短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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旦那様は七武海26ー27(完)本編完結

あちこちを見てから可愛い物や雑貨を購入したりしてなかなかに有意義だった。

 

人が多いので人通りの少ない道へ避ける。

 

ローも向こうに行きたいと顔に書いている感じ(多分)だったので提案に乗ってくれた。

 

そこにはポツリとあるテント、中から夫婦らしき男女が出てきた、エンゲージリングを填めている。

 

何やら困った様子で声を潜めて話している、ソワソワと己の中にある好奇心レーザーが反応していた。

 

是非話していただきたいと生唾を飲み込んでから深呼吸、意を決して話しかける。

 

最初はやはり警戒心を露わにしていた民間人の夫婦はお節介と化したリーシャに誤魔化すように話してきた。

 

ローはお人形のように喋らずただ立っているだけだ。

 

「大丈夫です。貴女達の事も話された事も他言無用とします」

 

「……だがしかしですね」

 

「分かりました」

 

「マーベラ!?」

 

男の人が驚いたように女性の名らしき声を発する、マーベラと呼ばれた方は気にする事なく男性を一瞥する。

 

「この人は大丈夫。信じて賭けて見るしか私達は出来ないでしょ」

 

どうやら彼等の悩みはお手上げ状態らしい、悩ましげに溜息を吐いた女性は冷静にまとめて簡潔に話してくれた。

 

内容をまとめるとつまり、此処の近くに家を建てているのでこの場所の治安はとても良い。

 

だが、ここ数ヶ月、とある事件が近所で噂となっている。

 

その事件は事件と言うには薄く、怪奇といったもの、とどのつまり幽霊騒ぎであった。

 

それを聞いて成る程、と頷くリーシャ。

 

まだローはなんの反応もしていない、意見も反論もないのだろう。

 

命令されるのも勝手に決められるのも嫌な筈の彼が何も言わないのなら好きにさせてもらおうと決める、リーシャのターンだ。

 

幽霊騒ぎは基本夜中に起こるので夜になる前に目撃情報がある場所へ向かい隠れるという事にした。

 

この事件へ首を突っ込む事に関してローは仕方がないと言いたげにして付いてきた。

 

「別に無理に付き合おう等と気をつかわなくとも良いのですよ?旦那様」

 

「夜中にお前が人に襲われたらどうするる?防衛手段はあるのか」

 

夜中は襲われやすいから付いて来てくれたらしい。

 

こういうさり気なさに赤面しているから夜で良かったと思う。

 

顔の色も見えないし、いくら彼の夜目がある程度効くといってもここまでは分かるまい。

 

好感度の上がり具合をとことん感じたのでそこは焦らなくてはいけないが、今は兎に角張り付いて犯人を見つけなくてはいけないし呼吸を数回。

 

「どうやら来たみたいだぞ」

 

「え。人?」

 

何やらゴソゴソしている妖しい人影が動いている。

 

彼の目には僅かに何をしているかを知ろうとしている雰囲気を感じた。

 

(やっぱり犯人は本物の人か……呆気ないカラクリ)

 

本物の幽霊だったならば楽しそうだったのに。

 

残念に思いながらこんな子供の悪戯みたいな真似をする人物を捕らえる事にする。

 

持っていた魚を捕獲する網目の捕獲縄を手に持って、密かに練習していた手順で捕まえた。

 

これは屋敷に賊が入ったときに防衛と攻撃手段を得る為の自己防衛だ。

 

決して、ローにこれで嫌がらせしようなどとは思っていない、思っていない。

 

大事な事なので二回言わせてもらう。

 

「おい……いつの間にそんな技術身に付けたんだ…………」

 

ローの呆けた声音を聞きながら悪戯をする犯人の叫び声の場所へ向かう。

 

なかなか良い筋だと思う、自分でも上手くなったと言える。

 

「え?大人?幽霊騒ぎを起こしたのって…………嘘でしょう……」

 

子供ではなくちゃんとした大人だった。

 

網に入れた状態のまま脅す。

 

「黙れ。痛い目に遭いたくなけりゃ今すぐその煩い口を閉じな」

 

その辺を通りすがった通り魔みたいに見せかけて吐かせようと決めていたが堂に入っているらしくローのギョッとした雰囲気がこちらを突き刺す。

 

「ひいい!どうか命だけはっ……金ならやるからあ!」

 

「聞こえなかったのかい?黙れって言ってるだろう?」

 

犯人はそれで泣きそうな声音を押し殺して黙る。

 

あまり叫ばれると人が出てきて尋問が出来なくなってしまう。

 

「あたいの聞いた事だけ答えな」

 

「は、はい……!」

 

盗賊か何か、兎に角危害を加えられると思われているのでスムーズに事が運ばれる。

 

「ここ最近幽霊騒ぎが近辺で起きてるって聞いてね。これはあんたの仕業かい?」

 

そうだ、と答えたのを聞いて理由を聞く。

 

けれど、後ろに恐い相手が居るからかなかなか口を割らない。

 

「仕方ないねえ。あんまり服を赤く染めたくないんだけど……足から風穴を空けてやるよ」

 

脅す、脅し文句に重ね、相手が慌てて誰の指示かを吐く。

 

「今日の事は好きに報告しな。精々これから背後には気を付けるんだねえ……ははははははっ」

 

不気味な高笑いでフィニッシュ。

 

最後、相手に持ってきていたクロロホルムで眠らせて網を回収して証拠隠滅。

 

最後の最後に相手の額から顎下にかけて『怪盗R』と書く。

 

屋敷へ速やかに帰還し、ローと少し居間で今日の疲れを癒す。

 

真夜中のティータイムだ。

 

ローは一息付くや否や、凄く聞きたそうにこちらを凝視してくる。

 

「お前はなに者だ」

 

「あらやだ。私の顔をもうお忘れで?お早い病にかかられたのですね」

 

嫌味を乗せてそれに返すとローの鋭い目が射抜く。

 

「ただの貴族の女にしては何もかも可笑しい」

 

「でしたら別れるなり何なり、私と縁をお切りになされれば良いのでは?貴方がこの結婚を望んだのですけれどねえ」

 

これを機に離婚してくれるのなら嬉しいが。

 

疑うのなら調べてから結婚すれば良いではないかと呆れる。

 

最も、結婚したての頃はまだこの人格はないので調べても何も出ない事は己が一番良く知っているけれど。

 

茶目っ気のある目でローを見やると先程の鋭い目はなくなっていた。

 

「そう言われたらそうだな。だが、別れる予定はない。益々目が離せないだけになった」

 

また知らずの間に好感度を上げてしまったらしい。

 

「そうですか?私は逆の事を推奨するだけですわ」

 

つまり別れろと言ってみてもローは聞いている素振りもなく口元を上げただけだった。

 

「それにしても、まさか犯人があそこを狙う土地の奴だったとはな」

 

「あそこに居る人達は皆民間人。貴族の沢山来る娯楽施設の近場であったなら狙われるのも当然な立地ですものね」

 

犯人の言った内容は幽霊騒ぎを起こして土地に曰く付きというものを貼り付けて値段を土地事下げさせてから買い取る。

 

貴族にそこへ住んでもらい腕利きのゴーストを倒す人間を招いて脅威は去ったと大々的に貴族に売り出す。

 

「おれはお前の網捌きと女盗賊の演技に目から鱗だったけどな」

 

「私から言わせてもらえば貴方は男性なのにただ立っていただけだったのは期待外れでしたわ」

 

つまり、何もしなかった男だと認識させてもらったという事だ。

 

ローはフフフ、と笑うと「あまりに演技が凄過ぎて自分の入る隙がなかっただけだ」と言い訳してくる。

 

あの程度で驚くなんてローはやはり若い証拠だ。

 

「で?これから何かやるのか?まだ立ち退かせる気があると思う」

 

「ええ。それは私も同じです」

 

やれる事は僅かしかないが、しないよりは効果があると思っている。

 

リーシャは高揚感の残るまま、寝室へ向かった。

 

 

 

後日、幽霊騒ぎがあった町では『地主が町おこしをしようと盛り上げる為に幽霊がランダムに出るというイベントを行った(という噂であり本人も非公認の噂)』が流れて、逆に幽霊が出ても嬉しい、楽しい悲鳴が起こる町となった。

 

それにより娯楽施設が近いという、他にもイベントを定期的にする町と有名になり土地を奪おうとする機会が永遠に奪われたという。

 

 

 

 

 

それ日は生まれて初めて長いと感じた一日だった。

 

後になって思えば、いつ破滅しても可笑しくない男の隣に並んでいたのだ。

 

 

 

リーシャはその時間、ひたすらローの好感度を下げる方法を探していた。

 

日記に書き溜めては悩み、頭を捻る。

 

(食べ物に全部唐辛子入れるとか?)

 

地味だけれど嫌われるのは必然な方法だ。

 

「奥様っ!」

 

メイドの二人が慌ただしく屋敷の中を走りこの部屋へやってきた。

 

その顔は鬼気迫る感じで、何かヤバい事態があったのだと思うのに時間はかからなかった。

 

「どうしたの?」

 

こちらも慌てるとパニックになると冷静を努め聞くとメイド達はこちらに盗賊の姿をした人間達が押し寄せているらしいと受ける。

 

シャチとペンギンにそれを伝えてこいと言われたのでここまで来たのだと言う。

 

彼等は何をするつもりなのかと思ったら想像に難しくない。

 

電伝虫を取ると慌てて電話を掛けて二人を召集する。

 

「奥様!私達はどこに!?」

 

「ええ。隠し部屋があってそこから見つからない出口に行けば今なら囲まれる前に脱出出来るわ!こっちへ来て!」

 

実は作ってあった。

 

いつからか、その部屋を作るのが貴族の間に恒例となっていたので迷う事なく案内する。

 

その道すがら、シャチとペンギンもやってきてこの屋敷に集う人間達の事を教えてきた。

 

「どうやら彼等はせ、じゃなくて旦那様の留守を狙って来たみたいです」

 

ペンギンは落ち着いた様子でシャチと言い合う。

 

「人質にしようとしている可能性があります!」

 

その言葉に蒼白になるメイド。

 

まだ若いし、死にたくないと顔に出ている。

 

彼等の言葉を纏めるとどうやら七武海として制裁した海賊達の残党が報復をする為に手を組んだのでかなりの人数らしい。

 

リーシャを人質にして首を取るつもりらしい。

 

それか、妻である自分を殺してローに絶望を味遭わせようという目論見らしい。

 

隠し部屋兼隠し通路のある所まで急いで行くと先にメイド達を行かせる。

 

「ですが奥様はっ」

 

私も後から直ぐに行くわ、と宥めて振り返るなと行ってから背中を押す。

 

それから使用人のシャチとペンギンへ向かい合ってから彼等をこちらへ手招きする。

 

「どうしたのですか奥様」

 

「早く逃げないと!」

 

二人の意見は無視をしてもう一つの扉に手を掛けてそこへ通す。

 

その部屋を見た二人の反応に笑えてくるが、今は盗賊、みたいな海賊達の対処が先決だ。

 

「この部屋は監視とトラップを発動させる部屋よ」

 

「トラップ?」

 

「監視電伝虫を置いてあるのは知っていましたが、こんな所まで……驚いた」

 

敬語が抜けてしまっているペンギンを後目に海賊達が中へ入ろうとしている映像が沢山のモニターに映っている。

 

もしかしてこういう事態を想定して設置したのかとシャチに言われたが首を横に振ると笑う。

 

「旦那様で遊ぶ為に罠を仕掛けたの」

 

「「え」」

 

二人の呆気に取られた顔は見なかった事にして一つのボタンを躊躇なく押す。

 

監視カメラには次々と倒れていく外にある像。

 

バリーン!と派手な音がしてそうだが、お金の問題も関係なく次々ボタンを押していく。

 

そうしていくとトラップが仕掛けられている事に気が付いた海賊達が集団となって固まる。

 

「こういうのはタイミングが命よ」

 

ポチッとな。

 

「「えええええ!」」

 

集団が落とし穴にハマった。

 

結構大きめに作ったので力作だとは匠談。

 

しかし、そろそろ防衛機能も限界になってきた。

 

元々一人用だったので回数や量はこんなに大人数には対応出来ていない。

 

すると、シャチとペンギンが戦うと言ってきた。

 

そう簡単に言うが相手が多くて捕まるだろう。

 

「駄目よ。貴方達は腕に自信があるようだけれど、人数が圧倒的に多いわ」

 

「大丈夫です!」

 

「勝てます!」

 

ペンギン達は意気揚々と言うが首を振る。

 

「貴方達が命を捨てる事はいけないの。私の為に尽くす必要何てないわ。貴方達は彼の為に命をかけているのでしょう?」

 

「!?」

 

二人の目がこれでもかと見開かれて動揺しているのが理解出来た。

 

「だからここで出て行く事は許しません」

 

「いつからその事を……」

 

シャチは気まずげに聞いてくる。

 

ペンギンは険しい顔をしてこちらを警戒しているようだ。

 

「そうね。取り敢えず使用人としては有り得ない事ばかりするからバレバレだわ」

 

すると、二人は肩の力が抜けたように脱力する。

 

バレていないと思っていたのがびっくりだ。

 

「嘘だろ……はあ」 

 

ペンギン達は再度肩を下げてしょげる。

 

ふふ、と笑っていると脳裏に買い物の時の出来事が浮かぶ。

 

「あ、しまった……!」

 

ローに上げようと思っていた筈の帽子の事を思い出す。

 

二年後バージョンのあの帽子。

 

(置いてきちゃった!)

 

それを見つけた途端にこれはフラグだと、嬉しくなってついつい買っていた。

 

まだローに渡せていないので取りに行こうと、彼等に直ぐ戻ると言って帽子を探す。

 

「外は危険だから出るな!」

 

制止の声を振り切って外へ出る。

 

海賊達にバレないように這ってから自室へ行く。

 

帽子が入っている箱をクローゼットから取り出してから安堵。

 

その瞬間、窓が割れる音が聞こえて恐怖に立ち竦む。

 

叫び声すら出せないような恐さから後ろを反射的に向くと如何にもな風貌な男がこちらを見ていた。

 

その口元を醜く歪められる。

 

「見つけたぜ!」

 

その視線に負けじと対峙しつつ後ろへ下がって出口へと足をゆるりと動かす。

 

捕まるものか、意地に掛けても人質になんてならない。

 

刃が足に向けて攻撃されるのを感じて、足を封じ込める気だと戦慄を覚えながらなんとか避ける。

 

(まさか避けられるとは)

 

自分でも避けられるとは思わなかった。

 

海賊は怪訝にこちらを見て真顔になると喋り出した。

 

「お前、トラファルガーの女だろ?」

 

「いいえ?所詮は政略的に結婚した愛も何もない仲ですわ」

 

そう言うと見逃して貰えないかと考えた末に男は腹立たしい顔で上から下まで舐めるように見てから「じゃあおれが味見しても良いんだな」と肯定の言葉に鳥肌が立つ。

 

「いいえ。貴方と結ばれてもメリットはないので無理ですわ」

 

あくまで冷静に振る舞ってからニッと笑うと出口に掛け出した。

 

その後を男が追ってくる。

 

今日はラフな服装ではないので走り辛い。

 

はっはっ、と息を吐き出して走るが、海賊と令嬢では出来レースも同然だった。

 

 

 

追いつかれる、追いつかれないの距離で頑張って逃げていたが、とうとう捕まってしまう。

 

髪を遠慮なく引っ張られて苦痛に呻く。

 

みなさん、髪を引かれるのってヤバいくらい痛いようですよ。

 

それから仰向けに投げ出されて上に跨がってくる男は服に手を掛けて胸元の開いている所から片手でビリリリリ!と横に力の限り裂いた。

 

破いたに近い裂き方に握力ヤバい、と内心引く。

 

「ヘヘヘ、大人しくしてりゃあ可愛がってやるよ」

 

下品な口でそう宣う。

 

純潔のこの身を汚されるくらいならローにあげた方がずっとずっとマシだ。

 

(て、なに考えてんの私!?)

 

呆気なく殺される方を想像していたので、こういうイヤーンな展開に焦る。

 

人質か殺すのかという作戦ではなかったのか。

 

上も下も明け透けに見えてしまっている。

 

辛うじて下着の次に付けるコルセットが下着を隠しているが、コルセットも取られる。

 

暴れても体力的に負けてしまう、だとしたら、勝てるのは順応に従ってこの男をつけあがらせて操ってしまう。

 

この作戦はやられてしまう前提なのだが……。

 

やはりローにやれば良かった。

 

内心悔しさに挫けそうになるがフッと肩の力を抜いて男の首に手をやる。

 

腕を掛けてシナを作り自分なりの艶やかな顔を作った。

 

「あ?」

 

海賊はこの行動に怪訝になって、リーシャは艶めかしく誘う仕草をする。

 

(もう、やるしかない)

 

所謂ハニートラップだ。

 

「私、実は×××好きなのですよ?だからするのに反対は致しませんわ?でも、此処は固いのです。出来ればあそこにあるソファーまで運んで下さらない?」

 

腰をクネらせて男の頬に手を当てて触りたくもないのに滑らせる。

 

全部終わったら消毒してやると決めた。

 

男は突然態度が変わったこちらに何も疑わずに嬉々としてソファーに運ぶ。

 

襲われるのではない、逆にこいつを懐柔してやるつもりでやろう。

 

「でも、実は一人でしかしたことがないのです。宜しければ、指南して下さる?この逞しい貴方の×××で」

 

放送禁止用語を使って言ってみれば男は喜んで顔を緩めた。

 

気持ち悪い。

 

キスしようとしたのでスッと指先を押し当てて「それは後にして、貴方のを×××たいですわ」と目線を男の足と足の間に向けてみる。

 

それだけでゾクゾクとしたらしく早急にベルトを外し出す男、バカめ。

 

「ぐああああ!!?」

 

突然男が目の前から消えた。

 

鈍い音を立てて吹き飛んだらしい。

 

横を向くと壁にめり込んでいるのが見えて反対を向くと青筋を立てている男、ローが居た。

 

どうやら帰還したらしい。

 

密かに息が上がっているし汗もかいているらしい。

 

セクシーだ。

 

やがてローはこちらを向いて、変な事を言った。

 

「お前も死にたいらしいな」

 

そんな訳ないだろうと呆れるとどうして隠し部屋から出たのだと言われて言葉に詰まる。

 

まさかローにあげようとしていた帽子を取りに行ったからとは言えない。

 

「男に抱いてもらう為に出たんだろ。言わなくても分かる」

 

「もしかして聞いてらしたの?」

 

あまり聞かれたくない内容だ。

 

ローは頷く事もせず先程の男のように乱暴に腕を引く。

 

痛い。

 

怒られる言われもない気がした。

 

今回の騒動の発端、原因は完全にローにある。

 

この屋敷にずっといて、逃げる手段も碌に持てず、仲間も居ない自分に対して、ローは自由に外へ出られる。

 

どうして自由なローに自由じゃない自分が責められなければいけないのか。

 

抗う方法だってないのに、抵抗しても襲われてたのは理解していたからこそ自分なりに頑張った。

 

ローに初めてをあげてもいいとさえ思ってしまった事が嫌で、認めるわけにいかない。

 

「聞いてんのか、尻軽みてェな真似しやがって……!」

 

「煩いこの野郎!」

 

「っ!」

 

突然言い返したので呆気に取られるローに、帽子の入った箱を投げつけて逃走する。

 

制止の声が聞こえた、今日で何度その制止の声を聞いただろう。

 

メイド達は無事に逃げられただろうか。

 

頭の中に次々と疑問、悲しみが湧いてきてはその度に涙腺が緩むのを感じた。

 

最後には大泣きして、ワンワンと泣いてしまう。

 

いつの間にか外にいて、海賊達が地に伏していた。

 

どうやら殲滅したらしい。

 

「恋愛結婚の夢を返せええええ!」

 

海賊の倒れている姿しかないと思うと自然と愚痴や溜まっていた不満が口から出た。

 

「結婚式上げてやるううう!」

 

願望だ、大爆発した。

 

「旦那は優しいのがいい!」

 

「普通の仕事の人がいいよおおお!」

 

「でもガリマッチョが良いです!」

 

と途中から神様に頼み事!の類を叫んでしまっていた。

 

次を叫ぼうとすると、ローらしき腕が腰に回り、ギュッと後ろから抱きつかれた。

 

叫んだそれらを聞いたのだろうローは「おい」と呟く。

 

無視をしながら不満は本人の方が良いと思った。

 

なので、ローに向かって今度は文句を言う。

 

「離婚したいから後で離婚届にサインしろお!」

 

願っていた内容を暴露する。

 

「賠償金払え馬鹿!」

 

訴えてやる、捨ててやる、こっちから捨ててやるわ!

 

「バツイチになりたくないけど己むを得ない!」

 

ローも「おれも同じバツイチになるんだぞ」と言い返してきた、知るかそんな問題。

 

彼に投げつけた箱の中に仕舞ってあった帽子をローが被ってる事を知ると、その瞬間キスされる。

 

(はっ!?)

 

ぴたりと涙が止まったリーシャにローは優しい顔で言う。

 

「政略結婚から始まる恋愛だってロマンじゃねェのか」

 

問われて唸る。

 

「そんなハードな恋愛嫌だ!」

 

「おれだってまさかお前がこんなんだとは夢にも思わなかったからお互い様だろうが」

 

クスクスと笑うロー。

 

「う、じゃ、じゃあ、このまま離婚しなかったら我が儘沢山言うんだから!」

 

これじゃあ子供みたいだ。

 

「ほォ?例えば?」

 

予想外の切り返しに言葉が詰まる。

 

苦肉の顔で案を捻るが、上手く頭が回らない。

 

「海に連れてって!海賊になりたい!」

 

「……海賊?」

 

これにはローも戸惑ったらしい。

 

リーシャは敬語がなくなって暴走する程混乱していた。

 

「麦藁海賊団の。これ凄い重要!」 

 

「何でまたそんなとこに入りたいんだ……?」

 

ローの疑問なんて些細な事だ。

 

「麦藁海賊団が世界一イケてる海賊だから!」

 

「そこは俺のとこだろ普通」

 

「潜水艦ってジメジメしてるから嫌。あと貴方も居るから」

 

「あ”?」

 

凄い眼孔で見られた。

 

「ほら!そんな風に脅すからだ馬鹿!」

 

「……染み付いたもんはなくならねェ」

 

「染み着いてんの!?それってそういうものじゃないでしょ!」

 

「兎に角おれのとこだ」

 

「やっぱり我が儘に答えられないんでしょ!……もういい」

 

「夫婦が違う海賊団所属とかあり得ねェだろ」

 

「そういう狭い偏見が野望の邪魔をするんだよ!?それにさ別に私達」

 

言ってはならないワーストフラグの上位に食い込む事をこのいけないお口は言ってしまった。

 

「本当の夫婦じゃないじゃん!」

 

初夜をスルーされた記憶は確かだ。

 

でも、言ってはいけなかったのかもしれない。

 

発言をした瞬間、リーシャは見た。

 

彼の口元がつり上がるのを。

 

「だったら……」

 

嗚呼、その先は。

 

「やっぱいい。何も言わなくいい。ほら服破けてるし私帰らなきゃ」

 

棒読みになる台詞を言っても彼は止まらない。

 

「本当の夫婦になればいいだけだ」

 

言うな!

 

「簡単な解決策があって良かったじゃねェか」

 

良くねええ!

 

 

 

***

 

 

 

ハローこんにちわお早うございます。

 

貴族令嬢のリーシャです。

 

ついに我が夫で七武海のトラファルガー・ローと……し/ょ/やなるものを、一線を確実に越えてしまいました。

 

なかなか熱うございました、ええええそりゃもう。

 

恐らく昨日の海賊に襲われていた事が後を引いていたせいもあったのでしょう。

 

ええええそりゃもう。

 

え?今はどこに居るのかって?ベッドの中です。

 

今は朝なのでお隣に寝ている筋肉が程良くついたお方が目に嫌でも写ります。

 

嫌でも嫌でも「昨日はこの人の……」と恥ずかしさにやられてしまいます、ええ。

 

あ、起きてしまいました。

 

まだ目がとろんとしてる。

 

寝ぼけてるのかな?なんて言うか!

 

ええい!寝ぼけたフリをして尻を触るな!胸も触れるな!

 

楽しそうに笑いやがって!

 

ムカつくので足で蹴ってみた所藪蛇をつついたらしく、厭らしい手付きで体を触り出す。

 

抵抗して外へ行こうとしたらまたシーツの波に沈められ……中継強制終了。

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