短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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VRゲームを近未来でする話(後半)

その様子も動画として記録されている。

後でホームビデオとして見返す。

両親も自分たちの体験を記録されて、よみがえる事だろう。

 

ブドウを食べると瑞々しくて美味しい。

お高めのブドウの味がする。

この時代じゃ高級な品種が普通のブドウとして存在していた。

 

食べるともいだ分、美味しく思える。

美味しさに悶えていると皆も食べて、もいでいるだけなのに何故か美味しく感じると驚いていた。

 

「美味しいわっ」

 

「本当だね」

 

「本当ね」

 

ローもブドウをモグモグしていた。

彼らはやはり時間をかけて、ブドウを堪能していた。

マディはその間、なにをしようかと悩み、文字の練習をすることにした。

自主的に文字を早く覚えたくて暇さえあれば学習していた。

それをみたローママは驚きに目を見張る。

 

「その歳でもう?」

 

「マディは意欲的なのよね。誰に似たのかしら」

 

ボケっとした声が耳に入ってくる。

 

文字をかいては読む。

しかし、心の中で。

読めはするし、かけるけど、上手くなっておきたい。

今後、たくさん必要になるし、早く意思疎通をスムーズにしたいのだ。

ローのママはそれを真剣な顔をして、ローにもさせるべきかしらと悩む。

読み書きもアンドロイドにさせる。

なので、アンドロイドが居ない間にする意味が良くわからないけれど、マディが楽しそうならばなにか有意義な意味があるのかもしれない。

 

可愛いと文字を書いているだけで言われるビギナー人生。

そんな人生で良いのか?

いや、流石に甘すぎじゃないのこの世紀。

 

「きゃべつ」

 

「きゃべつを書けるの?凄いわね」

 

という娯楽の日々を過ごした。

 

次の日も娯楽を消費する為に色々して、時間は過ぎ、遂に6歳になった。

6歳になんの理由も無いけれど、親はしっかり祝ってくれる。

成長を見守られるのってこそばゆいみたい。

てれてれと照れながらアンドロイドの制作したケーキを食べて、幼児なりの礼として踊った。

ダンシングは無事映像に記録された。

見返して、後悔する黒歴史になりそうで冷や汗もの。

 

すくすくと育ち、VRゲームなどをさわれる日を待ち遠しく思っている中、学校に行かなくて良いのかなと思ったているが、自宅学習でアンドロイドが先生役になるので行くということも学校というものも廃れてしまったみたい。

 

確かに行く理由がなくなったかもしれないけど、交流って大切なんだよね。

なんとなく、周りが私の反応に驚く理由が垣間見えた。

運動会とかやってみたかったな。

 

子供でもできる仕事を探してみたけど芸能関係くらいしかない。

あとはなにかのキッズ大会。

娯楽関係ばかりだ。

もっと違うことがやりたいと歯ぎしりする10歳。

公園でいい感じの棒(アンドロイド制作)を使って地面に文字を書いていると周りに子供たちが集まっている事に気付く。

 

「なにしてるの」

 

と、聞かれて文字を書いているのだと言うと、文字のうまさに驚かれ、勉強が熱心なことにも驚かれた。

 

そんなことで?と思うかもしれないが、小学生以上の文字も書いていて天才扱いされ出した。

親も言っていたので言われるだろうなとは思っていた。

徹底的に悪意や偏見思想などが取り除かれた時代になった結果、人は純粋となり、個性が薄くなったのかもしれないと最近は推測している。

 

賢い人は勿論居るが、悪意のある存在は居ない。

教育の結末なのだとしたら、この世界は私みたいな疲れた大人にとって天国なのだろう。

 

疲れたついでに話しておくと、私は犬猫、小動物が好きだ。

あと、妖精みたいなちまちました生物が好きだ。

馬よりもユニコーンの見た目が好きだ。

角が生えているのってカッコいい。

話が大幅に変わったのは、染み染みして、シリアスな思考になっていたから、切り替えていこうかなって。

 

ペットという存在はこの時代にはいるが、アンドロイドとなる。

生身の生物はすべて違う場所で保護されており、そこに行かねばいけない。

最近の私のブームは猫を見に行くこと。

今の時代には野良猫は居ない。

すべてが管理されており、生身の犬もおらず、家庭にいるのはロボット犬。

色々私の時代でも問題とか事件とかあったから、そうなる未来は避けられなかったのだろう。

 

でも、私は生身の猫とか犬が良いので猫に会いに行く。

 

「可愛い!」

 

父と母は離れたところで怯えている。

映画のライオンは平気でも、生身のライオンはお断りという気持ちなのだろう。

無理強いはしないよ。

あくまで私が会いたいだけだもん。

猫をもふもふしていたらお世話するアンドロイドが近寄ってきておっかなびっくりして聞いてきた。

 

「怖くないの?」

 

「怖いわけないです。可愛くて可愛くて仕方ありません」

 

と、答えると店員は感動したようにこちらを見る。

 

「あなたのような人が世代を重ねるにつれて減ってきたのよ。とても悲しいわ」

 

「こういうシステムになった当時は、まだまだ見に来る人は居たのでしょうね」

 

猫という存在は生身の猫という意味しかなかった時代。

今はロボットだけど猫にしか見えないアンドロイドが成り代わってしまったのだ。

ここの施設は絶滅しないようにという管理をする目的の施設でしかない。

決して猫カフェのような落ち着ける目的の空間ではない。

その証拠に人間は1人も居ない。

うちの家族だけの貸し切り状態。

私はこうなったら保護されているが保護猫活動をすることにした。

 

『こんにちは皆さん。私は少女S。エスなのは響きがいいからです。これからご紹介するのはアンドロイドでもロボットでもない、猫という生物のモデルとなった元祖生物です』

 

動画投稿。

顔出しは無しのバーチャル姿で。

両親は相変わらず怯えながらも見守ってくれている。

そんなに怖いのならば外に出ればと聞いたら思い出のメモリーを見逃したくないよと言われた。

 

猫の紹介に始まり、施設の紹介。

店員の説明と施設内の撮影をして中を見せた。

猫カフェじゃないので飲み食い出来ないので、代わりに猫の食事シーンを撮る。

あと、先程からなんとなく店員と呼んでいるが正式には社員だ。

保護施設と管理を兼ねた場所なので。

猫の食事シーンに身悶えていると、店員のアンドロイドはマディの反応に嬉しさを滲ませて、おやつをあげないかと聞かれた。

 

いいの!?と嬉しさに飛び跳ねた。

おやつを恐る恐る食べる猫の愛らしさに目をハートにしつつ、それも撮影。

それと、注意事項として猫のアンドロイドと違ってすぐに近寄ってきてくれるなんてことはないことも言う。

あと、怒って爪で引っ掻いてきたり噛みついてきたりすることもある。

安全システムで怪我を負うことはないが、それが嫌で猫を嫌うという悪循環は困るので、注意事項として。

それと、人にも機嫌があるように猫にも機嫌があるのだと。

 

のちのち猫紹介として一匹一匹の紹介もしていきたい。

名前を聞くと社員の人は困ったように見てくる。

絶滅されないようにする施設なので番号なのだという。

それには私も困った。

いざ呼びかける時「──番」なんて呼ぶのもなんだか猫って感じはしない。

 

「私が名づける。私だけの名前なら許されるよね」

 

社員の人には正式ではなく非公式の名前としてデジタル札をつけようと、提案する。

彼らもそれなら規律に違反しないと嬉しそうに名前を考える。

試しにアンドロイド達の名前を聞くと製造番号を述べられて、やっぱりそうなるよね、と苦笑する。

個人名は無いのかと聞くと、設定してないと分かりきっていた事を聞き、悩む。

名前から取って、名づける作戦はあえなく無くなった。

 

どうやって名前をつけようかと考えていると、ピンッとと閃く。

 

「一番初めにつける名前は。ミライ!」

 

これ以上ないくらい、びっくり。

 

しかもだ。

 

なんとびっくり、生体の変化ついては変わらないが、寿命が大幅に増えていた。

 

猫様も犬様も人間の寿命を共に生きられて、共に過ごせるのだ。

凄いとしか言いようがない。

 

「ミライ。貴方はミライね。私のファーストにゃんこ」

 

横になりながら鼻ちょんと指先で挨拶した。

母と父は相変わらず端っこで縮こまり私達を懸命に撮影していた。

まるで台風時のアナウンサーのような逞しい顔をしている。

猫の施設を堪能した私達はそのまま帰宅して、動物ロボットをなでまくった。

動物のロボットでもAI持ちなので感情が有り、知能を持っているので生身の動物同様に人と絆を作れる。

家族団欒して、三人は変わらずのびのび過ごした。

 

後日、本物の猫に触った女の子として話題になっていた。

 

 

 

 

 

VRゲーム程ではないがVRブックなるものがあり、物語の中を体験出来るものがあるらしい。

やんちゃでおませになった11歳。

VRゲームはまだ無理だけどVRブックは解禁になった。

選別されているけど。

ローが少しずつ自我を持ち始めていたので、喋るようになっていた。

自我を生まれさせるのがこんなに遅いのは、年齢による老いがないからだ。

どうなのかなと倫理観を問い質したいところだが、私の倫理観は所謂世代遅れなので、害ある幼女と言われてしまうに違いない。

 

「ロー、今日は赤ずきんだよ」

 

「毎日リアクションしているのに飽きないな」

 

「面白すぎるもん。さ、レッツラゴー」

 

昔の用語を使っても現在の言葉に翻訳されていて、通じる。

 

「相変わらず古語が良く出る」

 

「古語って言わないで……?確かに平家とか千年前で古語って言われるから、私の使うこの言葉もそう言われてもおかしくはないけどっ、ね!」

 

マジ、とか、アゲ、とか、おけまるでも、もう古語だ。

死語とは聞いたことがあるが、死後を通り越して古語である。

あっぱれあっぱれ!

ヤケクソに笑みを浮かべた。

時代的に20世紀から25世紀も一括り。

なになに時代と呼ばれるのだが、超過密時代と呼ばれている。

進化と衰退と変動が激しい、という意味で付けられた。

残りの23からなにがあったのか非常に気になるのでたまには、アンドロイドに聞こう。

今はそれより、ブックだ、本だ、VRだー!

 

ローよ、早くダイブだ。

椅子に座り、早速起動。

目を閉じた途端に白い空間に居た。

 

「きゃー!」

 

「うるせェよ!」

 

ローがぐわっと怒る。

 

私と居たからか感情豊かに育った。

ワシが育てた、やってしまったのかね。

 

「赤ずきん、赤ずきん」

 

「リメイクされつくしてるのに楽しめるお前が凄い」

 

声を無視して私は、ゲームスタートを選ぶ。

 

「リンクスタートもやりたい!!!」

 

「ボリューム下げろよ!」

 

怒られた。

 

「景色が見えてきた。小ぢんまりとした家」

 

「赤ずきん、おばあさんのこと、宜しくね」

 

「うん」

 

こうやってみると、赤ずきんは12歳くらいか。

人食いオオカミの存在があるなら、一人で行かせる事がどれ程案件、事案なのか分かろうもの。

 

「さて、さて、ふふふん。どうしよっかな」

 

「さっさと誘導してクリア」

 

「最短は嫌。じっくり遊ぶの」

 

「勝手にしろ。狼に食われろ」

 

「それこそ最短ルートじゃん」

 

因みに頭には、大人と同じ知識が入っていく育児チャートがこの世界では確立されていて、総じて皆最後には賢い大人として大人入りする。

落ちこぼれはいない。

煮詰まったような近未来だが、過去の悲惨な出来事を無くそうとした今があるなら、受け入れようではないか。

 

「赤ずきん!」

 

幼児用のVRコンテンツなので、登場するキャラクターには基本的にAIが入っている。

体のない知的な存在だ。

 

「あら、マディ」

 

「どこか行くの?」

 

「おばあさんのお見舞いよ」

 

「そっか。でも、たまには私とも遊ぼうよ」

 

「え?」

 

「赤ずきんは子供なんだから遊ぶのも仕事だよ」

 

「プレイヤーが脱線させる話にするのか」

 

ローは破天荒さに慣れていたがここまでされると面白くなってきた。

 

「というわけで花をかんむりにする前に赤ずきんと遊ぶのだよ、ローくん」

 

「ローくん言うな」

 

 

***

 

 

遂に15歳。

この時代で15歳になるとほとんど大人扱いされる。

 

となればやるのは決まっているのである。

 

なにをするのかというとねえ?

 

「乙女ゲーム。ああ!圧倒的な輝き!」

 

昔は流行ったり、廃れたりを繰り返したゲームジャンル。

 

「眩しい!楽しみー」

 

と、でかい独り言を言いつつ、ゲームを始動。

 

「あー、スタート画面が幸せー!最高かよッ」

 

「「「セラクル学園」」」

 

タイトルの復唱に、重なる声優の声。

声優が豪華と聞き受け、スチルや絵の完成度を吟味しまくった、厳選したもの。

 

「くうう!15歳万歳!」

 

やはりVRなので、対象年齢が高くなっちゃうんだよね。

 

「かっこいよい。キャラクターがかっよい。良き良き」

 

《トルルルル。トラファルガー・ローから電話です》

 

「えー!今日は絶対に連絡しないでって一年も前から、何度も言ってたのに!」

 

理由はゲームの世界に浸りたいから。

 

「もー!もしもしぃ!」

 

『古語が出てきたな』

 

「今日はかけないでって言ってたよね?」

 

『そうだな』

 

「あ、そう。じゃ、切るね。マナーモードにするから」

 

『いや理由があっ』

 

──ぶち

 

強制的にオフ。

 

乙女ゲームに戻り、堪能した。

 

「ふいー、乙女ゲーム最高」

 

乙女ゲームを終わらせると、玄関にローが来ていたので、私も外へ出る。

 

「ん?なに?」

 

「乙女ゲームってやつをしたのか?したよな、お前だもんな」

 

「したした。やったよ。楽しすぎて毎日するけど?」

 

「そうか」

 

「ソロゲーだから、ローも入れてあげらんないよ。レースゲームしたいんなら、また教えてくれればスケジュール合わせるよ」

 

「……ついてきて欲しいところがある」

 

「え?今日?もうほぼ夜なのに?」

 

「明日」

 

「明日ぅ?ゲームしたいんだけど」

 

「嫌なら良い。別に」

 

「んー。まあ、良いけど」

 

「じゃあ、明日な」

 

時間は連絡してね。

と言い終えて次の日、ゲームを時間のギリギリまでして、待つ。

私の家がいいのだそう。

 

「乙女ゲームをやっていたのか?」

 

「うん。昨日発売されたばっかだし。私以外の人もこれしてるよ」

 

「そうか。で、話というのは」

 

と、彼は一人でに語りだす。

乙女ゲームなどは対象キャラクターをアンドロイドに受肉させて、そのまま恋人になることが多いらしい。

 

「んう?話したいことって乙女ゲームの談義だったの?」

 

「そうだとも、違うとも言える」

 

「なんなんださっきから。はっきり言って」

 

「恋人の予定はあるのか」

 

「さぁ?そんなのまだ分かんない」

 

なにを当たり前のことを聞いてくるのだろう。

でも、彼が言いたいことは、薄らぼんやりと分かったような、わからないような。

確かにゲームのキャラクターをアンドロイドにインストールするということは、よく聞く話だし、私も気に入ったキャラをインストールすることをやろうとは、決めている。

 

ローとはその話をすると直ぐに別れる。

え?

それっぽっちの話だけど?

なんでわざわざ呼び出したんだろ。

 

疑問が増えるだけ。

電話とかしてまで呼び出される用件じゃなかったよ。

 

引き続き、乙女ゲームをすると所謂顔の整っている男の子達がストーリーをなぞって私に接触してくる。

 

顔を緩ませて現実に戻ると、このゲームの感想をつらつらとデバイスに書き、評価していく。

それにしても、人の感情が希薄なのに、ストーリーの感情面が濃い。

どういうことだろうか。

 

マディはそれが気になりゲーム会社を調べてシナリオライターが誰か知る。

 

「な、なるほどなー」

 

発掘されたデータを元に作られた作品だった。

 

「私のスマホという黒歴史かー!」

 

確かに書いた記憶がある。

中学生くらいの時になぁ!

 

でも、データは恐らく小説投稿サイトのもの。

普通は他人の空似の話だと言えたが、作者のペンネームとか、発掘されたデータにある作者の個人的な事とかを照らし合わせると私のことっぽかった。

 

自分のことじゃない、と思いたくても、どう考えても考えなくても、私のだよ。

マディの時代でいう紫式部の話が赤裸々にされているのを考えれば、自身の作品も赤裸々にされていてもおかしくない。

 

作者不明と書いてあるものの、日記みたいな文章も公開されており、読めた。

これさ、公開しなくても良くない?

そら、感情豊かなゲームを作れますわ。

 

段々、ゲームをする気がなくなってきた。

吟味したゲームは確かに己の趣向に完全マッチしていたが、そんなの当然だ。

自分の趣味趣向を元にした作品を元にされていたのだから。

 

もう少し落ち着いて、私の作品と向き合えるようになったらやろう。

 

寝具の上に飛ぶように落ちて、そのまま寝た。

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