生産者な魔王だって英雄になれる!   作:背の眼

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二話 幸せの在り方

 

私、リーシェは元々平民の出であった。

父、母、妹がいる4人家族だった。

みんなで、畑を耕したり、狩りに出掛けたり。

みんなで一致団結しないと食べるのもままならない。

そんな、貧乏で辛い生活だったが、それが私にはとても幸せだった。

だけど、そんな幸せは崩れさっていった。

父さんと母さんが私達を捨てたのだ。

暫くは木の実で大丈夫だったが、妹はまだ小さかったから、それだけの栄養では足りなかった。

そして、妹は栄養失調で死んでいった。

それから、私はスリをした。

私にはその才能があったらしく、それなりの額は稼げた。

そこにいいカモがきた。

ここの地域に住んでいる屋敷の人が歩いていた。とても綺麗な人で思わず見とれてしまうほどだった。

いや、そんなことはどうでもいい。

今は、あの人から金を盗むことだけをを考えよう。

忍び足で近づいてく。

今だ!

と手を伸ばしたとき誰かに腕を捕まれた。

その手の方を見ると、黒い燕尾服を着た人がいた。

どうして!?さっきまでいなかったのに!!

「セバス、放してあげなさい」

「かしこまりました。マリア様」

手を放される。

なぜ?どうして?

いきなり人が現れたことと手を放されたことが混乱して頭のでぐるぐる回っている。

「ねぇ、貴女は何故この様なことをしようとしたの?」

微笑みながら聞いてくる。

「生きる、ため」

「みんな、私のこと雇ってくれないから」

何故だろう。

勝手に言葉が出てしまった。

「そう、なら家で働かない?」

え?今、なんて言ったの?

働く?この人の家で?

「今、ちょうどメイドが欲しかったのよねぇ」

メイド....大きい家にいる女性の使用人のことだ。

「でも、私、汚いよ?」

「そんなの、洗えば落ちるわ」

どうしよう。どんどん目頭が熱くなってきた。

「私、何も出来ないよ?」

「いいわ、そんなの、少しづつ覚えていけばいいもの」

なんで、こんなに胸が温かいのだろう。

「わだじ、じあわぜでもいいのがなぁ」

「当たり前よ、貴女は幸せになる義務があるわ」

そう言いながら、私を抱き寄せてくれた。

目から涙が溢れてきた。

「うわぁぁぁぁん!ぐるしがっだ。ざみじがっだよ~!」

「ええ、苦しかったわね、寂しかったわね。でももう、大丈夫。貴女は独りではないわ。」

あの、捨てられてからずっと泣いていなかった。なのに、今までにないくらい泣いてしまった。

何故だろう、すごく

温かい。

そして、私は、また、幸せをてに入れた。

 

 

 

それからというもの、私は、メイドの仕事を沢山仕込まれた。

大変だったけれど、それ以上にとても楽しかった。

 

それから数年が過ぎた。

オルト様とマリア様の間に子供が産まれた。

私は、ユーリ様、あっ、ユーリ様と言うのはその生まれてきた子の名前なのですが

そのユーリ様の世話役を任せられた。

マリア様の子だ。一生懸命お世話しよう!

そして私は、ユーリ様の世話をして1ヶ月が経った。

ユーリ様は目を離すといつもどこかに行ってしまわれる。

生後1ヶ月しか経っていない子供がどうしてこんなに動けるのかと最初は困惑したが、そのうち慣れた。

そして今日も、

「あっ!またいなくなられた!」

はあ、今度はどこに行ってしまわれたのだろう。

そして、いろいろな所を探した。

キッチンやお風呂場、部屋中探してもいない。

もしや、あの場所では? とユーリ様がよく行かれる所に行く。

そこは、オルト様の書斎だ。

ユーリ様は、よくあの場所に行かれ、本を散らかしている。

さすがにユーリ様でも本は読めないと思うので、ただ散らかしているだけだと思いますが....

っと、考えているうちに目的地着きました。

そして、そっとドアを開けると

案の定、ユーリ様がそこにいた。

「ユーリ様!またオルト様の書斎に入って書物を散らかして。駄目ですよ!」

私はユーリ様を注意する。

ちゃんと、小さい頃から教育しないと大きくなってから駄目になってしまう。

振り向いたユーリ様は嫌そうな顔をした。

まあ、嫌そうな顔と言っても少し眉を潜めるくらいなのだが。

というか、この子は言葉を理解しているのだろうか。

もしそうだとしたら、もう天才を通り越して化け物だ。

まあ、それよりも今は、オルト様に見つかる前にここを出なければ。

「オルト様に見つかる前に早く行きますよ。ユーリ様も怪我をされたらどうなさるんですか」

まあ、確かに、生まれたときから笑わず、言葉を理解しているかもしれないような子だが、私に幸せを与えてくれたマリア様の子供なのだ、怪我でもしたら罪悪感で押し潰されそう。

「ばぶばぶ」

ユーリ様が先に行ってしまわれた。

「あっ、お待ちください!ユーリ様!」

私はユーリ様のあとを急いで追いかけた。

 

 

あっ、本!

あとで気が付いた私はユーリ様をお部屋に戻したあと急いで片付けに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、1年が過ぎた。

ユーリ様は二足歩行するようになり、言葉もぎこちないが喋れるようになった。

本当に化け物じみてきましたね。

今、はそんなことよりも仕事をしなければ!

と、息込んだときにものすごい爆発音が聞こえた。

また、マリア様の更衣室にノックをせずに入られたのですね。オルト様....

「はあ~」

つい溜め息が出てしまった。

いけないいけない。セバスさんにこんなところ見られたらヤバい。

私はせっせと仕事を始めた。

 

 

 

そして、その日の夜。

ユーリ様がちゃんと寝ているかどうか確かめるためにユーリ様のお部屋に向かった。

おっと、もう、部屋の前についた。

ノックをして、部屋に入る。

「ユーリ様、入りますよ」

おや、電気が消えてる。

今日は大人しく寝ましたか。

よかった

そう思ったとき、ユーリ様がうなされ始めた。

「おれを、ひとりにしないでくれ.....」

っ!?

そっか、この子でも独りは怖いのか。

今まで、この子を恐れていた自分が馬鹿らしく思う。

なんか、親近感が沸いてきますね。

そして私は、あのときを思い出す。

マリア様に拾ってもらった日。

私が独りではなくなった日だ。

懐かしいですねぇ

いやいや、思い出に浸っている場合じゃないです!

早くユーリ様を起こさないと!

「ユーリ様!」

声をかけるが起きない。

もう1度!

「ユーリ様!!」

まだ起きない。

もっと大きな声で!

「ユーリ様!!!」

あ、もう少しで起きそう。

「ユーリ様!起きて下さい!」

すぅー、と瞼が開く。

「そうか、ゆめだったのか」

ユーリ様は複雑な表情を浮かべていた。

「ユーリ様、大丈夫でしたか?ずいぶんうなされていましたが」

すかさず、私はユーリ様に安否を聞く。

「なあ、ねているときにおれにはなしかけてきたのおまえか?」

驚いた、ユーリ様から私に話し掛けて来るなんて。

といっても、私の質問には答えてくれてないのですが....

「はい、とても苦しそうにされていたので僭越ながら起こさせていただきました。ご迷惑だったでしょうか?」

「いや、助かった、ありがとう」

口から心臓が出るのでないか、と思うほど驚いた。

それは、いつも無表情だったユーリ様が微笑んだのだ!

しかも、顔が整っているのと、月明かりがいい感じに射しているのでドキッとしてしまった。

うー、顔が赤いきがします。

「はい、どういたしまして」

かろうじて返事を返す。

ユーリ様はそんな私を気にもしない様子で

「もういちどねるか」

と言い出した。

「....大丈夫なのですか?」

私は、また、ユーリ様がうなされるのではないかと心配になる。

「ああ、だいじょうぶだ」

ユーリ様はそう言いますが、先ほどの寝言を聞いてから心配でならない。

「では、私も一緒に寝ます」

「は?なにをいっているのだ?こいつは?」

「ユーリ様、心の声が漏れています」

私の言葉にそれほど驚いたのか、心の声が漏れていた。

「どういうつもりだ?」

探るような目に私は苦笑いをした。

「どういうつもりもなにも、ユーリ様がまた、うなされないように一緒に寝るのですよ」

一応、本心だ。だけど、もうひとつがもう独りにはさせない、という気持ちが強い

「寝るか」

ユーリ様は諦めたようにはあー、と溜め息をついた。

「はい」

いつまでもお側にいます。ユーリ様。

 

 

 

といっても、ユーリ様の笑顔を見たときのあの気持ちはなんだったのだろう。

まあ、いずれわかるでしょう。

今は、とりあえず寝よう。

また、明日もユーリ様に使えるために....。





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