唯神夜行 >> シキガミクス・レヴォリューション 作:家葉 テイク
──劇的な現象は、何もなかった。
するる、と。
何かが滑るような音が、薫織の手渡した木の剣の中から滑り落ちてくる。
一、二秒ほどしたかと思うと、その音もすぐに止んだ。
「よしっ! これで完成ですわ!」
ぱん、と。
彼女の手の中にあった『草薙剣』が乾いた音を立て、木札へと変化する。
「さ、
「ん。流石はお嬢様」
頷く
こういうのは戦闘能力のある
しかし
「……? どういうことですの?」
「いや、その札はお嬢様が持っとけ。自衛用になるだろ」
これに目を丸くしたのは、
『草薙剣』といえば、『原作』に登場するシキガミクスでも屈指の武力特化。
最強の装具型シキガミクスといっても過言ではない。
作中では、適当な着用型シキガミクスの使い手に『草薙剣』を持たせればそれだけで大妖怪と渡り歩けるレベルとまで言われたほどの代物だ。
当然ながら、シナジーを考えれば
「はぁ!? 何を言っておりますの!? こんなものを持っていたら逆に狙われるんじゃありませんの!?」
という、きわめて実利的な保身の感情もあるのであった。
この
それはさておき、『草薙剣』の押し付け合いという前代未聞の事態に発展しかけたところで、押し付けメイドは至極真面目な表情で返す。
「『草薙剣』が本物なら並みのシキガミクスは返り討ちなんじゃねェの?
……というか、今
この情報がどこから漏れるか分からねェんだ。
「……あ、あまりにも物騒ですわ……」
しかし、そう言われてしまっては全く武力を所持していないのもなんとなく怖いので、
ちなみに、多くのシキガミクスはこうして木札にして服の内側など分かりづらい場所に仕込んでおくのが通例だ。
どうせ霊気を巡らせればシキガミクスは術者の傍らに発現するので、どこにどう保管していても問題ないのである。
もっとも、
「じゃ、
「あっ、分かりましたわ……」
言いたいことだけ言ってさっさと行ってしまう要件メイドの背中を見送ってから、
(はぁ……。
とはいえ、本人に人目を気にするという発想がなさすぎるのだから仕方がない。
そうして自分のクラスの集団に戻ると、早速友人たちが声をかけてくる。
「……ねぇねぇ
「
「どうもこうも、ご主人様とメイドですわよ」
「ごしゅじんさま!?」
げんなりとしながら、
トンデモワードの出現に目を丸くした生徒達の様子は、
──コイツもコイツで、大概である。
◆ ◆ ◆
生徒集会は、
学長の言葉に、理事長の言葉。
生徒指導担当からの注意事項に新年度の表彰者。
連休後に始まる学園祭の準備についての予告etcetc...。
諸々の式次を終え、最後に生徒会長の言葉となった、その後のこと。
ざわざわ……というさざめきのような騒めきと共に、式が一旦停滞する。
一分ほどそうして何も進行がないまま、
ズダッ!! と。
真横に着地してきた黒橙のメイドに、思わず飛び上がったことで事態の進行は再開した。
無言のままに
「なっ……なんですの!?
「あァ! クソ……
珍しく慌てた様子で
まるで胎動のような音をBGMにしながら、
「