唯神夜行 >> シキガミクス・レヴォリューション 作:家葉 テイク
「カガミサマが……『神様』が来ればきっと何とかしてくれるから!! だからそれまで絶対に意識だけは保つんだよ! 分かった!? ねぇ返事してよ!! ご主人様の命令だよ!!」
おそらく、罪悪感にまみれていただろう。
己の失策で、親しい相棒を傷つけ──命の危険に瀕させてしまったのだ。
泣き喚き、許しを乞いたくなるのが正常な感情のはず。
にも拘らず、
痛む心に鞭を打ち、自分が倒れ伏すメイドに対してできる最善を考え、それを遂行する。
力もなく、信念もない、本当にただの
「………………嫌になるな」
ピースヘイヴンは誰に言うでもなく呟くと、『唯神夜行』を秘めた『天尾羽張』を回収に向かう。
計画の失敗を疑う気持ちはある。
しかし躊躇する気持ちは完全に失せていた。
ただの一般人がその危険を無視して最善の行動を取ろうとしているのに、この状況を築き上げた元凶自身が怖気づいていては、今まで犠牲にしてきた世界に示しがつかない。
黒幕としての、意地だった。
そうしてピースヘイヴンがステージの方へ足を向けたタイミングで、
「お待ちなさい」
見るとそこには、目元を赤くした
その手には、二メートルにもなるGペンの槍──
「……
「何を勘違いしていますの」
「わたくしが、まだ盤面にいますのよ。忘れまして? 我々の陣営におけるジョーカーはこのわたくし。その認識が足りていないのではないかしら」
「……何を、」
「
ピースヘイヴンの動きが、止まる。
その視線を、注意の全てを目の前の令嬢風の少女に集中させる。
「死ぬぞ。十中八九、霊気淀みは暴走する。上手くいったとしても、
声が強張っていくのを、ピースヘイヴンは自覚していた。
しかし、
「だから、なんです? ……
その、真っ青な瞳が──ピースヘイヴンの目には、世界全てを憎んでいるように見えた。
瞬間、ピースヘイヴンは鋭く声を上げていた。
今まさに、その善性を踏み躙った張本人のくせに。
「待て!!」
親しい友人を己の判断ミスで死に追いやってしまった。
一縷の望みをかけた助けも、おそらく間に合わない。
その元凶である憎き黒幕の野望だけが成就してしまうという状況。
──自棄になって自滅を選んでも、ちっとも不思議ではない。
少なくとも、ピースヘイヴンにはそう考えてしまう気持ちが
だからこそ、全ての元凶であるくせに、ピースヘイヴンは気付けば
「……今の言葉は撤回しろ。
だから、君が……君が
『君がその心根を闇に堕とすことは
そこまで言いかけて、ピースヘイヴンは状況の不自然さに遅れて気が付いた。
──そもそも、本当にその気ならわざわざ自分に注目を集めるような真似はしないのでは?
この距離だ。
それなのにわざわざ自分の目的を宣言するのは道理に合わない。
もちろん、ピースヘイヴンへの憎しみからあえて不合理な行動を取ったという可能性はある。
だが、今はそれよりも違う可能性を危惧するべきだ。例えば──
「しまッ──」
反射的に、ピースヘイヴンは自身のシキガミクスである
やはりというべきか、同じ思考回路を持つ
だが、この状況での肝はそこではない。
「今更気付いてももう遅いですわ!! 玉砕覚悟の自爆特攻!? それも
……わたくしを馬鹿にするのも大概になさいっ!! わたくしは!
不敵な笑みを浮かべる