奇襲した!?
「......」
切歌が絶句する。
静流は訳もわからず棒立ちする。
オオカミアマゾンは、確かにシグマを背後から襲った。
それは先程、腕を折られてシグマを敵と認識したからなのか。
もしくは化け物に変わり果てる前の記憶が微かに蘇ったからか。
その真相は、誰にも分からない。
だが確かに、オオカミアマゾンは貫手に近い攻撃をシグマに放っていた。
蒸気すら纏っていたその攻撃はきっと、”彼”に大ダメージを与えられただろう。
シグマに躱され、逆に胸を片手で貫き通されなければ。
オオカミの攻撃が来た瞬間、シグマは身を落とすことによってそれを避けた。
そのまま、相手が自分の前まで勢い余って飛び出たとき。
シグマは逃さぬと言わんばかりに、その手を体に突き刺し、心臓を握っていた。
赤く濁った光を放つ、手のひらサイズの心臓。
その瞬間、静流にはかつて一度だけ見たアマゾンアルファの戦いを思い出した。
「おい、まさか...」
そして、オオカミアマゾンの衣服に気づいたのもまた同時。
思わず、傍に居た切歌すらも聞こえないような小声で、静流は狼狽する。
飛び出た心臓を、今にも捥げそうな血管が寸前で繋ぎ止めている。
静流には、それがオオカミアマゾンの「生きたい」という必死の抵抗のように見えた。
「お前を殺さず連れて帰るのが私の使命だったが...駄目か。」
下を俯き、シグマは呟く。
僅かに心臓を握る力が、強くなっていくのが見えた。
「残念だ。」
―――刹那、戦場は黒い血に染まった。
グシャリと、心臓“だったもの“ものが飛び散る。
少女の心には、到底耐えきれないような光景が繰り広げられる。
だがその寸前、静流はなんとか切歌を抱き抱えることによって、視界を塞ぐことに成功した。
「え?え?」
いきなりのことで慌てふためく切歌を庇い続けながら、静流はシグマの方を見やる。
「やりやがった...」
それはまさに
屍となった怪物を見下ろしながら、シグマはため息をつく。
「これは回収させてもらう。お前たちの研究に使われたら厄介だ。」
そう言い残すと、屍を抱え、シグマはジャンプひとっ飛びで姿を消した。
...訳が分からん。
え?何?あいつもしかして
それでいてもう1人の仲間に殺された?
俺、結局何してたの...?
推しと夢の共闘果たしてただけ?
てかあれってさ、間違いなくS.O.N.G.の制服だったよね?
...ん?ちょっと待てよ?
俺のPixiv百科での記憶だと“溶原性細胞“のアマゾンって、『服残るのが特徴』って言ってたよな...?
「あ...?」
いやいや、待て待て、何震えてるんだ俺。
俺じゃないだろ。
いくらなんでも俺じゃ...
でもあれは溶原性細胞のアマゾンだよな...?
シグマも死体ベースだったからオリジナルじゃないよな?
んなバカな...
いーやまだ早い、今日初めて分かっただろ。この世界には俺以外のアマゾンがいるって。
違う。
俺じゃない。
俺であってたまるか。
でももし俺だったら?
今日の一大事の原因が、全部俺だとしたら?
違う違う!まだだ!まだ決まってない。
俺じゃない。
俺なんかじゃない。
―――俺は、溶原性細胞のオリジナルなんかじゃない。
そうだ。きっとそうだ。
そうだったら本当に生まれてきたことが罪になるじゃないか。
確かに俺はこの世界じゃ原初のアマゾンかもしれないけど...
なってたまるか。
目標達成はまだじゃないか。
まだ決めつけるには早いんだ。
まだ...決めつけるには...
―――だったら、この体の震えはどうして治らないんだよ。
「!」
だめだ、悪い方向に向きすぎだ。
ポジティブに。もっとポジティブに。
これはあくまで『可能性』の話だ。『確定』じゃない。
だから今はこんなこと...
「ニューオメガさん...?」
ふと声が聞こえて、思わずその方を向く。
抱き抱えた彼女の顔が、眩しすぎるくらいに俺の脳に焼きつく。
―――そして、その眩しい笑顔が壊れる未来も見えた。
...やめろ。
―――
やめてくれ。
―――血みどろの顔になって、俺に泣きついてくるんだ。
俺はそんなこと全く望んじゃいない...!
―――町中が俺たちの“仲間“で溢れかえるんだよ。
そんなこと絶対にさせない!
―――で、俺は何もできずただただ言葉を浴びせられるんだ。
そんなの
―――「どうして私なんかと出会ったのって。」
「...あ」
そんな声が聞こえて。
―――「じゃあまた今度デス。バイバイデース!」
あの時何気ない言葉を笑顔で送ってくれた彼女の顔が浮かんで。
そして、何故か見た覚えのない彼女が泣いている顔も浮かんで。
俺の中で、何かが壊れた。
「...!」
「え?」
耐えきれなくなって、思わず切歌を降ろす。
そして逃げた。
ひたすらに、その場から逃げた。
「ニューオメガさん!?」
推しの声が聞こえる。
いつもなら急ブレーキでもかけて止まるはずなのに。
今はどうしようもないくらいに怖かった。
逃げる。ひたすらに逃げ続ける。
いつしか、推しの声すら聞こえなくなる。
そうして気づいたら、もうバイクのところまで戻っていた。
「俺じゃない、俺じゃない、俺じゃない...」
そう呪文のように何度も呟き―――
俺は1人、バイクのエンジンをかけた。
最後の怒涛の展開、ついて来れる奴だけついてこい案件だったけど大丈夫だったかな?
次回はこっからギャグに持ち込みます(無理ゲー)
さーて次の更新は一体いつになるやら。
それでもこの作品読んでくれたらね、みんなはもうね...神だよ神。