短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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ステータスを食べて上げる


燃焼系魔女

燃焼系魔女となったばかりのリーシャは手始めに奴隷を仕入れることにした。

魔女たるもの、下僕を見繕って手足として濃き使うべきだ。

とびっきり顔が良い子供が一番の理想。

市場に行くと途中で馬車が盗賊に襲われていて助けたら好きなだけ選んでくれと言われた。

お言葉に甘えて三人選んで貰う。

名前を聞くとそれぞれ、シャチ、ペンギン、ローというらしい。

マスターとなる己が改名させて違う名前にすることも出来たが面倒だったのでしなかった。

ふう、体重が100キロを越えると歩くのも面倒過ぎる。

ドシンドシンと地面を揺らしているわけではないが、幅は取っているので取り敢えず座ると、三人はパパッと契約してリーシャの物になる。

この世界では奴隷も子供も割りとポピュラーなのだ。

なので普通は後ろ指を指されることはない。

例えこちらの見た目が悪役のような魔女だとしても。

 

「これからよろー。今から雇用契約と雇用条件の相談するからちゃんと話は聞いといてね」

 

こちらの物言いに至極驚いた様子の三人を無視して雇用条件の説明に入る。

1日三食、保険と病や怪我をした場合は速やかに医者へかかること等を盛り込む。

他に何かあるならばその都度相談していこうと言う。

割りと自由に外へ出て好きな事をしても良いというのも伝える。

こちらの課す仕事を決められた時間でやった場合。

例えば訓練や細かい作業をすること。

最初は訳が分からないという三人に慣れていけば自ずと分かることだと頷く。

説明しても分からぬのなら体感してもらう事しかさせられまい。

あと、こちらは別に君らに手を出すことは絶対にないと断言しておく。

変に怯えられて時間を無駄にしたくない。

それに、美少年達だからそれ目的に買ったのだと思われるのも心外だし。

 

「うわ、ぜってー嘘だろ」

 

シャチが悪態をついたけれどスルーしてローがこちらを値踏みする視線でずっとこちらを見ていた。

それも全て見ないふりをして家へ連れていく。

他の人に研究の邪魔をされたくないので森の中だ。

移動するときは勿論異次元の壺の中に入って町へ行く。

奴隷達にご飯を与えて服も与えた。

勉強は出来るのかと聞くと金持ち用に売られる予定だったので多少は出来ると答えられ、実技試験を受けさせるとダメだった。

ロー達から言わせるとリーシャのテストが難しいのだと言われる。

 

「こんなの無理だ」

 

ペンギンが眉をひそめて言う。

ローはその時の様子を粒さに観察していた。

魔女はこちらが文句を言っても反応どころか怒りもせずに暴力も振るわない。

 

「無理なら無理なりに私が勉強を教えるよ」

 

魔女は穏やかな目でにっこりする。

 

「本も自由に読んで良いから」

 

破格の待遇を口にするほどその見返りを想像して三人は固くなる。

 

「将来の投資みたいなものだから」

 

今警戒しても無駄なことだと朗らかに笑う。

ロー達が警戒しながら生活していくと少しずつ魔女の言うことが正しいことを知る。

魔女は己の知識を余すこと無く、知りたい者が知りたい程のものを教えて彼らを肉体と共に鍛えた。

それから数年後、少年も青年となり見目が最高な男達三人が誕生。

年々麗しさや知的な態度が目に見えて良くなる。

彼らが外に出て買い物でもしようものなら娘達の黄色い声や視線が絶えることはない。

魔女が居ない事を好機と見た女達がロー達の身分が今だ奴隷なのを憐れむ。

 

「可哀想に」

 

「私、この間兵の事務所に訴えたわ」

 

「あら、貴方も?」

 

女達はロー達を被害者とする。

この世界では奴隷を主がどう扱おうと自由だ。

なのに、彼らの主が不当に奴隷を扱っていると勝手に想像して勝手に訴えたのだ。

そして、訴えが増えると兵が魔女の元へ行くのも当然の流れ。

罪状を説明する兵もある程度事情を知っているので辟易しながら魔女へ聞く。

この見た目でも悪者にされてるんでしょうねとリーシャは溜め息をついた。

 

「ではこちらは偽証と名誉毀損で彼女達を訴えるわ。あの子達に聞くなりなんなり調べてもらえるかしら?」

 

リーシャは冷たい瞳でもう興味もないことを空の上にやり、ロー達が帰ってくる前にやりたい研究をやりたいとさっさと立ち上がった。

 

「なァ、聞いたか」

 

シャチがあの時から成長して伸びた身長を揺らしてペンギンに詰め寄る。

その問いにペンギンは全て把握していると読んでいた本から目を放すと不快な気持ちを隠すことなく外を見た。

 

「自分達の欲を棚に上げた奴等が何様だってローはカンカンだった」

 

今、猛烈に仕返しする準備をしているローのことを考えて言えばシャチはうへェ、と言う口で楽しそうに笑う。

 

「リーシャがおれらに虐げるって見たことあんのかよって思ったけどな、確かに」

 

ローもペンギンも見た目は変わらないがそのごうごうと燃える怒りは想像以上なのだ。

 

「おれ達はあの女達の所有物じゃない」

 

「そーそ、おれ達はおれ達だよなっ」

 

この言葉は最初に警戒していたシャチ達に向けたリーシャの言葉だった。

永遠に奴隷という人生が決定している三人がやる気になる為には縛られているというあってないような事実はなくした方が良い。

魔女から兵士達に事情聴取があるので答えられる範囲で答えて欲しいと依頼を受けた。

報酬は隣の国の留学だ。

学園に通う三人はなに不自由無く勉強が出来るだけでなくこうやって普通に学べる事があり得ないことだと理解していた。

そして、今回のようにありもしない事件を勝手に作られるのは初めてではなかった。

学園での三人の人気は高い。

魔女の奴隷と知った女生徒が家にやってきて魔女に解放を望むことがあった。

魔女はそのたっぷりエネルギーを貯めた体を揺らして女生徒をやり込めていた。

魔法に頼らずとも撃退する手腕もピカ一だ。

そして、留学の理由はロー達に大人のごたごたを見せない為だと三人は言わずとも察していた。

彼女はそういう女性だった。

三人がなにか悪さをしても必ずちゃんと正当性な方法で叱り、褒める時は褒めてくれる。

まるで母親のようだとシャチやペンギンは思っている。

 

「つーかあいつらは相手があの魔女だって分かってて訴えてんのか?」

 

──カラン

 

「魔女は魔女でも腑抜けを相手にしてるとしか認識してねェなやつらは」

 

ローがドアから入ってきて追加する。

ペンギン達は罠を張りに行っただろう男に「おかえり」と慣れた口調で投げ掛けた。

 

「腑抜け?嘘だろ?この町の結界を張ってるのは魔女なんだぞ」

 

「代々魔女が変わる度に張ってるんだから既に町の奴等は張られて当然、あって当然だと胡座をかいている」

 

ローはシャチの冷や汗並みな質問をばっさりと解決。

それはそれで余計にヤバいなとペンギンは当たり前の危機感を感じた。

しかし、わざわざご丁寧に言う理由もない。

魔女に頼りきっている人間達には多少苦労してもらわねば。

 

──カチャカチャ

 

おぼんを持っているリーシャが部屋にやってきた。

 

「皆ー、ククク・クッキー焼けたわよ」

 

のほほんと笑う女に三人はお行儀良くテーブルに座る。

マダムと午後というタイトルが付けられそうな程優雅な一時を三人は大切に感じた。

だから更に町の恥知らずで恩知らず達に憤りを燃えさせるのだ。

そして、特筆すべきは今の彼女の姿だ。

普段と違いいつもよりもずっとスリムな姿をしている。

彼女曰くこれは燃焼という魔法で体に魔力を貯めることにより質の良い魔法を使えるわけだ。

 

「なァリーシャ」

 

ローが悪い悪い顔をして彼女に囁く。

 

「裁判中は流石に仕事を中断するだろ?だから、結界だってやめるべきだ」

 

この町を危険から遠ざける結界。

 

「あら、駄目よ。皆が困るわ」

 

「今現在、その皆におれらは困らされてるんだが」

 

ペンギンは苦笑してしまう。

 

「なァに、結界を張らなくてもあいつらは結界石を買って手順通りに起動させれば、もつから心配ねェって」

 

ローの思考や計画を察知したシャチが追撃する。

 

「そういえばそうね」

 

「あいつらは取り下げてこないか?そうなると」

 

いくら石で結界を張れると言っても純度の高い魔法などと比べて貧弱だ。

夜もまともに寝られなくなると知れば魔女へ手の平返しをしてくる。

あの弱い頭で弱いなりに考えてしまわないか不安だ。

 

「そんときはおれらが逆に訴え返せば済む」

 

「そそ、めーよを甚だしく汚したってなっ」

 

シャチの顔がキラキラと光る。

してやりたいのは三人誰しも同じ。

ほかほかのクッキーを味わうティータイムは真っ黒な企みで話題にも困らなかった。

 

「まぁ、ふふ」

 

そんなこととは知らず魔女は良い天気だわ、と笑った。

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