唯神夜行 >> シキガミクス・レヴォリューション 作:家葉 テイク
メイド服型のシキガミクス。
服の生地に織り交ぜたり、各種装飾に備え付ける形でシキガミクスを実装している。
その為、普通の衣服でありながらシキガミクス相応の防御力を備えている。
『女中道具』を取り寄せる能力。
この『女中道具』は前以て作成した『裏階段』に保管されている物品で、発現した段階でシキガミクスの一部として扱われ、霊力によって強化される。
『裏階段』に保管してさえいればどんなものでも『女中道具』として扱うことができるが、本体のこだわりの為『掃除用具』『調理器具』『食器類』『食材』『寝具』以外のメイドに関係なさそうな物品はほぼ置かれていない。
『裏階段』は屋根と壁がある屋内にシキガミクスと同様の陣を床一面に記せば最大で一〇個まで作成可能で、現時点で貸倉庫や洋上のクルーザーなど全国に七か所ほど『裏階段』が存在している。
元々は瞬間移動系の霊能だったが、本人の類稀なメイド欲によって物品のアポート能力に調整されている。
『
攻撃性:70 防護性:70 俊敏性:70
持久性:90 精密性:90 発展性:95
※100点満点で評価
◆ ◆ ◆
『な……何ィ!? 園縁君が消えたッ!?』
「落ち着けッ! 『私』! 彼女の霊能の基盤は『瞬間移動』……どこかに転移した可能性はあるが、
ピースヘイヴンは、薫織の霊能の隠された機能──『「裏階段」への転移』を知らない。
薫織にとってはこれは『女中道具』の整備の為の機能なのでほぼ使わないと同時に、非常時の緊急回避だから完璧に秘匿していたのだ。
嵐殿すらもこの機能は知らず──知っているのは流知のみである。
(そして彼女はこの局面に至るまでその機能のことを忘れていた。あまりにも使われなさ過ぎたので)
ゆえに、ピースヘイヴンはこう考える。
その為に周辺を走査するのに使った〇・一秒の注意。
──その注意が、勝敗の分かれ目となった。
ブア、とマッチの炎が
当然、
さらに炎が全身のカメラを覆って頭上への警戒力が低下したその一瞬──
「『三秒後』の
薫織の全体重を載せた踵落としが、
『ば……かな……』
炎熱による内部回路の破損に加え、無防備な頭部から全身を貫く渾身の衝撃。
それを受けた
そして──そこへギリギリ間に合わなかったピースヘイヴンの襲撃も、薫織の蹴りによって文字通り一蹴される。
薫織は
「勝負はついた。
その言葉を、ピースヘイヴンは黙って聞いていた。
呼吸は荒く……その顔には大粒の汗が幾つも流れている。
「複数シキガミクスの並行稼働。そのデメリットがモロに出ているみてェだからな」
「…………何なんだ……いったい……」
ピースヘイヴンは、呻くように呟いた。
「何なんだ、君は……。君だって分かっているはず。『シキガミクス・レヴォリューション』では駄目なんだ……! アレでは世界は守れない!
だが、私の計画ならばそんな不確かさは存在しない。『神様』と原作者、世界を運営することができるだけの力があれば、安全に世界の危機を取り除く道筋だって見える。
それを私情で邪魔をするのであれば……君達は自分の感情でみすみす世界を危険に晒す大罪人になるぞ?」
息も絶え絶えに、ピースヘイヴンは薫織のことを糾弾する。
世界の運営。
その重大すぎる責任を口にしながらも、ピースヘイヴンはちっとも臆した様子を見せない。
だが、薫織もまたたじろぐ様子は見せなかった。
「お得意の詭弁だな。──『唯神夜行』によってテメェが世界の運営権を握れるとして、今この世界の運営権を握っている連中はどうなるよ」
「…………、」
「『シキガミクス・レヴォリューション』という作品において社会の運営を担っていた実力者達……『オオヒルメノミコト』率いる神宮勢力や『スサノオノミコト』、『
……間違いなく戦争になる。そしてそれによる被害も生まれる。だろ?」
ピースヘイヴンは、答えない。
そこに、ピースヘイヴンの欺瞞があるのだ。
つまり、『唯神夜行』は安定した世界の運営を約束するが、それと引き換えに旧体制との衝突による短期的な大量の被害を確実に生むということ。
その指摘を受けて、ピースヘイヴンは観念したように頷いた。
だが、その瞳から力は失われない。
「……認めよう。確かに私のやり方では短期的な衝突は発生するだろうし、それによってダメージを負う組織や意義を失う勢力もある。
だが、それらは最悪の事態に比べれば微々たるリスクだ。あの
ピースヘイヴンは胸に手を当てながら真剣に語り、
「それに、この世界は最早『シキガミクス・レヴォリューション』ではない。一歩間違えば世界が滅ぶシナリオで、これほど大量のイレギュラーが生じてしまった。
最早原作者である私にすら管理することはできない。だから、この
そうすれば少なくとも世界が破滅の危機を迎える可能性はなくなるだろう!?」
「……、」
「それとも、名作の出来事が消えてしまうのが惜しいとでも考えているのか? だとすればそれはナンセンスの極みだ。世界をコンテンツとして見ている楽観論に過ぎない。
あらゆる前提が狂ったこの世界では、もはや主人公が主人公としての働きをしてくれるかどうかさえ定かではないのだから!!」
両手を広げて、ピースヘイヴンは語る。
この
こんな
自分がこれから築き上げる
「
それに対し。
薫織は、心底呆れ返った表情で問い返した。