短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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旦那様は七武海(番外編)12ー14

フランキーのビームにより壁は壊れ脱出する事が出来、サムライの言葉やらで共に行くことになる。

暫く走り辿り着いたのは子供部屋。

うん、原作に通っている。

次いで子供を助けたいという仲間の言葉に皆賛同する。

こういう所が好きなんだ。

ほんわかとする気持ち。

走ってまた違う部屋に行くと今度は寒くて子供達が怯えている。

思い出せぬその場所は氷付けのーー皆怯えて走り出すのを慌てて追いかけるとゼエゼエと肺が悲鳴を上げた。

皆若いし元気があるね。

おねーさん付いていくのが精一杯。

 

(あ、出口…………じゃない)

 

皆一様に出口だと喜ぶが正確には入り口にあたるそこ。

扉がバン!と開かれて、その前に脳裏に過ぎる知識。

これアカン奴や。

 

「ホアチャー!」

 

方言に付いては突っ込むのは無しにして欲しい。

ワーワーとなる皆に空気は冷たいが、気にするべきなのは正面。

ローと海軍が対峙しているのを見てしまいフランキーの影に隠れる。

幸いまだ気付かれていない。

ナミがローを責めてる。

プー、クスクス!

怒られてやんのー!

草を生やして内心笑う。

あっちに逃げるぞとサンジが言うので慌ててフランキーの背中に飛び付く。

これ以上はもう走れないのだ。

 

「海軍が何で居るんだ」

 

海軍の方をチラリと見ると皆こちらを見ていてこっちに来る気配がする。

若干ローと目がかち合ったような。

 

「あいつが何で此処にっ」

 

と言っていたらしいが距離的に聞こえ無かったのは凡ミスだったかな。

だって、来る技が避けられなかったのだから。

ルームを展開したローは皆の精神を入れ替えたが、リーシャは何も変わらなかった。

疑問になり首を傾げているとヒュッとフランキーの硬いボディが目前から消えて雪の上に立っていた。

 

「あああ!」

 

雪と入れ替えられたと秒速で理解し、いつもよりアドレナリンが出ていたので彼等の後を追う為に即座に動けた。

しかし、それは行く手を阻む者により行けなくなる。

 

「何故此処に居る」

 

「あら?どなたかしら、貴方?」

 

すっとぼけた顔できょとんと訊ねる。

 

「ふざけてんじゃねェ」

 

「乱暴な殿方ですこと。離しなさい、無礼よ」

 

内心三文芝居を繰り広げる己に満足してローを見ないまま、手を振り払う。

死を望み仲間の元に帰る気がなかった船長ーー元船長になど微塵も心は動かない。

 

「野蛮ねぇ」

 

死んだのだ、もう自分の中では。

仲間に責められぬからと言って許す真似等しない。

 

「もし、そこの海軍の方々!助けて下さらない?酷い事をする気よ、この人っ」

 

「!、てめ」

 

「もう、離しなさい!止めて!いや!」

 

猛烈に芝居だが激動を意識して海軍に助けを求めるとGー5の人達はトラファルガー!といきり立つ。

それに彼は煩わしくなったのかルームで氷山と海軍の軍艦を滅茶滅茶にしていく。

今頃壮大且つ残酷な音楽がBGMとして流れている事だろう。

逃げるのに忙しくてこちらを助ける余裕はなさげだ。

助けられるのを期待していても援護は望めないのでリーシャの攻撃を唸らせるしかない。

 

「お退きなさい」

 

ーービシャアン!

 

魚取り網を叩きつけて威嚇。

その後、ローに掛けるがそれはダミーでもう一束の網を振り回す。

おりゃあああー。

荒ぶるままにワンワンと動かしているとたしぎという人がローに向かって走ってくるのが見えて邪魔にならぬように避ける。

多分二つにぶった切られるので尊く散ってもらうとして、問題はスモーカーの攻撃の最中、どこまで遠くに行けるか、だ。

皆を追いかけるよりルフィを待った方が早いだろう。

スモーカーの前にたしぎがまたローに斬られそうになるが、そこへスモーカー。

十手を刀にぶつけてたしぎへの攻撃を中断させる。

やった。

ローなんか倒してしまえー。

 

「スモーカー氏、頑張って下さいまし!」

 

「………あ?なんなんだ、あの女」

 

スモーカーが怪訝になる中、己が応援されないという理不尽にローは少し機嫌が悪くなりながらも彼に吼えた。

 

「おれの妻だが」

 

「っ、何ィ!?そういやァ、結婚してたなてめェ。上に見合いを押しつけられたか?」

 

「てめェが独身なせいでおれまで余波を受けたんだ」

 

ローの挑発にスモーカーは下らんと一蹴し再度武器を構えて叩きつける。

スモーカーの記憶では妻のプロフィールという程の物は無く、小さな隅に令嬢という程度しかなかった。

それでも一般人にカテゴリーに分けられる。

その令嬢が何故この島に麦藁達と居たのか、ローと共犯のか、それとも別の口か。

 

「スモーカー氏、岩が出てきますわよ!」

 

「!」

 

スモーカーはその言葉と共に岩に突かれてしまう。

助言をしたと言うのに活用されなかったがっかりは生半可な物ではなかった。

折角教えたのに。

やはりローには勝てぬのかと惜しくも負けた。

 

「スモーカー氏!」

 

「メス」

 

ローにより例の技が繰り出されスモーカーは惨敗し地面に転がる。

リーシャは駆け寄ろうとしたが片腕に阻まれるので、睨み付けた。

 

 

 

ブラウンイエロー、ミルクティー色の瞳がこちらを射抜く。

そんなの慣れてるから怖くなんてないもんねっ。

暫くするとたしぎが戻ってきてスモーカーに絶望しまたローに迫った。

しかし、ローはまた例の技でやり過ごし難なく済ませる。

本当、乱暴だ。

こんなのと紙の上では縁を結んでいるなんて、あーヤダヤダ。

ふう、とわざとらしく溜息を吐き彼に向けて再度言い放つ「で、どこのどなた?」を発動。

漸く苛立つ顔でなくなり冷静になったのか腕をグイーンと握ってくるので無礼者だと罵る。

 

「まさか、本当に覚えてないのか」

 

そんなわけあるか。

記憶喪失にはそんな都合良くなりませぬ。

 

「離しなさい、不敬ね」

 

蔑む眼を向けて振り払う動作。

やはり離さないつもりなのか離れない。

嫌がってるんだから離せよ。

 

「トラ男ー!」

 

あ、ルフィのご登場だ。

ローは麦藁屋、とぼそりと言う。

ルフィにとっては彼はもう友達の認識だ。

そこでルフィはこちらも見つけて名前を呼んでくれる。

名前を呼ばれて有頂天になる。

だって、あの、ルフィに、呼ばれるのだ!

こんなに幸せな事はない。

 

「ルフィさん!ルフィさーん!」

 

様と付けたいが嫌がられるだろうから。

 

「おー、なんでお前も此処に居るんだ?」

 

ルフィに説明をして納得された。

ついでにリーシャも茶髭の背中に乗る。

ロー?ローは間抜けな瞬間に抜け出したので知らん。

どうでもいい。

ルフィより上はないので放っておく。

今の最優先は麦藁である。

リスペクト必須。

何が何でも付いて行くし見逃さない。

 

「麦藁屋、その女は」

 

「トラ男、おれの仲間の行方知らねーか?」

 

プークスクス遮られてやーんの!

ローは話し掛けて問うのを止め、ルフィにあっちへ行く様に言う。

茶髭が助けてくれの顔をするが彼は全てを無視。

当然だ、別に仲間でも、慣れ合ったりした事も、するつもりもないのだろうし。

茶髭は虚しくまたタクシーになる。

ほら、働け働け。

真実を知るその時まで。

ローがこちらをちらりと見たがそんなの気にする様な繊細さは持ち合わせていない。

向こうへ行くとナミ達がパニックを起こしていた。

何せ、精神が入れ替わってるんだもん、同然だ。

 

「なはははは!」

 

ルフィは笑った、ナミは怒った。

混沌としている。

和やかな一コマ、そこに這い寄る影。

あー、そういや居たな、雇われた二人の巨人が。

些細な事過ぎて記憶から抜けていた場面。

 

「フランキーさん!あ、じゃなくてナミさんー!」

 

叫んでも助けられないので大人しく奪還を待とう。

暇である故に残りのメンバーとで待つ。

あー、あれ何か忘れてるような。

此処に居ては本末転倒な事を忘れているせいで何故此処に居てはいけないと思うのだろうと必死に思い出そうとするが七十巻以上の一冊分の詳細を事細かに覚えている程読み込んでいない。

ましてや、マンガは誰かから借りたような記憶があるので己の持ち物ですらなかった。

モヤモヤとした不確かな記憶であるがそう思うくらいには読み込んでない。

放送されている分も加えて覚えているので辛うじて対応出来るのだ。

思考に耽っているとルフィ達が戻ってきた様で居残りメンバーが声をかけるのが聞こえた。

それに習い顔を上げると笑顔から堕落した天使の如き破顔を構築。

突き落とされる感覚とはこの事か。

目に写るのは疲れ切ったナミ、ルフィ、チョッパー、そして、ロー。

現実逃避したーい。

そうだ、だから離れていた方が良いと記憶が揺れたのだ。

うっかり失念し過ぎだ自分。

ルフィが合流した仲間にこいつと同盟を組むというので辺りは騒然となる。

それは知っていたがどうこうなるものでもないので放置。

ローをバッシと叩くルフィ。

もうペースに呑まれているのやもしれん。

こちらを一瞥しないままこのまま計画を話すのかと思いきや、相手と眼が合う。

忘れていたのかと思いきやな行動に次いでローの口から「この女のことをどこまで知っている」と言い始め背筋にイヤーな物が這う。

ヤメロ言うな。

 

「海で釣ったら釣れたんだ。にしし」

 

得意気に経緯を話されたローは眉間に皺を寄せて苦悶な声音で言い放つ。

 

「そうか。妻が世話になったな」

 

げ!言いやがったぜこいつぅ!

そして声が合わさりカエルの合唱一味。

 

「妻~!?」

 

そりゃそんな反応になるよね。

今や王下七武海にまでのし上がったんだもの。

皆の視線を一心に受けてオヨヨ、とハンカチというアイテム片手に語る。

 

「涙無しには語れない話なんです。その男とは仕方なく結婚しました。有り体に言えば政略結婚ですぅ」

 

涙声で演出。

それに同情を寄せてくれる人ーーいやかなーり同情してくれる人が一人居た。

 

「なァにィ!?許せん!女の結婚を無理矢理なんて!」

 

皆さん想像通りのサンジでござい。

そーなんだよね、ローの独壇場ではないのだよ。

ルフィに振り回されている上にサンジまで相手に彼は好き勝手こちらを操れない。

成り行きの行動だったとはいえ強力な後ろ盾が出来たのは幸いだ。

ローはこちらをねめつけて僅かに怒気をたゆらせて見てくるがそれさえも震えてみせる。

逆効果逆効果。

これで麦藁達はローと私の関係を察して、接触させぬ様に計らってくれるだろう。

くひひ、演技勝ち。

魔女みたいな声が出るが許してほしい。

ローに対して上手に逃げられればそりゃあ高笑いもしたくなるのだから。

後で反撃される確率は格段に高いが今の所は彼等を防波堤にしておくから安全に行ける。

彼等に引っ付いて居ればローからの言及はないだろう。

彼を知り尽くしている訳ではないがそれなりにプライドを持っているのは知っている。

ふふん、これぞ女であるが故に使える技だ。

 

 

 

 

 

一騒動を経てロー達は子供達を置いていくか置いていかないという台に乗っかる。

勿論リーシャだけだったならば苦々しくも置いていく一択。

しかし、彼等はその能力も技量もある。

子供達を抱えたまま脱出も可能だろう。

彼等が白というのなら白だ!

つまり、子供達を連れて行くというのならば小さいことしか出来ないが手伝いたい。

ルフィにはその行動をする程の器も感じるし人を引き付けるという感覚は何とも心地良い。

 

「はぁ、分かった」

 

ローが同盟についてウソップに指摘され唖然とした後、諦めた声音で了承、否、妥協。

リーシャも同盟については利害の一致という知識しかないのでルフィの態度がなんの問題も無いように思える。

まあ、ローからすれば、世間から見ればルフィの同盟の受け取り方は有り得ないのだろうけれど。

しかし、今の己は麦藁のイエスマン。

ハートの輩のフォロー等しない。

此処に彼等が居ても麦藁を説得する事は不可能だ。

味方はゼロのローに内心良い気味だと思った。

今の状況はリーシャがかつてローを待つ為だけに居させられた屋敷の状況に少し似ている。

味方も無し、試みられず一人で居たあの時間。

思い出す度に仄暗い気持ちにさせられるのはもう一人の今世の自分が尾を引いている故。

全く、メンタルが弱いんだから。

貴族の箱入り令嬢なら当然逆行に弱いのは当たり前なのかもしれんが。

前世にお任せあれ状態なのだから何も感じる必要も苦労もしない。

勝手にやらせてもらいます。

ローにルフィ達が動けないチョッパーを頭上に括り付けている最中で、出来上がったとばかりに皆笑い出す。

それに彼はプルプルとなっていて私は笑みよりも憐れみを感じた。

あの、ローがこんなのになってしまったのだ。

ルフィ達によって。

あんなにハートの中ではトップらしいもの見せていて頼もしいと慕われている彼が今やその威力を失っている。

輝きがくすんで見えるのも間違いではなさそうだ。

生暖か~い眼で済ませてローを見送る。

自分はロビン達に付いて行く事にする、のだが、苦しい思いをするのだから今から憂鬱だ。

はぁ、溜息。

鬱に苛まれているとチョッパーを刀の紐に括り付け(許し難い仕業)立ち上がるとこちらを見て向かう。

さっさといけいけ。

犬を追い払う気持ちで見送ると周りも動き出す。

シーザーの誘拐だ。

皆、シーザーって嗚呼見えて強いんですよ?

なーんて口が裂けても云々、付いて行くだけの人形だ、なるんだ。

自身に言い聞かせて後ろを負う。

 

「よし、行くぞ!」

 

ナミ達と残れとルフィに言われたが痛い目に合う。

シーザーにエンカウントしたら棒で子供に殴られる、嫌だ。

痛いのは勘弁。

苦い顔をしてルフィ達に付いて行くと言う。

無理に願っているし足手纏いな実力なのは分かっているが、そっちに行かなくてどこに行けば良いのか。

困る、ヤバい、無理、無理ゲームだ。

難易度が高いパンクハザードなのだ、ヤダ、とひたすら痛い目に遭いたくないので懇願も力が入る。

お願いしますと頭を下げているとルフィが止めろと止めてくるので顔を上げる。

必死さ故か許可してくれた。

わ、嬉しいなあ。

 

「ありがとうございます」

 

礼を述べて付いて行く。

廊下を行くとどんどんスピードが上がる。

ローと離れる時、曲がり角でちらりと振り返ってみた。

まだ、彼はあの例の悪魔の実(?)の部屋には居かないから危険ではないが勝手に進めば行くことになる。

目が合った。

見ていないと思っていたから少し驚いた。

彼の目は確実にこちらを射抜いていて、何か言いたげだったけれど、それに目で応えることはない。

そもそも目で語り合える程シンパを感じていないし、通じ合えないので。

怒ってる?うーん、怒ってない?分からん、程度しか、見ても分からない。

船員達だってそもそも何もかも分かっているわけでは無さそうなのでリーシャが駄目な子ではないのは知っている。

麦藁達に付いていくのに集中する為に前へ進む。

皆に出遅れないように必死にそれだけを考える。

外に出ると覇気とやらでシーザーを見つけている中、ルフィがフワフワと膨らんでいく。

風船になって飛んでいこうとする。

どこに乗れば良いのかと悩んでいるとフランキーがガッシと掴んでくるので、甘んじた。

これなら安定性もあって掴まるところもある。

そのままシーザーに向かって直進していくと突撃。

シーザーに対して叫び声を上げていた。

シーザーとスモーカー達が驚く顔が見えて、そういえばこの人達も居たな、と思う。

彼らが驚いている間にローも建物を移動している事だろう。

そして、モネにまんまと騙されている事だ。

リーシャも直にシーザーにより酸素が無くなり失神する。

皆檻の中。

土の中ではないからまだマシだろう。

殺されずに実験台として扱われるのだから逃げる時間は出来るし。

皆がシーザーに攻撃する。

最初は不意を付かれたりしてシーザーはやられていたが、時期に反撃されていく。

ルフィもシーザーに近寄り過ぎて酸素が供給出来なくなり意識を失う。

ロビンが呼びかけるが遅し。

スモーカー達もリーシャも酸欠で意識を失う。

ああ、酸欠ってまるで眠るように感じる。

起きたらローと同じ檻になるか、モブに混じり外に捨て置かれるか。

海賊として認識されていないので捨て置かれる可能性も高い。

出来るのなら建物内が良いな、外は寒いし。

 

ぱちり、と意識を取り戻すと隣にローが見えて、やっぱりかと嘆息。

こういう時くらい隣にいさせないくらいの配慮をして欲しい。

周りを見ると皆既に起きていて例のスマイリー映像を見せられていた。

写る悲劇はおいて置いて、今はその後、どう行動するかに掛かっていた。

 

「うう、出遅れた」

 

「あ、起きたか!」

 

ルフィがこの場に似合わない声音で話しかけてきた。

話し掛けられた、キュン。

 

「お役に立てず無念です」

 

俯いてルフィに詫びると応えたのはルフィでなくモネ。

貴方ローの妻なのね、と言われてハテ?と首を傾げる。

 

「誰かと間違えてますよ?私はこの人とはあまり話した事もありませんから」

 

半年以上話さない人とは親しい仲にはならない。

どちらかといえば知人に戻る。

少なくとも私はそう思っているからそうなるのだ。

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