唯神夜行 >> シキガミクス・レヴォリューション 作:家葉 テイク
先手を打ったのは
シキガミクスと術者、同じ姿となった一人と一機は、全く同じ速度で合流すると同時に、シキガミクスの方が
目潰しで眼前が遮られた一瞬。
その間隙を縫うようにして、一方の
その姿を見て、全校生徒を掌で弄んだ黒幕の脳裏を電瞬の勢いで思考が駆け巡っていく。
(変身の霊能!!
おそらく生徒会役員の思考から
霊能まで利用できるとしたらマズイな……。
私に変身しないところを見ると何らかの制約はあるのだろうが、最悪この場で触れられたら私の霊能がバレるだけでなく、利用される可能性すらある!)
油断なく迎撃態勢を整えながら、しかし
あるいは、その透き通り具合こそがこの世界の上位層である資格とでも言わんばかりに。
(そしてこの局面で全く同じ姿に変身するということは、こちらを攪乱する狙い……。
全く同じ身体能力になっているように見せているが、おそらくそれはブラフ! シキガミクスの方は本来のスペック通りに戦えると考えるべき!!
つまり戦闘しながら常にどちらが『本物』かを記憶し続けていなければならないわけだが……)
目潰しからの攪乱。
注意深く観察していれば、どちらが本物かは判別できそうなものではある。
しかし、その場が天井を破壊されてまだ間もなく、土煙が
そして、一瞬でも判断を迷えば意識の外から『亜音速の格闘性能』を保持した
本体自身をベットしたあまりにもリスキーな策だが、そのリスクへの動揺も含め正常な対応は難しい。
(だが、こちらの機体性能を甘く見てはいないか? シキガミクス技師としても大天才……君自身が言ったことだ)
──
そもそも、顔面に備えられたカメラはメインカメラであると同時にデコイでもある。
別に、人間と同じようにカメラが二つでなければいけない理由などない。
機械の処理能力を持っている
そしてその視点からは──本物の
(
向かってきた方をシキガミクスだと判断して警戒しても、本体だと看破して攻撃しても、どちらにせよノーマークのシキガミクスが襲い掛かってきて最低でも相打ちに持っていける二段構えの策か……。
……だが、本体だと分かっていれば対応は容易い)
そして、殴り掛かる
「…………『
ギュオ!! と、
『なッ、ば』
一瞬のことだった。
完全に想定外の事態に、
◆ ◆ ◆
それだけでも十分有用な霊能ではあるが──
その完成形が──『移植』であった。
『ガァルルルルルルルァァアアアア!!!!』
ダークグレーの長髪をうねらせて、その美貌に似つかわしくない野生の唸り声をあげて
一発。
二発。
三発。
四発。
──最早数えることすらできないほどの、拳のラッシュ。
一秒にも満たない時間の間に降り注ぐ拳打の雨によって、
完全なる再起不能を確認した
『やあ』
「………………!?」
刹那、
シキガミクスの後方に控えていた本体・
──今まさに破壊したはずの、
その機体には一つの破損もなく。
そして、茫然としている
「っ、
ガギン!!!! と、寸でのところで
──否、
『「入れ替わり」というわけか』
直前に殴り掛かった
「…………残念、ハズレよん」
『なら「移植」かね?』
シキガミクスは術者が触れたことのある人間の姿を寸分違わず模倣することができる。
そしてその状態で変身対象に触れることで、任意の部位を対象の部位と入れ替える形で『移植』するのだ。
この『移植』によるダメージは発生せず、全く同じ肉体ゆえに拒否反応も発生しない。
完全完璧な回復能力だが──術者たる
そしてその奥義が、『全身移植』。
即ち体を余すところなく置換するによる、シキガミクスと術者の瞬間的な『入れ替わり』だった。
「残念、それもハズレ」
『そうか? まぁ良いよ。発生する事象は分かった。原理は問題じゃない』
表情一つ変えずに嘘を吐く
『……いや、実際のところ、本当に危ないところだった。
初見の、無警戒の霊能だったというのもあるが……知略の上では上をいかれていたよ。偶然本体が霊能を使っていなければ、私は完全に破壊されていただろうな。
……向こうで霊能を使わされるほどに本体を追い詰めてくれた
脱力して言う
(……また入れ替わったか。おそらく入れ替わりは瞬時、かつインターバルや回数の制限もほぼない。ネタが割れたとしても手強さはさして変わらないか。……
──戦闘開始から、一〇秒が経過しようとしていた。